キリヤ公国英雄戦記物語

マギアンティア世界統一暦・1555年・10月28日・午前10時25分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・ローレライ大海洋・竜珠諸島・沖名和本島・竜珠王国・王都・那覇市・朱里城・朱里城内国王執務室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 竜珠王国きゅうおうこくは、日本の沖縄地方に良く似た文明圏を持った王制国家であり、アマテラス列島南西部に広がる島諸島で構成される尚王氏が治めて居る小国。



 昔から南部の第三文明圏の雄である大華天帝国・クーロンとの交易を中心に、アマテラス神皇国とユーラシアン大陸等の地域との中継貿易を生業とする事で、国家が成り立って居た。



 しかしながら、近年では薩摩国の大名王家である島津家の島津四姉妹に、戦で負けた事で従属させられて居た。



 その以前からもゲルニアン帝国の従属国傘下に入れられて居る二重従属をして居る珍しい外交体制を取って居る国でもあった。



 現在の国王はショウ・レイ王と言う人物で、キリヤ公国連合国の出現と急速な国土拡大と勢力圏拡大に伴い、それれまで小国として致し方無く二重従属外交をしていた政策が、上手く機能しなく成って来ていた。



「うーむ。困った。困ったぞ。」



 国王執務室で困り果てた顔付きをして居るショウ・レイは、中継貿易から出る税収の低下、二重従属による上納金と上納品等の支払いが出来なく成りつつ有った。





「島津には砂糖や工芸品。ゲルニアン帝国には上納金と貢物。そのどれも年々増加して行くばかりだ。」



「島津家はまだ良い。金品と言うより我が国で産出する品物が欲しいだけ、これは数年前から始まったばかりだし、無理やりに絞られる事も無い。」



「問題は・・・・・・・ゲルニアン帝国。彼の帝国は逆らえば、我が国の様な小さき島国は、如何なる事か・・・・・・・・・・・・」



「これも彼の少年王のせいだ。全く困った。困った。困っ・・・た・・・・・・・・・」



 頭を抱えて歩き回るショウ・レイは、少年王と口にした時に気が付く。



「はて?今の現在のキリヤ公国連合国は、我が王国の周辺を取り囲む様な形で、勢力を伸ばして居るこの時に、何で今さら島津家やゲルニアン帝国なんかに従わなければ成らないのだ?」



 彼は最近に成ってキリヤ公国連合国から発行された、キリヤ公国連合国の勢力圏の地図を広げた見る。



 この地図も竜珠王国が国策として代々取り仕切って居る海上中継貿易を通じて手に入れ物だし、王都・那覇市内には、公帝戦争後に成って国交樹立をして開かれたキリヤ公国連合国の大使館も存在して居る。



「ふむ、最新版の地図では、我が国はキリヤ公国連合国の勢力圏内に、すっぽりと収まって居る。」



「ゲルニアン帝国の領海の在る北海域が少々不安だが、キリヤ公国連合国海軍の哨戒艦隊が定期警戒して居るから、一先ずは問題が無いだろう。」



「決めたぞっ!!これ以上の無駄金を払うくらいなら、キリヤ公国連合国の連合加盟国と成って、国を再建した方がよっぽど建設的だ。」



「後は・・・・どのタイミングで、彼の国に取り入るかだな。」



「我が跡継ぎであるユンが、島津家の人質に在る以上は、迂闊な真似はできん。」



 ショウ・レイの跡継ぎであるショウ・ユンは、今は鹿児島市内の鶴山城にて軟禁されて居る。



 そして、島津家当主である島津・久実・義久によって、徐々に懐柔されて居るのである。



 その方法が特に問題であった。



 その方法とは、まだ少年であるユンに人の良いお姉さんとして近付き、女の色香をチョッとづつ擦りこみながら、最後は大人の色香漂う島津・久実に骨抜きにされて、彼女無しには生きられなくさせるのだ。



 そして最後には、その子供を身籠ろうと目論んで居るのである。



 そんな計画が進めてられ居るとは知らないショウ・レイは、如何にかして安全に息子を手元へと取り戻して、キリヤ公国連合国へと加盟しようと思案する。





 竜珠王国の国王であるショウ・レイは、島津家とゲルニアン帝国の支配から脱却する為に、キリヤ公国連合国と桐谷勇治に取り入って連合国加盟国と成る道を模索し始めるのであった。







 マギアンティア世界統一暦・1555年・10月30日・午前9時35分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・薩摩国・鹿児嶋市・鶴山城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 島津家の当主である島津・久実・義久は、当主にしてその美貌は西南国地方随一にして、誠の大将の器と謳われる人物である。



 さらさらしたロングストレートヘアーのニコニコ笑顔の爆乳のお姉さんって感じの人だった。





 優れた外交手腕と統治能力を有しており、世界の名だたる列強国のゲルニアン帝国も、笑顔で平然と使い捨てにする程の実力者。



 多分、この人は借金してもタダでは起き上がらないし、平気で踏み倒す事も厭わない危ない性格の人かも知れないと言える程に、油断が成らなかったりする。



 今日も城で、島津家の政務の切り盛りをしていた。



「そう、弘ちゃん達は上手くやったみたいね。」



 久実は北西九州島地方の龍造寺家の当主、龍造寺・隆美・信隆を唐津城攻防戦で討ち取ったとの報せを聞いた彼女は、とても満足して居た。



「利ちゃんの意見を取り入れて、ゲルニアン帝国から大量の種谷島や大筒を仕入れて置いた甲斐が有ったわ。」



 久実は密かにゲルニアン帝国を通じて大量の火縄銃と大砲を仕入れて居た。



 ゲルニアン帝国式の軍船も整備に力を入れて居る。



 その力を使って竜珠王国を支配し、龍造寺家から討ち破って見せた手腕ぶりは、地球世界の幕末島津家すら、真っ青の戦略眼を持って居た。



「うふふ、このまま行けば九州島地方と南西諸島は我が島津の物よ。」



「一定の国力さえあれば、織田家もキリヤ公国連合国もゲルニアン帝国ですら、手が出せなくなるわ。」



「あの第六天魔王・織田・和紗・信長がキリヤ公国の少年王に近付く動きが有ると言う噂の在る今、我が島津家が力を保ったまま国家としてやって行くには、伊達・毛利・上杉とは別のやり方で独立王国を築くしかないわ。」



「そ・れ・に、くふふっ!」と久実は艶ぼっく怪しく笑った。



「あ・と・は、この美貌を駆使して、あの13歳に成ったばかりのショウ・レイの皇太子、ユンくんを篭絡ちゃえば、竜珠王国を私のもの~」



 実は久実さん、ショタコンでもあり、年下少年が、どストライクの性癖を持って居た。



 それに彼の北条・九江・早雲が黒女狐と揶揄されるのならば、この人は白女狐と言うべきだろう。



 腹黒さを見の内に隠して、平然と相手に近付いて利用し尽くす、恐ろしい女性であった。 



「わたしがあの子の子供を宿しちゃえば、島津家は名実ともに王族に成るのよ~」



「うふふふふふふふふっ!!あはははははははっ!!」



 年下好きの島津家の総大将である島津・久実・義久は、その大将としての辣腕振りと美貌を駆使して、竜珠王国の乗っ取り計画を企てて居た。



 だがしかし、後にその野望は思わぬ形で崩れる事に成ってしまう。



 島津家による南西王国建国計画の暗躍は、九州島地方の戦乱をより一層激しくさせて行く事に成る。





マギアンティア世界統一暦・1555年・10月30日・午前9時25分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ユーラシアン大陸 ゲルニアン帝国・帝都ベルリナ・ベルリナ帝城宮殿にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 ゲルニアン帝国・帝都ベルリナ・ベルリナ帝城宮殿では、何時もの如くヒットラン・アドルフラー皇帝とロンデル・エルバン大元帥の二人が悪巧みに励んで居た。



「しかし、その女は信用出来るのか?」



「はい。織田・和紗・信長の虚け小娘めが、キリヤ公国連合国側に付く構えを見せて居るとの噂話も、広がって居ります。」



「それに加えてアイヌル民族解放急進派のアイヌル民族解放血盟団も最近に成って鎮圧されたとの事です。」



「最早、アマテラス神皇国の全土が、キリヤ公国連合国の傘下に収まるのは、目に見えて居りまする。」



「そうなれば、我が方は南方大陸との交易路の一つを失いかねません。」



「今は竜珠王国と島津家を傘下に収めて、旨味の在る餌を食べさせつつ、彼の者等に中継貿易をこなさせるのが、少年王への一番の嫌がらせかと思われます。」



「・・・と成るとだ、アマテラス列島の九州島地方が、我が帝国の属国に成るのか?」



「はっ!!その通りで御座います。」



「しかしだなぁ、話を聞く限りでは、トンだ女狐に聞こえるぞっ!その島津・久実・義久とか言う女はっ!!」



「下手をすれば、織田の虚け小娘より性質が悪いし、始末に負えんっ!」



「例の一件で織田家とは最早、貿易が完全に叶わなく成りました故、この際は仕方がありません。」



「確かに、又もやキリヤの小僧めが、異世界より転異して来た土地を手に入れおったわっ!!」



 ゲルニアン帝国は新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区の転移の一件で、敦賀港や堺港を通じて行われてたアマテラス神皇国との中継貿易を断念せざるを得ない状況下に追い込まれた。



 そして、その打撃は南方から貿易路の消失の可能性すら出始めていた。



 その保険航路として前々から使われて居た竜珠王国の在るアマテラス列島・南西諸島からの貿易路は、ゲルニアン帝国の東側最短ルート南国貿易路で行く、最後の航路であった。



 キリヤ公国連合国は、ゲルニアン帝国との貿易を禁止にはして居ないが、キリヤ公国連合国民側が、ゲルニアン帝国とヒットラン皇帝を毛嫌いして、商魂逞しい中立貿易商人くらいにしか、ゲルニアン帝国と交易をしたがらなく成って居た。



 まさかそれが竜珠王国の中継交易に由る経済基盤を傾かせて居るとは、夢にも思って居ないのが、ヒットラン皇帝と島津・久実の二人だったりする。



「まぁ良い。ロンデルよ、今度こそはキリヤ公国連合国勢力圏の拡大を防いで見せよ。」



「はっ!!必ずやっ!!」







 ヒットラン皇帝と島津・久実の二人の暗躍が、ある意味、的外れだと気が付くのは、もう少し先と成る。



 今回の一件でゲルニアン帝国は、ユーラシアン大陸東側ルートである南洋交易路を失う羽目に至る。



 それが更なるゲルニアン帝国衰退をさせてしまうのは皮肉としか言いようがないのであった。

マギアンティア世界統一暦・1555年・11月1日・午前10時05分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ キリヤ公国連合国・第三連合地方・新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区・政府行政区主要特別区・トウキョウ都地区にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



勇治とキリヤ公国連合国の活躍で、アイヌル・シャッコロ・北地の反乱と名付けられたアイヌルの大反乱は鎮圧された。



 戦後処理を居残り組に任せた勇治と主だったキリヤ連合の首脳幹部者達は、新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区へと戻って来て居た。



 勇治達は、新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区と成る東方日本地域政府(旧日本政府)との残って居る詰めの摺り合わせ交渉とする為に、再度トウキョウ都地区へとやって来て居た。



 トウキョウ都地区は、旧東京都が丸ごと名称変更した地域の事で、キリヤ公国連合国の政務事は、東京湾内に浮かぶ新トウキョウ湾岸海洋都市で行い。



 

 新トウキョウ内での事は、引き続きトウキョウ都の永田町を中心にして、治めて行く事が決まって居る。



 アイヌル・シャッコロ・北地の反乱が収まるまでトウキョウ都で、待って居たガリアナ王国の王女であるセレジア。



 勇治がこの世界に初めてやって来た時に、その面倒を見てくれた保護者でもあった魔導師レイラの二人は、勇治達の出迎えの為に、トウキョウ都港へとやって来て居た。



 その後ろには、セレジアの護衛騎士であったキリヤ公国の近衛騎士団長マリアとその部下達が居並んで居た。



 一方の勇治には、護衛官である柳生・冬香と上泉・伊澄のコンビが、直営の部下達を引き連れて、先に公王専用お召客船キリヤ号からタラップを使って降りて来て居た。



 そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「ううっ、うーん・・・・・・・・」



 アマテラス神皇国の九州島地方沖で漂流し、大やけど追って居た大柄の女性が、公王専用お召客船キリヤ号から担架で降ろされて居た。



 港ではトウキョウ都消防庁の港区消防署本部から、救急車と先導車のパトカーが待機して居た。



 同伴車両には新トウキョウ国防軍の医務官7名と看護師5名が付き添う事に成って居る。



「お願いします。」



「凄い火傷と斬り傷ですね。」



「アマテラス神皇国の九州島地方沖で漂流していた所を拾いました。」



「重症と見られますが、応急処置が良かったのか、一命を取り留めました。後は・・・・・・」



 勇治が事の顛末を国防軍の医務官達に説明し、何とかして助け欲しいと願って居た。



「分かりました。後は此方で何とかします。」



「後で治癒魔導士も送りますので、対応の方をお願いしますっ!!」



「分かりました。」



 ピーポー、ピーポー、ピーポー、ピーポーと救急車とパトカー、それに医務官等を乗せたバンタイプの自動車は走り去って行く。



 

 大怪我を追って居る女性は、都立大病院へと運び込まれ、集中治療室で緊急治療が行われるとの事らしい。

 

 それを見送った勇治の下に、後ろからキリヤ連合公国統合軍の総司令官である山本五十鈴とビクトリナ総督にして、ビクトリナ軍最高司令官とキリヤ公国の第二連合自治方面軍司令官を兼務しているジェシカ・クローディア。 



奥州王国からやって来た伊達・藤枝・政実。  





 毛利藩王国の毛利・輝実、吉川・春美、小早川・隆美の毛利家三姉妹。



 フェリス国の侯爵王であるレイチェル・フェリス達が、心配そうな顔つきで降りて来た。



「なぁ、勇治。あれは多分、大名王家の者かも知れないな。」



「あっ!そう言えば、あの風貌と良く似た話を聞いた事が有るかも。」



「そう言えば、わしも聞いた事が・・・・・・」



「姉さん達、それってもしかして九州島地方・北西の筑後国と肥前国を統治して居る大名王家、龍造寺家の龍造寺・信美・信隆殿の事では?」



「そうそう、そんな名前だったわ。」



「ああ、それじゃけん。そうじゃったから、わしも覚えて居ったけんなぁ・・・・・・」



 九州島地方の端っこを治めて居る大名王家だった事も在り、毛利家の面々は龍造寺家の名前や風貌の噂話は、聞いた事が在った。



 毛利家が一大名王家だった頃は、九州島地方にも領土を広げていた事も在り、大友家と並んで龍造寺家も仮想敵国と見られて居た。



 だが、キリヤ公国連合国に加盟してからは、アマテラス神皇国の大名王家なんぞ、喧嘩を売って来る愚か者が居なく成って居た。



 そんな訳で毛利家の自国領内は、太平の世へとシフトチェンジして居た為に、仮想敵国だったその事をすっかり失念して居らしい。

 

「姉さん達、毛利家領内がキリヤ公国連合国と成ったとは言え、まだまだ周辺地域は戦乱の時代なのよ。もう少し、緊張感を持って欲しいですね。」



 メガネを直す仕草をしつつ、姉たちを叱責するしっかり者のロリ巨乳な妹。



 実に面白い様相を呈して居ると言えた。



「まぁまぁ、それくらいにして、隆美さん。後で詳しい話を聞きたいから時間在りますか?」



「へっ!!時間?ってその・・・・・二人きりですか?」と・・・もじもじとしてしまう隆美。



 どうやら二人きりに成れると思って、赤面して居るらしい。



 隆美は勇治との初体面の時以来、色々と毛利家を良くしてくれた事や自分にも優しくしてくれた事で、彼に対して恋をしてしまったらしいのだ。



「うーん。まぁ、良いか。二人きりでも構いませんけど・・・・・・」



「えええっ、えっと。えっと、えっと・・・その・・・・・はい・・・・」と改めて恥ずかしくなる隆美。



(あー、アレは)とセレジアは、分かりやすく過ぎると思った。



(あからさまに態度だよな。勇治の奴は気にも留めて無いようだが・・・・・・)と政実は、勇治の義姉として呆れていた。



 政実は勇治と出会い付き合いを深めていく中で、「家族が少ないなら私は今日からお前の姉だっ!!」と言って実の弟の様に彼の事を可愛いがって居た。



(はぁ~そうなのよね~、勇治くんたら、隆美に対して全然気が無いのよ。)とひそひそ話で、政実に声を掛けて来た輝美。



(どんだけ鈍いじゃぃっ!!)と春美は苛立ちを隠せないが、必死に怒りと拳を振りかざすのを我慢をしていた。



(ねえねえ、輝美姉さまは、二人を如何したいの?)



(それを貴女が言うの?)



(それはそうだけれど、私としても、あからさまに正妻面をするのも大人げない気がするし、あの隆美姉さまや他のみんなも、勇治と色々と有るから、目くじらは立てたくは無いのよ。)



(後は後宮内の規律さえ守れればね・・・・・・・・・)



 そう、後宮内の規律とは、デート・二人切りの逢引き行為・席順・寝室での隣の順番等々と色々と後宮嫁法と言う法律の事だ。





 これは勇治との関係を持ち、後宮へと入る覚悟を決めた女達の間で取り決める内容をセレジアとリィーゼの二人の手によって、定められた絶対の後宮法律の事である。



 特に子作り目的と愛し合う為のセックスをする場合は、正妻と後宮管理庁に必ず届けをして、何所でするのかを明確にしろと決まりが在るのだ。



 どうやら隆美は、その事をまだ知らないらしく、知らされて居るのは、女性国家元首や国家幹部クラスで、それ以外の場合は勇治と関係が深いと見られた場合のみ、告知されて居る。



 此処に居る面子で知らないのは隆美と春美、護衛官の柳生・冬香と上泉・伊澄の4人が、後宮嫁法の事を知らされて居ない。



 隆美は、まだ勇治と如何したら後宮での関係を築けるのかを知らずに居るのであった。



 そして、後宮嫁法の最後には、こう在るのだ。



「勇治と生死を最後の時まで身も心も捧げて、付き添う覚悟の在る者は、同志として名乗りでよっ!!中途半端な覚悟の者は即刻立ち去れっ!!」とね。



 その中には猛獣の様な人も居るから、トンデモナイお嫁同盟条約と言えた秘密法律である。



 数年後、子種を巡る浮気騒動を巻き起こすアニメでも有名主人公たるピーター何某も真っ青なハーレムを作り上げる事に成る勇治は、この世界中の男達から恨み節の怨嗟の声を言われ続ける事に成るだろう。



(セレジア、我が毛利家とわたしとしては、隆美が勇治くんと、どうなろうと構わないわ。ちゃんとした責任を取るのなら、キリヤ公王家と親族関係は、毛利のお家としても望む所よ。)



(そう言う輝美は、その気は無いのか?)と政実は、毛利家当主として、輝美個人として、勇治の事をどう思って居るのかに興味が在ったので、折角だから聞いて居見た。



(うーん。まだ、可愛い弟くらいなのよね。父上なら早く、くっ付けと煩く言う所なのだけど、本気に成らないのかと聞かれると、わたしの場合はもう少し時間が欲しいと言いたいのよ。)



(今のままだと、チョッと年上のお姉さん的なお友達関係で、終わりそうに成ってしまいそうに成りそうだしね。)



(そう言う政実は?)



(これ藪蛇だったと思うが、開き直って言うぞっ!!伊達家当主としては・・・・在りと言いたいが、男としては、少々歳がな。)



(あの和紗殿なら開き直って愛していると叫んで居るが、私は・・・な。折角できた義弟と恋人関係に成り切るには、輝美と同じ考えだな。)



(だがな・・・・・・あと数年後は、如何なって居るかは分からないがな。)



(それは私も同意見ね。勇治くんは不思議な魅力が在るから、年上・同年・年下は関係無く垂らし込むから、案外18歳過ぎたら、此処に居る全員が後宮内で夜伽を共にして居るかもね。)



 と輝美に指摘される様にして、この場に居る女性陣達は、勇治にベットの上で数人単位でアンアンと喘ぎ声を上げている姿を想像してしまう。



 そんなあられもない自分の主軸として夜伽をして居る姿を想像すると、この場に居る全員の顔が、真っ赤に成って居た。



(勇くんと夜かぁ~)



(何だぁ、五十鈴はその気が無いのか?)



(無いわね。今の所はね。だって私にとっては、本当に可愛い弟なんですもの。)



(そうか・・・・・(アレで勇治の奴は、知らず知らずのうちに、五十鈴の事を好いて居ると思うぞ。頼りに成るお姉さんだった事から、次第に憧れ女性に成りつつあるのは、何となくこの私も気付いて居る。)」



(なのに五十鈴の奴は、妙な所で二ブちんたがらな。)



(それに比べて、わたしはどうだ。友人以上に成るのは相当な日数が掛かると思うな。)



(最後は言いよってOKを言わせるしか無いが、それは悪手だからな。)



(わたしは最低限魅力在る女として見て貰う積りで居る。)



(そうする事でビクトリナ独立自治共和国が、キリヤ公国と半永久的に良好な関係を保てる礎と成ると言う物。)



(旧ビクトリナ王国の侯爵家令嬢として、私欲抜きで奴と対等に居たいが・・・・・・・・抱いて貰うからには、愛情くらいは欲しいかな)



「(どうしたの?)」と五十鈴がぼーっとしていたジェシカに声を掛けて来た。



「(何でもない)」とジェシカは直ぐに答えた。



 一番の親友が一番のライバルに成り得ると見て居る彼女は、自分だけの秘密を隠す事にしたのだった。



(中央政府の方々と他国の方々は、既に色々とお考えが在るみたいでしょうけど、私は・・・・勇治と、どうしたら良いのよ。)



 フェリス侯爵独立自治領国の侯爵王であるレイチェル・フェリスは、父親であり、前侯爵家当主であったアルベルゴ・フェリスからある事を言い渡されて居た。 



 それは「良いか、娘達よ。お前たちの中から一人、或いは全員でも良い。勇治陛下のご寵愛を賜るか、お前達が勇治陛下の御心を掴み、我がフェリス侯爵王家の行く末を盤石の者とするのだっ!!」



「出来れば将来、お前達かその子孫達の何れか中から跡取り王子が産まれた名家として、フェリス侯爵王家が子々孫々まで名を残せる家と成るのが、わしの望む所である。」



「その為にも勇治陛下に抱かれるか、お前達が寝屋を供にしたいと自ら進んで突撃するのだぞっ!!」と自分の娘達に勇治の王妃か側室に成って抱かれるか、抱きに行けと、言い含められて居た。



 姉のロイチェルは「あら~あたしは全然平気よ。だって勇治ちゃんってば、とても可愛いじゃない。あたしなら、あの子にベットでヒイヒイ言わされても、全然気にしないわ。」



「愛人だって言われも気にしないものね。」と優しくて母性愛に満ちたお姉さんは、王侯貴族として気構えが出来て居た。



 嫌な相手でもない勇治なら、身体を好きにさせても気にしないと言うビッチな発言が見られて居た。



 一方のライチェルは「えっ!?勇治のこと?はぁ~ダメダメ、ダメだってっ!!あの子っってば、まだまだお子ちゃまじゃない。男として見るには10年早いわよ」と言う始末。



 とか言いつつ、数年後は姉妹たち中でも一番に勇治の事を独占したがるツンデレさんと成って居たりする。



「嫌よっ!!私が勇治のお嫁さんの一番の存在なんだからっ!!」とか言う事に成る。



 その中間の考えに至って居るのがレイチェルだったりする。



 家の為、子孫の為と言うのなら勇治との肉体関係を持つのは構わない。



 だが、果たして彼は自分の事を何所まで想ってくれるかを心配していた。



(少なくとも、もう少し親しく無いと、私としては・・・・この身体を勇治に委ねるなんて中途半端な真似は出来ないわっ!!)



(事はお家の為とは言え、主君を夫にすると成れば、それなりの親しい知己としての親しい間柄と成る事は必要不可欠。)



(その為には、私は何が出来るのでしょうね。)と小難しく考えてしまう面倒くさい性格をして居るレイチェルなのであった。
マギアンティア世界統一暦・1555年・11月1日・午前21時15分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ キリヤ公国連合国・第三連合地方・新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区・政府行政区主要特別区・トウキョウ都地区・青坂迎賓館にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 さて、異世界マギアンティアに転移した新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区は、地球史年代に換算して約2050年代。



 そんな数多在るパラレルワールドの一つである所から現れた転移地域。





 アイヌル・シャッコロ・北地の反乱の反乱軍の鎮圧を終えて戻って来た勇治達一行は、トウキョウ都内に在る青坂迎賓館へと通されて居た。





 キリヤ公国連合国へと加盟国に至った新トウキョウ政府は、引き続き盟主王である桐谷勇治を丁重に持て成して居た。



 後に樹立する事に成るアマテラス織田自治神皇国の将軍王と成る織田・和紗・信長も、新トウキョウ地方自治州区へと毛利家の空港経由を使って、この地に遅れてやって来て居た。



 キリヤ公国連合国への加盟準備も兼ねて、アマテラス神皇国次期将軍王として、初のキリヤ公国連合国領内への訪問であると後世に措ける歴史書の記録には残って居る出来事であった。



その日の夜・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「はぁはぁはぁはぁ、勇治。」とうっとりとした顔つきで、寝室のベットを共にしようとやって来た和紗。



 織田家として政務や外交会談を終えて、後は余暇を過ごすだけと成ると、真っ先に着替えて、勇治が泊まる予定の部屋へとやって来た。



 和紗は勇治と一緒に寝ると我がまま言って、キリヤ公国連合国正妃の成る予定の婚約者のセレジア。



 第二正妃と成る予定であり、メイルシュルフラッド独立自治公国の女公王にして、キリヤ公国の留守居役兼宰相の地位を任せられるリィーゼ。



 そして、姉の輝美に、この際だから行きなさいと言われ、無理やりに勇治の下へ押し込まれた毛利家三女小早川・隆美・影長こと、通称名・隆美も恥ずかしそうに着慣れた赤と黒と紅葉色の着物式の寝間着姿で無く。



 和紗が勇治と夜を過ごすと聞いた隆美は、慌てて輝美に相談を持ち掛けた際には、新トウキョウ地方自治州区や大陸での夜を過ごすのならば、大陸風の寝間着が良いと都内のデパートで買い付けて居た。



「勇治くんに寝間着姿を見せるのならば、完全に肌隠す天紬(アマテラス皇国産の和服のこと)よりも洋服ね。」



「それも肌をチラリと晒せるネグリジェと言う物が男心を擽る筈よっ!」



「お姉ちゃんが手伝うから行きましょうっ!」と進められて、就寝時間までにに新トウキョウ地方自治州区内のデパートで買った。



 ちょっとお高い藍色のブラとショーツパンツに加え、赤みの入った黒色のネグリジェ姿を披露して居た。



 隆美は眼鏡っ子ロリ巨乳なので、ネグリジェ姿はある意味、毒と言える姿で有る。



 幼い表情と小柄な背丈をしながらも、グラマスボデイを有して居る破壊力抜群なボディスタイルであった。



「ちょっとっ!!和紗姉さまっ!!勇治は最初に見付けた私の物よっ!!独り占めしないでっ!!」と何所かの悪魔のお姉さまみたいに、指をビシッと和紗と勇治に指さして、勇治は最初に目を付けた自分の物だと主張する。



「貴様が正妻なのは認めてやるが、俺はこの夜が初めての夜だっ!!」



「少しは融通するのが正妻の務めでは無いのか?」と豊満なバスト94の巨乳をプルンと揺らして堂々と正妻に対して、後宮入り予定の婚約者が、堂々とした物言いを言うとは、流石は織田・和紗・信長。



 アマテラス神皇国の覇王に相応しい堂々とした振る舞いだと言いたいが、彼女の本音は、勇治の事を誰からも独占させるものかと言って居た。



 これは年上の女性としては、年下の妹分に対しての態度としては、本当に少々大人げないとも言える。





 因みに和紗が正式な婚約者としてカウントされるのは、もうチョッとだけ先に成る。



 キリヤ公国連合国に加盟してて居る地域を除いたアマテラス神皇国を統一して、将軍王と成り、セレジアを始めとする嫁達に認められなければ為らないが、セレジアは和紗が、キリヤ公国後宮入りする事を半ば諦めている。



 セレジアとリィーゼの話し合いでは、和紗の立ち位置は正室のすぐ下に当たる側姫妃が良いのではと考えて居るらしい。



 正室だと、軍事力と経済基盤が強い織田家の当主である和紗の場合は、その権力と地位が高過ぎると言う見解からであった。



 それに無駄に150万人と近世軍を持つ国家としての兵力も、ソコソコ多いから、そんな彼女にクーデター事変でも起こされたりしたら、とても面倒だなんて想定もして居る。



 そんな訳なので、本人にその気が無くても、後々事を考えると成ると、キリヤ公国・公王室本家の跡取り問題に、口を挟み辛い様にして置く必要が有りとの判断から、和紗の地位を側姫妃とする事にして居る。





 その和紗もアイヌル・シャッコロ・北地の反乱の事後処理が終わり、本国での雑務を終えてから、キリヤ公国連合国との国交開設及び織田家として連合国への加盟交渉をする為にやって来た。



 そんな彼女もやや遅れた形で新トウキョウ地方自治州区へと到着早々に「百貨店とやら行くぞっ!!」と言って直臣である明智・十華と御付き者達を引き連れて、日本橋町の高級デパートとして有名な四越デパートへと向かう。



 其処では高級女性衣類を含めた高級下着類と寝間着類を扱うフロアへと訪れた。



 デパートの高級女性衣類を扱うテナントにやって来た和紗は、フロアマネージャーに、豊満な巨乳と同じくドデカい態度で「俺に似合う物は寝間着は無いか」と聞く。



 態度がやたらとデカく、余りにも見かけた事の無い和装風の衣装を纏った大女が店先で不遜な態度で問い詰めるので、何所の誰だろうと首を傾げる店員の面々。



 すると「お客様に合うサイズは・・・・」と困り顔のマネージャーや店員達。



 和紗に見合う様な品物を揃えると成るとかなりの値を張る物しか無いと見られた為、お勧めを言い出し辛かった。



 何せ身体が大きく、グラマスボデイなボディスタイルをして居る女性の衣類と言う物は、値段が高く付く事が多いからである。



 和紗の様なタイプの身体付きをして居る女性なら、下手をすればオーダーメイドに成りがちである。



 特に日本国内であった新トウキョウ地方自治州区では、欧米諸国の様な大サイズクラスの品物が置かれて居る店が少ないのであった。



 そんな言い出し辛い者達見て居た明智・十華は「お金ならご心配無く。即金でこれくらい在りますので・・・・・・」とケースに入れた金塊を100本を見せてやる。



「失礼致しましたああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!」



 てな具合で金品見るなり、その態度を急変。



 直ぐに和紗に見合った寝間着と下着をコーディネートし始めた。



 店の人達は、突然やって来た和紗が、何所の誰とも知らなかった為に、懐具合を疑ってしまったらしい。



 転移災害に在って不景気の中、態度がやたらとデカく、余りにも見かけた事の無い和装風の衣装を纏った大女が、羽振りが良さそうには見えなかった事も原因だった様だ。





「ありがとうございましたああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」と、その帰り際には、店員全員がお見送りをすると言う始末。





 その和紗が買ったネグリジェは、真っ赤な色合いと黑を合わせた衣装で、下着もその色に併せて居る。



 お値段は何と、全部ワンセットのコーディネートで、50万円したらしい。その他にもコーディネートして選んで貰ったネグリジェなんかを30着を買った総額は、何と1500万円くらい買い付けたらしい。



 和紗の勇治へに対する好意の思いの丈の本気度が伺えて居た。



 対するセレジアは、水色を基調として居るネグリジェを着ていた。



 その横に座るリィーゼの方は薄いエメラルドグリーンのを基調としたネグリジェを着ていた。



 この二人は、まだまだ若いので、ナチュラル感を醸し出す事の方が十分でなのである。



 とてもシンプルな衣装を着こなして居た。



「まぁまぁ、セレジア。落ち着いて、今は本番行為に及ぶ訳じゃないんだから、落ち着きなさい。」



「和紗殿も年上なのですから、年下のこの子と張り合うのは、余りにも大人げないですよ。」と、ハッキリと物言うリィーゼ。



 流石はキリヤ公国連合国の宰相を務める才女だけ在って、度胸と肝が据わって居る性格をして居る。



 彼女は和紗に対して、ある程度は言葉を選びつつ、物怖じしない態度で二人の間に、割って入って来て居る。



 長い付き合いにも成るのだから、此処で不仲に成るのも不味いからだ。



 和紗もその度胸ある態度は、嫌いではない。



 その実力と度胸を買いつつ、対等な女として接して見せた。



「ほう、そう言う宰相の小娘殿は、勇治には、ご執心じや無いのか?」



「好きですよ。子作りの為に裸で、まぐ合う事を許せるくらいにはね。」



「それは貴様が王だからであろう?俺は貴様の本音を聞きたいのだっ!」



「会ってから半年も経ってませんからね。愛情を抱くにも、今少しの時が要りましょう?」



「では、単純に焦っては居ないだけなのだな?」



「ええ、今日は勇治の本気の婚約者である二人のお付き合いと監視に来ただけですらか、私と勇治の関係は、ゆっくりで良いんです。」



「多分ですけど、私が本気に成ったら、如何なるか何て事は、今は想像が付きませんね。」と余裕を見せ付けるリィーゼ。



「ううっ・・・・(うわああぁぁ、私が何でこんな事にっ!!輝美姉さま恨みますよおぉぉぉぉーーーーっ!!)」



「(それにしても、後宮内での婚約者達と勇治へい、じゃなかった勇治さんとの関係が、此処まで淡泊な派閥とガツガツとする派閥に分かれて居たなんて、私が今まで悩んで居たのは、一体何だったのよぉぉ・・・・・・・・・・)」



 今まで恥ずかしく、そして正妃であるセレジアとリィーゼに遠慮していた事も在ってか、勇治に対する気持ちを言い出す事を躊躇って居た隆美。



 しかしながら、いざ同じ土俵入りをして見たら、案外とあっさりとした関係である事に驚き、今まで悶々と思い悩んで居た自分の姿が、バカらしく思えてしまった。



「あ、隆美さん。呼び出しして置いて、肝心なお話が出来なくて、ごめんね。それに何だか騒がしくて・・・・・・」と勇治が謝る。



 隆美の本当の想いに気が付ない勇治は、今まで勇治との関係を如何にかして発展させたいと、悶々と思い悩んで居た自分の姿がバカに思えてしまったとため息を付いて居る姿を見て声かけた。



 彼は自分の取り合いで騒がしい事に呆れて、戸惑って居ると勘違いをして居る様だった。



「あっ、いえ、そんな事は・・・・・・・」



「それに隆美さんは、僕がしたかったお話とは、何か別のお話がしたくて、この夜会に混ざりに来たんだよね?」



「あっ、はい。」とシュンとしてしまう隆美。



 如何やら勇治の二ブチンは、此処に来る前に龍造寺家に付いての話は事前し終えて居る隆美が、勇気を出して、もっともっと話がしたいと想い。



 もじもじする様に「あっあのっ!!今朝がたのお誘いなんですが、今夜、勇治さんのお部屋に行っても良いですか?」と返事を申し出て見た。



 すると勇治は、自分が呼び出した理由と同じく、龍造寺家の他に政務関連の相談事の話がしたくて、此処に来たらしいと誤解してしまったらしい。



 その反応に隆美は、ガッカリとしてしまった様だ。



「(折角、寝間着を新調したのに、見向きもされないなんて・・・・・・・ううっ・・・・・・・・・・・)」と、私はそんなにも魅力が無いかとガッカリとしてしまう隆美。



 そんな隆美が本気で、勇治の事を想って居るとは、気付いていない勇治。



 勇治としては、隆美の事は年の近い、話易いお姉ちゃんの一人程度の認識に過ぎなかった。



「おい、勇治っ!!」と和紗は、セレジアと喧嘩して居た筈だったが、ふと目に入った隆美とのやり取りを見ると、矛先の向きを変えて勇治に突然に怒鳴り出す。



「んん?!」



「其処のロリ巨乳が貴様の為に、勇気を出して新調して買って来た寝間着を褒めずにスルーするとは何事かっ!!このバカもんがっ!!」と和紗が怒鳴り散らす。



「えっえっ!何で此処で僕が怒れられるの?」



「そうよ、隆美姉さまは、貴方に女として褒め貰いたくて、折角新しい寝間着を着て、此処に来て居るのにっ!それを無視するなんてサイテーだわっ!」ジト目のセレジア。



「勇治、流石に私が同じ立場だったとしても、それは気にすると思うわ。」とリィーゼ。



「ええっと、その・・・・・アハハ!」



 流石に不味く成る勇治。



 笑って誤魔化そうとするが・・・・・・・・・・・・・・・・



「此処は・・・・」と和紗



「そうね。」とリィーゼ



「はぁ~、致し方ないわね。」とセレジア



「ひええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーっ!!」と勇治が叫びながら3人に取り押さえられる。



「喜べ、ロリ巨乳娘よ。貴様の勇気に免じて、勇治との寝伽のトップを譲ってやる。」と言う和紗。



そして、和紗は正室たちに向き直ると・・・・・・・・・・・・・・・



「だがしかし・・・・・・」



「ええ、誰が2番目なのかは・・・・・」



「これも付き合いだから、やるけどね・・・・」





「「「せーのっ!じゃん、けーんっ!」」」てな感じで、勇治やアマテラス神皇国、ナデシコ地方自治州区を含めた日系地域の伝統的な手を使ったゲームである、じゃんけんで寝る順番を決める事と成った。



 勇治は婚約者達のじゃんけん勝負で決められた形で、朝まで交互に決められた時間に4人に入れ替わる形で寝る事に成った。





 しかも、様々なサイズと形をしたおっぱいに挟まれる形で・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「(ふあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!私って今っ最高に幸せえええええだあわああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!あの婚約者3人には、感謝をしないと、この私を・・・庇ってくれたんだもの。)」



 隆美は婚約者達から認められたらしいと察して、その日の夜は一番に床に入るとは、勇治の最初のお相手をさせて貰えたのであった。



(うーん、苦しいけど、まぁ、良いか。隆美さんが幸せそうなら、ふああぁぁぁぁーーっ!!眠く成って来た・・・・・すぅすぅすぅ・・・・・・・・)



 勇治は寝息を立てて行く。勇治はとても寝つきが良いので、床に入るとウトウトと眠くなるのである。



 それに寝床を共にする女性達の匂いと香水の香しい香りが、勇治を夢の世界へと誘って行く。



 じゃんけん勝負の結果は、リィーゼが二番手で、セレジアが3番。和紗が最後と成って居たが、和紗は一番最後を最初から狙って居た様である。



 その方が朝まで長く一緒に居られるからだ。大体2時間交代で、寝る位置を交代する予定である。



 その時間に成ったら、ムクリと起きて来るか、後宮従事係りと言うメイドさん達が、コッソリと寝場所を入れ替えてくれるらしい。



 翌朝、勇治は気が付くと目の前に巨乳の谷間が見えていた。



「んん?!でかっ!!」



「はぁはぁはぁはぁ勇治っ!貴様と言う奴は、この俺を何回イカせる気だっ!!」



 勇治は幼い時から抱き枕を抱いて寝て居る。



 それが大きく成っても変わらず、今でも専用抱き枕を抱いて寝て居るが、セレジアと一緒に寝たりする事が多く成ると、彼は女性の乳房や乳首を甘嚙みする癖が有ると、婚約者の女の子達から言われて居た。



 セレジアと初めて一緒に寝た時の事である。



「勇治はおっぱいが大好きなの?」とセレジアがぷりぷりと怒りながら聞く。



「違う・・・・くわないけど、業とじゃないから勘弁してよおおおおぉぉぉぉーーーっ!!」



 初めて寝床を一緒にしたセレジアは、勇治の変わった癖を知り、チョッとだけ怒って居たが、「まぁ、良いわ。どうせ子作りする時には分かる事ですもの。」



「これくらいでカリカリして居たら、夫婦なんてやってられないわ。」



「今度からは汚れ破れても構わない寝間着を着るわ。」と言う事に成り、怒るの止めてくれた。



 その後、実家のガリアナ王国の首都、王都パリティ市内の高級女性用寝具店で、バカ高いネグリジェと下着類を買わされる勇治の姿が見られて居た。



 その次のリィーゼも、セレジアからアドバイスを受けて、似た様な対策を取って寝屋を供にして居る。





 それを偶々知らなかった新参者である和紗は、豊満な巨乳を散々に甘嚙みし捲って居たので、明け方に入れ替わった数は起床時間の1時間前に成った時の事である。



 ちゅぱちゅぱとおっぱいを甘嚙みし、乳首を舐め回す勇治に、興奮させられ、性的快楽に呑まれて居たらしい。



「貴様と言う奴は、そのだな・・・・もっとしてくれええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」



 興奮して感極まって和紗は、更に勇治にガバっと抱き着いて、厭らしい行為を求めて来た。



 本当に変態なヤンデレさんである。



「うわあああああぁぁぁぁーーーーっ!和紗姉ぇ、ちょっと、ちょっと、苦しいっ!!苦しいってば、それは困るよっ!!」



「うう、苦しいいいいぃっ!!死ぬううっ!!巨乳で圧死なんて、流石に洒落になんないよっ!!ううっ!!」



 勇治は藻搔いた。



 このままでは和紗の愛の重みと言うか、荷重力のせいで天に召される事になり兼ねない。



「ふああぁぁぁぁーーっ!もう、何なのよう・・・・って、ああっ!!和紗姉さまっ!!そのままだと勇治が圧死しちゃうっ!!」とセレジアは大慌てで、二人を離そうとする。



「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ・お前の吐息と心臓の鼓動がっ!!」



「ちょっと、リィーゼっ!!起きてっ!!」



「んん?ふああぁぁぁぁーーっ!!なぁに?・・・・・ああ、何だ、勇治が和紗殿に・・・・・・・・・・・・」



 リィーゼは過密スケジュールをこなす事に成れているせいか、寝床では身体を休ませ様とギリギリまで寝て居る事が多いので、寝ぼけて居る事が多かった。



 そのせいか、セレジアに無理やりに起こされても、そのまま二度寝へと突入する。



 昨晩は御付き係りに勇治の真横に寝かして貰って、寝床を共にするが、勇治に抱き着かれても気付きもしない始末。



 彼女に取って、勇治とは年の近い友人以上の関係に過ぎず、彼に対する愛情が芽生えるのは、もう少し先に成るだろうと割り切って居ので、ドライな関係と言えた。



「んん?はっ!!セレジアさんっ!!和紗様は何をっ!?」と隆美が騒ぎに気が付いて目覚めてしまう。



「隆美姉さまっ!お願い、二人を引き離すのを手伝ってっ!」



「了解ですっ!!和紗様。失礼します。よいしっっと・・・・・・」



 隆美はセレジアと一緒になって和紗を勇治から引き離そうとするが、流石は織田の覇王と言うだけあって、馬鹿力を有して居る。



 簡単には退き剝がれなかった。



「くううううっ!!なんて馬鹿力なのっ!」



「何だかんだで、このお方は最前線でも戦える剛腕を持った現役大名王ですからね。」



「戦での陣頭指揮を執る為にも、相当鍛えて居ますから・・・・・・」



「ううっ!!苦しいいいいぃっ!!」



「ふああぁぁぁぁーーっ!!胸元に鼻息があっ!!ぐへへへへへっ!!がくっ!!」



 和紗はとうとう興奮し過ぎて気絶してしまったらしい。



二人はその隙に勇治を救出に成功する。



「ぷはっ!!死ぬかっと思った。」



「ぜーはー、ぜーはー、ぜーはー、もう何なのよう。」



「ぜーはー、ぜーはー、ぜーはー、全くですね。」



 二人は息を別の意味で荒げてへとへとに成って居た。



「ああ、もう、朝からへんな運動したお陰で、汗だくじゃない。」



「こうなったらお風呂よっ!!朝風呂行くわっ!!付き合ってくれるかしら、隆美姉さま?」



「ですね。」



「僕も行こうっと。」と勇治も冷や汗を掻いたせいか、汗臭かったので、朝風呂に行く事にする。



「すぅすぅすぅ・・・・・・・・」とリィーゼだけは只一人だけ、静かに寝息を立てていた。



 3人は迎賓館の大浴場に向かい、朝から妙な感じで汗だくと成った身体を身綺麗にするのであった。



 一方の汗だくの原因と成った和紗は、メイド達に寝床を直されたベットへと寝かされ、身支度が必要な30分前に起こされるのであった。



マギアンティア世界統一暦・1555年・11月2日・午前9時35分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ キリヤ公国連合国・第三連合地方・新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区・政府行政区主要特別区・トウキョウ都地区・墨田区・スカイマークツリーにて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「「「「「うわあああああぁぁぁぁーーーーっ!!!」」」」」



「やっぱり大きいよね。スカイマークツリーってっ!僕の世界では名前がスカイツリーだったけど・・・・・・・」



 高さ634メートルもの高さを誇る巨大な鉄塔へとやって来た勇治とセレジアとリィーゼ。



 他には魔導師レイラと近衛騎士団長マリア。



勇治直属の護衛官である柳生・冬香と上泉・伊澄のコンビ。



 他にも伊達・藤枝・政実。



毛利・輝実、吉川・春美、小早川・隆美。



 山本五十鈴、ジェシカ・クローディア、レイチェル・フェリス。



 最後に織田・和紗・信長と錚々たる女性達に取り囲まれて、トウキョウ観光を兼ねた視察団として、浅草町に在るスカイマークツリーなる電波塔の最上階展望台へとやって来て居た。



「人はこれほどの高さを誇る建造物を作れるのか?誠に面白いっ!!俺の安土城が豆粒に思えて来たっ!!あはははははははっ!!」と豪快に笑う和紗。



 今現在の彼女は、近江国州の安土城に、金ぴか黒塗りを基調とした、豪華絢爛な巨大な城郭と都市を建設中らしい。



 出来上がったら今現在の織田家の本拠地である岐阜市と岐阜城から移り住むらしいとのこと。



「こっちにも富士山が在るのか?」



「そう言えば、アマテラス神皇国の東方地域にも在ったわね。私と政実の二人は、住んで居る地域が違い過ぎて、まだ見た事が無いけど。」



 輝美と政実は遠くに見えて居る富士山を見て、自国地方の富士山を思い出したらしい。



「ああ、そう言えば在ると聞きますね。」



「名称がややこしいので、新トウキョウ富士山とでもしますか?」



「アマテラス神皇国の方はアマテラス富士山と地名変更しないと、名称がややこしい筈ですしね。」と勇治は、後で地名変更をして置く手配をしようとメールを送ろうとする。



 その宛先とは?キリヤ公国本国政府旗下の省庁で、国土関係を諸官省庁あるキリヤ公国連合国・国土交通省と新トウキョウ富士山を統治下所管して居る新トウキョウ地方自治州区政府に対して、スマホで送信するのであった。



「うわわわわわっ!!高過ぎるけんっ!!大丈夫なんじゃろなっ!!」



「春美姉さん、基礎工事がしっかりしてますから平気ですよ。」



 毛利家の姉妹次女である春美は、余りの高さにビビッて居たりする。



 三女である隆美は、その隣で、怖がる姉を支えて居た。



「本当に高い所ね。」



「だがな五十鈴、この塔の耐震性は高いから大丈夫だぞっ!!私の世界の日本国にも似た様な電波鉄塔が在ったからな。」



「全く、どの世界の日本人と言う奴は、偶にトンデモナイ物を作り上げる。」



 五十鈴とジェシカの二人は、発展し切ったトウキョウの街並みを眺め見ながら、雑談を楽しんで居る様子。





「うーん。都市が大きく成り過ぎると、こんな巨大な建築物が必要に成って来るね。」



「これは各地域と連携して、都市計画を練らないと。」



「都市は何百年も掛けても、完成という物は無いわ。」



「最初からこの様な大都会にする都市と、古い街並みをしっかりと残す文化都市にしたりと、色々と考えさせられるものだわ。」



「これは本国に帰国したら、忙しくなるわっ!」



 レイラは、キリヤ公国連合国の経済産業大臣と文部総合技術省大臣を兼務して居るが、次第に文部総合技術省大臣へと収まる様に成って行く。



 ガリアナ王国の東部のクエルナ町で冒険者ギルドのギルドマスターをしていたレイラは、その街で経済産業振興政策方針のアドバイザーもしていた。



 町の発展を助けようと色々とやって居る内に、その様な仕事をする様に成って居たからであった



 今では勇治の手助けをする為に、何時の間にか国務大臣と成って居るので、あの時に勇治を助けた事は、彼女の人生を大きく左右してしまう事に成ろうとは、先の事は分からないものである。



「流石に、これは我が国には要らないわね。」



「そうね。建築物の技術力の高さを示すのには、一役買っては居るけれど、此処まで高さの在る物を欲しいとは思えないわ。」



「トウキョウは、雑多に高層建築を含めた様々な建物の建て方をして居るせいか、スカイマークツリーが必要に成ったみたいだけれど、計画を立てて、それでも必要だと思われないと、タワーなんて物は、とても建てる気には成れない代物よ。」



 リィーゼとレイチェルの二人は、各々の故国の状況から見て、電線鉄塔以外の巨大な鉄塔は不要との結論に至った様だ。



 その分、町割りの方をしっかりとして行きたいと言って居る。



 プルルルルっ!!プルルルルっ!!プルルルルっ!!とスーツ姿のマリアの懐でスマホの呼び出し音がコールされた。



「はい。此方キリヤ公国連合国・近衛騎士団長、マリアです。」



「はい。はい、はい・・・はい・・・分かりました。冬香、伊澄。」



「はい。」



「何でしょうか、マリア団長?」



 勇治直属の護衛官である柳生・冬香と上泉・伊澄のコンビの二人は、マリアから無線で呼び出しを受けた。





「たった今、報せが入ったわ。」



「数日前に、トウキョウ都立赤十字記念病院に運ばれた、例のアマテラス人女性が目を覚ましたとの報せが、新トウキョウ地方自治州区・外務省経由で、たった今通信が入って来たの。」



「この報せをくれた梅春外務大臣は、勇治陛下と織田・和紗さまの二人を中心とした方々を今すぐにお連れして来て欲しいそうよ。」



「「分かりました。」」



 護衛官の二人は、マリアに指名された勇治・和紗・政実・輝美・春美・隆美・五十鈴らを伴って、都内のトウキョウ都立赤十字記念病院へと向かう事と成った





 マギアンティア世界統一暦・1555年・11月2日・午前10時35分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ キリヤ公国連合国・第三連合地方・新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区・トウキョウ都地区・トウキョウ都立赤十字記念病院にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 トウキョウ都立赤十字記念病院は、トウキョウ都が国際赤十字連盟と共同出資して作り上げた総合病院である。



 此処に運び込またれアマテラス人女性の漂流者は、数日間の間を生死の境を彷徨い続け、気が付いたら見知らぬ所で、眠って居た所を深夜3時頃に飛び起きた。



 点滴の針を無理やりに抜き去り、大慌てで外へと向かおうとして居た所を新トウキョウ地方自治州区・警視庁のSP警察官に身柄確保されてしまう。



 当然ながら、見知らぬ土地と見知らぬ異国人を初めて見た漂流者は、自身が訳が分からない状況に居る事を悟り、警戒心と猜疑心から、取り押さえ様として来るSP警察官を相手取って大立ち回り。



 SP警察官たちは、丸で大熊を相手取った戦いを強いられ、柔道や空手、合気道の有段者のSP警察官であったも、コテンパンに打ちのめされてしまう。



 一時間ほどの格闘戦の末に、力尽き掛け所を格闘技を得意とする女性SP警察官たちに取り押さえられ、その警官達から、今日に至るまでの経緯に関する説明を受けて、ようやく落ち着くと、今度は大熊女が頭を下げて詫びたと言うのが、事の顛末と成ったのだった。



 勇治達は、目覚めた女性と話すべく、その病室を訪れて居た。



「龍造寺・信美さん・・・お加減は、如何ですか?」





 その人物とは、肥後国の大名王家、龍造寺家の当主である龍造寺・信美・信隆であった。





「ああ、まだあちこちで痛みは有るが、薬が効いて居るお陰で、何とかな。」



 SP警察官たちを相手取って格闘戦をするほどに体力に自信を持って居る漂流者の女性こと、龍造寺・信美は、傷だらけの姿と包帯が巻かれた姿を晒しながらも、起き上がる事が出来て居た。



 皮膚移植と50針も縫う大手術を成功させたとは思えない回復ぶりを勇治達に、見せて居た。



 その上でSP警察官70名を相手に大立ち回りをしたのだから、武芸に長けた姫武将と言うのは一騎当千の強さを誇る物だなと、トウキョウ地方自治州区・警視庁のSP警察官たちは舌を巻いて居たと言うのだ。



 何せ、手負いの獣も同然の龍造寺・信美に勝てた、トウキョウ地方自治州区・警視庁のSP警察官は一人も居らず、体力切れを待ってから取り押さえられたので、これは勝てたとは言えないだろう。



 後日、キリヤ公国連合国内の各地方の治安当局から龍造寺・信美に対して、お暇な時に格闘技の稽古を付けて欲しいと言われてしまうが、彼女はこの申し出を快く引き受けて居る。



「先ずは・・・・このアタイの命を助けて頂き、誠に感謝する勇治陛下。」と信美は、何時ものガサツな口調を出来る限り直して、助けた当人である勇治に真っ向からお礼を述べた。



「いえいえ、助かって本当に良かった。」



「本当だ。医者達から聞いた話だが、何時死んで居ても不思議無いとの事だぞ龍造寺。」と和紗は言う。



「本当にそう思う。運が良かったとな。」



「それで、これからどうする。国に帰るのなら、この俺が送り届けてやるが・・・・・」と和紗は同郷の誼で、帰国の序でに九州地方へと送り届ける事を申し出る。



「そうだっ!!こうしてなんか居られないないんだったっ!!」と信美は、故郷の事を思い出して、ハッとする。



「其処でなんだが、勇治陛下、それと信長殿っ!!そして、其処に居るアマテラスの同郷の方々にお願いしたいっ!!」



「我が龍造寺家を助けてくれっ!!」



「「「「「「「?!」」」」」」」と訳が分からない一同。



「如何したんですか?そんなに鬼気迫ると言う物言いで、助けて欲しいなんて・・・・・・」



「あれから随分と日が経って居るが、今ならまだ間に合う筈だ。」



「実はな、こんな大怪我を負ったのも、島津家の奴らに攻め込まれたのが原因なんだっ!!」



「そうか、やはり島津家か・・・・・・・・・・・・・」と呟く和紗。



「島津?」と首を傾げる政実。



「政実、アマテラス神皇国内で、最も西国に位置して居る大名王家の事よ。」と輝美が簡単な補足説明をする。



「ああ、名前くらいなら知って居るが、その島津家の奴らが如何かしたのか?」



「少し前ならば、政実くらいの反応をするのが、アマテラス人共通の反応だったと思うけど、今は違うらしいのよ。」



「輝美の言う通りだ。独眼竜っ!!」



「どうも数年前に成って代替わりした島津家は、先代当主である島津貴久の娘達である4姉妹が、一丸と成って九州島地方を統一平定しようと、軍勢を率いて北へと攻め上りつつも、南に在る竜珠諸島・竜珠王国にも攻め掛かり、支配下に置いて居ると言うのだ。」と和紗は九州島地方の平定をする予定も在る事から、今知り得て居る情報を皆に言って見せた。



「何れは、この俺が叩き潰す予定で居たが、龍造寺の話を聞く限り。」



「此処に来て島津家の連中は、龍造寺家を先に叩いて、生意気にも織田との決戦に備える気で居るらしいな。」



「じゃけんど、和紗の姉御よ。それじゃと・・・・・・」



「そうね、春美姉さん。今の状況下で、そんな事に成ったら・・・・・・・・・」



「ええっと、もしかして・・・・・・・・・・・・・」と勇治は、その先のオチを何となく察して居た。



「そうなるな。この俺だけでは無く、勇治とキリヤ公国連合国と島津家が、真っ向から衝突する事に成るな。」と和紗が締め括る。



「おい、龍造寺。島津の奴らめは、俺に臣従をすると言って居る大友家と事を構える気か?」



「分からない。分からないが・・・・・アタイが奴らに戦を仕掛けられた時点で聞いた話じゃ、織田家とキリヤ公国連合国は、まだ赤の他人だったと・・・・・・」





「それか・・・・・・・」



「それが奴らが戦を・・・・龍造寺や中立を謳う小大名王家と国人衆達と戦を続ける理由か?」



「島津小娘どもめ、さては、織田家とそれに追従しようとする勢力を九州島地方から追い返して、九州島地方に自分達の国を立ち上げる積りだな。」



「和紗殿、それは本当か?アマテラスから別の形での独立するのか?」



「お前がそれを言うのか独眼竜。」



「まぁ、それもそうか。私も似た様な事をして居るが、しかしながら、如何してそんな考えを持ったのだろうか?」



「そんな事は今はどうでもいいっ!!」



「今問題なのは、島津が織田家への臣従を決めて居る大友家へと戦を仕掛けようとして居るって事の方が大問題だっ!!」



「確かにそうね。今は時期が悪い。」と輝美が渋い顔付きをして言う。



「シャッコロ族の反乱を鎮め、新トウキョウ地方自治州区の問題と、二つもの面倒ごとの後片付けが在るから、アマテラスの争い事にかまけて居る訳にも行かないわ。」と五十鈴が言う。



「我が織田家も、シャッコロ族の反乱の手伝いに結構な予算を掛けて居る。」



「暫くは大友家と秀良の小猿娘が踏ん張ると言って居たが、龍造寺家を潰すのにそんなには時間を掛けて居ないと見ると成ると・・・・・・・・」



「援軍無しでは、九州地方は持たないか・・・・・・・・」と五十鈴が全体象のビジョンから結末を察してしまう。





「何やら其方にも事情が在りそうだが、本当に済まないが、キリヤ公国連合国と織田家に援軍を出して欲しいんだっ!!」



「肥後の龍造寺領には、アタイの帰りを待って居る筈の者達が、従姉妹の鍋島・尚美・茂直が踏ん張って居る筈なんだっ!!」



「鍋島・尚美・茂直。龍造寺の奇才にして、肥前の出来人と言わる軍政務の天才と言われて居る人物ですね。」と隆美は、諸国の情報に精通しているので、その名に聞き覚えがあった。



「頼むから、尚美と肥前国衆達を助けてくれよっ!!尚美は、アタイの可愛い妹分なんだっ!!」



「助けてくれるのなら、アタイは何でもするからよおおおおぉぉぉぉーーーっ!!この通りだっ!!頼むっ!!頼むっ!!頼むううううぅぅぅぅーーーーーーーっ!!」



 プライドがとても高い信美が、大粒の涙を流し、此処まで他人に頭を下げるのは、稀な事である。



 それも他国の王達にだ。



「・・・・・・・出兵しましょう。」



「おい、勇治。正気か?」と政実が、ビックリした顔で叫んだ。



 普段から戦嫌いを公言して、大人しい性格の少年が、進んで出兵するとの発言に驚いてしまったらしい。



「そうよ。勇治くん。よく考えてっ!!」と主君として義姉としても勇治の事を支えて行こうと決意して居る輝美も諫める発言をする。



「勇くん、分かって居るわよね。キリヤ公国連合国の内外に色々と抱えて居る状況下で、一地方に出兵すると言う意味が・・・・・」と五十鈴は勇治を睨み付けた。



「分かっています。取り敢えず、アマテラス九州地方に援兵を出して、島津家の出方を伺います。」



「織田家に従うか、キリヤ公国連合国と織田家の講和に応じるか、はたまた別の形で和平交渉に応じるかを打診します。」



「それでダメなら・・・・・・・・・・・」と勇治は優しい顔付きから鋭い眼光の目付きへと変貌して言う。



「叩き潰すっ!!」



「ぐはははははははははははっ!!そうか、そうか、流石は我が夫と成る男だ。」



「和紗っ!!勇くんを焚き付けるのはっ!!!」と叫ぶ五十鈴は、炊き付ける様な発言を言う和紗を覇気有る怒鳴り声を放った。



「黙って居ろっ!五十鈴っ!!」とキリヤ公国連合国軍総司令官である五十鈴の一括にも決し怯まない怯まない和紗。



 いざ前線にでれば、幾ら国軍の権限を有する連合加盟国の国家元首であったとしても、キリヤ公国連合国・連合軍法の名に置いて、連合軍の管理権限の都合上で五十鈴の方のが、キリヤ公国連合国全軍を束ねる為に総司令官の統帥権の方が上とされて居るからだ。



 だから五十鈴は相手が織田家当主であり、連合加盟国であるアマテラス織田自治神皇国の将軍王と成る予定である和紗に対して諌め、怒る事も辞さない。





「これは、この俺の宗主国王である桐谷勇治が決めた事だっ!」



「普段はヘラヘラとして居るガキだが、こう言う情と義侠心に篤い所が、堪らなく好きな所でも在る。」



「五十鈴さん。ごめんなさい。家族や仲間を助けてって言われると、僕はどうしても我慢が利かないみたいです。」



「勇くん・・・・分かったわ。そう言う男の子らしい所も在るだんね・・・・・分かったわ。」



「幹部臣下である軍部最高トップのキリヤ公国連合国軍総司令官としては、本当は貴方と和紗の事も諫めたい所だけど・・・・・・・・・・・・」



「でもこの一件、今までの話の流れを聞いた限り、私の直感だと、何だかキナ臭い匂いがしそうとも思えて居るの。」



「楓達に島津家の実情を調べさせて見るわ。」



「お願いします。」



「と言う訳で、龍造寺・信美・信隆さん。聞いた通りです。我がキリヤ公国連合国は、貴女の望みを叶えて上げましょう。」



「ほっ、本当かっ!?」



「はい。島津家の企みが何であれ、家の看板の下に助けを求めたら、そりゃもう、家族も同然じゃけんのーっ!!」とわざとらしい広島弁的な台詞で締めくくる。



「そうじゃけぇ、助けを求めた輩の縄張り(シマ)を荒らす奴らに、目に物を見せてやるじけぇっ!」と春美もニヤリと怖い目付きで言う。



「ありがとうっ!!ありがとうっ!!ありがとうっ!!ありがとうっ!!」



 信美は、この時に心に決意する。



(この恩義、アタイの一生涯を掛けて返そう。この少年王こそ、アタイが仕えるべき人物だっ!!)とね。



 後に龍造寺・信美・信隆はキリヤ公国へと直臣として使える事に成る。



 文字通りのその身を一生を捧げると言う意味も込めて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 キリヤ公国連合国は、筑後国・肥前国等を治める大名王家、龍造寺家当主である龍造寺・信美・信隆からの嘆願で、アマテラス神皇国・九州地方に援軍を送る決断を決めた。



 同地域からアマテラス神皇国内での島津家の地位を高める。



 又は、あわよくばアマテラス神皇国地方の天下を掠め取ろうと企む、島津家4姉妹と戦う事と成った。

マギアンティア世界統一暦・1555年・11月2日・午後12時00分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ キリヤ公国連合国・第三連合地方・新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区・トウキョウ都地区・青坂迎賓館にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 勇治はトウキョウ都立赤十字記念病院にて、アマテラス神皇国・九州地方・筑後国西側の1割の領土と肥前国一国を含めた島諸島等を治める大名王家、龍造寺家当主である龍造寺・信美・信隆と対談。



 龍造寺家当主である龍造寺・信美は、当主である本人と龍造寺家、そして家臣と領民達の庇護をキリヤ公国連合国と織田家に求めて来た。



 その結果、キリヤ公国連合国・第三連合地方に属するアマテラス神皇国に国土を持つキリヤ公国連合国加盟国である伊達・毛利・上杉諸侯藩王らは、勇治からの要請を受ける形で、龍造寺家への援助を決定。



 次期キリヤ公国連合国へと加盟する予定の織田家も、九州地方統一平定戦争に向けての予定準備を前倒しにして、島津家討伐軍を派遣する事を決定する。



 勇治達を含めたキリヤ公国連合国の首脳元首達一同は、キリヤ公国連合国・第三連合地方・新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区・トウキョウ都地区・青坂迎賓館で、キリヤ公国連合国内外へと向けた記者会見を行おうとして居た。



 キリヤ公国連合国の首脳元首達が居並ぶ中で、司会席の檀上机を前にして居る小柄で可愛らしい顔立ちをし、とても真面目そうな感じもして居る20代前半くらいの女性が立って居た。



 その手にカンペを含めた書類を片手にしながら、他の官僚や政府官庁の職員達と入念な打ち合わせを話し合って居た。



 この記者会は、テレビとラジオ等を媒体とするニュース特集番組として放送がされ、翌日までには新聞として報道が為させれる事に成る。



 公王執務官邸とその長官が話すと言う事は、公に報じられる事に成るので、そのカンペ書類と言うのは、入念なチェックと打ち合わせが必要なのである。



「それでは時間と成りましたので始めさせて頂きます。」



 時刻はお昼丁度の12時と成った為に、記者会見が開始される。



「この度、本日の記者会見での司会進行を務めさせて頂きますのは、キリヤ公国・近衛近習衆所属、公王執務官邸長官である長野・業乃・正則です。」



「通称名は業乃なりのと言います。どうか宜しくお願いします。」



 時間と準備が整い挨拶をした業乃は、パシャパシャパシャパシャパシャパシャとカメラから放たれたフラッシュとシャッター音が木霊する。



 その中で真面目そうな顔つきで、キリヤ公国連合国として、初めての国内外向けての記者会見に臨もうとして居た。



 これは異世界マギアンティアに取って、マスメディアと言う概念が全く無かったので、世界初と成るメディア技術力を使った記者会見である。

 

 新トウキョウ地方自治州区・ビクトリナ独立自治共和国・ナデシコ地方自治州区の3地域がキリヤ公国連合国と成った為に、キリヤ公国連合国内にもテレビ・新聞・ラジオ・インターネット等のメディア網が確立されて居た。



 キリヤ公国本土でも、数こそ少ないがマスメディア関連の会社が5社ほど、創立されて居る。



 其処で勇治は新トウキョウ地方自治州区で、決まった事を大々的に発表しようと決めた。



「マスコミ各社の皆様に措かれましては、お忙しい所をこの記者会見にお集まり頂き、誠に有り難う御座います。」



「この新トウキョウ地方自治州区にて、その行政執行機関である新トウキョウ地方自治州区政府とキリヤ公国連合国政府との間で、この度、我が連合国への加盟交渉が纏まりました。」



「後日改めて正式な調印式が為され、新トウキョウ地方自治州区は、準独立自治国権限を持った自治州として、キリヤ公国連合国への加盟が決定しました。」



 再びパシャパシャパシャパシャパシャパシャとカメラから放たれたフラッシュとシャッター音が木霊する。



「その内容はお手元の資料やテレビ画面でのテロップ。」



「ラジオの場合は解説者による説明が、後ほど入りますので、そちらをお聞き下さい。」



「交渉内容で決定事項と成った条文は、事前に発表された通りの物と成って居ます。」



「この辺りで、何かご質問は御座いますか?」



 聞かれた記者達は特に無いらしい。



 事前の発表も在った為に、十分な説明だった事も在り、勇治の故郷に在る様な質問攻めと成る様な事態が無かったのだ。







 新トウキョウに住まう日本人、いや日系人とも言うべき人々は、キリヤ公国連合国から多大なる援助を受け取って居る為か、反政府運動と言う活動が見られて居ない。





 だがしかし、今日の記者達の目当ては、別の問題点へと向けられて居る。



 それは新トウキョウ地方自治州区の加盟準備問題は、既に終わって居た故に、事前資料に渡されたもう一つの内容に注目が集まりつつあった。



「それでは次の発表の参ります。」



「新トウキョウ地方自治州区に続いて、我がキリヤ公国連合国は、第9番目の加盟地域と成る予定の国家、アマテラス織田自治神皇国の加盟予定を正式発表を致します。」



「そして、アマテラス神皇国の5代目の将軍王朝・織田安土幕府政権を樹立し、国名をアマテラス織田自治神皇国とした武家連合国政権の国家元首代表。」



「次期将軍王へと就任予定の織田・和紗・信長様をキリヤ公国連合国内及び世界中の皆様に向けて、この場をお借りして、ご紹介を致したいと思います。」



「織田・和紗・信長様。檀上へと、どうぞ・・・・・・・・・・・」





 和紗は業乃に言われると、派手な黒々としたマントと和洋折衷の掛け合わせたカラフルなアマテラスの着物装束姿で、堂々と記者達の中央に位置して居る檀上へと進み出て行く。





「只今紹介に預かったこの俺が、織田・和紗・信長であーるっ!!!」



「我が織田家は、アマテラス神皇国を統一しようと、10数年の長きに渡り、長い年月を掛けて努力に努力を重ねて来た。」



「まぁ、その間に伊達・毛利・上杉と言った連中が、アマテラス神皇国内の争いを早々に切り上げて、各々の勝手に独立国を建国する事に成るとは驚いたがな・・・・・・・・・・」とチラリと、政実を含めたアマテラス神皇国のキリヤ公国連合国の独立加盟国に向けて、目をやる和紗。



 これは悪い意味での悪態では無く、ジョーク交えた皮肉を言って居るだけである。



 これは記者達と視聴者達からも、クスリと言った笑いを誘う一幕を見せた。



 キリヤ公国連合国の成り立ちに関する諸事情を公表して居るので、アマテラス神皇国内に付いての紹介も為されて居る。



 これ等を見聞きして居る者達は、微笑を誘う事と成ったのである。



「ふっ、これに付いては冗談だ。さて、此処から本題だっ!!」



「この場からでは、直ぐには本人達には、伝わらないだろうが、数日中には伝わると思うから此処に宣言するっ!!」



「我が織田家は、そして織田・和紗・信長が名の下に、このマギアンティア世界の全世界中に向けて、アマテラス織田自治神皇国の建国し、キリヤ公国連合国への加盟国として、アマテラス列島地方の最大国家にして、統一国家として出発する事を此処に高らかに宣言する物成りっ!!」



「そして、まだ抵抗と領土争いを続けて居るアマテラス神皇国内の島津、武田、北条の3大名王家を含めた独立領主達に対して、我が織田家に従うか、それとも死力を尽くして戦うかを選べっ!!」



「それが嫌なら、其処に居る桐谷勇治に仲介を頼んで、身の振り方を決めろっ!!」



「特に島津っ!!貴様らがこれ以上の火遊びをすると言うのなら、この俺と勇治にも考えが在るから、その積りで居ろよっ!!」



「だが、これでは織田将軍王家とキリヤ公国連合国に従う理由も謂われも無いと白を切る者ども等も居るだろう。」



「其処でだっ!!」



「我がアマテラス織田自治神皇国・将軍王政府とキリヤ公国連合国中央政府は、盟主王・桐谷勇治と将軍王・織田・和紗・信長の名の下に、アマテラス神皇国地方に措けるあらゆる私戦を禁止する総武禁止辞令法を発布し、現時刻を以ってして発令するもの成りっ!!」



「全てアマテラス神皇国地方内に措ける全ての武家領主達よっ!!停戦に応じなければっ!!盟主王と将軍王の名の下に征伐するから覚悟しろっ!!」



「その手始めに、前線の戦場で悪さする島津の3姉妹を叩き潰すっ!!」



「首を洗って待って居ろっ!!」



「以上だっ!!」



 シーンと静まり返ってしまう記者会見場。



 記者達と視聴者達は、和紗の覇気に呑まれてしまうのであった。



 キリヤ公国連合国の首脳元首達らは、苦笑交じりに、その様子を見て居た。



 この場に居る記者や報道を見て居た視聴者の人々は、アレがアマテラス神皇国の虚け大名王にして、覇王と謳われる織田・和紗・信長なのたと畏怖をした。



 その堂々たる立ち振る舞いに関して、優れた一廉の人物なのでは?と関心してしまう事と成った一幕を見せる事と成った。





 その5日後・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 マギアンティア世界統一暦・1555年・11月7日・午後13時10分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・九州島地方・南九州島地方・アマテラス神皇国・島津大名王家・島津大名王家国領地・薩摩国・島津大名王家国首都・鹿児嶋市・島津大名王家居城・鶴山城・謁見の間にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 島津家の当主である島津・久実・義久は、新トウキョウ地方自治州区で、キリヤ公国連合国と和紗が行った記者会見。



 その一幕の内容を書状として、書き記した物を数日間を掛けて届けられた内容を聞いて驚愕してしまう。





「なっ、何ですってっ!?キリヤ公国連合国と織田家が、このアマテラス列島・九州島地方への介入を決定したですってっ!?」



「如何やらそうらしいんだ、久姉さん。」



「これはキリヤ公国の本土であるキリヤ公国へと入り込んで居る島津の密偵をして居る者達から、密書を通じて聞いた話だ。」



「テレビとか言う通信装置を使っての宣言では、島津・武田・北条を含めた独立領主らに対して、降伏か継戦。或いはキリヤ公国公王・桐谷勇治に助命を請えと言って来て居るらしい。」



「ままっ、不味いわっ!!このままでは、我が島津家の計画が・・・・・・・・・」



「でも・・・一体、如何してそんな事に?桐谷勇治は、滅多な事では、他人の勢力圏には、軍事行動を起こさないと噂では聞い居た筈なのに・・・・・・・」



「これも人伝に聞いた話だが、如何やら討ち取った筈の龍造寺・信美・信隆が生きて居たらしい。」



「えっ?!龍造寺・信隆が生きてたの?」



「それも如何やって?」



「報告では数多の大砲の砲撃で、信隆が立て籠もって居た、唐津城の北門唐門櫓ごと消し飛んだって言うじゃないっ!!」



「それがだな、どうも海面に面して居る唐津城の北門唐門櫓から吹っ飛ばされただけって、言うらしいんだんよ。」 



「ええっ?!何て頑丈で運が良い奴なのよっ!!」



「それで龍造寺・信隆は、シャッコロ族の反乱を鎮圧して、新トウキョウ地方自治州区で残って居る現地政府との交渉を進める為に出戻る途中で、海上で漂流中の所を桐谷勇治のお召客船に拾われたって訳らしい。」







「その後の事は察しが付くわ。信隆は運良く病院で助かり、事情を話して助け貰うって所なのね。」





「それで、これから如何するの久姉さん。」



「如何するって・・・・・・」と、島津・久実は、真っ青な顔付きに成って居た。



(不味いわ、不味いわ。本当に、これから如何するのよ。これは完全に、予定外だわ。)



(龍造寺・信隆を討ち取って、統制が取れにくい状態と成った龍造寺領を武力制圧。)



(次にシャッコロ族の反乱で、暫く動けない筈の織田家を尻目に、大友家を叩き潰す予定計画で居たのに・・・・・・・・・・・)



(何でそんな時に、龍造寺・信隆が生きて居て、序でに一番に敵に回しちゃいけないキリヤ公国連合国と織田家の両方が、一遍に九州へと攻め込んで来るのよっ!!)



(これは島津家が滅び兼ねない御家存亡の危機よっ!!ああっ!!如何しましょうっ!)





 島津・久実が絶望に打ちひしがれて居た、そんな時であった。



「失礼致しますっ!」



「如何した?」と島津・利美は伝令官の方へと目をやる。



「はっ!!織田家の姫武将、羽柴・陽菜・秀良を先鋒司令官とするキリヤ公国連合国と織田家のアマテラス九州平定征伐連合国軍が、毛利独立自治安芸藩王国領の筑前国州へと上陸を開始しましたっ!!」



「何ですって!?」



「早いな。討伐宣言から僅か5日が経っただけだと言うのに、もう来たのか?」



「はっ!!続いて第二連合国軍は、明智・十華・光秀。」



「第三連合国軍に吉川・春美・隆春。」



「第四連合国軍に長宗我部・智華・元親。」



「第五連合国軍に徳川・千代・家康。」



 先鋒軍に織田家を据えて居るのは、これがアマテラス織田自治神皇国のアマテラス神皇国統一平定戦だからである。



 その連合政権の賛同者の大名王家として派遣軍を出すのは、三河国・遠江国を治めている統治者の徳川・千代・家康。



 四国は土佐国を本拠地として、破竹の勢いで四国統一平定を成し遂げ、織田家と同盟国と成り、四国地方の管理監督職である管領職を任されて居る長宗我部・智華・元親が、四国の大名勢を率いて参加する。



 それらの織田家と他家との連合軍勢を纏めるべく、和紗は羽柴・陽菜・秀良を先鋒軍司令官として派遣し、、その討伐軍の先鋒軍が毛利領の博多市へと入った来たのだ。



 当初の予定では、豊後の大友家の別府港と大分港から入り、陸路と海路を使って多方面へと進軍。



 また四国勢を率いた長宗我部・智華・元親軍が、宇和島港から日向港へと上陸作戦を行い、此方も陸海の二方向から島津家の本領である大隅国へと進軍するのが、織田家が当初から進めて居た最初の計画であった。



 これはキリヤ公国と織田家が連合国として共に歩むと決められる前の計画で、シャッコロ族の反乱の事後処理が済んで、暫く経ってからの計画でもあった。



 織田家はキリヤ公国連合国の力を借りずに、地元の大名王家と織田家に賛同や臣従する大名王家を従えて九州に攻め入る計画を練って居たが、此処に来て龍造寺・信美・信隆が自領を助けて欲しいと、キリヤ公国と織田家に嘆願して来た事で、その情勢は急激に一変する。



 信美から直接援軍を請われた一人である和紗は、これ幸いとして、自国軍を九州地方へと進める事を決意し、援軍を請われたもう一人である勇治は、家族を助けて欲しいと言われれば、嫌とは言えない性格。



 キリヤ連合国の首脳元首達は、宗主国王に対して、形式状は一応の反対をする物の、何らかの形でアマテラス神皇国内の内戦状態を如何にかするのは、当初からの外交戦略で在った事から、島津を降参させられるだけのキリヤ公国連合国軍勢の派兵決定を承認するのに至った。



 そんな感じで、派兵の主力軍に成るのは、アマテラス神皇国内の大名王家に所属する武将達が中心と成って居た。



「第六連合国軍に佐竹・秋江・重義と直江・愛華・兼継及び大国・七恵・実頼。更にその下には、与力軍として、下野国州軍。」



 奥州独立自治王国軍の国王である伊達・藤枝・政実と軍司令部の命令で、前線指揮官に伊達・成美を派遣。



 続いて奥州独立自治王国軍の先鋒軍として、先の奥州統一平定戦で、伊達家に寝返って来た佐竹・秋江・重義を先鋒軍司令官とし、その与力軍に下野国州軍を先鋒軍に参加させる。



 別働中軍部隊として、南部直信・最上義康・安東季愛及び陸奥・羽前・羽後国州連合国軍を派遣させる事に決定する。



 佐竹・秋江は姪からの命令を聞くと「ほう、可愛い姪御殿は、この私に再び最前線に出ろと言うのか?」とニヤリと笑って居た。



 如何やら久々に鬼佐竹の血が騒いだらしい。



 政実に取って自家に組み入れた外様組の者達に、戦で手柄を立てさせて、譜代家臣達との格差をなるべく早めに払拭する狙いが在るらしい。



 それに武田と北条の二家対する牽制でもある。



 今回の出兵で伊達家は、敵対するかも知れない両家に対して、自分達は外征軍を出しても、お前達を十分に抑え込めると言う事をアピールメッセージを出すのが狙いでもあった。



 これにより武田と北条の両者が、島津家の成り行きをどう見て居るのかが分かる筈だと言えるのだ。





「第八連合国軍にライチェル・フェリス及びフェリス侯爵独立自治領国軍とアルペジオ・ハインライン及びメイルシュルフラッド独立自治公国軍。」



 更に付け加えるとシャッコロ族の反乱鎮圧軍に参加して居た軍勢は、大体の後片付けを終わらせて、そのまま自国へと帰国予定だったのだが、キリヤ公国連合国中央政府とキリヤ公国連合国・国防総省及びキリヤ公国連合国軍・総司令部庁から命令で、急遽九州平定戦へと駆り出されてしまう。



 ライチェルとアルペの二人も、自国軍を率いてアマテラスの連合加盟国経由で九州地方へと参着する事と成った。



「第九連合国軍に伊達・成美・実重。」



「第十連合国軍に上杉・剣信・輝清と前田・慶南・益利。」



「第十一連合国軍に真田・幸恵・幸昌と村上・清美・隆清。」



「第十二連合国軍に雑賀孫一と小田・春奈・冶氏。」



「第十三連合国軍に正木・時奈・茂時と津軽・乃為・信胤。」



「第十四連合国軍に尼子・勝美・久勝と山中・鹿乃・盛幸。」



「第十五連合国軍に藤堂・吉与・高虎と可児・才華・長吉。」 



「第十六連合国軍に南部直信・最上義康・安東季愛及び陸奥・羽前・羽後国州連合国軍。」



「第十七連合国軍にネイレス・ガーネット中将とビクトリナ独立自治共和国陸海空軍・1万人。詳細は・・・・・・・・・・」



 ビクトリナ独立自治共和国統合軍・第三艦隊・旗艦・アーク級3番艦・機動兵器空母ベルジダン・ノーグ

      

           

          ラーク級機動兵器空母9隻

          イルダス級ミサイル巡洋艦7隻

          ミチルダ級ミサイル駆逐艦14隻

          ランカウイ級揚陸艦12隻     

          ダルト級補強艦が8隻

          ウンジン級機雷施設掃海艦7隻

          2000年式級潜水艦15隻

          2000式級輸送艦10隻







「第十八連合国軍に新トウキョウ地方自治州区国防自衛軍・第三方面隊管区方面隊。詳細は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



第三方面隊管区 チバ県地区・イバラキ県地区



 新トウキョウ地方自治州区国防自衛陸軍・東部海岸方面隊・第三師団



 新トウキョウ地方自治州区国防自衛海軍・第二艦隊

 

 新トウキョウ地方自治州区国防自衛空軍・第三航空戦隊

 

「第一九連合国軍に栗林武美大佐とナデシコ自治統合陸軍8千人。」



「そして、海軍戦力として、ナデシコ自治統合海軍・第一戦隊司令官・山本五十鈴提督(大将)。第一戦隊副司令官・烏柿肇大佐。」



「キリヤ公国海軍所属・里見・七香・由堯と里見艦隊。」



「小早川・隆美・影長と毛利海軍・小早川艦隊。」



「最後に織田家水軍が海軍へと名称と組織変更され、アマテラス織田自治神皇国海軍と九鬼隆嘉大将。」



「そして、海軍開設記念だとか言って、彼の少年王からナデシコ自治統合海軍で使われて居る撫子級型戦艦を五隻も送られ、戦艦安土・岐阜・清州・那古野・道三名付けられたとの良し。」



「更にその他には、六〇隻もの撫子式軍用艦隊を送られたとの事ですっ!!」





 勇治は火遊びすると言う島津家に対して、そして、この世界に対して、その相手が例え小さな蟻であったとしても、全力で揉み潰すと言って居る言える程の軍勢の派遣を決定して居る。



 何せ、軍事予算は勇治のポケットマネーから出て居るのだ。



その気になれば世界征服する事すら出きるかも知れないが、本人にその気は無いので、世間が騒ぐのは勇治が善悪の区別がハッキリして居る戦に対して容赦なく関わってしまう時だけである。



 織田家が身内に成ると決まった今、この戦争で和紗に撫子式の海軍艦隊を送るという破格の待遇を取って見せた。



 これは何れは織田家がアマテラス地方の盟主的な存在に成り得ると見て居るからに他ならないのと、和紗が勇治と婚約したいと言ってきて居るので、親族として受け入れる意味も込められて居ると言えた待遇だった。



 伊達・毛利・上杉の三家は、実質的に桐谷勇治の直属の臣下王と言える者達だが、アマテラス神皇国の纏め役を織田家に任せた方が良いと勇治とキリヤ公国連合国中央政府は見て居た。



 織田家がアマテラス地方の経済と国防を担う事で、この地方の安定化に繋がるからである。



「ななななななっ、何ですってっ!!噂のナデシコの巨大戦艦が織田家に五隻も送られたですってっ!?」



「それはっ!本当に不味いっ!只でさえナデシコ自治統合海軍・第一戦隊司令官にして、キリヤ公国連合国軍の総司令官でもある山本五十鈴提督が率いるキリヤ公国連合国の主力艦隊、ナデシコ艦隊の第一艦隊が派遣されて来るのだっ!!」



「その旗艦の戦艦撫子だけでも相手にならんと言うに、五隻もの撫子級巨大戦艦が織田家の手に入ったと言うのならば、あの織田の虚け覇王は、絶対にこれ見よがしに、全艦隊を投入して来るに違いないっ!!」と島津・弘美はその概要を聞き、それらが敵対する事に対して、更に畏怖を覚えた。



「そうなったら本当に手が付けられないわっ!!ナデシコ・ビクトリナ・新トウキョウは、キリヤ公国の主力軍。」



「キリヤ公国本国軍が来なくても、十分に私達を叩き潰す事が出来るのよ。」



「ああ、一体、何で如何して、こんな事に・・・・・・・・」と頭を更に抱えてしまう島津・久実。



 続々と名前が上げらて行くキリヤ公国連合国と織田家の名将達の名簿を聞かされ続ける島津家の姉妹の二人は、顔付きが真っ青に染まり上げ、早急に手を打たないと、島津家の本領である薩摩国と大隅国へと攻め入られると、大慌てで、対策を練って行くのであった。





 島津・久実が一体どうして・・・・・と嘆いてしまった事に成って居るのは、別の要因が在った。



 島津家の暗躍により、龍造寺家が傾き、龍造寺・信美・信隆が生死を彷徨った挙句に偶然にも勇治と和紗に出会い、助力を請う事で歴史の歯車の風向きが変わってしまった。



 キリヤ公国連合国と関わり方一つで、関わった者達のパワーバランスが激変する。



 勇治とキリヤ公国連合国は、この世界、いや、全ての平行世界に取って異質な存在に成りつつある在るのかも知れないと言えた。



 さて、勇治とキリヤ公国連合国の加盟諸国が、アマテラス九州地方に全勢力の軍勢を投入すると決めた背景には、訳があった。



それは・・・・・・・・・・・・・・・・



 アマテラス列島南西部に広がる島諸島で構成される尚王家一族が治めて居る小国、竜珠王国りゅうきゅうおうこく。



 その竜珠王国からキリヤ公国連合国・ナデシコ地方自治州区・州都・横須賀市に商船に偽装した帆船に乗ってやって来た外交官の使者が訪れた。



 だが、肝心の勇治を始めとする者達は、新トウキョウ地方自治州区編入問題とシャッコロ族の反乱の制圧作戦の為に、キリヤ公国本土を留守にしていた。





 其処で仕方なく、竜珠王国の外交官であるジュリ・ネイウォンと言う女性主席外交官は、ボーウィング社製型と同系機体の旅客機で、新トウキョウ地方自治州区へとやって来た。





 その見姿は、お前たちのして居る事は、全てお見通しだあああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!と言いそうなトリック推理ドラマに登場する女優さんに良く似ている人物だったりする。



 その装束姿は、煌びやか大華天帝国・クーロン式の衣装、詰まりは中華風の宮廷衣装とも言うべき赤と金と青を併せた衣装を身に纏って、堂々とした立ち振る舞いで勇治達の前に現れて居た。



 勇治はトウキョウ都・青坂迎賓館内にて、キリヤ公国連合国の首脳元首達が居並ぶ中で、竜珠王国の外交官であるジュリ・ネイウォンと面会する。



「勇治陛下、並びに加盟国諸侯王の皆様、お初にお目にかかります。わたくしは・・・・・・・・・・・・・」



「挨拶は良いです。何でも、僕と我が国に火急の要件が在ると聞いて居ます。」



 勇治も何となく察しが付いて居るが、まだ楓達、忍び衆達の報告が来て居ない。



 だが、ジュリがこの時期にキリヤ公国連合国の元にやって来ると成ると、その事に対する答えは、勇治にも分かる様な気がしていた。



「はっ!!ではそのお言葉に甘えて、失礼を致しまする。これを・・・・・・・・・・・・」 



「これが我が国王陛下からの密書に御座います。」とジュリは、勇治に書状を手渡す。



「・・・・・・はぁ~やっぱりですか?」と密書を開き、その内容を読んだ勇治は、予想通りと言ってしまう。



「・・・・・・流石は聡明な少年王と言われて居られる勇治陛下。お察しの通りで御座います。」



「要するに、僕と我が国に、貴国を助けて欲しいと言うんですね。」



「はっ!!願わくば我が国も、キリヤ公国連合国の加盟国の末席にお加え下さりまするば、幸いと存じ奉りまする。」



「結局は・・・・ゲルニアン帝国、ヒットラン皇帝に行き着く訳か・・・・・・・・・・・」



「楓達の報告を聞く前に、今回の一件の全貌が分かって来た。」



「勇治、あの髭オヤジの奴めが、この俺と手切れとなり、更にはシャッコロ族の反乱すら制圧と成った今、アマテラス地方に介入するには、島津家と竜珠王国の二つを自らの自勢力圏に置きたいのは、分からんでもない話だっ!!」



「和紗姉え、これでキリヤ公国連合国は全勢力圏軍を動かす大義名分を得ちゃったなぁ・・・・・・」と呆れ顔の勇治。



「良いではないかっ!!お陰で躊躇と手加減をせずに堂々と九州地方へと介入が出来る。」



「まぁね。ヒットラン皇帝とは、何かとちょっかいを掛けて来るから、正直言って鬱陶しいんだけどね。」



「さて、キリヤ公国連合国の公王、及び宗主国王として、本国政府首脳と加盟国元首に命じます。」



「全勢力軍で、ゲルニアン帝国をアマテラス列島から叩き出せっ!!」





「「「「「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉーーーーーっ!!」」」」」」」」」」



 この時、勇治は鬱陶しく、しつこいヒットラン皇帝に対して怒り心頭だったと言う。



 画してキリヤ公国連合国軍は、一切の手加減無しでのアマテラス九州地方へと出兵が決められたのであった。

マギアンティア世界統一暦・1555年・11月3日・午後14時06分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ユーラシアン大陸 ゲルニアン帝国・帝都ベルリナ・ベルリナ帝城宮殿・皇帝執務室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 ゲルニアン帝国・帝都ベルリナ・ベルリナ帝城宮殿では、何時もの如くヒットラン・アドルフラー皇帝とロンデル・エルバン大元帥の二人が、益々勢力圏の拡大と国力の肥大化が進むキリヤ公国連合国。

  

 その対キリヤ公国連合国への対策に追われて居た。



 勇治がガリアナ王国のジンバル・ユリテリア・ガリアナ国王の命を救い、その国王の娘であるセレジアにひとめぼれされ、婚約者と成った。   



 その結果、セレジアとの婚約するに当たって庶民であった勇治の身分を格上げするべく、誰からも文句を言われない身分。



 ガリアナ王国から分離独立した国家の公爵王位に付いた王様に成り、勇治はキリヤ公国を建国をした。



 更にキリヤ公国には受難が続く事と成った。



 それは異世界から神災害で次元転移してしまった地方地域であるナデシコ地方自治州区を準独立自治国権限を持たせた形で、キリヤ公国へと合併編入する事で、キリヤ公国は、キリヤ公国連合国へと国名を連合体制国家を敷いた国として勢力を拡大させた。



 これによりゲルニアン帝国は、転移災害が原因では在るが、一部の国土をキリヤ公国とナデシコ地方自治州区とが、自領を浸食した事に難癖を付ける事で、ユーラシアン大陸南部統一戦争を仕掛ける。



 だが、このゲルニアン帝国の陰謀戦争を勇治は、ゴットタブレットの力とナデシコ地方自治州区の力を用いたお陰で、ゲルニアン帝国を退けさせる事に成功する。



 この公帝戦争に措いて、キリヤ公国連合国とその同盟諸国らは、北へと領土広げる事になる。





 更にはゲルニアン帝国から小さな国土を守り切る為に、メイルシュルフラッド公国の女公王であるリィーゼ・メイルシュルフラッドは、キリヤ公国連合国へと飛躍した彼の国から支援を得る為に、勇治と婚約してキリヤ公国連合国への連合加盟を表明する。







 それに続いて更にキリヤ公国連合国へと加盟を表明する者達が現れる。



 それはアマテラス神皇国内から分離独立をする決断をした伊達家の奥州独立自治王国。



 若き伊達家の当主である伊達・藤枝・政実は、14歳で当主と成ると、米沢と近隣地域だった領地は一気に陸前国・岩代国・磐城国へと広がり、南奥州を平定を果たした事で、3カ国半を治める大大名へと一代で国土を一気に成長させる。



 キリヤ公国海軍艦隊が仙台湾へと現れ、彼の国の目的や要望の要請を聞かされると、協力する所かキリヤ公国に自ら進んで取り入る事を決めた。



 そして、キリヤ公国の連合傘下へと入り、伊達領国の全てを独立自治国として認めさせ、保護下へと入り、何所の国からもチョッカイが出せないようにする狡猾さを見せ付けた。



  後に政実が勇治への公式な臣従を表明をする為に、キリヤ公国連合国の首都たる公王都キリヤ市へと上洛する日、最上義光が起こした奥州動乱戦争が勃発すると、これらを鎮めると決意した政実。



 そんな彼女事を応援する伝える為に、勇治は奥州王号を送る事を伝える。



 政実は奥州王の地位を勇治から授けられ、連合加盟する際に登録した国名たる仙台陸前独立自治藩王国から奥州独立自治王国と国名を改名し、侯爵王家扱いでは在るが、盟主である勇治に準ずる地位をと定められた地位を賜られる名誉を得た。



 時を同じくして、毛利家もキリヤ公国連合国との小さな諍いを起こした結果、その無礼を詫びる意味も在ってか、毛利基就は長女の毛利・輝実・隆宗へと譲り、キリヤ公国連合国へと加盟。



 毛利独立自治安芸藩王国を建国をしてアマテラス神皇国内から分離独立をしてしまう。



 続いてアマテラスの各所から、キリヤ公国連合国が仕官公募と移民公募政策により、移民と仕官者達が殺到。



 キリヤ公国連合国の労働力と兵力の確保の為にアマテラス列島で溢れている難民や無職の武士達にキリヤ公国連合国で働かないかと呼び掛けると相当な数の応募者が集まる事と成った。



 今現在でも移民希望者が多く、今は本土より殆んど無人であるキリヤ列島の開拓民へと入る者達が多い。



 その中にはアマテラスの猛将・知将・某将・賢将と言った物たちも集まり、その中でも上杉家の軍神と謳われて居る姫武将、上杉・剣信・輝清とベテラン側近者たちも在った。



 これが原因で、上杉家は先代当主であった上杉・剣信の後を追う形で、新当主であり、上杉・剣信の甥御である上杉影勝は、勇治に臣従を誓いつつ、上杉独立自治北陸藩王国を建国して、アマテラス神皇国内から分離独立をする事に成る。



 

 これらの勢力の加盟により、キリヤ公国連合国は、より一層の勢力圏の拡大に繋がっ居り、ゲルニアン帝国との大戦争である公帝戦争に勝利にも繋がった。





 また、移民者達の中には、唐太島国・万年島列島地方国・北海島国の3州の島々から外の世界を嫌って居たり、戒律的な慣習から毛嫌いをしていたアイヌル民族達の中にも、渡海する者達も現われて居る。



 その姿は勇治の故郷である地球世界のアメリカ合衆国に近い姿をして居ると言えた。



その後もキリヤ公国連合国は拡大を続ける。



 お次はビクトリナ独立自治共和国の転移災害によって引き起こされたビクトリナ南洋大戦。



 これにより第一列強国のゲルニアン帝国。第二列強国のマギウス・ギアース王国。第四列強国のドラリュウス帝国から成る3大列強国との一大戦争へと発展してしまう。



 これ等を撃退した事で、キリヤ公国連合国は世界から新たな列強国として見られる様に成って行く事に成る。



 その事を忌々しく思って居るのは、キリヤ公国連合国を列強国へと押し上げる切っ掛けを作ってしまった張本人であるゲルニアン帝国のヒットラン・アドルフラー皇帝とロンデル・エルバン大元帥の二人。



この二人がある報告を聞いて大慌てと成って居た。



「何じゃとっ!!キリヤの小僧がシャッコロ族の反乱鎮圧をしたのに続いて、島津家の征伐を決めたじゃと!?」



「はっ!!如何やらその様な発表が、新たにキリヤ公国連合国へと編入された新トウキョウ地方自治州区と言う地にて、世界中に向けて大々的に発表したらしいのです。」



「それで・・・・・・・その派遣軍は、どれくらいの規模に成るのだ?」



「漏れ聞こえる話を分析しましたが、恐らくは・・・・・総兵力50万人程度かと・・・・・・・・・・」



「50万人、帝公戦争の(ゲルニアン帝国側の公帝戦争の呼び方で、源平合戦の様な名前の付け方)時と同等の規模か・・・・・・・・・・・」



「あの狭きアマテラス列島・九州地方の島に、それだけの規模の兵力が集中する成ると、島津の小娘共は詰んだのも当然であろうな。」



「我が帝国の1方面軍程度の派兵規模に御座りますれば、それらの軍勢に島津家が制圧されば、これ以上のアマテラス列島地方への介入は不可能に成ってしまいました。」



「ちっ!島津やアイヌル民族解放血盟団に対して、ちと肩入れが過ぎたか・・・・・・・・・」



「今後は第三文明圏への交易航路は、我が国の西回りに行い、第五文明圏への交易航路と併用しての代用航路貿易をして行くしか在りませぬ。」



「東へは第二文明圏の列強国であるマギウス・ギアース王国の連絡船を中心とした自由商業交易に任せるしか、手は無くなりました。」



 自由商業交易とは、敵対国に制海権を奪われた場合の非常手段で、敵対国と接して居る海の港を寂れさせない為の苦肉の策である。



 少なくとも商人に対して、敵対国との貿易を禁止にするより、貿易を奨励して、次の戦いで制海権を取り戻すと決意を新たに・・・・と言うか放置するしか無いと諦めた放任政策である。



 特に戦って勝てない相手の場合のみに適用される事の多い手立てなので、この世界の国々に取っては、形振り構わずの場合の時のみに制度が施行されて居る。



 ハッキリと言えば、国家が自国の商人達に対して、敵対国の制海権での貿易に関して、国家はワザと法の抜け穴を作って、見て見ぬふりをしての貿易を奨励して居る事に成る。



「ぐっ、我が帝国にもキリヤ公国連合国の様な力が在れば・・・・・・・・・・・・・・」



 ヒットラン・アドルフラー皇帝とロンデル・エルバン大元帥の二人は、歯がゆい思いで、ユーラシアン大陸の東側に在る大海、ローレライ大海洋の制海権を奪った キリヤ公国連合国が、我が物顔で次から次へと版図を拡大させて行く事を黙って見て居るしか無かった。



 しかしながら、これは彼らのしでかしてしまった事が原因の自業自得なのだが、それでもキリヤ公国連合国を怨まずには居られないが、反対に勇治とキリヤ公国連合国は、勝手に版図が広がるだけであるので、怨まれるのは迷惑なことこの上ないのであった。



 だが、そんな彼らに間も無く、思わぬ拾い物をする事に成る。

  

 マギアンティア世界統一暦・1555年・11月7日・午後13時06分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・第三連合地方・キリヤ公国連合国加盟国家・毛利独立自治安芸藩王国・九州島地方・北九州地方・筑前国州・小倉市・小倉城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 島津家への去就を明らかにしろとの最終通告を宣言してから5日後。



 新生織田家として出発した、アマテラス織田自治神皇国とキリヤ公国連合国との連合を組んだ形での九州地方への九州統一平定征伐連合国軍。



 そのアマテラス九州平定征伐連合国軍の先鋒軍たる第一連合国軍司令官に任じられた羽柴・陽菜・秀良は、先鋒軍として小倉城へと到着して居た。



 また、博多港へは羽柴軍の別働隊が機内より進発した安宅船艦隊により到着して、続々と上陸を果たして居た。



 此方は羽柴・陽菜の子飼い軍が中心軍勢で、小倉城へのルートは、下関から新たに橋を架けて渡る事に成った



 毛利領の港が使える様に成った事は、アマテラス織田自治神皇国軍に取っては、本州島経由での補給路の確保に成功した事で、より一層的に戦がし易く成った事を意味して居た。



 そして・・・・・・・今回は勇治のゴットタブレットで、下関市と小倉市との間を繋ぐ天照関門海峡大橋こと、天門大橋と略された巨大な鉄筋制の吊り橋が架けられる事と成った。



 その橋を第一連合国軍司令官に任じられた羽柴・陽菜・秀良を先頭にして、連合国軍勢は、続々と橋を渡って行く姿が見受けられて居た。



此処で登場する羽柴・陽菜・秀良付いて改めて説明して置く。



猿の様にキャッキャ、キャッキャ飛び回るが如く騒がしい性格で、背格好が小柄で可愛らしい容姿をして居る羽柴・陽菜・秀良は、元は尾張国州の農村である中村の生まれで、木下・陽菜と言う農民の家の長女。



 実家には、母と7人くらいの兄妹達が居る家族の多い貧困層生まれの女の子だった。



 ある日、美濃国との戦に足軽兵として消臭され参加した父である弥右衛門が、敵から受けた手傷が元で、破傷風に掛かって病死。



 一家の大黒柱を失った木下家は、只でさえ貧乏農家であるのに、収入源の柱が無く成った事でド貧乏の底へと転落。



 そん中で、母親である仲を狙って居た中村の村長の次男坊である竹太と言う男は、戦で留守の木下家へと強引に入る込み、仲と寝屋を強引に強要させて居た。



 弥右衛門が亡くなると、今度は再婚相手だと言って、家に居座る様に成る。



 そんな生活に嫌気がさして居た陽菜だったが、ある時義父である竹太から、デカい娘は小利口過ぎて邪魔だと、近くのブッタ教寺院に小僧として追い出されてしまう。



 頭に来た陽菜は、中村寺院を飛び出し、義父である竹太をボコボコに殴り捲ってから、村を飛び出す。



 其処から当てもない旅へと出たが、日雇いの仕事をしながら東へ東へと流れて、遠江国の国衆で在り今川家臣でもある松下・佳代・之綱に、物乞いをしていた所を拾われる。



 半年間の間に武芸・学問・兵法・経済等の学問を教え、大変に可愛がられたが、献身的に働いてる事が、古くから仕える家臣達に農民の癖にと酷く馬鹿にされて居た。



 これ以上は迷惑を掛けられないと悟った陽菜は、ある日の深夜に黙って松下屋敷を去ろうとした所を呼び止められ、餞別だと言って金子・小刀・槍・鎧と鎧櫃等の姫武士道具一式を受け取って、お礼を一言を言うと、その場を立ち去る。



 そして、数年ぶり尾張国へと帰ると、松下・佳代から貰った金子を元手に、尾張国各所から搔き集めたりした産物を扱った行商を開業する。



 その時に従業員として雇った幼馴染みの蜂須賀・頃代・正勝と前野・恵那・長康共に清州市へと出稼ぎに出るが、其処で若き日の織田・和紗・信長と出会い、その出で立ちにただならぬ気配を感じて家来に成って一旗を揚げたいと決意する。



 その後陽菜は足軽身分で、和紗の付き人として、草履取り仕事からスタートし、清州城の修繕をたった二週間で仕上げたり、岡ヶ狭間の戦いで今川義本の動きを探ったり、墨俣城を一夜で作り上げ、美濃で有名な軍師を調略して見せた。



 また、越前金ヶ崎の戦いでは、朝倉軍と浅井軍の連合から味方を守るべく殿を引き受けたり、反旗を翻した元同盟国である浅井家の居城である小谷城攻略の総大将を務めたりと目覚ましい活躍を見せた。



 農民だったにも関わらず数々の活躍を見せたりして居た彼女は、何時しかアマテラス地方でも一躍有名な最底辺から出世を成し遂げた武将の一人と成って居た。 



 現在は北近江5万石と播磨国州50万石と摂津国州20万石あわせた75万を有して居る。



 家臣団には故郷の幼馴染みや親戚、身分の低い者や浪人者等が多く採用され、異色の家臣団と成って居る。



 後に豊臣独立自治大公国を勇治の持ってる直轄領地を分け与えられ、大公豊臣・陽菜・秀良と呼ばれ人物と成るのだが、それはチョッと先のお話。





 さて、少々逸れた話を元に戻そう。



 派遣されたアマテラス九州平定征伐連合国軍は、毛利安芸藩王独立自治国領・北九州地方・筑前国州・小倉市・小倉城を前線基地とし、博多市と博多港を海上補給路の要所地として居た。



「予定していた時期よりも、思ったよりも早く九州平定の戦が始められるとは、思わぬ誤算でしたね、陽菜殿。」



「全くだよね。島津の先走ったやり口が我が織田家、そして勇治陛下とキリヤ公国連合国の介入を早める事に成るとは、流石の島津四姉妹達も先が読めて居なかったと言う事なのが彼女達に取っては、思わぬ誤算なんだろうね。」



 羽柴家の軍師にして、播磨国州の秀才と謳われし黒田・雫・隆孝は、小倉城に到着すると、雑談交じりに先々戦略を練り始めた。



 黒頭巾を被った小柄なおかっぱ頭の風貌で、機内地方の平定戦での戦いに措いて、彼女は荒木城の城主である荒木村重へと降伏の使者へと赴く事が在った。



 その時に村重の罠に掛かり、彼の手によって1年間の投獄生活を強要されて居た事も在るせいか、少々右足を悪くしてしまって居る。



 羽柴軍の2枚参謀看板の一人で、美濃国州の天才と謳われし竹中・半那・治重と共に、雫半軍師しずはんぐんしと略され並び呼ばれる名参謀としてアマテラス神皇国内では知られて居た。



 この二人が居れば、アマテラス神皇国の天下が取れると言われて居るが、党の本人達は、その気は無いらしい。



 竹中が軍略・謀略に長け、黒田が戦略・戦術に長けて居る為か、この二人が立てる策略は、実に見事な手並みにて相手を翻弄し、簡単に決着が着くとされて居る。



「敵は掻き集めた将兵が30万人強と言った所。」



「対する我らはキリヤ公国連合国の軍勢を併せて、50万人を号する大軍勢。」



「やり方さえ間違わなければ、これほどの楽な戦は無いですね。」



「申し上げますっ!!」と伝令官が入って来た。



「如何したの?」と陽菜が驚いた表情で聞く。



「只今入りました情報に由りますると、島津家4女・島津・家久が、大友・奏麟様の本拠地である大分城を包囲した模様っ!!」



「報告ーーっ!!」と再び、新たな伝令官が、次なる報告を伝える為にやって来た。



「申し上げますっ!!先程立花家から参りました伝令官に由りますれば、大友家の高橋・運紹様が守りし岩屋城。」



「立花・道雪様が守りし宝満城を島津家の次女、島津・義広の軍勢が取り囲みましたっ!!」 



「なお、立花山城の城主である立花・宗茂様から、窮地に陥った姉達を救う為にも、一刻も早い援軍を求めて来て居られまする。」



「ほう・・・・・・島津4姉妹は、講和でも休戦でも無く。」



「有利な情勢を得るべく、抗う為に先手を取って戦を仕掛ける事を決断しましたか?」



「大方、島津家の者達の目論見は、抗えるだけ抗い。戦後講和交渉で出来るだけ優位に立ちたい腹積もりなのでしょうが・・・・・・・・・・・・」



「雫っ!!」



「分かって居りますとも、アマテラス九州平定征伐連合国軍・先鋒軍司令官付参謀総長として命じます。」



「直ちに第三連合国軍の吉川・春美・隆春殿、第十連合国軍の上杉・剣信・輝清殿と前田・慶南・益利殿。」



「第六連合国軍の佐竹・秋江・重義と上杉軍の直江・愛華・兼継殿及び大国・七恵・実頼殿と下野国州軍。」



「第五連合国軍に徳川・千代・家康殿の旗下である本多・八重・忠勝殿らの軍勢を合わせた5万人を立花山城を方面隊として編成派遣し、島津・義広軍勢を立花家の領地から叩き出しなさいっ!!!」



「ははっ!!」と言って命令を受けた伝令官は、直ぐに立花家への救援部隊と決まった軍勢の下へ命令を伝える為に、通信室へと向かう。



 立花家への救援派遣軍の武将達は、何れもアマテラス地方内でも指折りの武辺者として、知られて居る猛将揃いの強者達で編成されて居た。



 勇将にして猛将の鬼島津の異名持った島津家の武勇名が高き次女としても知られた島津・弘美でも、苦戦どころか尻尾巻いて逃げるしか無いかも知れない。

 

「ねぇねぇ雫、今の編成って・・・・・・・」



「少々、大人げないやり口である事は、重々承知して居ります。」



「ですが陽菜殿、相手は鬼島津の異名を持って知られる島津・義広。」



「例えそれが子猫だったとしても、全力で狩らねば、此方も要らぬ被害を被ります。」



「此方もアマテラスの猛将達をかの鬼島津へとぶつける事で、義広本人を押さえ付けつつ、その旗下の軍勢の戦意を削ぐ意味も在りますので、これくらいが丁度良いかと。」



「まぁ、良いんだけどね。所で大友様の所へは、誰が向かったの?」



「それに付いては既に手を打って在ります。」



「どんな手?」



「それは大分城にての戦が、始まってからのお楽しみです。」とニヤリと笑う雫であった。



 ギリギリまで手の内を明かさない。



 それは軍師道を極めし者に相応しい姿と言えた。



 マギアンティア世界統一暦・1555年・11月8日・午後10時36分頃マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・第三連合地方・キリヤ公国連合国加盟国家・アマテラス織田自治神皇国・大友家領・北九州地方・豊後国州・大分城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 さてさて、策士、策に溺れる島津家4姉妹によるアマテラス九州地方制覇の野望は、織田家とキリヤ公国連合国の介入により風前の灯火。



 窮地へと追い詰められた島津家4姉妹は、限られた戦力と無い知恵を振り絞って、敵の援軍が到着する前に、敵側の要所、要所を攻め取ると言う大胆不敵な攻勢に打って出てたのであった。



 溺れる者は藁をも掴むと言った感じに、少しでも優位な戦況と膠着状態を作り上げる形で、大国との間に停戦協定へと持ち込み、戦後交渉で有利な内容の講和を捥ぎ取ろうと、力で抗う事を決断する。



 島津軍は、九州地方豊後国方面に措いて、北九州地方東部方面侵攻部隊を率いて居た島津・衣恵与・家久は7万5千人程度の軍勢で、大分城と大分市に攻め入る。





 この戦いが始まる切っ掛けと成った戦いが在った。



 それは九州統一の前哨戦として島津軍と戦った肥後国の人吉城の相良・晴陽・義陽と日向国の伊東義祐を討ち破り、島津軍は勢いに乗って破竹の勢いで北侵を続けて居る。



 だがしかし、キリヤ公国連合国と織田家の早期参戦が決まり、その軍勢の電光石火の攻めと駆け引きで戦局逆転が決定的と成る。



 九州地方の戦いの潮目が変わり、自国に優位と見た大友家。



 其処でキリヤ公国連合国軍の援軍が来る前に、島津軍に一撃を加え様とした大友・須江・奏麟と大友軍は、大分市の東南に在る戸次川にて激突するも、島津・衣恵与の露骨な策略と武勇に翻弄されて撤退。



 本拠地である大分城へと出戻って来て居た。



「ぐっ、勝ち戦と見て勇み足であった事が悔やまれる。」



「我が方の援軍が到着するまで、この大分城で絶対に待つ様にとお伝えした筈です。」



「申し訳なかった竹中殿。」



 なんとっ!!この大分城には、既に美濃国州の天才と謳われし竹中・半那・治重が入って居たらしい。





 しかし、如何やって?と言うと、キリヤ公国連合国のヘリコプター部隊で3000人の部隊と供に、本隊に先んじて大分城へと乗り込んで居たのであった。



 新トウキョウ地方自治州区国防自衛軍・ビクトリナ共和独立自治国統合軍・キリヤ公国軍の三つからヘリコプター大隊が編成され、大友・須江が出払って居る最中に必要な物質を届けさせて居た。



 竹中・半那の旗下には、ナデシコ自治統合陸軍・新トウキョウ地方自治州区国防自衛陸軍・ビクトリナ共和独立自治国統合陸軍・キリヤ公国陸軍から成る先遣籠城軍が到着していた。



「まぁ、一先ずその一件に付いては戦後に、キリヤ公国連合国としての軍律違反としての色々な面で、処分の対象としますが、今は目の前に居座る敵軍を如何にかする事が先決です。」



 島津・衣恵与軍は、大分市を取り囲みつつ、じわりじわりと大分城を攻め立てて居る。



「幸いな事に敵である島津・衣恵与軍は、大友殿を打ち破って軍勢が逃散し、その数が減って居ると思い込んで居る筈でしょう。」



「それならば勿怪の幸い。この私が島津軍が最も得意な戦法である釣り野伏の計で、見事に粉砕してみせようではありませんかっ!!」



 白頭巾を被った小柄なショートロングヘアーの風貌をして居る女の子が、大友家当主とその家臣達前にして、采配を振るった小芝居をしつつ、敵の最も得意とする戦術で追い払うと言うのである。



 これには大友家の家臣達も口々に、流石はあの天才軍師竹中・半那たど、褒め称えて居たのであった。

 



 一方の城下町の島津・衣恵与は、島津家内の将兵に最も人気を誇って居り、みんなの妹とも言われて居る四女で、元気っ子タイプの女の子である。



 そんな彼女は武勇と統率力に長けた能力を有して居るが、島津家内では訳ありの親族として知られて居た。



 実は彼女だけが側室の子で、家内では昔から特別扱いをされて居た為に、疎外感を感じて過ごしてたが、その姉妹仲はとても良い。



 ツインテールの髪型とツルペタで小柄な体型が、一部の人達には大人気らしい。



 身内での通称は、衣恵ちゃん又は衣恵と呼ばれて居た。



 その衣恵与は、桃色を基調とした鎧武者姿で、多数の抱き杏葉の紋所の旗が、はためく大分城を睨んで居た。



「そろそろ頃合いだねっ!!」



「先の私達との戦いで負けて、三日も籠城して居る大友・奏麟達は疲労困憊の筈。今なら簡単に城を攻め落とせるっ!!」



「みんなーーーっ!!今から大分城に総攻撃だよおおおおぉぉぉぉーーーっ!!」



「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」



 島津・衣恵与軍は、頃合いを見計らって大分城へと総攻撃を仕掛けた。



 衣恵与の旗下の軍勢達は、各々が受け持つ筈の攻め入る各所の城門へと殺到する。



 所が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「今だっ!!全連合国軍部隊っ!!一斉射撃を開始せよっ!!」



 竹中・半那の号令で、大友軍の火縄銃部隊とキリヤ公国連合国と織田軍の小銃歩兵隊による一斉射撃が開始される。



 一斉に城壁の鉄砲狭間から銃筒が、ぬうっと顔を露わにすると、敵将兵に向けて容赦の無い銃砲火を浴びせて行く。

 





 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!





「ええええぇぇぇぇーっ!!何でっ何でっ!!何でなのよっ!!」



「大友の奴らは、何で今頃に成って敵が待ち伏せなのっ!?」と突然の伏兵の登場にビックリする衣恵与。



「家久さまっ!!天守閣をっ!!」



「何っ?」



  島津・衣恵与は護衛の足軽が指さす方向へと目をやる。



 その天守閣には、足軽兵の手によって大友家の御旗とは別の旗が掲げられて居た。

 

「赤に丸の白地に鎌と鉄鎚と鳩と桐の花って・・・・・・・・・」



「キリヤ公国連合国の本国、キリヤ公国旗じゃないっ!!もう此処に来ていたのっ!!」



「うわわわわわっ!!これじゃ勝ってこ無いわよっ!!」



「家久さま、もしや大友軍は、我らを釣り上げる為に、わざと戸次川で負けたのでは・・・・・・・・・・」と重臣の一人が言うが、これは深読みし過ぎた勘違いであった。



「誰よ誰よっ!!こんな嫌らしい手口を使うのは、これじゃ利姉ぇと良い勝負だよっ!!」



 一つ上の姉と同じくらいに手口の嫌らしさに、舌を巻く衣恵与。



 其処へと更なる軍勢で追い打ち掛ける竹中・半那。



「今だよっ!!みんなっ!!それえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーっ!!」



 其処に攻め込んで来たのは、第九連合国軍たる伊達軍を率いる伊達・成美・実重が、突如として大分市の東側の林から指揮下の軍勢と共に現れて島津軍へと駆け迫る。



「竹に伊達雀の紋所?!伊達の紋所の旗印でもある奥州独立自治王国旗っ?!家久さまっ!!伊達軍ですっ!!伊達軍が現れましたっ!!」



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



「今度は何処?」



「西にはキリヤ公国旗です。八咫烏と洲浜の紋所。少年王の直臣軍の将である雑賀孫一と小田・冶氏から成る連合軍ですっ!!」



 キリヤ公国陸軍に所属する雑賀孫一と小田・冶氏の二人は、銃歩兵大隊と96式装輪装甲車及び16式機動戦闘車と共に居並び、機関銃と小銃を撃ち掛け来ていた。



「更に敵勢に増援っ!!指揮官旗印と思われる旗指物には・・・・・南部・最上・安東の物と思われ、国軍旗には・・・・・・・竹に雀の紋所の旗印っ!奥州独立自治王国旗ですっ!!」



「追加で現れたのは、南部直信・最上義康・安東季愛等から成る奥州独立自治王国軍ですっ!!」



「これ等は伊達軍の本隊と見られまするっ!!」



 南部・最上・安東らの指揮官旗印を靡かせた奥州独立自治王国軍は、北部・愛・親信・戸沢安盛・小野寺道義・六郷乗政・寒河江基隆・仁賀保氏・矢島氏・本堂氏等と言った各地方を治めている者らを指揮官とした、各州国軍も参戦して、西回りに軍を展開して迫って来て居た。



「更に増援っ!!フェリス侯爵独立自治領国軍とメイルシュルフラッド独立自治公国軍から成る騎兵軍が現れましたっ!!両軍併せて五千の軍勢ですっ!!」



「現れた総軍勢は、凡そ5万人と見られまするっ!!」



「更に海から巨大戦艦隊が出現っ!!織田木瓜の旗を掲げて居り、噂に聞くキリヤ公国連合国から織田へと譲渡された巨大戦艦だとの思われますっ!!」



「くううっっ!!こうなったら仕方がないっ!!此処はとっと逃げるよっ!!」



「ははっ!!撤退ーーーーっ!!撤退ーーーーっ!!」



「退けっ!!退けえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」



 島津・衣恵与とその旗下の島津軍の北九州地方東部方面侵攻部隊たる7万人は、撤兵を即断する。





「逃がすなっ!!」



「徹底的に叩けっ!!」



 ライチェル・フェリスが率いるフェリス侯爵独立自治領国軍とアルペジオ・ハインラインが率いるメイルシュルフラッド独立自治公国軍の連合騎兵軍は、西洋甲冑式騎兵軍を用いて、島津軍を容赦無い追撃を仕掛けた。



 大分城での戦いに措ける島津軍は、この様な形で、軍勢が瓦解をしてしまったのである。





「島津の小娘めは退いたか?」



「はっ!!」と九鬼隆嘉が側で島津・衣恵与とその旗下の島津軍の7万人が逃げて行く姿を和紗と共に双眼鏡を使って見て居た。



「我が艦隊も追撃を致しますか?」



「いや、これで島津姉妹は、もうお仕舞いなんて冗談が言えるが、殺すまでも無い。」



「奴らは、これで力の差を思い知っただろうよ。」



「この戦艦安土を使うのは、奴らめの本拠地たる薩摩国と鹿児嶋よ。」



「これより大分港へと入港する。キリヤ公国連合国軍の第二陣の上陸を急げっ!!」



「ははっ!!」



 アマテラス織田自治神皇国海軍とキリヤ公国連合国軍の東方海軍艦隊は、大分港へと入港する。



 その北側の陸路からは、増援の連合国軍が小倉城と豊前国州の港町経由で、続々と現れやって来て居たのだった。



マギアンティア世界統一暦・1555年・11月3日・時刻複数未明・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・第三連合地方・キリヤ公国連合国加盟国・アマテラス織田自治神皇国・大友家領・九州島地方・北九州地方・肥前国・筑前国州周辺地域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 キリヤ公国連合国を中心としたアマテラス地方・九州地方平定戦の4日前・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 島津家による九州平定の野望、相手が織田家だけならばと・・・・・勢力圏の拡大、更には竜珠王国のショウ・レイ国王の皇太子であるユン・レイを意のままに操り、その挙句の果てに島津・久実・義久は、自ら皇太子の子を孕み、彼の王国を乗っ取ろうと画策して居た。



 その島津家の野望の始まりは、相良家・伊東家等諸大名王家と国衆達が支配する肥後国・日向国を落とした勢いは止まらなかった。



 島津家に抗う為に、大友家へと逃げ延びた者達は、大友軍と共に日向国の北端にある務志賀むしか地方内を流れる耳川にて激突するが、島津4姉妹の猛攻には耐え切れずに敗戦してまう。



 

 その次に狙ったのが、何所の勢力圏にも属して居ない中立勢力である龍造寺家領へと侵攻する事を計画。



 龍造寺家のやり口が気に入らないと考えて居るの噂の在った島原城の有馬家を調略し、味方に付ける事で、大友家領を通過せずに軍勢を島伝いに進めると言う大胆不敵な作戦計画を実行させた。



 その結果は、龍造寺・信美・信隆は行方不明になり、龍造寺家領の七割が島津家の手に落ちてしまう。





 しかしながら、龍造寺家の家臣達と与力国衆達も黙っては居なかった。 



 龍造寺家の宰相軍師である鍋島・尚美・茂直は、姉同然の従姉妹が行方不明と成っても、彼女は大勢の龍造寺家家臣団と国衆である地頭当主達を目の前に演説をする。



「龍造寺家の魂の火は消えて居ない。」



「皆の者っ!!我が姉従姉妹あねいとこ、龍造寺・信美・信隆は先祖代々の領国を守る為、家臣と与力国人衆達、そして、領民達の為に奮戦し、行方不明と成ってしまった。」



「これは絶望なのか?いや違うっ!!」



「これは始まりだっ!!卑怯にも島津家の者達は、島津家に対して、何の落ち度もない龍造寺家の領土へと押し入り、その土地を簒奪したっ!!」



「これは許される事では無いっ!!」



「この非道なる行いに対し、彼のアマテラスの覇王と謳われる織田・信長公は怒り心頭に声荒げて、島津討伐の決定したっ!!」



「更にはキリヤ公国連合国の公王で在らせらる桐谷勇治陛下も、連合国へと加盟した織田家への支援と、島津への最後通牒を布告。」



「その返答が無く、抵抗する様な素振りが在るの成らば、即座に討伐軍を起こすとの決定を下されて居られる。」



「これはっ!!天は島津に天罰を下す事を決められたに違いないっ!!」



「さあ、龍造寺の武士もののふ達よっ!!最後の一兵と成ってでも島津に何所の誰が正当なる正しい者のなのかを示さんが為の戦いを始めるぞっ!!」



「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」





 龍造寺家は、宰相軍師である鍋島・尚美・茂直の下で、一致団結して最後まで戦う事を宣言し、島津にゲリラ戦を展開する。





「オラオラっ!!好き勝手な事してんじゃねえぞっ!!」と叫びながらゲリラ軍を指揮する人物が居た。



 ショートカットヘアースタイルのツリ目タイプの勇ましい顔立ちをし、スポーティータイプなボデイスタイルを有した女性で、その名を江里口・絵里・常信と言う龍造寺家の四天王の姫武将の一人でもある猛者だった。 



「てめえ等を絶対えにっ!!この肥前から叩ぎだすっ!!」



「野郎どもっ!!信隆の姉貴を怪我させた落とし前っ!!キッチリと島津の連中に支払わせてやるぞっ!!」



「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」



 江里口軍は、肥前国の西側で歩兵部隊を用いて、散発的なゲリラ戦を展開する。





 それと別に肥前国の北部では、龍造寺家四天王の紅一点として知られ、頭脳戦を得意分野として居る円城寺・種美・信胤がゲリラを開始。





 彼女が得意として居る弓兵部隊と銃歩兵隊等を率いて指揮して居り、その戦い方は舌を巻くほどに優れて居ると、アマテラス九州地方では言われて居た。



 のほほんとした感じの性格で、ウェーブが掛かったロングヘアースタイルし、すらりとしたやや高めの背丈と女性としてかなり恵まれて居るボデイスタイルを有する女性でも在った。



「始めます。」



 円城寺・種美は日が沈み、夜と成った頃。



 彼女が担当者して居る地域の街道沿いを通りかかった島津軍に、奇襲攻撃を仕掛けた。



島津軍の先頭集団が円城寺隊が隠れる林近くを通り過ぎる。



「やあやあっ!!我こそは龍造寺家四天王の一人にして、百の武勇伝を誇る武士っ!!百武賢兼ひゃくたけともかねなりっ!!島津軍の者どもよっ!!此処から先へは通さんぞっ!!」





 島津軍の前に突如として現れたのは、龍造寺家四天王の一人で、百の武勇伝を誇って居ると言われ、僅か千の軍勢を率いて1万近くの敵勢を圧倒した事も在る豪遊で豪快な人物で、その見姿は無精ひげを生やした筋肉マンな感じの、むさ苦しい男性武将であった。





「龍造寺家四天王の百武賢兼だと?!」



「のこのこと現れて、血迷ったかっ!!」





「者どもっ!!相手は龍造寺家四天王の大将首が一人だっ!!」



「討ち取れば、恩賞が思いのままだっ!!」





「掛かれっ!!掛かれっ!!掛かれえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」



「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」



 島津軍と激突した百武軍は、大怪我をしない内にと10分間だけ戦って引き返しして行く。





「くっ!!此処までかっ!!退けいっ!!退けいっ!!退けええええぇぇぇーーーーーーーいっ!!」との号令を言う百武賢兼は、這う這うの体で撤退する。





 其処から更に10分後・・・・・・・・・・・・・・・・・



「者どもっ!!これ以上敵を通すなっ!!」と一隊を率いて現れたのは、龍造寺家四天王の木下昌直である。  



 これまでに幾度もの多い草で敵中に飛び込んで、その全ての戦で生還して居るほど、死地から生き延びる術を持つと言う珍しい武将で、そんな彼が得意として居るのが殿戦と言われて居り、その姿は少年風の小柄な男性武将である。



「木下だと?」



「と言う事は龍造寺家の奴目らはっ!!後が無いと見たっ!!」



「木下軍も蹴散らすぞ!!」



「掛かれえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」



「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」



 島津軍は又もや遭遇した龍造寺軍と交戦するが・・・・・・・・・・・・・・





「ちいっ!!此処までかっ!!」



「退けいっ!!退けいっ!!退けええええぇぇぇーーーーーーーいっ!!」と木下も撤退して行く。



 一体、龍造寺軍は何がしたいのだろうか?



「追撃じゃ、進めっ!!進めっ!!進めっ!!進めえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」



「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」



 龍造寺軍を壊滅させようと、島津軍は更に追撃戦を仕掛け様とする。





「お待ちくださいっ!!これ以上の追撃は罠の可能性が在ります。」



「此処は一旦、伸び切った隊列を立て直しつつ、周辺の偵察活動をして、状況の確認をっ!!」



「おおっ!!危うく罠に掛かる所であった。お主の言うとおりにしよう。」と部下に止められ、冷静さを取り戻す侍大将。



だが、其処へ更なる罠が現れる。



「今ぞっ!!島津軍を討ち破れえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」





 ドッと姿を暗闇から現わしたのは、龍造寺家四天王筆頭武将で、5人居るのに四天王と言う謎が在る龍造寺家5軍団を指揮する人物である成松信勝。



 無精ひげを生やした35歳男性武将で、統率力の在る指揮官として、九州島地方の大名王家達に知られて居る。





「何っ!?」



「今度は龍造寺四天王の筆頭武将である成松信勝ですっ!!」



「あれ?この前、江里口・絵里・常信とか言う四天王を相手にしなかったか?」



「そいつを入れると5人じゃんっ!!何所が四天王なんだよっ!!」



「それは言わないお約束みたいな物で、龍造寺四天王は、何故か5人居るのに四天王と言う謎が在る龍造寺家5軍団を指揮する人物にして、彼の御家の大物武将でありますっ!!」



「やはり、此処は殲滅戦をっ!!」



 島津軍は成松軍が現れた事で、目の前の敵に釘付けにされてしまった。



 そのタイミングを見計らって、円城寺・種美・信胤が隊列が伸び切って居る島津軍の全部隊へと奇襲攻撃を仕掛けた。



ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!





 ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!





 ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!





 ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!







 ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!





 ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!





 ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!ズダダッーーーンッ!!



 種美の号令で、一斉に火縄銃の銃声が鳴り響き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 ヒュンっ!!ヒュンっ!!ヒュンっ!!ヒュンっ!!ヒュンっ!!



 ヒュンっ!!ヒュンっ!!ヒュンっ!!ヒュンっ!!ヒュンっ!!



 ヒュンっ!!ヒュンっ!!ヒュンっ!!ヒュンっ!!ヒュンっ!!



 ヒュンっ!!ヒュンっ!!ヒュンっ!!ヒュンっ!!ヒュンっ!!



 ヒュンっ!!ヒュンっ!!ヒュンっ!!ヒュンっ!!ヒュンっ!!



 その弾込め時間を補う為の間の繋ぎ時間に、数多の弓矢が敵へと射られて行く。



 この様な戦いを龍造寺家とそれに従う与力国衆達は、肥前国各地方を転戦して行く。





 これには旧龍造寺家の領地を占領統治を任されて居る島津・利美・歳久も堪らず応戦に出て居るが、神出鬼没のゲリラ戦を展開する鍋島・尚美と龍造寺家を慕う領民達による一揆も手伝って、島津軍の被害が出る一方であった。





 マギアンティア世界統一暦・1555年・11月8日・午前11時09分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・第三連合地方・キリヤ公国連合国加盟国・アマテラス織田自治神皇国・大友家領・九州島地方・北九州地方・筑前国州・立花地方・立花山市・立花山城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







 時を置かずして同時期に鍋島・尚美は、長年の宿敵だった事もある大友家との同盟を決定。



 大友家の当主である大友・須江・奏麟も龍造寺家と連携して、キリヤ公国連合国とアマテラス織田自治神皇国からの援軍が到着まで、徹底抗戦して奮戦する決意を表明するのであった。





 そんな中、龍造寺家と直接連携して戦う事と成って居た筑後国州を領地として居る大友家の重臣与力大名王家の立花家では、立花一族の当主一族の三姉妹が出陣前の別れを惜しんで居た。





「良い、薫。例えどんな事が起こって、私達に何が在っても立花山城を守るのよ。」



「私達なら大丈夫だ。後5日もすれば織田様のアマテラス織田自治神皇国軍と桐谷勇治陛下のキリヤ公国連合国軍の援軍がやって来る。」



「それまでの辛抱だからな。なぁに、この戦の趨勢は、既に我らの勝ち戦に決まって居るのだ。」



「後は我らが此処で踏ん張って粘れば・・・・・・」



「しかし、姉様方っ!!敵はあの鬼島津なのですよっ!!万が一にもっ!!」



「そんな事は無い。」



「そうよ、あたしと紹子と為らば、如何にでも成るわよ。それにあの龍造寺家の宰相軍師として、お馴染みでも在る鍋島殿も協力してくれて居るしね。」



「お二方、そろそろご出陣の刻限です。」と配下の武将が迎えに来ていた。



「姉さま方ああああぁぁぁぁーーーーっ!!ご武運をおおおおぉぉぉぉーーーっ!!」と手を振って尊敬する二人の姉を見送る。



 その内の一人は、大友家の重臣の一人で、2強看板であり電光石火の如く戦う事から雷神と呼ばれる猛者で、立花家の現当主である立花・雪花・道雪。



 もう一人は疾風迅雷の如く敵を攻め入る事から風神と渾名されて居る猛将、高橋・紹子・運紹。



 このの二人を見送って居たのは、立花・薫・宗茂と言う先に述べた姉達の妹姫武将である。



 立花・薫は、この九州地方では、剛勇鎮西一と言われるほどの武勇の持ち主で、刀一本で敵の重い一撃を跳ねのけたり、100騎の騎兵で500名を討ち取ったりと東の古今無双の勇士又は東国無双と謳われる本多・八重・忠勝と並び称される猛将であった。



 この戦いで立花家は、その後のお家の行く末の運命の決める事に成る。



 それから程なく九州地方最後の戦い、九州平定戦は各所で勇ましい雄叫びの怒号と共に開戦と成る・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーっ!!」」」」」」」」」」





 島津軍と立花軍両軍の怒号が飛び交う立花山城。



 島津家次女、鬼島津の異名で知られる島津・弘美・義広軍の10万人が、大友家の正面玄関たる立花家領を討ち破らんと、島津軍の主力軍を率いて総攻撃を仕掛けて居た。





 そんな中で本丸御殿近くまで攻め入られてしまう立花山城では、立花・薫は必死の抵抗戦をしていた。



 5日前に来る言われた、キリヤ公国連合国からの援軍が来る気配が今だ無い。



「援軍はっ!!援軍はっ!!まだなの?」



「そろそろ使者は、小倉か博多に着いた頃かと、予想ではそろそろ来ても良い頃合いの筈ですが・・・・・・・・・・・・・・・」



「このままじゃ姉さま達が・・・・・・・・・・」





 そう、3日前の最後の報せでは、高橋・紹子・運紹が籠城して居る岩屋城と立花・雪花・道雪が立て籠もって居る宝満城が、島津軍に本丸を残して、完全に包囲されて居るとの報せを受けて居た。



 3000人づつ居た兵士達も、後500人が生き残って居るだけとのこと。



 その報告が来たのと同時に、立花山城にも総攻撃が仕掛けられてしまう。



 立花・薫も姉達に倣って頑強に抵抗して見せるも、攻め来たるのは精強と知られる鬼島津の異名で知られる島津・弘美・義広軍の軍勢一隊が、3万3千人。



 払っても払っても、しつこく攻め来たり来る軍勢に、苦戦を強いられてしまう立花山城の籠城軍。



 これに関して薫は、流石は精強で知られて居る鬼島津の軍勢と舌を巻いて居た。



 包囲される前に救援の伝令官をキリヤ公国連合国が来て居ると言う博多と小倉へと向かわせて居た。

 

「たたっ大変ですっ!!三ノ丸が落ちましたっ!!」



「くっ!!此処までね。」と本丸で抵抗戦の指揮を取って居た薫は、最早これまでと観念して、腰に差して居た脇差しから短刀を引き抜いて、喉元に付き刺そうとした瞬間、傍に居た立花家の家臣達に止められた。



「お待ち下さいっ!!道雪様と運紹さまのお二方からは、万が一場合は、何としてでも宗茂様だけは落ち延びさせて立花家を継がせよとのご命令があっ!!」



「嫌よっ!!お願いだから離してっ!!姉様たちを死なせた私だけが生き残って居ても仕方がないのよっ!!お願いだから姉様の後を追わせてっ!!」



「こんな負け戦をしてしまった私が立花を継ぐなんてっ!!無理よっ!!無理なのよっ!!」 



「皆の者っ!!宗茂様を取り押さえよっ!!この城から落ち延びさせるのだっ!!」



 極限状態にまで追い込まれ、負け戦で取り乱した立花・薫は、ヒステリック状態へと陥り、自害しようとするが、それを必死に取り押さえられる家臣達。



 それでも尚も自害しようと薫は激しく抵抗し、暴れ回る。





其処へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「立花もん共っ!!ホンと良う粘ったっ!!」



「うむ、貴君ら戦いは、天に居られる毘沙門天様もご照覧で在るっ!!奮戦見事なりとっ!!」



「ギリギリまで粘るとはぁ、粋だねーっ!!さぁーて、その心意気に応えて、一刺し傾いてやんぜよおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーっ!!」



 キリヤ公国連合国軍の第三連合国軍の吉川・春美・隆春と第十連合国軍の上杉・剣信・輝清と前田・慶南・益利らを併せてた1万人の軍勢が、立花山城の援兵として駆け付けてくれた。



「うわああああああぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」



「軍神っ!!上杉・輝清っ!!」



「アマテラスからキリヤ公国へと出て行った筈では・・・・・・・・・」



「何で此処にっ!!」



「そんな事より、近づけさせるなっ!!鉄砲隊っ!!撃てっ!!撃てっ!!」



 立花山城を攻めて居た島津軍の将兵達は、一際目立つ白銀の鎧姫武者の姿と竹に雀上杉家家紋の旗印や毘沙門天の旗印等を見付けると、何所の誰かを悟り、恐慌状態へと陥る。 



 錯乱してしまう指揮官等は、軍神と恐れられる上杉・輝清を近付けさせまいと島津軍の鉄砲隊が敵援軍に対して撃ち捲くる。





 「軍神・毘沙門天の加護の前に、そんな豆鉄砲は中らないっ!!」



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!







「ひええぇぇーーっ!!如何なってやがるっ!!」



「弾が中らないっ!!」





 島津・弘美軍旗下の将兵達は、東に軍神として知られる出たらめな突撃を見て恐怖する。



 更には撃ち掛けた鉄砲が、上杉・剣信・輝清の固有スキルである毘沙門天の加護のお陰で、何故か掠りもぜずに身体から逸れて行く。



 しかも彼女の味方にすら当たらなく成るのだから、そのスキルは余りにもチート過ぎて居た。



 何せ、備わって居る特異スキルには、敵の攻撃が当たらない。初見の攻撃が当たらない。



 二回目以降の攻撃が当たらない。あらゆる遠距離攻撃が当たらない。広範囲撲滅兵器が当たらない等の卑怯すぎるにも程が在るのだっ!!



「おおっと、おんしらっ!!今までワシらの縄張り(シマ)で散々暴れてくちゃけんね。こんの礼をぉばっ!たーぷりとしちゃけんよっ!!」



「ひええぇぇーーっ!!」



「こっちは毛利家の猛将吉川っ!!」



「どう成ってんだよっ!!」



 春美に睨まれた島津の将兵達は、逃げても逃げても、鬼の様に追いかけて来るので、手が付けられない。





「オラオラオラァっ!!オラオラオラァっ!!肝っ玉の強い奴らは居ねえのかっ!!」と朱塗りの槍と真っ赤で派手な出で立ちをした大柄の姫武将が騎兵隊を率いて突っ込んで来る。



「こっちの傾奇者も只の者じゃないっ!!」



「キリヤ公国連合国軍てぇのは、化け物揃いかよっ!!」



 ビビりながらも戦う島津軍の者達。





 その様子を立花山の山頂に在る天守閣から見て居た立花・薫は、少ないながらも援軍が到着した事に安堵する。



「風向きが変わった。新しい風が吹いた。希望の風・・・・・・・」と呟く薫。



 するとさっきまでの泣き虫の顔からキリっとした武将の顔つきになると、本来の猛将としての顔立ちとなり、将兵達に命じた。

 

「打って出るぞっ!!鬼島津ども立花の領土から叩き出せっ!!」



「出陣するっ!!」



「宗茂様のご出陣だっ!!付いて来られる者は、皆続けてえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」





「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーっ!!」」」」」」」」」」





 立花・薫・宗茂軍は、あと一歩の所で落ちかけて居た二ノ丸城門を開け放つと、城の守りを捨てて、島津立花山城攻略軍の本陣へと突撃攻撃を仕掛けた。





「たった大変ですっ!!敵の援軍が到着のせいでっ!!立花・宗茂が立て籠もる立花山城の籠城軍と共に、一斉に打って出て来ましたっ!!」



「立花山城を攻めて居た我が方の立花山城攻略軍を瞬く間に蹴散らし、本陣の在る此処へと迫って来て居りますっ!!」



「くっ!!あと、後もう一歩の所でええええぇぇぇぇーっ!!」と指揮棒を折る島津家の立花山城攻略軍の大将は、槍を取って迎え討とうとする。



「其処を退けえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」



「小娘がああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」



互いに槍をかち合わせるが、その勝負は瞬きする位の一瞬でケリが付いてしまう。





立花・薫は僅かな相手の隙間を突いて、首を槍で一突きで跳ね飛ばしてしまう。



「敵将、討ちとったりいいいいいぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーっ!!」



 薫は高らか勝ち名乗りを上げた。



 

「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーっ!!」」」」」」」」」」



 立花軍の者達は声を張り上げて薫の勝利を讃える。



「ようやったじゃけんのーっ!」と春美は一仕事を終えたので薫の下へとやって来て居た。



「その旗印と出で立ちは、もしや彼の毛利家の猛将と謳われし、吉川・隆春殿か?」



「おう、そうじゃ、わしが吉川・春美・隆春じゃけん。」



「おおっ!!毛利吉川軍の猛将っ!!こんな所でお会い出来るとはっ!!」



「そう言う貴女は、この九州では剛勇鎮西一と謳われし名将と聞きます。」



「はっ!!その白銀の鎧姿は、彼の軍神と言われて居られる上杉・剣信・輝清殿?」



「はあああっ!!これは奇跡っ!!憧れの有名な姫武士の方々が、この私の目の前にっ!!」



 薫は猛将・名将マニアなのかも知れない。



「おいおい、そんな事を言ってて良いのかよ。」と前田・慶南・益利がツッコミを入れて来た。 



「はっ!?そうだったっ!急いで姉様達をお助けせねばっ!!」





「それならば、心配ない。」



「軍神の姉貴の言う通りじゃけんね。」



「えっ?それは如何いう事ですか?」



「立花・道雪が守って居る宝満城の所には、第五連合国軍に徳川・千代・家康殿の軍勢1万人が向かい。」



「高橋・運紹に立て籠もって居る岩屋城には、第六連合国軍の佐竹・秋江・重義殿8千人。本多・八重・忠勝殿500人。上杉軍の直江・愛華・兼継殿及び大国・七恵・実頼殿達の軍勢合わせて六千人。奥州独立自治王国旗下・下野国州軍・7千人が向かって居る。」



「何れも一騎当千の武将と強力な軍勢だから安心して良い。」



「それでも行きたいか?」と前田・慶南は聞く。



「はいっ!!」



「だったら、一息入れるんじゃ、今から一休憩を入れても十分に間に合うじゃけぇのっ!」



 春美達は空からの支援が在る事を知って居て、万が一の場合は、援軍が到着前に落城しそうな場合は、キリヤ公国連合国軍の全航空隊が、島津軍に対して空爆を行う予定で居る。





 そうなれば、嫌でも撤退させられるので、戦続きで疲れて居る薫達を落ち着かせ、休ませようと言い聞かせる。



 立花山城での戦いは、如何にか間に合った。



 さて、他の者達は如何であろうか?



 立花家領での戦いは、更に苛烈を極めて行くのであった。

マギアンティア世界統一暦・1555年・11月8日・午前11時09分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・第三連合地方・キリヤ公国連合国加盟国・アマテラス織田自治神皇国・大友家領・九州地島方・北九州地方・筑前国・宝満地方・宝満町・宝満城・宝満城本丸館にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 戦いの舞台は、立花家領の奥深くに在る立花山城から南へ5キロ地点にある立花家領の中間防衛拠点の要所たる山城、宝満城。



 西南部からの敵軍の侵攻を防ぎ、本拠地であり北の要所である立花山城と南部の最前線の要所たる岩屋城と連携して、敵の侵攻を防ぎ、大友家の本拠地への西回り口を防ぐ城門の役目を先に述べた三城が担って居た。





 その一角たる宝満城では、立花・雪花・道雪が島津軍の侵攻を防ごうとして、宝満城に立て籠もって早一月。



 3千人は居た将兵達は、とうとう五〇〇名を残すのみと成って居た。



 宝満城に向い迫って居る3万3千の島津軍を前にして、獅子奮迅の戦いをする立花・雪花の統率力を前にした島津軍の猛者たちは、その士気の高さと団結力に舌を巻いて居た。



 本丸館の脇に建てられて居る天守閣にまで、追い詰められた立花・雪花は、完全に敵軍勢に、取り囲まれてしまって居た。



 その姿格好は、額に鉢巻をしつつ、赤紫色の鎧武者姿をした彼女は、雷切丸と呼ばれる先祖伝来の家宝の刀一本で、迫り来る島津軍の将兵達を相手に獅子奮迅の奮戦の戦いぶりを見せ付けて居た。



「はぁはぁはぁはぁ・・・・・・」



「とうとう追い詰めだぞ雷神道雪っ!!」



「はぁはぁはぁ、んはっ!まだまだよっ!これからが姫武士としての底力を見せる時っ!!」



「ほざけっ!!息も絶え絶えで、一目で精魂尽き果て居る様に見えるぞっ!!」



「者共っ!!雷神道雪を討ち取れば、名誉も恩賞も思いの儘ぞっ!!」



「それっ!!止めだっ!!掛かれえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」



「「「「「うおおおおおおおおおぉぉぉぉーーーっ!!」」」」」



 味方は少数、敵は大軍。



 これこそ正に、多勢に無勢の状況である。



 だが、立花・雪花は諦めて居ない。



 助かる見込みのない戦いで彼女が、この戦場で見せ付けるのは、姫武将としての誇りを後に続くであろう妹である薫に向けて、己が戦いぶりを見せ付ける事だけを考えて必死に戦って居るのだ。



 そう、雪花は、義妹である高橋・紹子と共に、次なる世代たる若者たちが創る次代に・・・・・・その者達が平和に生きられる泰平の世に繋ぐ時代を創る為にも、己が命を投げ出す・・・・・死を覚悟してこの戦いに挑んで居た。



 そうすれば、立花家と薫、それに加えて主家である大友家を生き残らせられる時間を少しでも稼ぐため・・・・・・・・・・・・・・



「えいっ!!やっっ!!せいやああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!」



 斬っても斬っても斬っても切りの無い敵兵。



 そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「ぐはっ!!」立花・雪花の腰に一部隊を率いていた侍大将と配下の足軽兵の長槍が突き刺さる。



「こぷふっ!!」と血が口と腰から出血して流れて出て居た。



(これまでね・・・・紹子、先に逝って居るわ。薫どうか無事で・・・・・・・・・・・・)



 その30分前・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 立花・雪花・道雪が攻め込まれた島津軍に追い詰められようとして居た丁度その頃。



 キリヤ公国連合国と、その加盟予定が決まって居るアマテラス織田自治神皇との連合国軍であるアマテラス九州平定征伐連合国軍。



 その第二連合国軍の指揮官と成って居た明智・十華・光秀は、龍造寺家への救援隊として付き従えて居る筒井順慶・松永・真澄・久秀。



 稲葉良道・斉藤利光・明智秀満・波多野秀治・京極高次・高知兄弟等を併せた2万5千人が、龍造寺家救援隊として、北九州北部を肥前国に向かって進軍して居た。



 続いて肥前国に向かって居るのは、第五連合国軍の徳川・千代・家康が率いる2万人の軍勢が、徳川家本国領国の三河国の岡崎城を新発して、清州・岐阜・安土・大津・皇都・平庵京・大阪・姫路にて休息。





 次に毛利本国領である中国地方を通り抜けて、岡山・広嶋・山口を経由し、最後に下関市を通ってから九州地方へと上陸を果たした。



 その後は筑前国から豊前国東周り、途中から西へと転進経由し、筑後国を中部北地域方面のルートの街道にて、肥前国へと向かって居た。



 その途上で島津軍と遭遇戦が想定されて居たが、徳川軍には有名な猛将・智将が揃って居り、難無く突破が出来るだろうと思われて居るので、連合国軍参謀本部は安心して、徳川軍を派遣して居た。



 その中部北地域方面ルートたる豊前国から南東周りの街道を使って進軍して居た徳川軍に、後方の連合国軍参謀本部からの命令を携えて伝令官がやって来て居た。



「えっ!!宝満城が危ないんですか?」



「はっ!アマテラス九州平定征伐連合国軍・先鋒軍司令官付参謀総長の黒田・隆孝たかよし様から、徳川様への命令変更です。」



「直ちに徳川軍は、宝満城へと向かい。立花・道雪殿を救出されたしとの事です。」



「ですが、陸軍である我らが、此処から10数キロ先の宝満城へと急いでも、今から間に合うか如何かは分かりませんですし、それに忠勝を別働隊として派遣して居ます。」



「それ故に神速をもってして動ける部隊は、今の我が徳川軍には・・・・・・・・・・・・・・・」



「それならば、ご心配には及びません。」



 パタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタと言う羽音を響かせて、ナデシコ・ビクトリナ・新トウキョウ・キリヤ公国本国軍から成るヘリコプター大隊が現れる。



 公帝戦争後からキリヤ公国連合国内では、ヘリコプター部隊の編成を進めて居た。

 

 今はその教練を取り仕切って居るのは、ビクトリナ・新トウキョウが中心と成って編成を進めて居た。



 キリヤ公国本国とナデシコ内では、元々教官や搭乗経験者が居ないので、ナデシコ陸海航空隊の仕官達が、一から乗りこなすべく、訓練の為にシミュレーターを使って試験訓練をし、実地訓練を重ねて居たが、ビクトリナの登場でヘリコプター部隊の編成が叶う事と成る。



 今ではキリヤ公国連合国の陸海空軍の主力航空隊の一つに成って居た。



 徳川・千代も織田家がキリヤ公国連合国へと加盟すると言うので、色々な事を学んで居る。



 そんな理由も有ってか、ヘリコプターと言う乗り物の事も、最近になって覚えたばかりでは在るが、この時の彼女は初めて実物を見て、アレならば間に合うかも知れないと思ったようである。



「なるほど、ヘリコプターですか。あれならば間に合うかも知れませんですね。」



「徳川様には、先発隊を編成の上で、宝満城へと直接乗り込んで、立花・道雪殿を救出するのが本作戦の任務と成ります。」





「了解しましたですっ!」



「直虎、康江っ!!貴女達を宝満城救援隊の先発隊として派遣しますっ!立花・道雪殿を必ずお助けするのですよっ!!」



「はっ!!」



「必ずやっ!!」



「徳川軍の本隊は、このまま宝満城へと転進し、場外の敵を一掃するですっ!!」



「全軍っ!!いざっ!!南へと転進っ!!」と徳川・千代は、旗下の徳川軍に号令を発した。



「「「「「「「「「「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」と鬨の声を上げて、徳川軍は南への街道へし転進を開始する。



 てな感じで徳川軍は急遽、宝満城へと至る街道の在る北方面ルートへと転進し、宝満城へと向かう事と成った。



それから30分後・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



輸送ヘリ部隊と護衛の戦闘ヘリ部隊は、宝満城へと到着する。



「間も無く到着しますっ!!」



「何とか間に合いそうだな。」



「ですね。しかしながら下を見るに、立花方の戦況は、ギリギリの様子。」



 宝満城の上空に到着すると、キリヤ公国連合国・先進4ヵ地方地域領と呼んで居るナデシコ・ビクトリナ・新トウキョウ・キリヤ公国本国から成る近代化銃歩兵隊による先行部隊が、ローブ降下で地上へと降り立つ。



 降り立った4部隊は、四方に散会して着陸地点を確保する為に銃口を四方に向けて防備に入った。



「着陸地点を確保っ!!」



「了解っ!!各隊へっ!!降下開始せよっ!!」と先任制で銃歩兵部隊の隊長を任された新トウキョウ国防軍の一佐が部隊長命令を下す。



 それを見付けた島津軍の将兵達は迎え討つ態勢を取った。



「敵の援軍かっ!!」



「ちっ!!空から直接城の本丸付近へとやって来るとは・・・・・・・・・」



「何と面妖なっ!!」



「下に降ろさせるなっ!!」



 島津軍の将兵達は、空からやって来たキリヤ公国連合国軍を迎え討たんと降下地点へと殺到しつつ襲い掛かる。



「島津軍が降下地点に群がって来やがったっ!!」



「奴らめ、降下した先行部隊の迎撃に来る気かっ!!各隊ドアガンよーいっ!!」



「戦闘ヘリ隊っ!!先行地上降下部隊っ!!応戦だっ!!」



「決してっ!!敵を降下地点に近付けさせるなっ!!」



「もたもたするなっ!!撃てっ!撃てっ!!撃てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」



ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!



ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!



ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!



ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!



ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!



 輸送ヘリに備え付けて居たドアガンやガトリング式ミニガン。



 先行して居た降下部隊の銃弾、それに戦闘ヘリ部隊からは、機関砲の雨を撃ち放つ。



 銃撃を受けた島津軍の将兵達は、たちまち血達磨と化してしまった。



「くっ!!連射式の種谷島だとっ!!」



「何て威力と連射力だっ!!」



「こなったら狙撃でっ!!ぐふっ!!」と火縄銃で狙撃に自信が有る足軽兵が火縄銃を構えるが、キリヤ公国連合国軍の先進4ヶ国地域派遣部隊の中には、腕利きのスナイパー部隊が編成されてやって来て居た。



 その者達が火縄銃の狙撃手を見逃す筈は無かった。



 銃を構えると、次から次へと容赦なく討ち取って行くので、利口な奴は銃撃姿勢を取る事を躊躇った。



「狙撃は何処からだっ!!」



「分かりませんっ!!」



「ぐううぅっ!!」と島津軍の前線指揮官の武将は、新手であるキリヤ公国連合国軍の到来して来るのをむざむざと何の抵抗も出来ずに、只々見て居るしか無かったのであった。





 降下地点を確保防衛しつつ、島津軍と戦いながら突き進む降下部隊は、立花・雪花・道雪の行方を捜し追いながら本丸付近一帯を中心にして、城内を家探して居た。



 そんな中で、ビクトリア軍・宝満城救出派遣部隊・第一小隊の一行は、とある足軽兵と出会った。



「はぁはぁはぁはぁ・・・・・・」



「大丈夫かっ!!」と聞くビクトリア軍・宝満城救出派遣部隊・第一小隊の部隊長。



「はぁはぁ、はい・・・・・」



「立花・道雪殿の居場所知らないか?」



「貴方達は?」と聞く足軽兵。



 見慣れない銃歩兵隊と鎧武者と足軽兵を見た彼は、その異様な風体を見て何所の誰なのかが分からずに訪ねた。



「キリヤ公国連合国軍の者だ。貴君らの援軍にやった来た。」



「ああ、本当に、来てくれたんです・・・ね。」



「道雪さま・・・・・天守閣に・・・・・・」と援軍が到着したと聞いた足軽兵士は倒れ込んでしまう。



「良く言ったっ!!天守閣へ急ぐぞっ!!」



「其処の4名の者達は、この者を手当して、後送せよっ!!」



「了解っ!!こちらビクトリア軍・宝満城救出派遣部隊・第一小隊ですっ!!救出保護対象である立花・道雪さんは天守閣に居るそうですっ!!」



「了解っ!!天守閣に近い部隊は集まれっ!!その他の部隊は、残存して居る立花軍の者らを保護せよっ!!」と新トウキョウ国防軍の一佐からの命令が下る。



「衛生隊っ!!2名と護衛3名を残して我らは天守閣へと前進するっ!!」ビクトリア軍・宝満城救出派遣部隊・第一小隊は、保護対象である立花・雪花・道雪を救出するべく移動を開始した。



 

 それから救出派遣部隊である徳川軍とキリヤ公国連合国軍の合同部隊は、散会し居た部隊と合流し、更に城内の奥へと進んで行く。



「何処だっ!!」



「何処に居るっ!!」と天守閣付近の敵を討ち破りつつ、立花・雪花の行方を家探しするが、島津軍と立花軍の死体や負傷者ばかりが目に付く。



 激しい攻防戦での戦いのせいか、両軍共に疲れ気味の様子で、最奥まで攻め入って居るのは、手柄を上手く掠め取ろうとして、進軍して来て居る武将なのだろうと推察される。



 そんな状況で在るが故に、天守閣館付近では、城外や他の城郭とは違って静かなものであった。



そんな時である「上だっ!!」と誰かが叫ぶ。



 天守閣館の最奥で、天守閣へと続く階段の上から漏れ聞こえる、斬り合いの激しい声が聞こえたので、其処では無いのかとと叫んだらしい。



 そして・・・・・・・・・・・・・・・・キリヤ公国連合国軍の先進4ヶ国地域派遣部隊の銃歩兵隊が最上階に突撃し、威嚇射撃をして見回すと、道雪と思わしき人物の腰に槍を突き立てられ居た状態を発見する。



ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!



ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!

 

ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!



「キリヤ公国連合国軍だっ!!全員動くなっ!!」と叫ぶのは、銃歩兵部隊指揮官である新トウキョウ国防軍の一佐であった。



 彼はキリヤ公国連合国の先進4地域と呼んで居るナデシコ・ビクトリナ・新トウキョウ・キリヤ公国本国から成る見た目も装備もバラバラだが、何れも最新の装備で固められた近代化歩兵隊を率いて居る。



 それに続く戦国時代武装装束で現れる井伊・榊原隊から成る徳川軍先発隊も、新トウキョウ国防軍の一佐の後に続いて、天守閣の最上階へと突入した。



「あっ!!あれが道雪殿か!!」と直虎は、事前に聞いて居た特徴を見て本人だと断定する。





「おのれええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーっ!!」と直虎は怒りから叫ぶっ!!



 雪花が殺され掛けて居る姿を見た直虎は、劣化の如く怒り島津軍の武将に斬り掛かった。



「立花・道雪っ!!討ち取っ、がはっ!!」と島津軍の武将が突如として倒れた。



 雷神とも謳われる武将である立花・雪花を討ち取り、名声を高め得られると思い、油断した事で背後に居るキリヤ公国連合国軍の事なんぞ、気にも留めて居なかったからだった。





 そして、彼は突如として現れた真っ赤な鍬形兜と鎧姿をした姫武将に斬り掛かられ、絶命してしまうのであった。



 真っ赤な鍬形兜と鎧姿をした女武将は、雪花を殺そうとして居た武将を討ち果たすと、すぐさま雪花を抱き抱えた。



「道雪殿っ!!道雪殿っ!!」



「はぁはぁはぁはぁ・・・・・・・・・・」



「直虎っ!!道雪殿は大丈夫かっ!!」と榊原・康江が、島津軍が立花軍とは別に現れたキリヤ公国連合国軍に対して、抵抗を試み様と立ち向かって来る。



 康江は味方と共に乱戦状態と成り、敵と斬り合いながら直虎の様子を気に掛けつつも、雪花の様子を聞いて来て居た。



「康江っ!!不味いっ!!道雪殿がっ!!誰かっ!連合国軍の救護隊をっ!!」



「康江っ!!絶対に敵を近付けさせるなっ!!」



 直虎は冷静沈着に対処して行く。



「分かったっ!!」



「ああ、薫、紹子・・・・・・」



「しっかりっ!!道雪殿おおおおぉぉぉぉーーーっ!!」



 報せを受けてヘリで待機して居たキリヤ公国連合国軍で、新トウキョウ国防軍から派遣されて来て居た衛生隊の者達が、担架と救急キッドを持って駆け付ける。



「担架だっ!!急げえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」と天守閣の入り口近くの守備に付いて居るナデシコ兵が大声で叫ぶ。



「不味いっ!!これは出血が酷過ぎる。」



「この槍傷のせいかっ!!」と言いつつ止血処置を行おうとするが・・・・・・・・・・



「失礼してっと・・・・・・」と鎧を脱がしつつ、着ていた着物も破り、女性らしい身体つきが露わに成ると衛生隊の軍医は青ざめた表情に成った。



「こりゃあ、失血性ショックも起こして居るぞっ!!」



「それに傷口内部も酷い、神経細胞がやられて居るかも知れない・・・・・・」



「衛生長、この様子だと相当量の輸血が必要です。応急処置用に前線に持って来て在る分の輸血パックでは、全然足りませんよっ!!」



「此処じゃだめだっ!!急いで応急処置をして、後送して手術室が在る様な施設で、直ぐに手術しないと死んでしまうぞっ!!」



 新トウキョウ国防軍の衛生隊の者達は、雪花の傷を見て、生死が危ないと一目で悟った。

 

「頼むっ!!道雪殿を何とか助けてくれっ!!」と直虎は、涙目で頼み込んで居た。



「とは言いましても、この場で応急処置を施して、大分港の新トウキョウ国防海軍・病院船に運び込むまでに、どれだけ持つかは、この人次第です。」



「これは本当に運次第です。助かっても腰や足等に障害が残るかも知れません。」



「何でも良いっ!!早くっ!!」



「分かってます。井伊さん、ヘリまでの護衛をお願いします。行くぞっ!!」と衛生隊部隊長でもある軍医は、部下達と供に雪花の応急手当をして、担架に乗せて行く。



「承知っ!!連合国銃歩兵隊っ!!井伊・榊原隊は城内の味方を救出しつつ、宝満城から撤退するっ!!」



 銃歩兵隊の指揮権は、新トウキョウ国防軍の一佐に在るが、現場作戦指揮権は徳川軍の二人に在ると決められて居たので、直虎と康江の二人は的確に指示を命じて居た。



「殿はナデシコ軍と新トウキョウ国防軍っ!!」



「「了解っ!!」」と言うと、騒ぎを聞き付けて、新たに現れた島津軍に向けて、小銃を撃ち捲くる銃歩兵隊。



 ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!

 

 ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!



 ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!

 

 ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!



 ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!



 ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!



 不利と分かって居ても斬り掛かって来る島津軍の者達と、それを必死になって戦うナデシコ・新トウキョウ国防軍の者達が銃剣術と小銃による発砲で打ち倒す。



 それでも乱戦による隙を突いて来る者達には、徳川軍の将兵らが補佐して戦ってくれて居た。



 上に命令をされて居るからと理由も在るが、この戦いは島津家に取っては、キリヤ公国連合国との総力戦である。



 どの道キリヤ公国連合国の参戦により島津家に勝ち目がゼロと成ってしまって居るので、彼等の戦う目的が勝ち負けの問題では無く、島津家の家名を守ると言う面子を掛けた戦いと成ってしまって居るからであった。



「間も無く家康さまの軍勢も駆け付けられるが、この総力戦のせいか、怪我人が多いなぁ・・・・・」と康江は、ヘリコプター着陸地点へと到着して見た光景を目の当たりすると、負傷者の多さにげんなりとしてしまう。



 もしかしたらヘリコプターが足りないかも知れないと思ったからだ。



「榊原さん。総司令部へ応援要請を出しました。追加のヘリ部隊を含めた航空隊が15分ほどで、此処に到着する予定ですっ!!」



「それは助かるっ!それまでこの場を持たせるぞっ!!」と更なる報告を聞いた康江は、安心すると守備に徹する指揮命令を発して行く。



「はいっ!!」



 新トウキョウ国防軍の者達は、小銃を構え島津軍の足軽兵士達を撃ち払いつつ、負傷将兵達をヘリまで急がせた。



 激しい救出劇ではあったが、立花軍2500名が救出された。



 どうやら筑後国侵攻軍の総大将である島津・弘美・義広の命令で、負傷して動けない将兵を討ち取るには及ばずとの厳命が為されて居たせいか、占拠されて居た一部の一角で幽閉をされて居た。



 其処へキリヤ公国連合国軍がやって来ると、守備をしていた島津家の武将は戦闘の意思は無いと言い、島津・弘美からの命令で動けない負傷者の引き渡しをしてくれたのであった。 



 そして、救出された立花・雪花・道雪は、この宝満城での戦いで、徳川軍の援軍である井伊・直虎・直政と榊原・康江・康政の手勢二千人に救助されたが、瀕死の重傷を負って七日間の間、生死の境を彷徨う事と成った。





 その更に15分後に成って、城外の戦場にようやく現れた徳川軍。



 三つ葉葵の紋所の旗印に、金扇の大馬印と厭離浄土・欣求穢土の御旗を掲げた軍勢が北東方面に鶴翼陣形を組んで居並ぶ。



 その数は総勢1万8千人。



「敵は2万2千ですね~」とニコニコ笑顔とエビの様な2本の前髪のアホ毛とエビの尻尾の様な三つ編みロングヘアーポニーテールをしたお姉さんが言う。



 この人は酒井・継美・忠次と言って徳川家の筆頭家老にして、徳川四天王と呼ばれる精鋭武将の一人。



 知略と危険察知に長け、やや怪しからんバストを有して居る美人お姉さんでもある。

 

 酒井・継美・忠次。



 榊原・康江・康政。



 本多・八重・忠勝。

 

 井伊・直虎・直政。



 以上の4名が徳川軍切っての精鋭にして、最強と謳われる姫武将達、徳川四天王である。



「各作戦を遂行するべく、各地に徳川四天王が出払ってしまって居るので、この状況は、少々キツイですねぇ~」



「何のっ!!この程度のこと、あの姉ヶ原川の戦いの朝倉軍に比べれば少ない方ですぅっ!!」



 姉ヶ原川の戦いとは、近江国の浅井久政と越前国の朝倉景義を併せた3万8千人と織田・徳川の軍勢を併せて、13万2千人とで激戦を繰り広げた戦いの事である。



 当時の織田・和紗は、早々に浅井軍を粉砕して、朝倉軍を追い帰そうと目論んで居た為、徳川軍に朝倉勢の足止めを頼んだのだが、意外にも和紗は浅井軍に苦戦を強いられてしまう。



 浅井軍の先鋒隊である山崎新平は、自身が最も得意とする馬上弓と槍を用いた先駆け戦法を駆使して、一番手柴田隊を食い破り、二番手前田隊・三番手佐々隊をも突破、その勢いは止まらず、14番手の木下・陽菜・秀吉隊も突破されてしまう。



 そんな中で、朝倉軍3万人を相手に、2万2千人で戦って居た徳川軍は、敵より少ない兵数であるのにも関わらず善戦していた。



 前線では本多・八重、酒井・継美。



 渡辺・華絵・守綱、石川・数実・和正、水野・勝代・勝成。



 奥平・仙千代・貞政らが奮戦する中で、密かに榊原・康江隊から成る千人の部隊が、密かに敵後方の姉ヶ原川上流へと回り奇襲攻撃を仕掛ける。



 その作戦は見事に功を奏して、朝倉軍を大混乱を招いて、ボロボロに崩壊。



 あっと言う間に自国領方面へと逃げ出して、這う這うの体にて撤退して行ったのであった。



 続け様に徳川・千代は、苦戦する織田軍を西側から加勢すると、浅井軍は瓦解し始め、これを好機と取ら得た和紗は、予備兵力である丹羽・稲葉・氏家・安藤らを東周りに戦線投入し、織田軍の中央部では、仙石・久深・秀久が山崎新平を討ち取り、戦の形成を逆転させた。



 この戦いで織田・徳川連合軍は、苦戦しながらも大勝利を収め、アマテラス神皇国内で一躍有名な大名王家として名を馳せたのであった。





「総軍の指揮は継美、貴女に任せるですよっ!!」



「はいはーい、お任せあれえっ!!」



「この戦場を見る限り・・・・・・あの姉ヶ原川の戦いと似た様な感じですね~。」



「それならば、敵を誘い釣り上げる事にするですよっ!!」



「それで宜しいかと、此処は九州ですし、織田・徳川軍の機内での戦い、あの姉ヶ原川の戦いの詳細を詳しく知る者は少ないでしょうからね。」



「奇襲攻撃部隊を任せるのは・・・・・・・・奥平・仙千代としますね~」



「はっ!!」



 奥平・仙千代・貞政。



 後の奥平・仙千代・信政と名を変える出来事が起こるのだが、それはもうちょっとだけ先のお話。



 そんな一騎当千の智将・猛者達の中に、徳川・千代の妹で、この戦が初陣と成る松平・千香・康秀という14歳の姫武将の姿が在った。



 後の結城・梅晴・春宗の養子と成る結城・晴香・康秀である。



「千香、よーく見て置くですよっ!!この様な大戦は、もう早々見られなく成るですからねっ!!」



「はいっ!!姉上っ!!」



 見聞を広め、徳川家一族の若手に戦の何たるかを見せる為に千代は、九州地方平定戦に際して、一族の中でも初陣に向いて居る年頃を迎えたばかりで、一番に歳の近い妹の千香を連れて来て居た。





「さぁ、徳川家のお家芸、野戦を始めるですよっ!!」



 ブオオオオオォォォォォォォ――ーーッ!!と法螺貝が鳴り響くと、配置に就いた両軍は、ぶつかり合う。



「押せ押せえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」と島津軍は、数で劣る徳川軍に向かって押せ押せ、イケイケの様子であった。



「ゆっくり退きつつ、敵の勢いをいなせながら下がれっ!!」



 それに対して徳川軍は、お得意の野戦戦術で、敵を油断させてから一気に突き崩す算段で居るらしい。





 徳川軍の野戦戦術は、一気に形成を逆転させたり、敵を瞬時に突き崩す事に長けて居るとのアマテラス地方内では、物凄く良い手際であるとの定評が言われて居た。





「むむっ!?」



「大将殿っ!如何なされましたか?」



「不味いっ!!この動きっ!!敵に誘われて居るぞっ!!」と経験が豊かな宝満城攻略軍の総大将は、徳川軍の陣形の動きから、罠であると悟って、配下の者達に向けて叫ぶ。



「ええっ!!」



「退けっ!!退けっ!!退くのだっ!!其処で退かないとっ!」と島津軍の宝満城攻略軍の総大将は、更に危険だと言う警鐘を知らせるべく、必死な想いで叫ぶが、手柄を立てたいと言う思いから、勢いに乗った指揮下の軍勢は言う事を聞かなかった。





 其処へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「それえええええぇぇーーーーーーっ!!一気に突き崩せえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」と奥平隊3千人の軍勢が東周りに侵攻して来た事で、島津軍の背後から現れた。



「ええっ?背後からだとっ!!」



「何時の間にっ!!」



「うぬぬっ!!流石は野戦の徳川軍っ!!その手並み見事っ!!」



「申し上げますっ!!」



「どうしたっ!!」



「宝満城の攻略隊は、キリヤ公国連合国軍の別働隊と戦い、撤退した模様っ!!」



「なお、立花・道雪は、討ち漏らしたらしいとの事っ!!」



「くっ!!これまでかっ!!」



 島津軍の総大将は敗北を悟ると、撤退命令の法螺貝を吹かせて、肥後国の隈本城へと退いて行く。



 それを見送った徳川・千代は、旗下の旗本武者達と共に馬上にて勝利の鬨の声を上げさせた。



「えいっ!!えいっ!!」



「「「「「うおおおおおおおおおぉぉぉぉーーーっ!!」」」」」



「えいっ!!えいっ!!」



「「「「「うおおおおおおおおおぉぉぉぉーーーっ!!」」」」」



「えいっ!!えいっ!!」



「「「「「うおおおおおおおおおぉぉぉぉーーーっ!!」」」」」



「えいっ!!えいっ!!」



「「「「「うおおおおおおおおおぉぉぉぉーーーっ!!」」」」」



「えいっ!!えいっ!!」



「「「「「うおおおおおおおおおぉぉぉぉーーーっ!!」」」」」



「えいっ!!えいっ!!」



「「「「「うおおおおおおおおおぉぉぉぉーーーっ!!」」」」」





 徳川・千代は宝満城一帯の戦場に、キリヤ公国連合国軍が勝利したと告げる勝ち名乗りを上げる叫び声を上げていた。



 これを聞いた他の島津軍は、撤退行動に移りつつある様だった。





「申し上げますっ!!」と通信士も兼ねて居る伝令官が千代の下へと現れた。



「どうしましたですか?」



「立花山城の立花・薫・宗茂様は、上杉・剣信・輝清様が率いらて居られる軍勢が、救援に成功したとの事です。」



「それと井伊様達からは、救出対象たる立花・道雪さま、ご負傷っ!!」



「ええっ?!」



「寸での所で駆け付け所、敵将に槍で一突きにされ、かなりの深手を負われたとの事で、緊急搬送された新トウキョウ国防海軍の病院船で、緊急手術中との事です。」



「新トウキョウ国防軍の医師の見立てでは、道雪様の助かる見込みは・・・・・・・・・凡そ2割程度との事です。」



「そうですか・・・・・・・・」



「千代さま。」と心配そうな顔付きをする酒井・継美。



「戦に勝っても、目的の本懐を遂げられないとは・・・・・・・・」と千代は作戦目的を完全には達成が出来ずに、とても残念そうであった



「所でえ~岩屋城の方は、今は如何なってのぉ~?」と、その他の戦況も気に成った継美は、伝令官に現在の他の戦況具合を聞いて見た。



「はっ!高橋・運紹さまは、今現時点に措いても、最後まで抵抗をして居りますが、未だに島津軍との決着は付いて居らず、間も無くお味方の援軍が到着するとの情報が、キリヤ公国連合国の航空隊からの報告にて、参謀本部経由で此方へと届いて来て居りますが、果たして、それが間に合うかどうかは・・・・・・・・・・・・」





 立花家最後の救援対象の姫武将の一人である高橋・紹子・運紹への援軍の到着が、本当に間に合うかどうかは、運を天に任せるしか無かった。







マギアンティア世界統一暦・1555年・11月8日・午前11時43分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・第三連合地方・キリヤ公国連合国加盟国・アマテラス織田自治神皇国・大友家領・九州地島方・北九州地方・筑前国・宝満地方・宝満町から南西に13キロ地点にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 宝満城攻略作戦に失敗した島津軍の総大将は、残存部隊を纏めながら、2万5千人の手勢を合流する予定地点に集結させ、隈本城へと引き上げるべく、後続部隊の将兵達を待って居た。



「大将殿、徳川軍やキリヤ公国連合国軍らに、こっ酷くやられましたな?」



「全くだ。噂に聞く東国無双と名高い。本多・忠勝が居なかったから、我らは運良く多くの手勢が生き残れたのが、不幸中の幸いと言う物だ。」



 会敵した徳川軍の中でも一番に厄介な武将が居なかった事と追撃軍を上手く交わした事に、ホッとする島津軍の将兵達。



 彼らは戦で誰も居なく成った田畑と集落の近くの中に在る雑木林へと身を隠しながら辺りを警戒監視をしつつ、一息を入れても居る状況下で、其処を狙い澄ます者達が居る事に気が付いては居なかった。



其処へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「今ですわっ!」



「はっ!!」



「それえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」



「「「「「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーー!!」」」」」



 ブオオオオオォォォォォォォ――ーーッ!!と法螺貝が鳴り響くと、鬨の声と共に東側に隠れていた軍勢の旗が、突如として、別の雑木林と草むらの中から現れる。





「大将殿っ!!!アレは・・・・・・」



「一つは二つ引き紋、もう一つは赤鳥紋だとっ!!」

 

「それに彼の部隊の大将旗には、丸に梶の葉・丸に立ち梶の葉紋と左三つ巴っ!」



「と言う事は・・・・あのっ!!落ちぶれた、今川家の者共かっ!!」



「今川家?あの岡ヶ狭間の戦いで落ちぶれた事で、アマテラス中でも有名に成ってしまったと言う。あの今川義本の?何故、この九州島地方にっ!?」



「そんな事は如何でも良いっ!現れた軍勢は、凡そ三千人程度と見るが、腐って居たとしても、今川家の手勢だっ!並の大名王家軍とは訳が違う筈だっ!」



「はっ!!応戦しますっ!!迎え討てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」





「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」





 奇襲攻撃を受けた島津軍勢は、直ぐに応戦態勢を取るが・・・・・・・・・・・・





「流石は氏真さまっ!!相変わらず幸運だけは良い様ねっ!!」



「さぁて、お仕事よっ!!者共っ!旧主今川・鞠華・氏真さまが、囮をして居て下さるっ!」



「この隙に敵の横っ腹を突き崩すわよっ!!」



「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」





今川・鞠華・氏真が奇襲攻撃を加えた所に、更なる手勢である者達が現れた。



 右三階松紋と羽柴軍の瓢箪紋の旗を靡かせた松下・佳代・之綱軍は、羽柴軍の遊撃軍として、このアマテラス九州平定征伐連合国軍に参陣して居た。





「大将殿っ!北からも敵軍がっ!!」



「今度は遠江国の出来人っ!松下・佳代・之綱だとっ!!」



「あのもう一つの旗印は羽柴軍の旗ですっ!」



「松下・之綱は、織田家重臣の羽柴家の家老職の一人にして、羽柴・陽菜・秀良の師です。」



「くそっ!!これは厄介な手勢が現れたなっ!!!」 



「・・・・と言う事は、今川の小娘は囮かっ!」



 横っ腹を突かれた島津軍は、大混乱に陥り、総崩れを起こしてしまう。





 其処へ・・・・・・・・・・・・・・・・



「さぁ、仕上げぞっ!!此処で手柄を上げて、各国の国王陛下殿等への良きご報告を申し上げるのだっ!!!」



「掃部っ!」



「ははっ!!者共っ!掛かれええええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」



「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」





 毛利軍遊撃軍として動く、腹黒い備前狐と言わる宇喜多直家が5千人の軍勢と共に、南側から奇襲攻撃を仕掛けて来た。



 明石・掃部・全登が、宇喜多軍の先鋒隊を務め、島津軍へと攻め掛かり、半包囲が完成された。



「うぬぬっ!今度は腹黒い備前狐と言わる宇喜多直家かっ!!ええいっ!!此処は退くぞっ!退けいっ!!退けいっ!!退けえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーいいいぃっ!!!!」



 島津軍の大将は、此処で応戦しても損害を増やすばかりと判断し、予定通りに隈本城へと撤退する。



 この戦いで討ち取られ将兵達は、実に3000人前後と成ってしまう。



 その後も遊撃戦で活躍する事に成る今川・松下・宇喜多の三軍は、キリヤ公国連合国中央政府と勇治からは、特別な報酬が与えられる事に成った。

マギアンティア世界統一暦・1555年・11月8日・午前11時17分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・第三連合地方・キリヤ公国連合国加盟国・アマテラス織田自治神皇国・大友家領・九州島地方・北九州地方・筑前国・岩屋地方・岩屋町・岩屋城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 宝満城から更に南に7キロ地点に在る岩屋山に築かれた岩屋城は、大友家の西側地方の最南端の需要な軍事拠点であると同時に立花家が守る最前線要塞。



 此処に対キリヤ公国連合国軍先鋒軍司令官として、島津家・次女の島津・弘美・義広が10万人強の軍勢を率いて進軍を開始。



 近々援軍として参戦して来るであろうキリヤ公国連合国軍の先手を取ろうとして、大友家領国の立花家領・筑後国へと攻め込む決断をし、侵攻作戦を決行する。



 島津・弘美は、キリヤ公国連合国軍との戦争を膠着状態へともつれ込ませるには、この戦争の地政学上の急所でもある大友家から筑後国領主を任されて居る立花家を討ち破り、降伏させようとする作戦任務を担う事と成った。





 島津家・次女の島津・弘美は、10万人強の軍勢の内、彼女が直営で指揮して居る島津軍3万3千人を率いて、立花家の猛将とも勇将と言われる高橋・紹子が立て籠もる岩屋城を包囲して居た。



 島津・弘美は大友家の重臣の一人で、2強看板であり、疾風迅雷の如く敵を攻め入る事から風神と渾名されて居る猛将、高橋・紹子・運紹の事を尊敬して居た。



 武芸者にして、家臣達に慕われる人徳者であり、何よりも自分達島津家と長年戦い続けてきた勇将として力量を買って居たからだった。



 島津・弘美は合戦の開始前に、高橋・紹子に使者を送った。



 岩屋城を降伏しないままで良いから、城内に閉じ籠って居て欲しい。



 このキリヤ公国連合国との戦は、島津家の負けは分かって居る。



 この戦は島津家の意地の戦、高橋・運紹殿は無理せずに、やり過ごして欲しいと伝える。



 だが、弘美からの書状を受け取り読んだ紹子は、これを拒否した。



「島津・義広殿のお気持ち、有り難く拝聴しました。だが、この件は丁重にお断り申し上げるっ!!」



「眼前の敵を目の前にして、これを見逃したと在らば、我が主たる大友・須江・奏麟さまが君主と仰ぐ織田殿、そして引いては、その織田殿が盟主と仰ぎ、婚約者と成られる予定の桐谷勇治陛下への立花家の忠義が疑われるっ!!」



「例え岩屋城の将兵達と共に尽く討ち死にしようとも、武門の家に生まれた姫武士として、戦場にて貴殿と相対果たさんっ!!高橋・紹子・運紹・・・・・・」





 達筆で書かれた返書の書状を受け取った島津・弘美は天を仰いだ。



「敵であれ、味方であれ、我ら頑固者は、何所までも意地と筋目を通すのか・・・・・・・・・・・・・」



「あたしは、あの九州で最も尊敬し居る武人である高橋・紹子・運紹殿を・・・・・・本当に惜しいと思えるあの人を、討たねば為らないのかっ!!」と陣中内で、嘆き悲しみながら叫んだらしい。





 

 島津・弘美と高橋・紹子の両者は、翌日の11月5日・午前10時に開戦。



 それから3日余りの激しい激闘の日々を過ぎて行った。





 そして、遂に島津・弘美軍は、本丸を落とす寸前まで紹子を追い詰めて居た。



 弘美は此処で再度、降伏の使者を送るが拒否されてしまう。



 その日、マギアンティア世界統一暦・1555年・11月7日の夜の岩屋城・本丸御殿内では・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「さぁ、飲め飲め飲めえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」



「城に残った最後の酒だっ!!」



 紹子は最後の酒盛りと称して、城に残って居た僅かな酒を振る舞いどんちゃん騒ぎを家臣達にさせて居た。



「ふっ、雪花。悪いがわたしは先に逝く。不器用でクソ真面目な人生だったが、悔いは無いぞっ!!」と盃で天を仰ぎつつ、明日、己は精一杯戦って天下泰平の為に死ぬのだと決意する。



 彼女が最後まで抵抗した時間が、キリヤ公国連合国側と主家である大友家を有利にするからだ。



 紹子は不思議な気持ちでいっぱいだった。



 敵からも味方からも惜しまれて居る事に・・・・・・・・・・・・・・・・・



「我、太平の世、築かんが為、その人柱の華たらんっ!!」



 この戦いでアマテラス神皇国の九州島地方の戦乱が終わる。



 その為の人柱となるべく、明日は力限り戦う腹を決めた紹子であった。





 翌日・・・・・・・・・マギアンティア世界統一暦・1555年・11月8日・午前9時のこと。



 

 島津・弘美は、降伏勧告をしても、尚も頑強に抵抗し続ける高橋・紹子・運紹を討つべく、最後の合戦を仕掛けようとして居た時である。



「総員っ!!突撃っ!!岩屋城を攻め落とせえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」



「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」と島津軍の将兵達の雄叫びが木霊する。





「簡単に通すなっ!!迎え討てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」



「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」



島津軍を迎え撃つべく、高橋家の将兵達の雄たけびが木霊する。



 岩屋城本丸へと総攻撃を仕掛けて来る島津軍は、なりふり構わず、最後の城壁を攻め破らんと、大群で押し掛けて行く。





「「「「「うわあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」





「「「「「うわあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」



「「「「「うわあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」



「「「「「うわあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」





「「「「「うわあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」



「「「「「うわあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」



 怒号が飛び交う戦場に、足軽歩兵達から長槍を構え突き合い顔を突き合わせた所では、槍と刀の鍔迫り合いによる金属音がぶつかり合う。



 両者は必死に戦い合い、何方かが死ぬば、何方が別の相手と戦う。





 その激闘は、その日のお昼近くまで続けられ、一向に決着が付かずに居た。



 高橋軍の者達は、主家と主君の為にと、必死の抵抗をして来るので、流石の豪傑揃いで知られる島津軍の猛者たちも下を巻き、疲弊も見られて来て居た。



 そんな時である。





 岩屋城を取り囲む島津・弘美軍の北東方向の背後から、突如として現れた新手の集団が、島津軍に襲い掛かる。



「オラオラオラァ、調子に乗ってじゃねえぞっ!!コラアアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」



 現れたのは赤い鬼の半お面と鬼兜を被った姫武将であった。



「鬼だぁっ!!鬼が出たぞおおおおぉぉぉぉぉーっ!!」



「鬼って家の姫様じゃなくてかっ?」



「そんな生易しいもんじゃねえっ!!」



「あれは悪鬼だあああああぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」



 突如として現れた鬼武将と鬼の軍勢の出現に、島津・弘美軍は大混乱と成ってしまう。





「鬼?」と背後に目をやる弘美。



「オラオラオラオラオラオラァっ!!」



「あっ!!あれはっ!!あの旗印はっ!!」



 弘美は扇に月丸の旗印を見て、ハッとした。



「鬼佐竹っ!!関東の鬼姫武将っ!!佐竹・秋江・重義だと!?」



「たしか、奥州動乱後に伊達家に降り、当主の座をご息女に譲って、今はご隠居して居る筈っ!!」



「如何して、此処にっ!!」

 

 弘美は聞きかじった程度の噂話から佐竹・秋江・重義の事を知って居た。



 秋江は鬼佐竹の勇名を奥州から関東に至るまでに轟かせた猛将である。



 その勇名は、どうやら遠くアマテラス神皇国の九州地方にまで轟いて居た様である。



「ヒヤハハハハハッ!!どうしたッ!!どうしたっ!!肝っ玉を付いてんのかオラアァァァァーーーーーーーーーッ?!」



「化け物がっ!!」



「弘美さまっ!!北西方向から小勢の軍勢がっ!!」



「今度は何所の誰よっ!!」と北西側を見る。





「勇治陛下と家康さまからのご下命で御座るっ!!」



「島津の者共を粉砕せよっ!!」



「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」



「本多・八重・忠勝っ!!いざ参るで御座るっ!!」



 僅か500騎の手勢で突っ込んで来たのは、アマテラス神皇国の東国地方でも勇名を届かせて居る東の古今無双の勇士、又は東国無双と謳われる本多・八重・忠勝である。



 この者は毘沙門天の加護などと言うチートスキル持ちの上杉・剣信・輝清とは別に、愛用の得物である蜻蛉切なる大槍で敵を数百人くらい、彼の一騎当千ゲームとして有名な戦国無双ゲームの如く吹き飛ばす。



「本」の字が刻まれた旗印を背に付けた本多・八重軍が、岩屋城を包囲して居た島津・弘美軍の横腹を西回り突っ込みながら突いて来た。



「今度は東国無双ですって?!なんて出鱈目な強さなのっ!!」と弘美は、旗印とその武勇振りを見て、何所の誰かを言い当てる。



 流石の彼女も東国無双と謳われる本多・八重・忠勝の名を知って居た様だった。



 その本多軍は、槍先に触れた島津軍の者達を意図も簡単に吹き飛ばして行く。





「あっ!あの本の字と巨躯の大女は・・・・・・・・・・」



「間違いねぇ、アレが噂に聞く本多忠勝っ!!」



「ひええぇぇーーっ!!忠勝だあああぁぁっ!!」



「東国最強の大女が来たあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」





「今度は本多・忠勝かよっ!!」



「トンデモナイ強さだあああぁぁっ!!」



「ひええぇぇーーっ!!お助けえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」



 規格外の強さを誇る猛将が現れ、混乱を来してしまう島津・弘美軍の者達。



 しかもその相手が、東国無双と謳われる本多・八重・忠勝と知って更に恐れ慄き恐怖する。





其処へ更に援軍が駆け付けた。



「先の立花山城じゃ、急いで居たから名乗り損ねたっすっ!!」



「剣信さま。久々に上杉家が出揃いましたから、何時ものアレ、行きますか?」



「うん。やろうかっ!!」



 ノリの良さそうな感じのショートカット風の武将と、とてもけしからん巨乳を持って居るぱっつんな前髪と超ロングヘアーをして居る武将。



 メガネを掛けた無口でクールで怖そうなベリーショートヘアーの武将とウサ耳風の髪飾りを付け、ツインテールを結った黒髪を靡かせ、真っ赤な武者鎧で現れたスレンダーな女の子。

 

 剣信の横にはショートヘアーで、スレンダーだがとても鍛えられた肉体美を持った剣客が控えて居た。



 それらの姫武将等が、剣信を取り囲む様にして、島津・弘美軍のから良く見える高台に現れる。



 この者達は、元上杉家の二枚と言うか四枚も在る看板姫武将である武の柿崎・咲良・影家と采配の直江・秋乃・景綱。



 そして、剛の甘粕・竹深・影持と知の宇佐美・宇佐・定満。  



 更には剣信の護衛衆筆頭で、斬撃の小島・弥嶋・貞興。



 何れも上杉・剣信・輝清の名の下に、越後国周辺で勇名を轟かせた名将達である。



 剣信が毘沙門天の御告げを聞き、それら従ってキリヤ公国連合国へと出て行く事に成り、後身に道を譲って剣信と共に第一武士団へと入った名将達。



 直江・愛華・兼継及び大国・七恵・実頼の双子姉妹も共に居る。



 因みに愛華と七恵の二人は、親戚関係の在る直江家と大国家に養子に出された姉妹で、元は樋口家の出である。



 愛華と七恵の二人に取って直江・秋乃は、母方の姉叔母に当たる。



 秋乃には子供無く、妹の娘を養子に迎える事でお家の存続を図ろうとして居た。

 

 



「島津の者共よっ!よーく見るが良いっ!!」



「やあやあ、戦場に翻るのはアマテラス神皇国地方が御神が主神たるアマテラス大日太陽神の紋所に、軍神・毘沙門天の旗印っ!!」



「我らに主神アマテラス大日太陽神と軍神・毘沙門天の加護あらん事をっ!!」





「もひとつっ!!オマケにっ!!龍神・不動明王神の懸かれ乱れ龍の旗印っ!!」



「我らに龍神・不動明王神の加護が在らんことをっ!!」



「アマテラス神皇国の神々よ、勇猛果敢な我ら上杉家の戦い振りをご照覧あれっ!!」



「此処に居わしますのは、アマテラス神皇国越後国地方の軍神・毘沙門天の御使いにして、龍神・不動明王神の加護を受けし御方っ!!」



「旧足柄幕府・関東甲信越地方管領職にして、今はキリヤ公国公王で在らせられる桐谷勇治陛下の直臣にして、キリヤ公国武士軍団を統括する総軍団長兼第一武士軍団の軍団長である上杉・剣信・輝清さまである。」



「この威光と武名に恐れ慄かない我こそはと想う者の在らば、堂々と我らに掛かって来るが良いっ!!」



「上杉・剣信・輝清さまっ!!のご出陣であるっ!!」



「キリヤ公国連合国・第一武士軍団っ!!」



「上杉独立自治北陸藩王国軍っ!!」



「「上杉の名を頂きし両軍の精鋭達よっ!!桐谷勇治陛下と剣信さまの御威光に歯向かいし者共を討つべしっ!! 」



「総員っ!!掛かれえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」」





「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」



「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」





 キリヤ公国連合国・第一武士軍団と上杉独立自治北陸藩王国軍らは共に上杉家に仕えて居た者達であるからして、その連携力は言わずもがな。



 諸事情在って、二つに別れて居た先輩と後輩の上杉軍が共に島津・弘美軍へと攻め掛かる。

 



「今度は越後国の軍神・越後の龍と謳われる上杉・剣信ですってっ?!」



「一体、何なんよっ!もうっ!!」



「オマケに分裂した熟練の旧臣と若手の直臣と両方揃いも揃って、供に仕掛けて来るなんて、なんて面倒くさいっ!!」



 島津・弘美軍は、完全に包囲されつつある。



 其処へ佐竹・秋江・重義を総大将とする第六連合国軍・奥州独立自治王国・下野国州軍が島津・弘美の居場所を突き止め、突っ込んで来た。



「真壁っ!!下野衆のガキどもの世話を任せたっ!!」



「承知っ!!」



 真壁・光久・氏幹と言うのは、青鬼面を付け、棍棒を振り回す姫武将、又の名を鬼真壁と言う猛将にして、佐竹・秋江・重義の直属の姫武将として知られて居る。



槍術・棒術等の武術に優れ、一時は加嶋町に道場屋敷を構えて居た、加嶋神道流の開祖にして、アマテラス皇国で一番の剣豪として知られて居る塚原・伝江・朴伝にも師事を受けて居た。



 黒髪ボブロングヘアースタイルの鋭い眼光を持った風貌に、途轍もなく鍛え上げられたボデイスタイル。



 筋肉質な身体付きをして居るが、女性らしいしなやかな見た目も整い持ち合わせて居る。



 性格は気さくで大雑把だが、決して脳筋頭な人物では無く、戦場の中でも細かな指揮差配が出来る人物である。 





 その真壁の指揮下に置かれた下野の国衆達の旗印が島津・弘美の直営隊と激突する。





「ヒャハハハハハハハっ!!小娘っ!!覚悟は良いかっ!!」



ガキイイィィーーーンッ!!と槍同士の刃が激突する。



「ぐううぅっ!!重いっ!!」と弘美はベテラン武将の槍の一撃を受け止め、その格の違いを思い知らされた。



「御免っ!!てりややややややゃゃゃゃゃゃゃゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」



「ちぃっ!!」



 弘美は本多・八重の攻撃を上手く避けた。



「はぁはぁはぁはぁ・・・・・・危なかった。下手をすれば首どころか、このあたしの身体は、真っ二つなんて生易しい物なんかには成らず、粉微塵に粉砕されてしまって居た所だった。」



「うむ。今の避けたの正解だったで御座る。」



 そう、八重は首を落とす積りで蜻蛉切を斬り付けて来たのであったが、八重の攻撃力は在り過ぎるので、下手をすれば粉微塵に成り兼ねない所だった。



「おうおう、東国無双の小娘。この私の遊び相手を取る気か?」



「いや、その鬼島津殿の実力は、拙者の足元にも及ばずで御座った。」



「見どころは在れども、拙者はこの戦で島津本家の方々に対して、やり過ぎるなと家康さま始めとする方々からキツく申し渡されて居るで御座る。」



「鬼佐竹殿のお遊びを邪魔すること等をするほど、拙者は其れほど無粋では御座らぬ。先ほどは鬼島津殿の力量を試さんが為に、武人として斬り付けて見たまでのこと。」



「ちぃっ!!小娘が言ってくれるねぇ・・・・・」と面白くないと言った感じに悪態を付く秋江。



「拙者が加勢すれば、勝負は一瞬ゆえ、それでは佐竹殿を含めた方々には面白くないと承知して居ります。」



「それ故に此処は、周囲の掃討戦を引き受けさせて頂くで御座る。」



「然らば御免で御座るっ!!」と馬を翻して、旗下の手勢と共に立ち去って行く八重。



 

(くっ!!悔しいが、私の方がやや若いし、それに生まれ持った武人としての天賦の才能も違い過ぎる。)



(貫禄と才能によるどうしようもない実力差に由る負け。)



(たった一撃を喰らわせだけで、私の才能を見抜くなんて、流石は東国無双と言われるだけ事は在るわ。)



 東国無双・本多八重に、今の自分の実力では、相手にすらして貰えないと悔しい想いをさせられる弘美。



其処へ更にキリヤ公国連合国の手勢が現れる。



 ドドドドドドドドドっ!!と騎兵の蹄と歩兵隊の駆け上がる足音と共に、中結祇園守の紋所の旗印がはためく軍勢が参着する。



「紹子姉さまああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」





 キリヤ公国連合国の援軍を受けた立花家、その居城である立花山城を最後まで奮戦して守って居た立花・薫・宗茂は、態勢を整えて、立花家一族の若手最年長である高橋・紹子・運紹を救わんと3千人の手勢と共に駆けつけやって来た。



「報告っ!!新たな敵勢は、立花軍の模様っ!!」



「ちぃっ!!立花軍と言う事は、宝満城に押し込め包囲されて居る筈の道雪が、此処に来るのは無理な筈。恐らくは宗茂の奴ねっ!!」



「・・・・と言う事は、この作戦は失敗よっ!」



「全軍、隈本城まで撤退っ!!この筑後国での戦は、完全に我らの負けだっ!!」



「退けっ!!退けっ!!退けえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」



 

 島津・弘美は立花・薫・宗茂が岩屋城へと現れた事で、立花家の守りし各居城に援軍が間に合ったと悟り、自らの推し進めて居た作戦の失敗を悟って旗下の軍勢に対して、南へと撤退を命じた。



 一方その頃、岩屋城に駆け付けた吉川・春美・隆春と吉川軍5千人は、城内戦を繰り広げて居た島津・弘美軍と交戦する。



 500名の高橋軍は、必死の抵抗をしつつ、本丸へと追い詰められて居た。



「高橋の姉貴っ!!無事かあああああぁぁぁぁぁーーーーっ?!」



「はぁはぁはぁはぁ・・・・・・」



「うるさいわね。こんな忙しい時にって・・・・・・アレは?」

 

 紹子が天守閣周辺で戦って居ると、勢い良く駆け付けて来た一団の中に、取り分け目立つ、小柄で背が低いお胸がペッタンコな貧乳の女の子が駆けて来て居た。



「毛利家の吉川・隆春?」





「おうおう、よくもようけえ姉貴の庭で好き放題しちゃくれたじゃけのう。」



「死ぬ覚悟は、出来とるじゃけえねっ!?」



 春美の目はヤクザ映画に登場する組員の目付と変わらない怖さで敵を睨みつけた。



「一人残らずブッ叩きの刑にしちゃるけえ、覚悟せいやああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」



猛将吉川の異名を持つ春美は、高橋・紹子を取り囲む島津軍の手勢に襲い掛かる。



「まさかお前が来るとはな。」



「2年ぶりじゃけな。」



「お互いに敵だったり、味方だっりと、色々と在ったけれど・・・・・・」



「今回でそれも終わりじゃけぇ、これからはずっーーーーと味方で居られじけぇね。姉貴っ!」と、ニコッと笑う春美。



「アハハ!違いない。」



「宗茂の奴も連れてきちょる。後で褒めてやれじけぇね。」



「そうだな。」



 この二人、合流するとあっと言う間に島津軍を蹴散らし、岩屋城の態勢を立て直して、一気に打って出て来たと頃で、この辺り戦線での戦いの決着が付くのであった。