キリヤ公国英雄戦記物語

マギアンティア世界統一暦・1555年・10月27日・午前10時13分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・第三連合地方・キリヤ公国連合国加盟国家・奥州独立自治王国・北アマテラス北方三方列島地方内・北海島国州・海南地方・八雲平原地帯及び赤淡半島沖海上と中浦湾沖合にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 キリヤ公国連合国反乱軍鎮圧派遣軍作戦本部は、敵に止めを刺すべく陸海空から成る航空隊戦力に攻撃を命じる。



 ナデシコ軍・ビクトリナ軍・新トウキョウ国防軍の三軍から成る2万人の各種特殊型兵器大隊(ロボット軍)。



 航空戦闘機隊、爆撃大隊、空挺団等の軍勢を含めた陸海空の航空隊から成る部隊が、南部三方向の空からアイヌル反乱軍へと迫る。



 ナデシコ自治統合空海軍にて運用が始まった第二次世代型戦闘機であるF-1支援戦闘機。



 これは勇治の故郷である日本国で使用されて居た同型機を空母でも使用が出きる様に、改良設計した機体を勇治のゴットタブレットを用いて製作を決定。



 勇治は最初のプロトタイプ30機と設計図と各種部品類と加工機械類をナデシコ地方自治州区内の軍需産業関連会社へと納入して居る。



 今もこの戦闘が行われて居る間も量産が続けられて居る



 これによりゼロ戦部隊および艦攻戦闘機部隊は、ナデシコ陸軍の陸上兵器共々同盟国であるガリアナ王国とオルトランタ商業連合国へと売却されて居た。



 その一部は機械化の歴史を後世に伝える為の資料としての保存機体として、国内の軍の倉庫や博物館等へと仕舞われる予定だ。



 これら売却した装備の運用する為に、ナデシコ自治統合軍から定期交代で教官まで派遣される保証付きである。



 キリヤ公国連合国の同盟国である2ヶ国は、これを機に国内や国軍を一気に近代化が進む事に成って行く切っ掛けに成るだろう。



「こちら作戦本部より奥州独立自治王国空軍・館箱市空港基地へっ!!」



「基地内にて待機中のキリヤ公国連合国反乱軍鎮圧派遣空軍の各航空部隊へ、作戦を最終段階へ移行する。」



「待機中の航空隊の各隊は、直ちに発進せよっ!!」



「各空母機動部隊の航空隊へも同じく発進せよっ!!」



「「了解っ!!」」

 

 キイイィィーーーーンとエンジン音を響かせて、館箱市空港基地と空母艦隊の滑走路から戦闘機と大型飛行機の各機。



 格納庫からビクトリナ軍のモビル・アイゼン隊フライヤーパック使用タイプの2万機。



 量産型マイカ・カイザー隊に所属する二千機の特機部隊が、発進態勢へと移行する。



 ビクトリナ軍が誇る量産型ロボットであるモビル・アイゼンは、ビクトリナ南洋大戦を経て、ドラリュウス帝国・マギウス・ギアース王国と言う列強国を仮想敵国とした防衛体制の構築を急いで居た。



 その国防政策の一環で、勇治のゴットタブレットを使用して、量産工場を拡充しつつ、更にはキリヤ公国本国に在るような秘密地下基地も増設して居た。



 更には、その地下工場内でのモビル・アイゼンの量産を急いだ事に由り、僅かな時間で3千機の体制から、ビクトリナ王国の本国の数に迫る五万機もの配備体制への構築に成功して居る。



 何れはキリヤ公国連合国の全土に機体を回せる体制を目指すと、ジェシカは豪語して居るらしい。



 それと量産型マイカ・カイザーは、合体機構を無くした特機型ロボットの量産型事だ。



 主にビームライフルを主兵装とし、ミサイルとガトリング砲、ロケットチェーンナックルと言った武装が付けられた居る量産型のスーパーロボット。



 神宮寺重工業がブレイブ・ガード・フォース隊の隊員向けと国防自衛軍向けに量産した機体である。



 現在の配備台数は生産配備が始まったばかりと言う事も有って、その数は4000機と少ない体制に成って居る。



 それは何故かと言うと、次回生産する直前に、新トウキョウが異世界転移をしてしまった為に、第二時生産が中止に追い込まれて居た。



 しかしながら、今度はキリヤ公国連合国が、新トウキョウの筆頭融資先に成ると公言して居るお陰で、第二生産分である4000機の機体の生産が開始され始めて居る。



 そんな未来技術の塊たるロボット軍部隊が、アマテラス北地の大空を舞って、敵地へと突入して行った。



「こちらキリヤ公国連合国反乱空軍・鎮圧派遣連合爆撃大隊、目標地点へ到着。攻撃を開始する」



「ビクトリナ空軍・航空モビル・アイゼン隊も同じく。」



「新トウキョウ国防空軍・特機航空隊も同じく。」



「ナデシコ自治統合空軍及びキリヤ公国航空隊も同じく。」



 反乱軍鎮圧派遣空軍に所属する全部隊は、手持ちの火器を総動員して、空爆・空襲を開始した。



 ヒュウウウウウーーーーーーーーーっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・と爆弾の雨が降り。



 キイイィィィィィィィィ―ーーーーーーーンっ!!と急降下によるエンジンを響かせての空襲で、機銃掃射やビーム光線、ミサイル等の空襲を受ける敵地。



 ガッシャーーーーーンンっ!!・・・・・・・ズダダダダダッ・・・・・・・ドカドカドカドカドッカーンっ!!



 量産型マイカ・カイザーに由るガトリング砲とミサイルの乱射は圧巻の一言に尽きるほどに、敵を容赦なく討ち取って行った。





「けほけほけほけほっ!!」





「くそっ!!卑怯な事はがりしやがってっ!!」





 コシャマンベ集落の出身者にして、アイヌル民族解放血盟団の創設者であるオガル・カレット。



 彼は有り得ない程に強過ぎるキリヤ公国連合国軍の強さに悪態を吐くが、それは全くの無意味な事であった。





「卑怯だと?オガルっ!!そろそろいい加減に気付いたらどうだっ!!」





「気付く?何をですかっ!!」





「キリーヤーズもアマント人達も、我々より優れて居るとなっ!!」





 北海島の最も古いアイヌル民族の族長の血統を持ったアイヌル民族、シャッコロ平原に住まうシャッコロ族の族長シャマラン・コシャンは、バカ者達であるアイヌル民族解放血盟団の幹部達を怒鳴り付けた。



 彼は事を決するのには、そろそろ頃合いと見て、馬鹿者達に現実を突き付けた。

 



「そん訳が無いっ!!」



「あいつ等は簒奪者で、俺達や他の地域の弱者連中から富を吸い上げて、奴隷として扱き使って楽な暮らしをして居るだけの奴らだっ!!」



「そんな事は有り得ないっ!!きっと単にズルをしているだけで・・・・・・・・・・」



 パンと大きく叩く音が響く。



「いい加減にしろっ!!貴様のっ!!いや、貴様らを含めた過激派と過去の因縁と嫉妬に囚われたアイヌル民族解放運動派閥のせいで、今日までに一体何人死んだっ?」



「それは奴らと戦って、我がアイヌル民族の誇り名誉を守り、簒奪者共に勝つ為にっ!!」



「バカ者がっ!!今日までに、この争乱で戦士として死んだ者の数は、優に7万人を超える。」



「そして、その家族と親族も含めると今日までに死んだのは、12万人を超えるのだぞっ!!」



「今も無意味に、何故死ななければ為らないのかさえ知らずに、更に死に続けて居る。」



「この事を勝つ為に、誇りと名誉の為にだと?!ふざけるなっ!!」



「貴様ら思い込みと復讐心と嫉妬心為に、どれだけの死人を出す気だ。」



「貴様ら聞き付けた噂話の全てが出鱈目だと、何故気付かない。」



「我々が聞いた話が全て出鱈目等とは、馬鹿な事を仰る。全て確かな・・・・・・」



「だったら織田軍は、何故キリーヤーズ軍と供に居る?足柄王の旗は何故向こう側に立って居る?」



「それだけでは無いぞっ!!」



「殺し合い憎み合って居ると噂されて居るメイルシュールフラーッド軍とフェーリース軍の両国の軍勢が、何故、轡を並べて戦って居るのだ?」



「その他に伝え聞く噂話は、我が集めた情報筋と照らし合わせると、出鱈目ばかりの話だったのたぞっ!!」



「シャマラン様は、どうして、その様な話を・・・・・・・・・・」



「ふっ、貴様らを抑え込むためよ。」



「えっ?!」



「ワシはな、この様な大騒ぎを早う沈めたいが為に、アイヌル民族解放血盟団に入り、お前達幹部を御さなければ、戦火はあっと言う間ににアイヌル民族と唐太島・万年島列島・北海島の全部を呑み込むだろう。」



「・・・・・・・・・・・」



「良いか?この度の武装蜂起は、彼のコシュマイン乱の時の犠牲者を優に超える数を、たった3ヶ月で足らずで出したのだっ!」



「お前とその仲間達は、その責任を敵に押し付け、今と過去の怨み言を並べるだけで、我らの未来の事すら言えぬ。」



「そんな者達に、如何して民族解放の未来と誇りを語る事が出来るっ!」



「しかしっ!!」



「しかしだと?!だったら、お前はっ!お前たちは、これから如何したいっ!!」



「・・・・・・・・」



「言えぬか?何故言えぬか、この我が言ってやろう。」



「それはだな。お前達を含めた我らアイヌル民がな、学が無いからだっ!!」



「そそっそんな筈はっ!!」



「悔しいが、我らには無いのだオガルっ!!我らに何故学が無いのか?それは簡単な事だっ!!」



「口伝と壁画絵図ばかりでの風習文化が主体の我らに、文字が発明され無かった。」



「そのせいで、本で分かり易く永続的に誰でも覚えられると言うやり方が、産まれなかったのだっ!!」



「その方法をアマント人や他の大陸人達は発明し、それが長い長い時を経て、南から渡って来た時に、我らはその文化を拒んでしまった。」



「それは当然の・・・・・・」



「そうだ。其処で我らは学ぶ事を止めてしまい。目を逸らした。」



「それがそもそもの間違いの始まりだ。」



「もし、アマント人の文字でを受け入れて居れば、今よりはもっとマシな時代を迎えて居た筈だ。」



「もしかしたら北海島より北国には、我らの国が出来て居たやも知れん。」



「国を作り上げるのに大事な要素の一つとして、絶対に必要な最初の発明は文字だ。」



「文字が無ければ共通の考えと思想は無い。」



「例え民族が四散したとしても、文字を書き記した本が離散して居た子孫達が持って居れば、どんな時代が来ようとも誰でも民族の復興が叶うのだ。」



「分かるか?我々はアマント人にも、キリーヤーズ人達にも、況してや世界中の他民族達に蔑まれて居るのではないし、負かされて居るのでも無い。」



「最初から我々が負けて居るから、何処の人々にも勝てないのだ。」



「その事に誰も見向きも、気付こうともしないから、我々は同じ事を繰り返す。」



「ですが、そんな恥さらしは我々の・・・・・・」



「何処の誰に教えを乞う事は、決して恥では無い。」



「身内だろうと他人で在ろうと同じであろう?それが同胞で有っても異民族で在って違いは無いのだ。」





 ヒユユユユュュュュュュュュュュュュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーー・・・・・・・・・



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「さぁ、どうする?我の言いたい事は言った。後は若者たちが如何したいかだ。」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」オガルは暫し思考する。



「・・・・・・・降伏します。」



 そして、オガルは、シャマランに諭され、悔しがる顔付きをしながら、降伏の言葉を口にする。



「そうか・・・・・・・」とシャマランは安堵の言葉を述べるに留まる。



「「「「「ううっ、ううううっ・・・・・・・」」」」」とすすり泣く幹部達。





 アイヌル民族解放血盟団の創設者であるオガル・カレットと幹部達は、ようやく取り返しのつかない事をした事に、ようやく気が付いたようだ。



 彼らが渋々降伏を決めた丁度その頃。



 キリヤ公国連合国反乱軍鎮圧派遣軍の連合空挺団の降下部隊と揚陸部隊、そして陸軍の前進が開始され、包囲網が此処に完成した。







 マギアンティア世界統一暦・1555年・10月27日・午前14時19分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・第三連合地方・キリヤ公国連合国加盟国家・奥州独立自治王国・北アマテラス北方三方列島地方内・北海島国州・海南地方・八雲平原地帯及び赤淡半島沖海上と中浦湾沖合にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 



 キリヤ公国連合国反乱軍鎮圧派遣軍側が戦線の整理の為に、一時的に攻撃を停止して居た時の事である。



 白旗を持ったアイヌル民族解放血盟団の者達が、キリヤ公国連合国軍側へと手を上げて現れた。





 それとは別に、降伏が始まる少し前の事である。



 故郷の集落を飛び出した少女は駆けていた。



「父様っ!!間に合ってっ!!」父を止めようとトゥクルは馬で駆けて居た。



 しかし、そんな彼女に絶望的な光景が広がり、父シャマランが居る地点付近を中心にして、陸海からの砲撃と陸海空軍による空襲が行われて居り、空挺部隊の降下部隊がパラシュート降下で、地上に向かって飛び降りて来ていた。



 ヒユユユユュュュュュュュュュュュュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーー・・・・・・・・・



ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドッカーン!!!



ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドッカーン!!!



ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドッカーン!!!



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カドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドッカーン!!!



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ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドッカーン!!!



「ヒヒーーーンッ!!」





「きやっ!!」





 

 そんな中で一際大きい砲撃と爆撃による衝撃と爆発音が響き渡り、突然の事で馬が怯んで脅えて立ち止まってしまった。



 トゥクルは落馬したが、怪我は打撲程度で済む。



「痛たたっ!!ううっ、こんな所で立ち止まって居る場合じゃ無いのに・・・・・」



 ブロロロロッ!!エンジン音を響かせて茂みを押しのけて現れたのは、74式戦車へと装備更新を終えたばかりのナデシコ自治統合陸軍の第一機甲化師団である。



 第一戦車隊30両が、キリヤ公国陸軍の10式戦車隊の30両と共に現れた。



「栗林武美大佐殿っ!!」



「ふむ。どうやら逃げ遅れた者らしいな。」



「その様です。それに落馬をした模様です。」



「よし、衛生兵っ!!」



「はっ!!」



「その怪我人の少女を見てやれっ!」



「了解しました。」



「その者の手当てが終わったら、乗って居た馬共々安全圏まで後送してやれっ!」



「はっ!!」



「では我々は引き続き敵包囲網の形成を急ぐぞっ!!」



「15時過ぎまでには、北西の第二揚陸部隊と合流するのだっ!!」



 ナデシコ自治統合陸軍のナデシコ第二地方面隊司令官である栗林武美大佐は、偶然にもシャッコロ族の族長シャマラン・コシャンの一人娘であるトゥクル・コシャンを保護する事と成った。





 それから更に時刻が進み、その日の17時にアイヌル民族解放血盟団は、キリヤ公国連合国に対して、完全に降伏したのだった。



 翌日の午前8時、奥州独立自治王国軍を先頭にしたキリヤ公国連合国軍は、一斉に北アマテラス北方三方列島地方である唐太島国州・万年島列島地方国州・北海島国州と、それに属する島諸島地域へと上陸する。



 そしてその後、同各地方はキリヤ公国連合国と統治権を持った奥州独立自治王国の完全な統治下に置かれる事に成った。



 アイヌル族長連合会に属する全アイヌル民族達と部族長達は、代表団をシャッコロ平原で出迎える。



 彼らはこの度の内紛に対する誠意ある謝罪とキリヤ公国・公王桐谷勇治をアイヌル民族の宗主国王として認める。



 同じく奥州独立自治王国伊達・藤枝・政実奥州王も、自分達を直接統治する地方王として認める事を宣言した。



 かくして、これにてアイヌル・シャッコロ・北地の反乱と後に呼ばれる事に成るキリヤ公国連合国の初の内乱は、此処に終焉を迎えるに至ったのであった。
マギアンティア世界統一暦・1555年・10月28日・午前9時23分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・第三連合地方・キリヤ公国連合国加盟国家・奥州独立自治王国・北アマテラス北方三方列島地方内・北海島国州・海中央地方・シャッコロ平原・アイヌル民族集落・シャッコロ集落村にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



勇治を始めとするキリヤ公国連合国反乱軍鎮圧派遣軍と、その軍幹部達がシャッコロ平原のシャッコロ集落村に集まり、戦後処理に当たって居た。



 アマテラス北方三方列島地方である唐太島国州・万年島列島地方国州・北海島国州と、それに属する島諸島地域には、キリヤ公国連合国軍の連合駐留軍基地と行政官舎がゴットタブレットにより建物が立てれらる。



 今後はキリヤ公国連合国式の統治が行われて行く事に成った。



 アイヌル民族解放血盟団による反乱内戦勃発により、アイヌル民族側が被った被害は、戦死者と戦災死者を併せて15万人以上にも上る。



 これは100年前の争乱であるコシュマイン乱を優に超える犠牲者を出して居る。



 それも今回の主な犠牲者は、アイヌル民族側の一方的な被害を被って居た。



 戦後処理の一環でキリヤ公国連合国中央政府は、戦後復興保証はするが、謝罪はしないと言う立場を示して居る。



 被災者であり反乱首謀勢力側でもあるアイヌル民族達は、キリヤ公国連合国中央政府に対して、あらゆる謝罪交渉を一切しないとして居た。



 アイヌル民族側が交渉をしないのは、キリヤ公国連合国側が施す戦後復興保証が莫大な額と物量で在るからだった。



 提示されて居る保証が莫大な物であるから、不満を漏らす理由も無く。



 身内の暴走を止められなかった自責の念から、戦後復興保証に関して必要以上に争う必要も無いのであった。



 アイヌル族長連合会の族長達は、シャッコロ集落村の主の居ない族長館で、自分達の宗主国王と成った勇治を出迎えた。



「この度は身内の不始末に、お手を煩わせて誠に申し訳ございません。キリーヤーズ公王陛下。」



 アイヌル族長連合会の最長老であるオキナ・カムリは、誰よりも先に進んで勇治の前へと進み出て首を垂れて見せた。



「僕こそ、この度の争乱でたくさんの人達を死なせてしまい申し訳ありません。」



「いえいえ。元はと言えば、我々の不出来な習慣が招いた事。」



「これからは伝統を大事にしながらも。新しい事を積極的に取り入れて参る所存で御座いまする。」



「では、僕からの最初の提案です。」



「唐太島国州・万年島列島地方国州・北海島国州を治めて行くに当たり、中心的な土地にアイヌル民族と北方三方列島地方の伝統的な地名を公式名としたいのですが。」



「おおっ!!それは嬉しい限りですっ!!」



「新たな統治者たる陛下が自らが、そう仰って居られたと言う事は、各部族同胞達も好意的に受けて貰えましょう。」



 勇治は故郷である日本の北海道の名付け親である松浦武四郎の前例に倣って、北方三方列島地方の各地域の公式地域名を、アイヌル民族の独特の発音に倣った形の地名を付ける事を政策の手始めとした。



 何故、単なる名前決めが大事なのかと言うと、部族に古くから伝わる言葉や名が公式に残ると言う事は、相手を尊重して居ると喧伝が出きるからである。



 これは何所の世界・国でも用いられる同化政策で、日本でも沖縄と北海道でも取られた明治期の政策でもある。



 まぁ、何でも最初は形からと言う訳だ。



 これによりアイヌル民族はキリヤ公国連合国の一つであり、各国とどの民族であろうとも同じような扱いを受けられるとの意味も含まれて居る。



「さて、反乱軍の首謀者達は、厳正なる裁判に由るキリヤ公国連合国法の刑罰法規に則って裁かれます。」



「「これよりキリヤ公国本国へと連行する。」」と第六近衛近習衆軍の軍団長である細川・藤夜・悠斎と、メイルシュルフラッド独立自治公国軍の総騎士団長アルペジオ・ハインラインの二人は部下達に言った。



 この二人に率いられて居る武士と騎士達に由ってアイヌル民族解放血盟団の残党達である3千名が、シャッコロ鉄道と名付けられた路線のディーゼル機関車で、館箱市港へと連行されて行く。



 其処から輸送船によってキリヤ公国本国のキリヤ列島地方へと連行される。



 その最終的な行き先はエゾ島地方・エゾ島地方自治州区のアバシリ監獄である。





 シャッコロ集落村は、後にシャッコロ市と改められ、旧村落地域はキリヤ公国指定・アイヌル民族文化保存地域とされる。



 新市街と成るシャッコロ平原にゴットタブレットの力により建てられた駅舎のホームには、ディーゼル機関車が横付けされ停車して居た。



 そのディーゼル機関車に乗せられたアイヌル民族解放血盟団の残党達は、シャッコロ集落村から、次々と施錠された状態で歩きながら駅舎へと向かい、其処から列車に乗せられて行った。



「父様っ!!」



「トゥクルっ!!近寄っちゃいかんっ!!」とシャッコロ集落村の同胞達は、必死に取り押さえて、キリヤ公国連合国軍の警備兵から見られない様にして居た。



 トゥクルはあの戦闘の最中に栗林武美大佐に助けられ、応急手当を受けた後に、シャッコロ集落村へと後送されて居た。



 怪我の具合は、打撲傷程度で済んだらしく。



 直ぐにフェリス侯爵独立自治領国軍の治癒魔法官のヒール魔法を受けて怪我を直して終えて居た。



 気が付いたら戦争は終わって居て、父親達が捕らえられたと聞き付けた。



 助けたいとも思ったが、その時には既に遅く、収監地への輸送が決まった後であった。



「トゥクルっ!!折角、勇治陛下が穏便に済ませてくれて居るのだから、これ以上の騒ぎは全ての同胞達の迷惑に成る。」



「シャマラン殿は、命懸けで、この乱を鎮めたのだっ!!あの方の心意気を決して無にするなっ!!」



「だからって酷いっ!!あんまりよっ!!うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーんんっ!!」



 トゥクルは同胞達の犠牲となった父を只々陰から見送るしか無く、悲しみに暮れるしか無かった。



 アイヌル民族達は、シャッコロ族の族長シャマラン・コシャンは、名目上のアイヌル民族解放血盟団の団長と成った為に、最終的に刑罰で処刑されると口々に噂した。

 

 トゥクルは絶望に暮れてしまい。



 シャッコロ集落村から、シャマランのやり方に同意した形で反乱軍に参加した父親を持った15名の幼馴染みの友達共に出て行った。







 マギアンティア世界統一暦・1555年・10月29日・午前9時30分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・第三連合地方・キリヤ公国連合国加盟国家・奥州独立自治王国・北アマテラス北方三方列島地方内・北海島国州・海南地方・館箱市・館箱港にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 そして・・・・・・・・・・・・・館箱市・館箱港で新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区へと戻る船に乗り込む為に、勇治が現れた時の事である。





「桐谷勇治っ!!その身柄っ!貰ったあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」



「えっ!?」



「賊だと!?」



「近衛衆警備隊っ!!陛下をお守りしろっ!!」



 勇治直属の近習護衛官である上泉・伊澄と柳生・冬香が叫ぶ。



「ちいっ、アイヌル民族解放血盟団の残党か?」と細川・藤夜がアイヌル民族が使用する独特な鉈の様な剣。



 アマテラス皇国から流れて来た刀に短弓式の弓矢。



 それと種谷島式火縄銃に銃剣を付けられように改造された武装を用いて居るのを見て、襲って来たのが何所の誰かを言い当てたらしい。



「藤夜さんっ!!伊澄っ!!冬香っ!!絶対に殺すなっ!!」



「しかしっ!!」



「これ以上殺せばっ!!アイヌルの人達は僕らを許せなくなるっ!!」



「だから軽傷以上の手傷は負わせるなっ!!」



「承知っ!!」と冬香は、逸早く刀を逆刃に持ち替えて相手を気絶させて行く。



 勇治の周りは防弾盾を用いた近衛衆で固められ、アイヌル民族解放血盟団の残党と思わしき集団は次第に数を減らしながら勇治へと肉薄して行った。



「トゥクルっ!!」



「今だっ!!」



「しまったっ!!」と、伊澄は乱戦の隙を突かれてしまったと悟る。





 勇治は護身用の刀を抜いて構えた。



「やれやれ、俺の夫殿に手を出すとは良い度胸だ」



「和紗姉ぇっ!?」



「帰り際の見送りに来てみれば、トンだ乱闘騒ぎっ!しかも俺の男を殺しに掛かるかぁ?」



「あん?てめぇは、死ぬ覚悟は出来てんだろうな?」



「ぐううっ・・・・・・・」



「あれは?」



「この派手な出で立ちの服装と人相の悪そうな年増はっ!!噂の第六天魔王・織田・和紗・信長っ!!くっ!!こんな所で・・・・・・・」



 トゥクルの友人達は最後の最後で、邪魔が入った事に地団駄を踏んで居た。



 織田家の護衛兵は勇治を守ろうとトゥクル達を取り囲んだ。



 最後は明智・十華と丹羽・米実の二人に取り押さえられてしまう。



「報告しますっ!!賊徒側は死者無し、軽傷は20名です。その他は無傷、又はかすり傷程度で、捕縛しましたっ!」



「ご苦労様。」と勇治は、上泉・伊澄と柳生・冬香の二人を労った。



「それと、和紗姉ぇ。そろそろ刀を収めてよぉ・・・・・・」



「くっくっくっ、勇治っ!!貴様がどう言おうと、お前を殺そうとした輩をこのままにすると言うのは、俺の気が済まんのだっ!!」



 勇治を殺そうとした敵に対して、容赦の無い悪相染みた鬼の形相と成った和紗。



「いい加減にしないと、和紗姉ぇとの婚約の話は・・・・・・」



 それに対して勇治は、和紗に取って一番の弱みを突いて見せた。



「うん、分かった。」とあっさりと刀をしまった。



 この人は・・・・・・・多分、男でポンコツに成るタイプのヤンデレさんなんだろうな。



 勇治に一睨みされただけの彼女が簡単に引き下がるのは、よっぽど勇治と結婚したいんだろうな。



 まぁ、立場が立場たがら、正妃の身分は和紗自ら辞するだろうし、キリヤ公国連合国中央政府とキリヤ公国宰相内閣府も、和紗の身分と織田家の国力からして正妃の身分を認める事は、出来ないと思われる。



 まぁ、将軍王と言う立場に成ると思われるから上から2番目の王室妃身分の側姫妃とするのが妥当な所だろう。



 側姫妃とは、正室より一ランク下の王侯貴族を含めた地位より嫁いだ場合の地位で、側室妃だと外交的に身分が・・・・とか、正妃だと地位か高すぎると見られる場合に付けられる奥室地位の事だ。



 他所の王室で言えば、身分の高い子作りの相手と言った感じだろう。





「先ずは話を聞こうか・・・・・・」



 勇治は首謀者と思われる10代前半の女の子に近付いた。



「私はトゥクルだっ!!トゥクル・コシャンだっ!!」



「トゥクル・コシャン?はて、何所かで聞いたような苗字だった様な・・・・・・」



「勇治っ!!呆けるのも早いぞっ!!」



「大方そやつは、シャッコロ族の族長シャマラン・コシャンの娘なのだろう。」とトゥクルの名を聞いた和紗は、粗方の察しが付いたらしく、勇治にその事を指摘する。



「ああ、それでか。」



「それで・・・・何でまた僕を襲ったの?まぁ、察しが付くけどね。」



「父様が処刑されると聞いて、収監される前に奪還して反乱の詳細を世間に・・・・・・・・・」



「ああ、その事ね。それなら僕も知って居よ。」



「えっ?!」



「これでも僕は、仮にもキリヤ公国連合国の宗主国王だよ。最低限のに必要な情報は知らされて居るし、必要な裁決もして居る。」





「君のお父さんのシャマラン・コシャンの事も聞いて居る。」



「まぁ、あの人なら処刑される事は無いよ。」



「本当?」



「本当だよ。だけど、反乱に加担した部分も有るからね。」



「そのけじめを付ける意味も在るから、暫くは監獄に収監されて刑期を終えるまでは外には出られないと思うけど・・・・・・・・・・」



「そうな・・のね。」とトゥクルは地べたへとへたり込んだ。



「陛下、この者達の処分は?」と藤夜に言われて見渡すと、襲って来たのはどれも女性ばかりだった。



「藤夜さん。できればあの子達は、監獄への収監無しの軽い刑でお願い。」



「承知しました。」と藤夜は軽く目を失せながら答えた。



「桐谷勇治・・・済まなかった。ありがとう。」



 トゥクルははそう告げると、仲間達と共に連行されて行った。



 後の取り調べで分かった事は、勇治を襲った一団はアイヌル民族解放血盟団の生き残りの親族や遺族関係者だったらしく。



 捕らえられた者達の奪還と言うよりは、反乱での事の真相を広く公表する事であり、勇治を人質にして刑罰の減刑を狙った襲撃で有る事が分かった。



 キリヤ公国連合国国防大臣の足柄・一輝とキリヤ公国連合国宰相のリィーゼ・メイルシュルフラッドの二人は、襲ったアイヌル民族の女性達を減刑処分とする事にした。



 その為にキリヤ城内の宮中公王居公邸の女性従者として召し抱え、20年間の間、キリヤ公国に奉仕して仕える事を釈放の条件とした。



 この条件としたのは、襲ったアイヌル民族の女性達の武術の技量の高さからのスカウトであった。



 後にトゥクル・コシャンは最低位の王室妃身分である伽役妃としてキリヤ公国の公王室入りを果たす事に成る。



 そして、マギアンティア世界の歴史上でも 王の命を狙う様な真似をした人物が王室入りをすると言う前代未聞の出来事として、後の世界史の歴史書に小さく刻まれる事に成ったのだった。



 更はアイヌル民族は、王室入りを果たしたトゥクルを民族の誇りとして、二度とこのような凄惨な内乱が起こさないと誓い、桐谷勇治公王は同胞であり、アイヌル民族の偉大なる宗主国王で在るとしたのだった。
マギアンティア世界統一暦・1555年・10月20日・午前9時05分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・ローレライ大海洋海域・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・九州島地方・肥前国・龍造寺大名王家・佐賀盆地地方・佐賀市・佐賀城・佐賀城館にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 アイヌル・シャッコロ・北地の反乱と名付けられたアイヌルの大反乱は、鎮圧された様として居た直前の事である。



 アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・九州島地方では九州3国列強時代を迎えつつ有り、アマテラス神皇国第4次戦国時代の終焉にも近付きつつ有った。



 伊達・上杉・毛利と言った列強大名王達が挙ってキリヤ公国連合国の傘下に収まり、中央で居残って居る列強大名王家は織田家・徳川の連合派閥勢力。



 その傘下に長宗我部家・松永家・筒井家・山名家・河野家・三好家・十河家と四国・畿内の大名王家を順調に傘下に治めて居た



 関東甲信地方には武田家・北条家の連合勢力が、今だ健在だが、織田家を攻め切れて居ないのが現状であった。



 それに北条家の黒女狐とも言われる北条・九江・早雲は、北条家さえ残れば、中央政府政権が、どんな政権であろうとも構わないと考えて居る。





 だがしかし、姪っ子である武田・春夜・信玄を簡単に見捨て居るのは、世間体が悪いと言わざるを得ないので、武田家の旗色が悪く成るまでは後ろ盾を続ける積りで居た。





 さて、アマテラス神皇国の西に目を戻すと、豊後国の大分市を中心とした勢力である大友・須江・奏麟は、南部の薩摩国を中心とした勢力である島津・久実・義久と九州島地方での生き残りを掛けて激しく争って居た。





 最早、アマテラス神皇国の天下統一は織田家一択で決まって居る様な状況下で見られて居た。



 大友家側は、キリヤ公国連合国がアマテラスへの介入以前より織田家の傘下に収まる事を決めており、相良家・伊東家・阿蘇家らは島津家と戦の真っ最中では在るが、島津家から生き残る為にも、一刻も早いキリヤ公国連合国からの保護領と成る為に動いて居た。



 その為の方策として、織田家への臣従を決めた大友家の与力大名王家としての交渉を既に終えて居る。



 大友家と九州地方の小大名王家の領主らは、織田家がキリヤ公国連合国への加盟を決めたとの報せを受けて居るので、後は島津家の侵攻を止める事さえ出来れば、アマテラス神皇国第4次戦国時代の内乱から抜け出せる事に成る。



 しかしながら、事はそう上手くいかない状態が迫って居ると言う危険性を孕んで居るのだが、それはこれから語る物語でのお話なので、暫しお待ち頂きたい。



 残るは龍造寺家の事である。



 龍造寺家とは?



 九州島地方・肥後国の北東部に位置する国土を有し、佐賀城を本拠とする大名王家の事である。



 その龍造寺家の当主なのが龍造寺・信美・信隆である。



 その容姿とは?身長が180センチもの巨漢を持った大女で、その姿から周辺諸国では彼女の剛腕の武勇を皮肉った言い方をして、筑後の大熊女と言われて居る。



 そんな龍造寺・信美は、頑として大名王家としての独立維持を貫こうと少しでも国土を広げようと試みる。



 だがしかし、従姉妹で家臣の鍋島・尚美・茂直に、「そろそろアマテラスの天下も定まる。余計な事をせずに、アマテラス神皇国の天下が定まるまでは中立を」との進言を受けて、他国との戦を控えて居たが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「何だとっ!!有馬家が島津に寝返りをしただとっ!?」



 龍造寺家の居城たる佐賀城内に響き渡る大声。





 その人物は180センチもの背桁で、その姿は丸でクマの様な巨漢を持った大女である龍造寺・信美・隆信は、大声で怒鳴り散らす様にして叫ぶ。



 彼女は臣下から報せで知った、とある報せに怒って居たからだ。



 与力大名王家と成って居た島原半島と天久佐諸島地方の領主である有馬豊氏と言う大名王の男が、龍造寺家を裏切ったと言う情報を受けて激高する。



「信美っ!!落ち着けっ!!これは島津・利美・歳久の奸計だろう。」



「あの性悪ガキめの悪巧みに、何時も上手く乗せられるは、お前の悪い癖だぞっ!!」



「だがなっ!!」



 ここ数年、島津・利美が元服して戦場へと出て来る度に、相対した龍造寺・信美・信隆との大戦成績は悪く、信美の方が何時も負けて居たりする。



 その事を従姉妹である尚美は注意するが、毎回、あの冷血毒舌娘の挑発に乗せられてしまって居た。



 其処へ更なる情報が持たされた。



「申し上げますっ!!有馬家の居城である島原城に、島津軍が入城したとの事です。」



「むっ!!それは誠かっ!?」龍造寺家宰相である鍋島・尚美は、島津軍の余りの急展開に驚き、驚愕してしまった。



「信美、不味いぞっ!!これは、これは・・・・・・・」



 鍋島・尚美は動揺しながらも、その鋭い頭脳明晰な才覚で、島津・利美の戦略目的を悟った様だった。



「どう言う事だ?」



「島津の奴らめ、織田・和紗・信長殿が、北海島国州へと遠征に出て居る隙を狙って、この九州島地方全土を掠め取る気だ。」



「何だとっ!!」



「大友は武勇に優れた武将は、それなりに居る。」



「国力こそは高いが、大陸かぶれで、ここ数十年は大きな戦を経験して居ない。」



「対して我らは大友に劣るが、信美さえ討ち取れば、国がバラバラなると見て居るのだろう。」



「くそっ!!このアタイの事を舐めおって・・・・・・・・・・」



 確かに龍造寺家で一番に武勇で強く、龍造寺家の頭たる信美を討てば、九州島地方の北西部を制覇するのは簡単と成るだろう。



 更には、分捕った領地の地の利を活かせば、西と南から大友を挟み撃ち。



 これ程までに楽な戦は、無いと考えるのは必定と言えた。



 九州島地方を島津家で牛耳れば、四国島口からやって来る織田家ですら、討てると考えて居るのかも知れない。



「こうなったら戦だ。アタイ自ら出陣してっ!!島津奴らを蹴散らしてくれるっ!!文句は無いない尚美っ!!」



「分かったが、暴走はするなよ・・・・・」





 龍造寺家は、島津家と戦うべく、その軍勢を信美自らが率いて、島原半島へと向かった。





 マギアンティア世界統一暦・1555年・10月22日・午前10時08分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・ローレライ大海洋海域・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・九州島地方・肥前国・島原半島地方・有馬大名王家・島原市・島原平原及び沖田畷海岸地域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





一方の島津軍は、肥後国の西に浮かぶ天久佐諸島の南東端である長島と言う島から北西へと前進して居た。



 有馬家の領土と相良家の領土を奪いつつ、今だ何所の勢力下でも無い龍造寺家の勢力圏へと迫って居た。





 島津家には天下を取れるほどの才在る四姉妹が在りと言われて居た。



 その四姉妹には当主にして、その美貌は西南国随一にして、誠の大将の器と謳われる長女の島津・久実・義久。



 武勇名高き鬼島津と言われし、島津・弘美・義広。



 その才智は天下に轟くと期待されて居る冷血なる毒舌家軍師、島津・利美・歳久。



 そして、島津家内の将兵に最も人気を誇るみんなの妹と言われている島津・衣恵与・家久。





 この四姉妹は九州島地方の覇権、上手く行けば天下を狙えるじゃんっ!!的な感じで、近隣諸国を併吞して居た。



「良い二人とも、大友家の本領と毛利家飛び地には、絶対に手を出さな様にね。」



「分かってるわよ。」



「うんうん、キリヤ公国連合国の近い関係者を持って居る大名王家を攻めたりしたら、一発で討伐対象だって言うんでしょ。」



「そうよ、あの第六天魔王・織田・和紗・信長が九州島地方へと乗り込んでくる前に、我が島津家が、この地を牛耳れば、アマテラスの天下への大手は分からなくなる。」



「それにこの度のキリヤ公国連合国のアマテラス北方征伐で、織田家は完全にキリヤ公国連合国の同盟国に成った可能性は高いとの噂も有る。」



「そうなると、我が島津家が勢力圏を拡大する為には、邪魔な龍造寺家と大友家の二強を討ち倒すしか無く成る。」



「キリヤ公国連合国の介入が始まる前にね。」



 島津家の軍師である島津・利美は、姉である島津・弘美と妹である島津・衣恵与の二人に、今回の島津家の軍事行動に付いての説明して居る。



 島津家としては、簡単に強者に尻尾を振る行為は、武士の風上に置けない行為であるとして居る。



 強者に対して独立維持をするにしても、従うにしても、何れかの選択肢を選んでも、自家が有利に成る様にしなくては成らなかった。





 其処で先に攻め易い大友と競って居たが、大友家の二強看板である立花・雪花・道雪と高橋・紹子・運紹。



 それに加え立花・雪花の妹であり、近頃は剛勇鎮西一と言われる立花・薫・宗茂等の猛者達が、島津家の北侵を防いで居た。



 戦は一進一退で、織田軍の援兵も入りつつあるとの情報も得て居た彼女達は、攻め易くも国土が広い侵攻作戦目標である大友家から一旦手を退いた。



 その代わりに攻め難くとも頭が討ち取り易い龍造寺家へと変更し、大将首である龍造寺・信美・信隆を討てば、一発で瓦解すると見られて居る龍造寺家の攻略に乗り出して居た。



 何せ、龍造寺家は織田家・毛利家・そしてキリヤ公国連合国から見れば。未だに中立国である。



 その龍造寺家は何で何もしなくなったのかと言うと、攻め入る土地が無くった事と、今更ながら天下取りをしても意味が無いと龍造寺家宰相であり、軍師でも在る鍋島・尚美が見て居たからである。



 しかしながら、強者にさっさと媚び諂うのも武士のメンツに関わるとの矜持も有って、織田家の中央政権樹立が定まるまでは、自分達に従う者達の面倒を見るだけに精一杯な状態であったのである。



「久しぶりに強敵と戦えるっ!!待ってなさい龍造寺家四天王っ!!」



「ねえ、利姉ちゃん。前から思ってたんだけど、龍造寺家四天王って、成松・江里口・百武・円城寺・木下って居るけど、どう見ても聞いて、絶対に四天王じゃないよね?」



「それは分かってても、知ってても、言わないのがお約束。と言うか、その手の頭数の事にツッコミを入れたら、負けなの。」



「だから言わない。」





 龍造寺家四天王、五人居るのに四天王。



 それは何所の世界でも在るような謎のお約束であった。



 島津家の苛烈なる侵攻は、まだ始まったばかりである。





 龍造寺軍2万5千人と島津軍の1万5千人もの軍勢との衝突は、島原半島の東に位置して居る島原平原で衝突する。



 

 後の世に言う、冲田畷の戦いである。





 島原半島の東岸地帯に陣取った島津軍は、奇妙な行動に出た。



 その行動とは、西の普賢岳の麓に在る眉山から、東の冲田畷と言われる海岸まで馬防柵と堀で巡らせた陣地を東西四キロに渡って築いて構えたのである。



 其処へ4千丁もの鉄砲隊と300門もの大砲隊を配置させ、数で勝る龍造寺軍を迎え討とう言うものであった。





 島津軍の軍師である島津・利美は、次代の戦は鉄砲による戦いだと言う事を逸早く見抜いて居た。



 織田家・キリヤ公国等の台頭で、それが証明された事で、自身の持論の裏付けがされて居た事に、その自信を確実な物としていた。



 数年前から進めていた鉄砲・大砲の軍隊化計画は、姉の島津・久実の九州島地方制覇計画も重なって現実の物と成り、本格的な運用が始まり出して居た。

 

 利美は地球世界の幕末日本の薩摩藩よりも、凶悪な近代化軍をこの世界で築き上げつつあった。



「何だこの陣は?」



「西から延々と柵と堀が続いて居る。」





 龍造寺・信美と鍋島・尚美の二人は、このアマテラス列島内で戦を続けて居る織田家以外では、まだ、やって居ない近代戦術の一旦である銃歩兵野戦陣地を目の当たりにして驚く。





 その野戦陣地内の要所と思わしき所には、砦が築かれて居た。



「不味いぞ信美。これは噂に聞く大陸戦術の銃歩兵式・野戦陣地だ。」



「銃歩兵式・野戦陣地?」



「要するに種谷島を交代連射させたり、新式連射種谷島を撃つためだけに編み出された新戦術だ。」



「・・・・と成ると、どうなるんだ?」



「不味いぞこれはっ!!詰んだのこっちだ。」



「何だって!?」



「こちらの種谷島は1500丁。向こうはその倍の数が在ると見るべきだ。」



「恐らく島津家の軍師、島津・利美・歳久は、近年起きて居る大陸の公帝戦争や織田・徳川連合と武田・北条連合の戦いである三度ヶ原の戦いを参考して居るに違いない。」



「何れのどの戦いも、激しい銃撃戦と共に、大砲が数多使われたと聞く。」



「しかし、だからと言って、此処で引き下がる様な真似は、出来ない無いぞ。」



「だから詰んだと、さっき言ったのだっ!」



「島津は本気で、この九州島地方を我が物とする気で居るのだろう。」



「有馬の奴が裏切ったのも、それが理由か・・・・・・・・・・」



「此処は撤退するべきだっ!奴らの掌で踊ってやる必要は無いっ!負けは目に見えて居るっ!」



「尚美っ!!それはダメだっ!!アタイの事を頼りにして居る連中にも、従って居る奴らにも示しが付かないっ!」



「死人が大量に出てしまうぞっ!」



「それでも・・・退けない。退けば龍造寺家が終る。終わってしまうんだっ!くそっ!!」



 与力大名王家である有馬家が島津家へと寝返りをした理由が、この地に来てようやく合点が言った信美。



 実はこれには裏話が有った。



 この戦い1月半前、島津・利美は一計を案じて、有馬家の当主に龍造寺家を打ち倒す事を持ち掛け、その有馬家の後継ぎを人質として差し出す形で同盟国と成る事に成功して居た。



 まんまと有馬家との交渉に成功した利美は、有馬家と共に龍造寺家へと攻めて来て居たのである。



 そして、両軍が相対してから30分が経過すると、面子を潰された龍造寺軍側は、負け戦が確定して居るのにも関わらず、島津軍陣地へと攻撃を仕掛けていた。



 それは面子の為である。



 面子を丸潰れにされた龍造寺家は、戦わずして撤退する事は、御家の・・・国人衆と従属大名王家から見放される事にも成り兼ねず、組織が瓦解する事にも成り兼ねないからだった。



「放てええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



「「「「ぐああああぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」」」」と次々と討ち取られて行く龍造寺兵達。



ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!



ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!



ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!



ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!



ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!



ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!



ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!



ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!ドドッン!!



 ヒユユユユュュュュュュュュュュュュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーー・・・・・・・・・



ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドッカーン!!!



ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドッカーン!!!



ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドッカーン!!!



ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドッカーン!!!



カドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドッカーン!!!



ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドッカーン!!!



ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドッカーン!!!



ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドッカーン!!!



「「「「「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」



「「「「「ひいいいぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」



「くそっ!!此処までかっ!!」と、龍造寺・信美は悔しがる。



「なんて種谷島の数なの?4千丁以上は在ると見るべきね。」と鍋島・尚美は、敵の数から鉄砲が多く配備されて居る事には、気が付いて居たようだが、まさか4千丁も仕入て居るとは想定外であった。



「くそっ!!何だって、あんなにも種谷島の数が多い?」



「分からないわ。それに連射出来る筈の無い種谷島を工夫して、何発も連射して来て居る。これは織田家で用いられて居る戦術を参考にして居るのだろう。」



「それならば、島津家は相当数の鉄砲を保有して居ると見るべきよ。」



「くうっ、あんなものが無ければ、俺様の力を存分に見せつけてやれるにっ!!」



「・・・・・・・(もう、そんな時代は終わりつつあるのね。)」



(あのキリヤ公国連合国のせいで・・・・・・・・・・・・)





 龍造寺・信美と鍋島・尚美の龍造寺家のコンビは、早々に軍勢を引き上げた。



 しかしながら、島津軍の追撃と奇襲攻撃は激しく。



 鍋島勢は本拠地である佐賀城へと上手く引き上げかられたが、龍造寺・信美の軍勢は、島津・利美の奸計で、龍造寺家・第二の居城として居る唐津城へと押し込まれてしまう。





 マギアンティア世界統一暦・1555年・10月29日・午前10時25分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・ローレライ大海洋海域・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・九州島地方・肥前国・龍造寺大名王家・唐津平野地方・唐津市・唐津城・唐津城天守閣及び北門唐門櫓にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・









 そして、龍造寺・信美が率いる龍造寺軍は、海辺に近く建てられた唐津城へと追い込まれ、唐津城での攻防戦へと至ってしまう。



 追い込まれた信美は、自領地で二番目に大きい唐津城に立て籠もり、北城門で奮戦して居たが、一発の砲弾が北門唐門櫓へと降って来た。



「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーっ!!」と信美の居た北門唐門櫓、島津軍の大砲に由って吹き飛ばされてしまった。



「龍造寺・信隆さまがやられたっ!!」



「もう、敵わねぇだっ!!」



「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーっ!!」



 唐津城内からは、続々と下級武士と足軽兵達らが、逃散してしまう龍造寺軍。



「それえええぇぇぇぇーーっ!!一気に龍造寺家を打ち倒せえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーー!!」島津四姉妹の次女である島津・弘美・義広が叫んだ。





 この日を境に龍造寺家は没落して行く事に成るが、少弐家・秋月家・菊池家・大村家・松浦家等の龍造寺家与力大名王家の面々は、面倒見が良かった姉御肌の信美に大恩が在るとして、従姉妹の鍋島・尚美を中心に頑強に抵抗を続けて行く事に成る。



 負け戦と知りながら最後の最後まで島津家と戦い抜いた信美の事を心底、惚れ直させる事に成ったのが、裏切りを防いだ最大の要因と成ったのは皮肉な事となってしまう。



そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「ううっ、ううう・・・・・・・・・・」



「如何したのこの人?」と勇治は新トウキョウへと向かう途中で、アマテラス列島の九州島地方沖を通り掛かって居た際に、その彼が乗って居た客船が大やけど追って居た大柄の女性を拾ったとの報せを聞いて、駆け付けて居た。



 その女性は大きな木の板に乗って居た為に、漂流する事で如何にか助かったらしいとの事であった。



「分かりません。ですが海上で木の板に乗って、漂流して居たのを見付けたので、拾い上げました。」と船員が説明する。



「見た目やこの辺りに漂流してた事からして、恐らくはアマテラス人で、武系の一族では無いかと思われます。」



「ふぅん。取り敢えずさ、折角生き残ったんだから、手当はしっかりして上げて、此処でダメならどんな手を使ってでも良いから助けて上げてよ。」



「治療費なら、どんなに掛かっても構わないし、お金なら僕が出すからさ。」



「承知いたしました。万が一の場合はキリヤ公国本土の大病院か、新トウキョウの大病院に移送させます。」と、勇治に言われた船医は、怪我の手当てをして行った。



 こうして、偶然にも勇治に拾われた龍造寺・信美は、後にこの時に、命を助けられた事を感謝して、勇治を生涯ただ一人の主君と認め、彼の直臣の家臣と成り、キリヤ公国の武士団として活躍する事に成る。

 

マギアンティア世界統一暦・1555年・10月28日・午前10時25分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・ローレライ大海洋・竜珠諸島・沖名和本島・竜珠王国・王都・那覇市・朱里城・朱里城内国王執務室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 竜珠王国きゅうおうこくは、日本の沖縄地方に良く似た文明圏を持った王制国家であり、アマテラス列島南西部に広がる島諸島で構成される尚王氏が治めて居る小国。



 昔から南部の第三文明圏の雄である大華天帝国・クーロンとの交易を中心に、アマテラス神皇国とユーラシアン大陸等の地域との中継貿易を生業とする事で、国家が成り立って居た。



 しかしながら、近年では薩摩国の大名王家である島津家の島津四姉妹に、戦で負けた事で従属させられて居た。



 その以前からもゲルニアン帝国の従属国傘下に入れられて居る二重従属をして居る珍しい外交体制を取って居る国でもあった。



 現在の国王はショウ・レイ王と言う人物で、キリヤ公国連合国の出現と急速な国土拡大と勢力圏拡大に伴い、それれまで小国として致し方無く二重従属外交をしていた政策が、上手く機能しなく成って来ていた。



「うーむ。困った。困ったぞ。」



 国王執務室で困り果てた顔付きをして居るショウ・レイは、中継貿易から出る税収の低下、二重従属による上納金と上納品等の支払いが出来なく成りつつ有った。





「島津には砂糖や工芸品。ゲルニアン帝国には上納金と貢物。そのどれも年々増加して行くばかりだ。」



「島津家はまだ良い。金品と言うより我が国で産出する品物が欲しいだけ、これは数年前から始まったばかりだし、無理やりに絞られる事も無い。」



「問題は・・・・・・・ゲルニアン帝国。彼の帝国は逆らえば、我が国の様な小さき島国は、如何なる事か・・・・・・・・・・・・」



「これも彼の少年王のせいだ。全く困った。困った。困っ・・・た・・・・・・・・・」



 頭を抱えて歩き回るショウ・レイは、少年王と口にした時に気が付く。



「はて?今の現在のキリヤ公国連合国は、我が王国の周辺を取り囲む様な形で、勢力を伸ばして居るこの時に、何で今さら島津家やゲルニアン帝国なんかに従わなければ成らないのだ?」



 彼は最近に成ってキリヤ公国連合国から発行された、キリヤ公国連合国の勢力圏の地図を広げた見る。



 この地図も竜珠王国が国策として代々取り仕切って居る海上中継貿易を通じて手に入れ物だし、王都・那覇市内には、公帝戦争後に成って国交樹立をして開かれたキリヤ公国連合国の大使館も存在して居る。



「ふむ、最新版の地図では、我が国はキリヤ公国連合国の勢力圏内に、すっぽりと収まって居る。」



「ゲルニアン帝国の領海の在る北海域が少々不安だが、キリヤ公国連合国海軍の哨戒艦隊が定期警戒して居るから、一先ずは問題が無いだろう。」



「決めたぞっ!!これ以上の無駄金を払うくらいなら、キリヤ公国連合国の連合加盟国と成って、国を再建した方がよっぽど建設的だ。」



「後は・・・・どのタイミングで、彼の国に取り入るかだな。」



「我が跡継ぎであるユンが、島津家の人質に在る以上は、迂闊な真似はできん。」



 ショウ・レイの跡継ぎであるショウ・ユンは、今は鹿児島市内の鶴山城にて軟禁されて居る。



 そして、島津家当主である島津・久実・義久によって、徐々に懐柔されて居るのである。



 その方法が特に問題であった。



 その方法とは、まだ少年であるユンに人の良いお姉さんとして近付き、女の色香をチョッとづつ擦りこみながら、最後は大人の色香漂う島津・久実に骨抜きにされて、彼女無しには生きられなくさせるのだ。



 そして最後には、その子供を身籠ろうと目論んで居るのである。



 そんな計画が進めてられ居るとは知らないショウ・レイは、如何にかして安全に息子を手元へと取り戻して、キリヤ公国連合国へと加盟しようと思案する。





 竜珠王国の国王であるショウ・レイは、島津家とゲルニアン帝国の支配から脱却する為に、キリヤ公国連合国と桐谷勇治に取り入って連合国加盟国と成る道を模索し始めるのであった。







 マギアンティア世界統一暦・1555年・10月30日・午前9時35分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・薩摩国・鹿児嶋市・鶴山城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 島津家の当主である島津・久実・義久は、当主にしてその美貌は西南国地方随一にして、誠の大将の器と謳われる人物である。



 さらさらしたロングストレートヘアーのニコニコ笑顔の爆乳のお姉さんって感じの人だった。





 優れた外交手腕と統治能力を有しており、世界の名だたる列強国のゲルニアン帝国も、笑顔で平然と使い捨てにする程の実力者。



 多分、この人は借金してもタダでは起き上がらないし、平気で踏み倒す事も厭わない危ない性格の人かも知れないと言える程に、油断が成らなかったりする。



 今日も城で、島津家の政務の切り盛りをしていた。



「そう、弘ちゃん達は上手くやったみたいね。」



 久実は北西九州島地方の龍造寺家の当主、龍造寺・隆美・信隆を唐津城攻防戦で討ち取ったとの報せを聞いた彼女は、とても満足して居た。



「利ちゃんの意見を取り入れて、ゲルニアン帝国から大量の種谷島や大筒を仕入れて置いた甲斐が有ったわ。」



 久実は密かにゲルニアン帝国を通じて大量の火縄銃と大砲を仕入れて居た。



 ゲルニアン帝国式の軍船も整備に力を入れて居る。



 その力を使って竜珠王国を支配し、龍造寺家から討ち破って見せた手腕ぶりは、地球世界の幕末島津家すら、真っ青の戦略眼を持って居た。



「うふふ、このまま行けば九州島地方と南西諸島は我が島津の物よ。」



「一定の国力さえあれば、織田家もキリヤ公国連合国もゲルニアン帝国ですら、手が出せなくなるわ。」



「あの第六天魔王・織田・和紗・信長がキリヤ公国の少年王に近付く動きが有ると言う噂の在る今、我が島津家が力を保ったまま国家としてやって行くには、伊達・毛利・上杉とは別のやり方で独立王国を築くしかないわ。」



「そ・れ・に、くふふっ!」と久実は艶ぼっく怪しく笑った。



「あ・と・は、この美貌を駆使して、あの13歳に成ったばかりのショウ・レイの皇太子、ユンくんを篭絡ちゃえば、竜珠王国を私のもの~」



 実は久実さん、ショタコンでもあり、年下少年が、どストライクの性癖を持って居た。



 それに彼の北条・九江・早雲が黒女狐と揶揄されるのならば、この人は白女狐と言うべきだろう。



 腹黒さを見の内に隠して、平然と相手に近付いて利用し尽くす、恐ろしい女性であった。 



「わたしがあの子の子供を宿しちゃえば、島津家は名実ともに王族に成るのよ~」



「うふふふふふふふふっ!!あはははははははっ!!」



 年下好きの島津家の総大将である島津・久実・義久は、その大将としての辣腕振りと美貌を駆使して、竜珠王国の乗っ取り計画を企てて居た。



 だがしかし、後にその野望は思わぬ形で崩れる事に成ってしまう。



 島津家による南西王国建国計画の暗躍は、九州島地方の戦乱をより一層激しくさせて行く事に成る。





マギアンティア世界統一暦・1555年・10月30日・午前9時25分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ユーラシアン大陸 ゲルニアン帝国・帝都ベルリナ・ベルリナ帝城宮殿にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 ゲルニアン帝国・帝都ベルリナ・ベルリナ帝城宮殿では、何時もの如くヒットラン・アドルフラー皇帝とロンデル・エルバン大元帥の二人が悪巧みに励んで居た。



「しかし、その女は信用出来るのか?」



「はい。織田・和紗・信長の虚け小娘めが、キリヤ公国連合国側に付く構えを見せて居るとの噂話も、広がって居ります。」



「それに加えてアイヌル民族解放急進派のアイヌル民族解放血盟団も最近に成って鎮圧されたとの事です。」



「最早、アマテラス神皇国の全土が、キリヤ公国連合国の傘下に収まるのは、目に見えて居りまする。」



「そうなれば、我が方は南方大陸との交易路の一つを失いかねません。」



「今は竜珠王国と島津家を傘下に収めて、旨味の在る餌を食べさせつつ、彼の者等に中継貿易をこなさせるのが、少年王への一番の嫌がらせかと思われます。」



「・・・と成るとだ、アマテラス列島の九州島地方が、我が帝国の属国に成るのか?」



「はっ!!その通りで御座います。」



「しかしだなぁ、話を聞く限りでは、トンだ女狐に聞こえるぞっ!その島津・久実・義久とか言う女はっ!!」



「下手をすれば、織田の虚け小娘より性質が悪いし、始末に負えんっ!」



「例の一件で織田家とは最早、貿易が完全に叶わなく成りました故、この際は仕方がありません。」



「確かに、又もやキリヤの小僧めが、異世界より転異して来た土地を手に入れおったわっ!!」



 ゲルニアン帝国は新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区の転移の一件で、敦賀港や堺港を通じて行われてたアマテラス神皇国との中継貿易を断念せざるを得ない状況下に追い込まれた。



 そして、その打撃は南方から貿易路の消失の可能性すら出始めていた。



 その保険航路として前々から使われて居た竜珠王国の在るアマテラス列島・南西諸島からの貿易路は、ゲルニアン帝国の東側最短ルート南国貿易路で行く、最後の航路であった。



 キリヤ公国連合国は、ゲルニアン帝国との貿易を禁止にはして居ないが、キリヤ公国連合国民側が、ゲルニアン帝国とヒットラン皇帝を毛嫌いして、商魂逞しい中立貿易商人くらいにしか、ゲルニアン帝国と交易をしたがらなく成って居た。



 まさかそれが竜珠王国の中継交易に由る経済基盤を傾かせて居るとは、夢にも思って居ないのが、ヒットラン皇帝と島津・久実の二人だったりする。



「まぁ良い。ロンデルよ、今度こそはキリヤ公国連合国勢力圏の拡大を防いで見せよ。」



「はっ!!必ずやっ!!」







 ヒットラン皇帝と島津・久実の二人の暗躍が、ある意味、的外れだと気が付くのは、もう少し先と成る。



 今回の一件でゲルニアン帝国は、ユーラシアン大陸東側ルートである南洋交易路を失う羽目に至る。



 それが更なるゲルニアン帝国衰退をさせてしまうのは皮肉としか言いようがないのであった。

マギアンティア世界統一暦・1555年・11月1日・午前10時05分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ キリヤ公国連合国・第三連合地方・新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区・政府行政区主要特別区・トウキョウ都地区にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



勇治とキリヤ公国連合国の活躍で、アイヌル・シャッコロ・北地の反乱と名付けられたアイヌルの大反乱は鎮圧された。



 戦後処理を居残り組に任せた勇治と主だったキリヤ連合の首脳幹部者達は、新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区へと戻って来て居た。



 勇治達は、新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区と成る東方日本地域政府(旧日本政府)との残って居る詰めの摺り合わせ交渉とする為に、再度トウキョウ都地区へとやって来て居た。



 トウキョウ都地区は、旧東京都が丸ごと名称変更した地域の事で、キリヤ公国連合国の政務事は、東京湾内に浮かぶ新トウキョウ湾岸海洋都市で行い。



 

 新トウキョウ内での事は、引き続きトウキョウ都の永田町を中心にして、治めて行く事が決まって居る。



 アイヌル・シャッコロ・北地の反乱が収まるまでトウキョウ都で、待って居たガリアナ王国の王女であるセレジア。



 勇治がこの世界に初めてやって来た時に、その面倒を見てくれた保護者でもあった魔導師レイラの二人は、勇治達の出迎えの為に、トウキョウ都港へとやって来て居た。



 その後ろには、セレジアの護衛騎士であったキリヤ公国の近衛騎士団長マリアとその部下達が居並んで居た。



 一方の勇治には、護衛官である柳生・冬香と上泉・伊澄のコンビが、直営の部下達を引き連れて、先に公王専用お召客船キリヤ号からタラップを使って降りて来て居た。



 そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「ううっ、うーん・・・・・・・・」



 アマテラス神皇国の九州島地方沖で漂流し、大やけど追って居た大柄の女性が、公王専用お召客船キリヤ号から担架で降ろされて居た。



 港ではトウキョウ都消防庁の港区消防署本部から、救急車と先導車のパトカーが待機して居た。



 同伴車両には新トウキョウ国防軍の医務官7名と看護師5名が付き添う事に成って居る。



「お願いします。」



「凄い火傷と斬り傷ですね。」



「アマテラス神皇国の九州島地方沖で漂流していた所を拾いました。」



「重症と見られますが、応急処置が良かったのか、一命を取り留めました。後は・・・・・・」



 勇治が事の顛末を国防軍の医務官達に説明し、何とかして助け欲しいと願って居た。



「分かりました。後は此方で何とかします。」



「後で治癒魔導士も送りますので、対応の方をお願いしますっ!!」



「分かりました。」



 ピーポー、ピーポー、ピーポー、ピーポーと救急車とパトカー、それに医務官等を乗せたバンタイプの自動車は走り去って行く。



 

 大怪我を追って居る女性は、都立大病院へと運び込まれ、集中治療室で緊急治療が行われるとの事らしい。

 

 それを見送った勇治の下に、後ろからキリヤ連合公国統合軍の総司令官である山本五十鈴とビクトリナ総督にして、ビクトリナ軍最高司令官とキリヤ公国の第二連合自治方面軍司令官を兼務しているジェシカ・クローディア。 



奥州王国からやって来た伊達・藤枝・政実。  





 毛利藩王国の毛利・輝実、吉川・春美、小早川・隆美の毛利家三姉妹。



 フェリス国の侯爵王であるレイチェル・フェリス達が、心配そうな顔つきで降りて来た。



「なぁ、勇治。あれは多分、大名王家の者かも知れないな。」



「あっ!そう言えば、あの風貌と良く似た話を聞いた事が有るかも。」



「そう言えば、わしも聞いた事が・・・・・・」



「姉さん達、それってもしかして九州島地方・北西の筑後国と肥前国を統治して居る大名王家、龍造寺家の龍造寺・信美・信隆殿の事では?」



「そうそう、そんな名前だったわ。」



「ああ、それじゃけん。そうじゃったから、わしも覚えて居ったけんなぁ・・・・・・」



 九州島地方の端っこを治めて居る大名王家だった事も在り、毛利家の面々は龍造寺家の名前や風貌の噂話は、聞いた事が在った。



 毛利家が一大名王家だった頃は、九州島地方にも領土を広げていた事も在り、大友家と並んで龍造寺家も仮想敵国と見られて居た。



 だが、キリヤ公国連合国に加盟してからは、アマテラス神皇国の大名王家なんぞ、喧嘩を売って来る愚か者が居なく成って居た。



 そんな訳で毛利家の自国領内は、太平の世へとシフトチェンジして居た為に、仮想敵国だったその事をすっかり失念して居らしい。

 

「姉さん達、毛利家領内がキリヤ公国連合国と成ったとは言え、まだまだ周辺地域は戦乱の時代なのよ。もう少し、緊張感を持って欲しいですね。」



 メガネを直す仕草をしつつ、姉たちを叱責するしっかり者のロリ巨乳な妹。



 実に面白い様相を呈して居ると言えた。



「まぁまぁ、それくらいにして、隆美さん。後で詳しい話を聞きたいから時間在りますか?」



「へっ!!時間?ってその・・・・・二人きりですか?」と・・・もじもじとしてしまう隆美。



 どうやら二人きりに成れると思って、赤面して居るらしい。



 隆美は勇治との初体面の時以来、色々と毛利家を良くしてくれた事や自分にも優しくしてくれた事で、彼に対して恋をしてしまったらしいのだ。



「うーん。まぁ、良いか。二人きりでも構いませんけど・・・・・・」



「えええっ、えっと。えっと、えっと・・・その・・・・・はい・・・・」と改めて恥ずかしくなる隆美。



(あー、アレは)とセレジアは、分かりやすく過ぎると思った。



(あからさまに態度だよな。勇治の奴は気にも留めて無いようだが・・・・・・)と政実は、勇治の義姉として呆れていた。



 政実は勇治と出会い付き合いを深めていく中で、「家族が少ないなら私は今日からお前の姉だっ!!」と言って実の弟の様に彼の事を可愛いがって居た。



(はぁ~そうなのよね~、勇治くんたら、隆美に対して全然気が無いのよ。)とひそひそ話で、政実に声を掛けて来た輝美。



(どんだけ鈍いじゃぃっ!!)と春美は苛立ちを隠せないが、必死に怒りと拳を振りかざすのを我慢をしていた。



(ねえねえ、輝美姉さまは、二人を如何したいの?)



(それを貴女が言うの?)



(それはそうだけれど、私としても、あからさまに正妻面をするのも大人げない気がするし、あの隆美姉さまや他のみんなも、勇治と色々と有るから、目くじらは立てたくは無いのよ。)



(後は後宮内の規律さえ守れればね・・・・・・・・・)



 そう、後宮内の規律とは、デート・二人切りの逢引き行為・席順・寝室での隣の順番等々と色々と後宮嫁法と言う法律の事だ。





 これは勇治との関係を持ち、後宮へと入る覚悟を決めた女達の間で取り決める内容をセレジアとリィーゼの二人の手によって、定められた絶対の後宮法律の事である。



 特に子作り目的と愛し合う為のセックスをする場合は、正妻と後宮管理庁に必ず届けをして、何所でするのかを明確にしろと決まりが在るのだ。



 どうやら隆美は、その事をまだ知らないらしく、知らされて居るのは、女性国家元首や国家幹部クラスで、それ以外の場合は勇治と関係が深いと見られた場合のみ、告知されて居る。



 此処に居る面子で知らないのは隆美と春美、護衛官の柳生・冬香と上泉・伊澄の4人が、後宮嫁法の事を知らされて居ない。



 隆美は、まだ勇治と如何したら後宮での関係を築けるのかを知らずに居るのであった。



 そして、後宮嫁法の最後には、こう在るのだ。



「勇治と生死を最後の時まで身も心も捧げて、付き添う覚悟の在る者は、同志として名乗りでよっ!!中途半端な覚悟の者は即刻立ち去れっ!!」とね。



 その中には猛獣の様な人も居るから、トンデモナイお嫁同盟条約と言えた秘密法律である。



 数年後、子種を巡る浮気騒動を巻き起こすアニメでも有名主人公たるピーター何某も真っ青なハーレムを作り上げる事に成る勇治は、この世界中の男達から恨み節の怨嗟の声を言われ続ける事に成るだろう。



(セレジア、我が毛利家とわたしとしては、隆美が勇治くんと、どうなろうと構わないわ。ちゃんとした責任を取るのなら、キリヤ公王家と親族関係は、毛利のお家としても望む所よ。)



(そう言う輝美は、その気は無いのか?)と政実は、毛利家当主として、輝美個人として、勇治の事をどう思って居るのかに興味が在ったので、折角だから聞いて居見た。



(うーん。まだ、可愛い弟くらいなのよね。父上なら早く、くっ付けと煩く言う所なのだけど、本気に成らないのかと聞かれると、わたしの場合はもう少し時間が欲しいと言いたいのよ。)



(今のままだと、チョッと年上のお姉さん的なお友達関係で、終わりそうに成ってしまいそうに成りそうだしね。)



(そう言う政実は?)



(これ藪蛇だったと思うが、開き直って言うぞっ!!伊達家当主としては・・・・在りと言いたいが、男としては、少々歳がな。)



(あの和紗殿なら開き直って愛していると叫んで居るが、私は・・・な。折角できた義弟と恋人関係に成り切るには、輝美と同じ考えだな。)



(だがな・・・・・・あと数年後は、如何なって居るかは分からないがな。)



(それは私も同意見ね。勇治くんは不思議な魅力が在るから、年上・同年・年下は関係無く垂らし込むから、案外18歳過ぎたら、此処に居る全員が後宮内で夜伽を共にして居るかもね。)



 と輝美に指摘される様にして、この場に居る女性陣達は、勇治にベットの上で数人単位でアンアンと喘ぎ声を上げている姿を想像してしまう。



 そんなあられもない自分の主軸として夜伽をして居る姿を想像すると、この場に居る全員の顔が、真っ赤に成って居た。



(勇くんと夜かぁ~)



(何だぁ、五十鈴はその気が無いのか?)



(無いわね。今の所はね。だって私にとっては、本当に可愛い弟なんですもの。)



(そうか・・・・・(アレで勇治の奴は、知らず知らずのうちに、五十鈴の事を好いて居ると思うぞ。頼りに成るお姉さんだった事から、次第に憧れ女性に成りつつあるのは、何となくこの私も気付いて居る。)」



(なのに五十鈴の奴は、妙な所で二ブちんたがらな。)



(それに比べて、わたしはどうだ。友人以上に成るのは相当な日数が掛かると思うな。)



(最後は言いよってOKを言わせるしか無いが、それは悪手だからな。)



(わたしは最低限魅力在る女として見て貰う積りで居る。)



(そうする事でビクトリナ独立自治共和国が、キリヤ公国と半永久的に良好な関係を保てる礎と成ると言う物。)



(旧ビクトリナ王国の侯爵家令嬢として、私欲抜きで奴と対等に居たいが・・・・・・・・抱いて貰うからには、愛情くらいは欲しいかな)



「(どうしたの?)」と五十鈴がぼーっとしていたジェシカに声を掛けて来た。



「(何でもない)」とジェシカは直ぐに答えた。



 一番の親友が一番のライバルに成り得ると見て居る彼女は、自分だけの秘密を隠す事にしたのだった。



(中央政府の方々と他国の方々は、既に色々とお考えが在るみたいでしょうけど、私は・・・・勇治と、どうしたら良いのよ。)



 フェリス侯爵独立自治領国の侯爵王であるレイチェル・フェリスは、父親であり、前侯爵家当主であったアルベルゴ・フェリスからある事を言い渡されて居た。 



 それは「良いか、娘達よ。お前たちの中から一人、或いは全員でも良い。勇治陛下のご寵愛を賜るか、お前達が勇治陛下の御心を掴み、我がフェリス侯爵王家の行く末を盤石の者とするのだっ!!」



「出来れば将来、お前達かその子孫達の何れか中から跡取り王子が産まれた名家として、フェリス侯爵王家が子々孫々まで名を残せる家と成るのが、わしの望む所である。」



「その為にも勇治陛下に抱かれるか、お前達が寝屋を供にしたいと自ら進んで突撃するのだぞっ!!」と自分の娘達に勇治の王妃か側室に成って抱かれるか、抱きに行けと、言い含められて居た。



 姉のロイチェルは「あら~あたしは全然平気よ。だって勇治ちゃんってば、とても可愛いじゃない。あたしなら、あの子にベットでヒイヒイ言わされても、全然気にしないわ。」



「愛人だって言われも気にしないものね。」と優しくて母性愛に満ちたお姉さんは、王侯貴族として気構えが出来て居た。



 嫌な相手でもない勇治なら、身体を好きにさせても気にしないと言うビッチな発言が見られて居た。



 一方のライチェルは「えっ!?勇治のこと?はぁ~ダメダメ、ダメだってっ!!あの子っってば、まだまだお子ちゃまじゃない。男として見るには10年早いわよ」と言う始末。



 とか言いつつ、数年後は姉妹たち中でも一番に勇治の事を独占したがるツンデレさんと成って居たりする。



「嫌よっ!!私が勇治のお嫁さんの一番の存在なんだからっ!!」とか言う事に成る。



 その中間の考えに至って居るのがレイチェルだったりする。



 家の為、子孫の為と言うのなら勇治との肉体関係を持つのは構わない。



 だが、果たして彼は自分の事を何所まで想ってくれるかを心配していた。



(少なくとも、もう少し親しく無いと、私としては・・・・この身体を勇治に委ねるなんて中途半端な真似は出来ないわっ!!)



(事はお家の為とは言え、主君を夫にすると成れば、それなりの親しい知己としての親しい間柄と成る事は必要不可欠。)



(その為には、私は何が出来るのでしょうね。)と小難しく考えてしまう面倒くさい性格をして居るレイチェルなのであった。
マギアンティア世界統一暦・1555年・11月1日・午前21時15分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ キリヤ公国連合国・第三連合地方・新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区・政府行政区主要特別区・トウキョウ都地区・青坂迎賓館にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 さて、異世界マギアンティアに転移した新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区は、地球史年代に換算して約2050年代。



 そんな数多在るパラレルワールドの一つである所から現れた転移地域。





 アイヌル・シャッコロ・北地の反乱の反乱軍の鎮圧を終えて戻って来た勇治達一行は、トウキョウ都内に在る青坂迎賓館へと通されて居た。





 キリヤ公国連合国へと加盟国に至った新トウキョウ政府は、引き続き盟主王である桐谷勇治を丁重に持て成して居た。



 後に樹立する事に成るアマテラス織田自治神皇国の将軍王と成る織田・和紗・信長も、新トウキョウ地方自治州区へと毛利家の空港経由を使って、この地に遅れてやって来て居た。



 キリヤ公国連合国への加盟準備も兼ねて、アマテラス神皇国次期将軍王として、初のキリヤ公国連合国領内への訪問であると後世に措ける歴史書の記録には残って居る出来事であった。



その日の夜・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「はぁはぁはぁはぁ、勇治。」とうっとりとした顔つきで、寝室のベットを共にしようとやって来た和紗。



 織田家として政務や外交会談を終えて、後は余暇を過ごすだけと成ると、真っ先に着替えて、勇治が泊まる予定の部屋へとやって来た。



 和紗は勇治と一緒に寝ると我がまま言って、キリヤ公国連合国正妃の成る予定の婚約者のセレジア。



 第二正妃と成る予定であり、メイルシュルフラッド独立自治公国の女公王にして、キリヤ公国の留守居役兼宰相の地位を任せられるリィーゼ。



 そして、姉の輝美に、この際だから行きなさいと言われ、無理やりに勇治の下へ押し込まれた毛利家三女小早川・隆美・影長こと、通称名・隆美も恥ずかしそうに着慣れた赤と黒と紅葉色の着物式の寝間着姿で無く。



 和紗が勇治と夜を過ごすと聞いた隆美は、慌てて輝美に相談を持ち掛けた際には、新トウキョウ地方自治州区や大陸での夜を過ごすのならば、大陸風の寝間着が良いと都内のデパートで買い付けて居た。



「勇治くんに寝間着姿を見せるのならば、完全に肌隠す天紬(アマテラス皇国産の和服のこと)よりも洋服ね。」



「それも肌をチラリと晒せるネグリジェと言う物が男心を擽る筈よっ!」



「お姉ちゃんが手伝うから行きましょうっ!」と進められて、就寝時間までにに新トウキョウ地方自治州区内のデパートで買った。



 ちょっとお高い藍色のブラとショーツパンツに加え、赤みの入った黒色のネグリジェ姿を披露して居た。



 隆美は眼鏡っ子ロリ巨乳なので、ネグリジェ姿はある意味、毒と言える姿で有る。



 幼い表情と小柄な背丈をしながらも、グラマスボデイを有して居る破壊力抜群なボディスタイルであった。



「ちょっとっ!!和紗姉さまっ!!勇治は最初に見付けた私の物よっ!!独り占めしないでっ!!」と何所かの悪魔のお姉さまみたいに、指をビシッと和紗と勇治に指さして、勇治は最初に目を付けた自分の物だと主張する。



「貴様が正妻なのは認めてやるが、俺はこの夜が初めての夜だっ!!」



「少しは融通するのが正妻の務めでは無いのか?」と豊満なバスト94の巨乳をプルンと揺らして堂々と正妻に対して、後宮入り予定の婚約者が、堂々とした物言いを言うとは、流石は織田・和紗・信長。



 アマテラス神皇国の覇王に相応しい堂々とした振る舞いだと言いたいが、彼女の本音は、勇治の事を誰からも独占させるものかと言って居た。



 これは年上の女性としては、年下の妹分に対しての態度としては、本当に少々大人げないとも言える。





 因みに和紗が正式な婚約者としてカウントされるのは、もうチョッとだけ先に成る。



 キリヤ公国連合国に加盟してて居る地域を除いたアマテラス神皇国を統一して、将軍王と成り、セレジアを始めとする嫁達に認められなければ為らないが、セレジアは和紗が、キリヤ公国後宮入りする事を半ば諦めている。



 セレジアとリィーゼの話し合いでは、和紗の立ち位置は正室のすぐ下に当たる側姫妃が良いのではと考えて居るらしい。



 正室だと、軍事力と経済基盤が強い織田家の当主である和紗の場合は、その権力と地位が高過ぎると言う見解からであった。



 それに無駄に150万人と近世軍を持つ国家としての兵力も、ソコソコ多いから、そんな彼女にクーデター事変でも起こされたりしたら、とても面倒だなんて想定もして居る。



 そんな訳なので、本人にその気が無くても、後々事を考えると成ると、キリヤ公国・公王室本家の跡取り問題に、口を挟み辛い様にして置く必要が有りとの判断から、和紗の地位を側姫妃とする事にして居る。





 その和紗もアイヌル・シャッコロ・北地の反乱の事後処理が終わり、本国での雑務を終えてから、キリヤ公国連合国との国交開設及び織田家として連合国への加盟交渉をする為にやって来た。



 そんな彼女もやや遅れた形で新トウキョウ地方自治州区へと到着早々に「百貨店とやら行くぞっ!!」と言って直臣である明智・十華と御付き者達を引き連れて、日本橋町の高級デパートとして有名な四越デパートへと向かう。



 其処では高級女性衣類を含めた高級下着類と寝間着類を扱うフロアへと訪れた。



 デパートの高級女性衣類を扱うテナントにやって来た和紗は、フロアマネージャーに、豊満な巨乳と同じくドデカい態度で「俺に似合う物は寝間着は無いか」と聞く。



 態度がやたらとデカく、余りにも見かけた事の無い和装風の衣装を纏った大女が店先で不遜な態度で問い詰めるので、何所の誰だろうと首を傾げる店員の面々。



 すると「お客様に合うサイズは・・・・」と困り顔のマネージャーや店員達。



 和紗に見合う様な品物を揃えると成るとかなりの値を張る物しか無いと見られた為、お勧めを言い出し辛かった。



 何せ身体が大きく、グラマスボデイなボディスタイルをして居る女性の衣類と言う物は、値段が高く付く事が多いからである。



 和紗の様なタイプの身体付きをして居る女性なら、下手をすればオーダーメイドに成りがちである。



 特に日本国内であった新トウキョウ地方自治州区では、欧米諸国の様な大サイズクラスの品物が置かれて居る店が少ないのであった。



 そんな言い出し辛い者達見て居た明智・十華は「お金ならご心配無く。即金でこれくらい在りますので・・・・・・」とケースに入れた金塊を100本を見せてやる。



「失礼致しましたああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!」



 てな具合で金品見るなり、その態度を急変。



 直ぐに和紗に見合った寝間着と下着をコーディネートし始めた。



 店の人達は、突然やって来た和紗が、何所の誰とも知らなかった為に、懐具合を疑ってしまったらしい。



 転移災害に在って不景気の中、態度がやたらとデカく、余りにも見かけた事の無い和装風の衣装を纏った大女が、羽振りが良さそうには見えなかった事も原因だった様だ。





「ありがとうございましたああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」と、その帰り際には、店員全員がお見送りをすると言う始末。





 その和紗が買ったネグリジェは、真っ赤な色合いと黑を合わせた衣装で、下着もその色に併せて居る。



 お値段は何と、全部ワンセットのコーディネートで、50万円したらしい。その他にもコーディネートして選んで貰ったネグリジェなんかを30着を買った総額は、何と1500万円くらい買い付けたらしい。



 和紗の勇治へに対する好意の思いの丈の本気度が伺えて居た。



 対するセレジアは、水色を基調として居るネグリジェを着ていた。



 その横に座るリィーゼの方は薄いエメラルドグリーンのを基調としたネグリジェを着ていた。



 この二人は、まだまだ若いので、ナチュラル感を醸し出す事の方が十分でなのである。



 とてもシンプルな衣装を着こなして居た。



「まぁまぁ、セレジア。落ち着いて、今は本番行為に及ぶ訳じゃないんだから、落ち着きなさい。」



「和紗殿も年上なのですから、年下のこの子と張り合うのは、余りにも大人げないですよ。」と、ハッキリと物言うリィーゼ。



 流石はキリヤ公国連合国の宰相を務める才女だけ在って、度胸と肝が据わって居る性格をして居る。



 彼女は和紗に対して、ある程度は言葉を選びつつ、物怖じしない態度で二人の間に、割って入って来て居る。



 長い付き合いにも成るのだから、此処で不仲に成るのも不味いからだ。



 和紗もその度胸ある態度は、嫌いではない。



 その実力と度胸を買いつつ、対等な女として接して見せた。



「ほう、そう言う宰相の小娘殿は、勇治には、ご執心じや無いのか?」



「好きですよ。子作りの為に裸で、まぐ合う事を許せるくらいにはね。」



「それは貴様が王だからであろう?俺は貴様の本音を聞きたいのだっ!」



「会ってから半年も経ってませんからね。愛情を抱くにも、今少しの時が要りましょう?」



「では、単純に焦っては居ないだけなのだな?」



「ええ、今日は勇治の本気の婚約者である二人のお付き合いと監視に来ただけですらか、私と勇治の関係は、ゆっくりで良いんです。」



「多分ですけど、私が本気に成ったら、如何なるか何て事は、今は想像が付きませんね。」と余裕を見せ付けるリィーゼ。



「ううっ・・・・(うわああぁぁ、私が何でこんな事にっ!!輝美姉さま恨みますよおぉぉぉぉーーーーっ!!)」



「(それにしても、後宮内での婚約者達と勇治へい、じゃなかった勇治さんとの関係が、此処まで淡泊な派閥とガツガツとする派閥に分かれて居たなんて、私が今まで悩んで居たのは、一体何だったのよぉぉ・・・・・・・・・・)」



 今まで恥ずかしく、そして正妃であるセレジアとリィーゼに遠慮していた事も在ってか、勇治に対する気持ちを言い出す事を躊躇って居た隆美。



 しかしながら、いざ同じ土俵入りをして見たら、案外とあっさりとした関係である事に驚き、今まで悶々と思い悩んで居た自分の姿が、バカらしく思えてしまった。



「あ、隆美さん。呼び出しして置いて、肝心なお話が出来なくて、ごめんね。それに何だか騒がしくて・・・・・・」と勇治が謝る。



 隆美の本当の想いに気が付ない勇治は、今まで勇治との関係を如何にかして発展させたいと、悶々と思い悩んで居た自分の姿がバカに思えてしまったとため息を付いて居る姿を見て声かけた。



 彼は自分の取り合いで騒がしい事に呆れて、戸惑って居ると勘違いをして居る様だった。



「あっ、いえ、そんな事は・・・・・・・」



「それに隆美さんは、僕がしたかったお話とは、何か別のお話がしたくて、この夜会に混ざりに来たんだよね?」



「あっ、はい。」とシュンとしてしまう隆美。



 如何やら勇治の二ブチンは、此処に来る前に龍造寺家に付いての話は事前し終えて居る隆美が、勇気を出して、もっともっと話がしたいと想い。



 もじもじする様に「あっあのっ!!今朝がたのお誘いなんですが、今夜、勇治さんのお部屋に行っても良いですか?」と返事を申し出て見た。



 すると勇治は、自分が呼び出した理由と同じく、龍造寺家の他に政務関連の相談事の話がしたくて、此処に来たらしいと誤解してしまったらしい。



 その反応に隆美は、ガッカリとしてしまった様だ。



「(折角、寝間着を新調したのに、見向きもされないなんて・・・・・・・ううっ・・・・・・・・・・・)」と、私はそんなにも魅力が無いかとガッカリとしてしまう隆美。



 そんな隆美が本気で、勇治の事を想って居るとは、気付いていない勇治。



 勇治としては、隆美の事は年の近い、話易いお姉ちゃんの一人程度の認識に過ぎなかった。



「おい、勇治っ!!」と和紗は、セレジアと喧嘩して居た筈だったが、ふと目に入った隆美とのやり取りを見ると、矛先の向きを変えて勇治に突然に怒鳴り出す。



「んん?!」



「其処のロリ巨乳が貴様の為に、勇気を出して新調して買って来た寝間着を褒めずにスルーするとは何事かっ!!このバカもんがっ!!」と和紗が怒鳴り散らす。



「えっえっ!何で此処で僕が怒れられるの?」



「そうよ、隆美姉さまは、貴方に女として褒め貰いたくて、折角新しい寝間着を着て、此処に来て居るのにっ!それを無視するなんてサイテーだわっ!」ジト目のセレジア。



「勇治、流石に私が同じ立場だったとしても、それは気にすると思うわ。」とリィーゼ。



「ええっと、その・・・・・アハハ!」



 流石に不味く成る勇治。



 笑って誤魔化そうとするが・・・・・・・・・・・・・・・・



「此処は・・・・」と和紗



「そうね。」とリィーゼ



「はぁ~、致し方ないわね。」とセレジア



「ひええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーっ!!」と勇治が叫びながら3人に取り押さえられる。



「喜べ、ロリ巨乳娘よ。貴様の勇気に免じて、勇治との寝伽のトップを譲ってやる。」と言う和紗。



そして、和紗は正室たちに向き直ると・・・・・・・・・・・・・・・



「だがしかし・・・・・・」



「ええ、誰が2番目なのかは・・・・・」



「これも付き合いだから、やるけどね・・・・」





「「「せーのっ!じゃん、けーんっ!」」」てな感じで、勇治やアマテラス神皇国、ナデシコ地方自治州区を含めた日系地域の伝統的な手を使ったゲームである、じゃんけんで寝る順番を決める事と成った。



 勇治は婚約者達のじゃんけん勝負で決められた形で、朝まで交互に決められた時間に4人に入れ替わる形で寝る事に成った。





 しかも、様々なサイズと形をしたおっぱいに挟まれる形で・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「(ふあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!私って今っ最高に幸せえええええだあわああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!あの婚約者3人には、感謝をしないと、この私を・・・庇ってくれたんだもの。)」



 隆美は婚約者達から認められたらしいと察して、その日の夜は一番に床に入るとは、勇治の最初のお相手をさせて貰えたのであった。



(うーん、苦しいけど、まぁ、良いか。隆美さんが幸せそうなら、ふああぁぁぁぁーーっ!!眠く成って来た・・・・・すぅすぅすぅ・・・・・・・・)



 勇治は寝息を立てて行く。勇治はとても寝つきが良いので、床に入るとウトウトと眠くなるのである。



 それに寝床を共にする女性達の匂いと香水の香しい香りが、勇治を夢の世界へと誘って行く。



 じゃんけん勝負の結果は、リィーゼが二番手で、セレジアが3番。和紗が最後と成って居たが、和紗は一番最後を最初から狙って居た様である。



 その方が朝まで長く一緒に居られるからだ。大体2時間交代で、寝る位置を交代する予定である。



 その時間に成ったら、ムクリと起きて来るか、後宮従事係りと言うメイドさん達が、コッソリと寝場所を入れ替えてくれるらしい。



 翌朝、勇治は気が付くと目の前に巨乳の谷間が見えていた。



「んん?!でかっ!!」



「はぁはぁはぁはぁ勇治っ!貴様と言う奴は、この俺を何回イカせる気だっ!!」



 勇治は幼い時から抱き枕を抱いて寝て居る。



 それが大きく成っても変わらず、今でも専用抱き枕を抱いて寝て居るが、セレジアと一緒に寝たりする事が多く成ると、彼は女性の乳房や乳首を甘嚙みする癖が有ると、婚約者の女の子達から言われて居た。



 セレジアと初めて一緒に寝た時の事である。



「勇治はおっぱいが大好きなの?」とセレジアがぷりぷりと怒りながら聞く。



「違う・・・・くわないけど、業とじゃないから勘弁してよおおおおぉぉぉぉーーーっ!!」



 初めて寝床を一緒にしたセレジアは、勇治の変わった癖を知り、チョッとだけ怒って居たが、「まぁ、良いわ。どうせ子作りする時には分かる事ですもの。」



「これくらいでカリカリして居たら、夫婦なんてやってられないわ。」



「今度からは汚れ破れても構わない寝間着を着るわ。」と言う事に成り、怒るの止めてくれた。



 その後、実家のガリアナ王国の首都、王都パリティ市内の高級女性用寝具店で、バカ高いネグリジェと下着類を買わされる勇治の姿が見られて居た。



 その次のリィーゼも、セレジアからアドバイスを受けて、似た様な対策を取って寝屋を供にして居る。





 それを偶々知らなかった新参者である和紗は、豊満な巨乳を散々に甘嚙みし捲って居たので、明け方に入れ替わった数は起床時間の1時間前に成った時の事である。



 ちゅぱちゅぱとおっぱいを甘嚙みし、乳首を舐め回す勇治に、興奮させられ、性的快楽に呑まれて居たらしい。



「貴様と言う奴は、そのだな・・・・もっとしてくれええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」



 興奮して感極まって和紗は、更に勇治にガバっと抱き着いて、厭らしい行為を求めて来た。



 本当に変態なヤンデレさんである。



「うわあああああぁぁぁぁーーーーっ!和紗姉ぇ、ちょっと、ちょっと、苦しいっ!!苦しいってば、それは困るよっ!!」



「うう、苦しいいいいぃっ!!死ぬううっ!!巨乳で圧死なんて、流石に洒落になんないよっ!!ううっ!!」



 勇治は藻搔いた。



 このままでは和紗の愛の重みと言うか、荷重力のせいで天に召される事になり兼ねない。



「ふああぁぁぁぁーーっ!もう、何なのよう・・・・って、ああっ!!和紗姉さまっ!!そのままだと勇治が圧死しちゃうっ!!」とセレジアは大慌てで、二人を離そうとする。



「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ・お前の吐息と心臓の鼓動がっ!!」



「ちょっと、リィーゼっ!!起きてっ!!」



「んん?ふああぁぁぁぁーーっ!!なぁに?・・・・・ああ、何だ、勇治が和紗殿に・・・・・・・・・・・・」



 リィーゼは過密スケジュールをこなす事に成れているせいか、寝床では身体を休ませ様とギリギリまで寝て居る事が多いので、寝ぼけて居る事が多かった。



 そのせいか、セレジアに無理やりに起こされても、そのまま二度寝へと突入する。



 昨晩は御付き係りに勇治の真横に寝かして貰って、寝床を共にするが、勇治に抱き着かれても気付きもしない始末。



 彼女に取って、勇治とは年の近い友人以上の関係に過ぎず、彼に対する愛情が芽生えるのは、もう少し先に成るだろうと割り切って居ので、ドライな関係と言えた。



「んん?はっ!!セレジアさんっ!!和紗様は何をっ!?」と隆美が騒ぎに気が付いて目覚めてしまう。



「隆美姉さまっ!お願い、二人を引き離すのを手伝ってっ!」



「了解ですっ!!和紗様。失礼します。よいしっっと・・・・・・」



 隆美はセレジアと一緒になって和紗を勇治から引き離そうとするが、流石は織田の覇王と言うだけあって、馬鹿力を有して居る。



 簡単には退き剝がれなかった。



「くううううっ!!なんて馬鹿力なのっ!」



「何だかんだで、このお方は最前線でも戦える剛腕を持った現役大名王ですからね。」



「戦での陣頭指揮を執る為にも、相当鍛えて居ますから・・・・・・」



「ううっ!!苦しいいいいぃっ!!」



「ふああぁぁぁぁーーっ!!胸元に鼻息があっ!!ぐへへへへへっ!!がくっ!!」



 和紗はとうとう興奮し過ぎて気絶してしまったらしい。



二人はその隙に勇治を救出に成功する。



「ぷはっ!!死ぬかっと思った。」



「ぜーはー、ぜーはー、ぜーはー、もう何なのよう。」



「ぜーはー、ぜーはー、ぜーはー、全くですね。」



 二人は息を別の意味で荒げてへとへとに成って居た。



「ああ、もう、朝からへんな運動したお陰で、汗だくじゃない。」



「こうなったらお風呂よっ!!朝風呂行くわっ!!付き合ってくれるかしら、隆美姉さま?」



「ですね。」



「僕も行こうっと。」と勇治も冷や汗を掻いたせいか、汗臭かったので、朝風呂に行く事にする。



「すぅすぅすぅ・・・・・・・・」とリィーゼだけは只一人だけ、静かに寝息を立てていた。



 3人は迎賓館の大浴場に向かい、朝から妙な感じで汗だくと成った身体を身綺麗にするのであった。



 一方の汗だくの原因と成った和紗は、メイド達に寝床を直されたベットへと寝かされ、身支度が必要な30分前に起こされるのであった。



マギアンティア世界統一暦・1555年・11月2日・午前9時35分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ キリヤ公国連合国・第三連合地方・新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区・政府行政区主要特別区・トウキョウ都地区・墨田区・スカイマークツリーにて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「「「「「うわあああああぁぁぁぁーーーーっ!!!」」」」」



「やっぱり大きいよね。スカイマークツリーってっ!僕の世界では名前がスカイツリーだったけど・・・・・・・」



 高さ634メートルもの高さを誇る巨大な鉄塔へとやって来た勇治とセレジアとリィーゼ。



 他には魔導師レイラと近衛騎士団長マリア。



勇治直属の護衛官である柳生・冬香と上泉・伊澄のコンビ。



 他にも伊達・藤枝・政実。



毛利・輝実、吉川・春美、小早川・隆美。



 山本五十鈴、ジェシカ・クローディア、レイチェル・フェリス。



 最後に織田・和紗・信長と錚々たる女性達に取り囲まれて、トウキョウ観光を兼ねた視察団として、浅草町に在るスカイマークツリーなる電波塔の最上階展望台へとやって来て居た。



「人はこれほどの高さを誇る建造物を作れるのか?誠に面白いっ!!俺の安土城が豆粒に思えて来たっ!!あはははははははっ!!」と豪快に笑う和紗。



 今現在の彼女は、近江国州の安土城に、金ぴか黒塗りを基調とした、豪華絢爛な巨大な城郭と都市を建設中らしい。



 出来上がったら今現在の織田家の本拠地である岐阜市と岐阜城から移り住むらしいとのこと。



「こっちにも富士山が在るのか?」



「そう言えば、アマテラス神皇国の東方地域にも在ったわね。私と政実の二人は、住んで居る地域が違い過ぎて、まだ見た事が無いけど。」



 輝美と政実は遠くに見えて居る富士山を見て、自国地方の富士山を思い出したらしい。



「ああ、そう言えば在ると聞きますね。」



「名称がややこしいので、新トウキョウ富士山とでもしますか?」



「アマテラス神皇国の方はアマテラス富士山と地名変更しないと、名称がややこしい筈ですしね。」と勇治は、後で地名変更をして置く手配をしようとメールを送ろうとする。



 その宛先とは?キリヤ公国本国政府旗下の省庁で、国土関係を諸官省庁あるキリヤ公国連合国・国土交通省と新トウキョウ富士山を統治下所管して居る新トウキョウ地方自治州区政府に対して、スマホで送信するのであった。



「うわわわわわっ!!高過ぎるけんっ!!大丈夫なんじゃろなっ!!」



「春美姉さん、基礎工事がしっかりしてますから平気ですよ。」



 毛利家の姉妹次女である春美は、余りの高さにビビッて居たりする。



 三女である隆美は、その隣で、怖がる姉を支えて居た。



「本当に高い所ね。」



「だがな五十鈴、この塔の耐震性は高いから大丈夫だぞっ!!私の世界の日本国にも似た様な電波鉄塔が在ったからな。」



「全く、どの世界の日本人と言う奴は、偶にトンデモナイ物を作り上げる。」



 五十鈴とジェシカの二人は、発展し切ったトウキョウの街並みを眺め見ながら、雑談を楽しんで居る様子。





「うーん。都市が大きく成り過ぎると、こんな巨大な建築物が必要に成って来るね。」



「これは各地域と連携して、都市計画を練らないと。」



「都市は何百年も掛けても、完成という物は無いわ。」



「最初からこの様な大都会にする都市と、古い街並みをしっかりと残す文化都市にしたりと、色々と考えさせられるものだわ。」



「これは本国に帰国したら、忙しくなるわっ!」



 レイラは、キリヤ公国連合国の経済産業大臣と文部総合技術省大臣を兼務して居るが、次第に文部総合技術省大臣へと収まる様に成って行く。



 ガリアナ王国の東部のクエルナ町で冒険者ギルドのギルドマスターをしていたレイラは、その街で経済産業振興政策方針のアドバイザーもしていた。



 町の発展を助けようと色々とやって居る内に、その様な仕事をする様に成って居たからであった



 今では勇治の手助けをする為に、何時の間にか国務大臣と成って居るので、あの時に勇治を助けた事は、彼女の人生を大きく左右してしまう事に成ろうとは、先の事は分からないものである。



「流石に、これは我が国には要らないわね。」



「そうね。建築物の技術力の高さを示すのには、一役買っては居るけれど、此処まで高さの在る物を欲しいとは思えないわ。」



「トウキョウは、雑多に高層建築を含めた様々な建物の建て方をして居るせいか、スカイマークツリーが必要に成ったみたいだけれど、計画を立てて、それでも必要だと思われないと、タワーなんて物は、とても建てる気には成れない代物よ。」



 リィーゼとレイチェルの二人は、各々の故国の状況から見て、電線鉄塔以外の巨大な鉄塔は不要との結論に至った様だ。



 その分、町割りの方をしっかりとして行きたいと言って居る。



 プルルルルっ!!プルルルルっ!!プルルルルっ!!とスーツ姿のマリアの懐でスマホの呼び出し音がコールされた。



「はい。此方キリヤ公国連合国・近衛騎士団長、マリアです。」



「はい。はい、はい・・・はい・・・分かりました。冬香、伊澄。」



「はい。」



「何でしょうか、マリア団長?」



 勇治直属の護衛官である柳生・冬香と上泉・伊澄のコンビの二人は、マリアから無線で呼び出しを受けた。





「たった今、報せが入ったわ。」



「数日前に、トウキョウ都立赤十字記念病院に運ばれた、例のアマテラス人女性が目を覚ましたとの報せが、新トウキョウ地方自治州区・外務省経由で、たった今通信が入って来たの。」



「この報せをくれた梅春外務大臣は、勇治陛下と織田・和紗さまの二人を中心とした方々を今すぐにお連れして来て欲しいそうよ。」



「「分かりました。」」



 護衛官の二人は、マリアに指名された勇治・和紗・政実・輝美・春美・隆美・五十鈴らを伴って、都内のトウキョウ都立赤十字記念病院へと向かう事と成った





 マギアンティア世界統一暦・1555年・11月2日・午前10時35分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ キリヤ公国連合国・第三連合地方・新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区・トウキョウ都地区・トウキョウ都立赤十字記念病院にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 トウキョウ都立赤十字記念病院は、トウキョウ都が国際赤十字連盟と共同出資して作り上げた総合病院である。



 此処に運び込またれアマテラス人女性の漂流者は、数日間の間を生死の境を彷徨い続け、気が付いたら見知らぬ所で、眠って居た所を深夜3時頃に飛び起きた。



 点滴の針を無理やりに抜き去り、大慌てで外へと向かおうとして居た所を新トウキョウ地方自治州区・警視庁のSP警察官に身柄確保されてしまう。



 当然ながら、見知らぬ土地と見知らぬ異国人を初めて見た漂流者は、自身が訳が分からない状況に居る事を悟り、警戒心と猜疑心から、取り押さえ様として来るSP警察官を相手取って大立ち回り。



 SP警察官たちは、丸で大熊を相手取った戦いを強いられ、柔道や空手、合気道の有段者のSP警察官であったも、コテンパンに打ちのめされてしまう。



 一時間ほどの格闘戦の末に、力尽き掛け所を格闘技を得意とする女性SP警察官たちに取り押さえられ、その警官達から、今日に至るまでの経緯に関する説明を受けて、ようやく落ち着くと、今度は大熊女が頭を下げて詫びたと言うのが、事の顛末と成ったのだった。



 勇治達は、目覚めた女性と話すべく、その病室を訪れて居た。



「龍造寺・信美さん・・・お加減は、如何ですか?」





 その人物とは、肥後国の大名王家、龍造寺家の当主である龍造寺・信美・信隆であった。





「ああ、まだあちこちで痛みは有るが、薬が効いて居るお陰で、何とかな。」



 SP警察官たちを相手取って格闘戦をするほどに体力に自信を持って居る漂流者の女性こと、龍造寺・信美は、傷だらけの姿と包帯が巻かれた姿を晒しながらも、起き上がる事が出来て居た。



 皮膚移植と50針も縫う大手術を成功させたとは思えない回復ぶりを勇治達に、見せて居た。



 その上でSP警察官70名を相手に大立ち回りをしたのだから、武芸に長けた姫武将と言うのは一騎当千の強さを誇る物だなと、トウキョウ地方自治州区・警視庁のSP警察官たちは舌を巻いて居たと言うのだ。



 何せ、手負いの獣も同然の龍造寺・信美に勝てた、トウキョウ地方自治州区・警視庁のSP警察官は一人も居らず、体力切れを待ってから取り押さえられたので、これは勝てたとは言えないだろう。



 後日、キリヤ公国連合国内の各地方の治安当局から龍造寺・信美に対して、お暇な時に格闘技の稽古を付けて欲しいと言われてしまうが、彼女はこの申し出を快く引き受けて居る。



「先ずは・・・・このアタイの命を助けて頂き、誠に感謝する勇治陛下。」と信美は、何時ものガサツな口調を出来る限り直して、助けた当人である勇治に真っ向からお礼を述べた。



「いえいえ、助かって本当に良かった。」



「本当だ。医者達から聞いた話だが、何時死んで居ても不思議無いとの事だぞ龍造寺。」と和紗は言う。



「本当にそう思う。運が良かったとな。」



「それで、これからどうする。国に帰るのなら、この俺が送り届けてやるが・・・・・」と和紗は同郷の誼で、帰国の序でに九州地方へと送り届ける事を申し出る。



「そうだっ!!こうしてなんか居られないないんだったっ!!」と信美は、故郷の事を思い出して、ハッとする。



「其処でなんだが、勇治陛下、それと信長殿っ!!そして、其処に居るアマテラスの同郷の方々にお願いしたいっ!!」



「我が龍造寺家を助けてくれっ!!」



「「「「「「「?!」」」」」」」と訳が分からない一同。



「如何したんですか?そんなに鬼気迫ると言う物言いで、助けて欲しいなんて・・・・・・」



「あれから随分と日が経って居るが、今ならまだ間に合う筈だ。」



「実はな、こんな大怪我を負ったのも、島津家の奴らに攻め込まれたのが原因なんだっ!!」



「そうか、やはり島津家か・・・・・・・・・・・・・」と呟く和紗。



「島津?」と首を傾げる政実。



「政実、アマテラス神皇国内で、最も西国に位置して居る大名王家の事よ。」と輝美が簡単な補足説明をする。



「ああ、名前くらいなら知って居るが、その島津家の奴らが如何かしたのか?」



「少し前ならば、政実くらいの反応をするのが、アマテラス人共通の反応だったと思うけど、今は違うらしいのよ。」



「輝美の言う通りだ。独眼竜っ!!」



「どうも数年前に成って代替わりした島津家は、先代当主である島津貴久の娘達である4姉妹が、一丸と成って九州島地方を統一平定しようと、軍勢を率いて北へと攻め上りつつも、南に在る竜珠諸島・竜珠王国にも攻め掛かり、支配下に置いて居ると言うのだ。」と和紗は九州島地方の平定をする予定も在る事から、今知り得て居る情報を皆に言って見せた。



「何れは、この俺が叩き潰す予定で居たが、龍造寺の話を聞く限り。」



「此処に来て島津家の連中は、龍造寺家を先に叩いて、生意気にも織田との決戦に備える気で居るらしいな。」



「じゃけんど、和紗の姉御よ。それじゃと・・・・・・」



「そうね、春美姉さん。今の状況下で、そんな事に成ったら・・・・・・・・・」



「ええっと、もしかして・・・・・・・・・・・・・」と勇治は、その先のオチを何となく察して居た。



「そうなるな。この俺だけでは無く、勇治とキリヤ公国連合国と島津家が、真っ向から衝突する事に成るな。」と和紗が締め括る。



「おい、龍造寺。島津の奴らめは、俺に臣従をすると言って居る大友家と事を構える気か?」



「分からない。分からないが・・・・・アタイが奴らに戦を仕掛けられた時点で聞いた話じゃ、織田家とキリヤ公国連合国は、まだ赤の他人だったと・・・・・・」





「それか・・・・・・・」



「それが奴らが戦を・・・・龍造寺や中立を謳う小大名王家と国人衆達と戦を続ける理由か?」



「島津小娘どもめ、さては、織田家とそれに追従しようとする勢力を九州島地方から追い返して、九州島地方に自分達の国を立ち上げる積りだな。」



「和紗殿、それは本当か?アマテラスから別の形での独立するのか?」



「お前がそれを言うのか独眼竜。」



「まぁ、それもそうか。私も似た様な事をして居るが、しかしながら、如何してそんな考えを持ったのだろうか?」



「そんな事は今はどうでもいいっ!!」



「今問題なのは、島津が織田家への臣従を決めて居る大友家へと戦を仕掛けようとして居るって事の方が大問題だっ!!」



「確かにそうね。今は時期が悪い。」と輝美が渋い顔付きをして言う。



「シャッコロ族の反乱を鎮め、新トウキョウ地方自治州区の問題と、二つもの面倒ごとの後片付けが在るから、アマテラスの争い事にかまけて居る訳にも行かないわ。」と五十鈴が言う。



「我が織田家も、シャッコロ族の反乱の手伝いに結構な予算を掛けて居る。」



「暫くは大友家と秀良の小猿娘が踏ん張ると言って居たが、龍造寺家を潰すのにそんなには時間を掛けて居ないと見ると成ると・・・・・・・・」



「援軍無しでは、九州地方は持たないか・・・・・・・・」と五十鈴が全体象のビジョンから結末を察してしまう。





「何やら其方にも事情が在りそうだが、本当に済まないが、キリヤ公国連合国と織田家に援軍を出して欲しいんだっ!!」



「肥後の龍造寺領には、アタイの帰りを待って居る筈の者達が、従姉妹の鍋島・尚美・茂直が踏ん張って居る筈なんだっ!!」



「鍋島・尚美・茂直。龍造寺の奇才にして、肥前の出来人と言わる軍政務の天才と言われて居る人物ですね。」と隆美は、諸国の情報に精通しているので、その名に聞き覚えがあった。



「頼むから、尚美と肥前国衆達を助けてくれよっ!!尚美は、アタイの可愛い妹分なんだっ!!」



「助けてくれるのなら、アタイは何でもするからよおおおおぉぉぉぉーーーっ!!この通りだっ!!頼むっ!!頼むっ!!頼むううううぅぅぅぅーーーーーーーっ!!」



 プライドがとても高い信美が、大粒の涙を流し、此処まで他人に頭を下げるのは、稀な事である。



 それも他国の王達にだ。



「・・・・・・・出兵しましょう。」



「おい、勇治。正気か?」と政実が、ビックリした顔で叫んだ。



 普段から戦嫌いを公言して、大人しい性格の少年が、進んで出兵するとの発言に驚いてしまったらしい。



「そうよ。勇治くん。よく考えてっ!!」と主君として義姉としても勇治の事を支えて行こうと決意して居る輝美も諫める発言をする。



「勇くん、分かって居るわよね。キリヤ公国連合国の内外に色々と抱えて居る状況下で、一地方に出兵すると言う意味が・・・・・」と五十鈴は勇治を睨み付けた。



「分かっています。取り敢えず、アマテラス九州地方に援兵を出して、島津家の出方を伺います。」



「織田家に従うか、キリヤ公国連合国と織田家の講和に応じるか、はたまた別の形で和平交渉に応じるかを打診します。」



「それでダメなら・・・・・・・・・・・」と勇治は優しい顔付きから鋭い眼光の目付きへと変貌して言う。



「叩き潰すっ!!」



「ぐはははははははははははっ!!そうか、そうか、流石は我が夫と成る男だ。」



「和紗っ!!勇くんを焚き付けるのはっ!!!」と叫ぶ五十鈴は、炊き付ける様な発言を言う和紗を覇気有る怒鳴り声を放った。



「黙って居ろっ!五十鈴っ!!」とキリヤ公国連合国軍総司令官である五十鈴の一括にも決し怯まない怯まない和紗。



 いざ前線にでれば、幾ら国軍の権限を有する連合加盟国の国家元首であったとしても、キリヤ公国連合国・連合軍法の名に置いて、連合軍の管理権限の都合上で五十鈴の方のが、キリヤ公国連合国全軍を束ねる為に総司令官の統帥権の方が上とされて居るからだ。



 だから五十鈴は相手が織田家当主であり、連合加盟国であるアマテラス織田自治神皇国の将軍王と成る予定である和紗に対して諌め、怒る事も辞さない。





「これは、この俺の宗主国王である桐谷勇治が決めた事だっ!」



「普段はヘラヘラとして居るガキだが、こう言う情と義侠心に篤い所が、堪らなく好きな所でも在る。」



「五十鈴さん。ごめんなさい。家族や仲間を助けてって言われると、僕はどうしても我慢が利かないみたいです。」



「勇くん・・・・分かったわ。そう言う男の子らしい所も在るだんね・・・・・分かったわ。」



「幹部臣下である軍部最高トップのキリヤ公国連合国軍総司令官としては、本当は貴方と和紗の事も諫めたい所だけど・・・・・・・・・・・・」



「でもこの一件、今までの話の流れを聞いた限り、私の直感だと、何だかキナ臭い匂いがしそうとも思えて居るの。」



「楓達に島津家の実情を調べさせて見るわ。」



「お願いします。」



「と言う訳で、龍造寺・信美・信隆さん。聞いた通りです。我がキリヤ公国連合国は、貴女の望みを叶えて上げましょう。」



「ほっ、本当かっ!?」



「はい。島津家の企みが何であれ、家の看板の下に助けを求めたら、そりゃもう、家族も同然じゃけんのーっ!!」とわざとらしい広島弁的な台詞で締めくくる。



「そうじゃけぇ、助けを求めた輩の縄張り(シマ)を荒らす奴らに、目に物を見せてやるじけぇっ!」と春美もニヤリと怖い目付きで言う。



「ありがとうっ!!ありがとうっ!!ありがとうっ!!ありがとうっ!!」



 信美は、この時に心に決意する。



(この恩義、アタイの一生涯を掛けて返そう。この少年王こそ、アタイが仕えるべき人物だっ!!)とね。



 後に龍造寺・信美・信隆はキリヤ公国へと直臣として使える事に成る。



 文字通りのその身を一生を捧げると言う意味も込めて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 キリヤ公国連合国は、筑後国・肥前国等を治める大名王家、龍造寺家当主である龍造寺・信美・信隆からの嘆願で、アマテラス神皇国・九州地方に援軍を送る決断を決めた。



 同地域からアマテラス神皇国内での島津家の地位を高める。



 又は、あわよくばアマテラス神皇国地方の天下を掠め取ろうと企む、島津家4姉妹と戦う事と成った。

マギアンティア世界統一暦・1555年・11月2日・午後12時00分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ キリヤ公国連合国・第三連合地方・新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区・トウキョウ都地区・青坂迎賓館にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 勇治はトウキョウ都立赤十字記念病院にて、アマテラス神皇国・九州地方・筑後国西側の1割の領土と肥前国一国を含めた島諸島等を治める大名王家、龍造寺家当主である龍造寺・信美・信隆と対談。



 龍造寺家当主である龍造寺・信美は、当主である本人と龍造寺家、そして家臣と領民達の庇護をキリヤ公国連合国と織田家に求めて来た。



 その結果、キリヤ公国連合国・第三連合地方に属するアマテラス神皇国に国土を持つキリヤ公国連合国加盟国である伊達・毛利・上杉諸侯藩王らは、勇治からの要請を受ける形で、龍造寺家への援助を決定。



 次期キリヤ公国連合国へと加盟する予定の織田家も、九州地方統一平定戦争に向けての予定準備を前倒しにして、島津家討伐軍を派遣する事を決定する。



 勇治達を含めたキリヤ公国連合国の首脳元首達一同は、キリヤ公国連合国・第三連合地方・新トウキョウ湾岸海洋都市・特別地方自治州区・トウキョウ都地区・青坂迎賓館で、キリヤ公国連合国内外へと向けた記者会見を行おうとして居た。



 キリヤ公国連合国の首脳元首達が居並ぶ中で、司会席の檀上机を前にして居る小柄で可愛らしい顔立ちをし、とても真面目そうな感じもして居る20代前半くらいの女性が立って居た。



 その手にカンペを含めた書類を片手にしながら、他の官僚や政府官庁の職員達と入念な打ち合わせを話し合って居た。



 この記者会は、テレビとラジオ等を媒体とするニュース特集番組として放送がされ、翌日までには新聞として報道が為させれる事に成る。



 公王執務官邸とその長官が話すと言う事は、公に報じられる事に成るので、そのカンペ書類と言うのは、入念なチェックと打ち合わせが必要なのである。



「それでは時間と成りましたので始めさせて頂きます。」



 時刻はお昼丁度の12時と成った為に、記者会見が開始される。



「この度、本日の記者会見での司会進行を務めさせて頂きますのは、キリヤ公国・近衛近習衆所属、公王執務官邸長官である長野・業乃・正則です。」



「通称名は業乃なりのと言います。どうか宜しくお願いします。」



 時間と準備が整い挨拶をした業乃は、パシャパシャパシャパシャパシャパシャとカメラから放たれたフラッシュとシャッター音が木霊する。



 その中で真面目そうな顔つきで、キリヤ公国連合国として、初めての国内外向けての記者会見に臨もうとして居た。



 これは異世界マギアンティアに取って、マスメディアと言う概念が全く無かったので、世界初と成るメディア技術力を使った記者会見である。

 

 新トウキョウ地方自治州区・ビクトリナ独立自治共和国・ナデシコ地方自治州区の3地域がキリヤ公国連合国と成った為に、キリヤ公国連合国内にもテレビ・新聞・ラジオ・インターネット等のメディア網が確立されて居た。



 キリヤ公国本土でも、数こそ少ないがマスメディア関連の会社が5社ほど、創立されて居る。



 其処で勇治は新トウキョウ地方自治州区で、決まった事を大々的に発表しようと決めた。



「マスコミ各社の皆様に措かれましては、お忙しい所をこの記者会見にお集まり頂き、誠に有り難う御座います。」



「この新トウキョウ地方自治州区にて、その行政執行機関である新トウキョウ地方自治州区政府とキリヤ公国連合国政府との間で、この度、我が連合国への加盟交渉が纏まりました。」



「後日改めて正式な調印式が為され、新トウキョウ地方自治州区は、準独立自治国権限を持った自治州として、キリヤ公国連合国への加盟が決定しました。」



 再びパシャパシャパシャパシャパシャパシャとカメラから放たれたフラッシュとシャッター音が木霊する。



「その内容はお手元の資料やテレビ画面でのテロップ。」



「ラジオの場合は解説者による説明が、後ほど入りますので、そちらをお聞き下さい。」



「交渉内容で決定事項と成った条文は、事前に発表された通りの物と成って居ます。」



「この辺りで、何かご質問は御座いますか?」



 聞かれた記者達は特に無いらしい。



 事前の発表も在った為に、十分な説明だった事も在り、勇治の故郷に在る様な質問攻めと成る様な事態が無かったのだ。







 新トウキョウに住まう日本人、いや日系人とも言うべき人々は、キリヤ公国連合国から多大なる援助を受け取って居る為か、反政府運動と言う活動が見られて居ない。





 だがしかし、今日の記者達の目当ては、別の問題点へと向けられて居る。



 それは新トウキョウ地方自治州区の加盟準備問題は、既に終わって居た故に、事前資料に渡されたもう一つの内容に注目が集まりつつあった。



「それでは次の発表の参ります。」



「新トウキョウ地方自治州区に続いて、我がキリヤ公国連合国は、第9番目の加盟地域と成る予定の国家、アマテラス織田自治神皇国の加盟予定を正式発表を致します。」



「そして、アマテラス神皇国の5代目の将軍王朝・織田安土幕府政権を樹立し、国名をアマテラス織田自治神皇国とした武家連合国政権の国家元首代表。」



「次期将軍王へと就任予定の織田・和紗・信長様をキリヤ公国連合国内及び世界中の皆様に向けて、この場をお借りして、ご紹介を致したいと思います。」



「織田・和紗・信長様。檀上へと、どうぞ・・・・・・・・・・・」





 和紗は業乃に言われると、派手な黒々としたマントと和洋折衷の掛け合わせたカラフルなアマテラスの着物装束姿で、堂々と記者達の中央に位置して居る檀上へと進み出て行く。





「只今紹介に預かったこの俺が、織田・和紗・信長であーるっ!!!」



「我が織田家は、アマテラス神皇国を統一しようと、10数年の長きに渡り、長い年月を掛けて努力に努力を重ねて来た。」



「まぁ、その間に伊達・毛利・上杉と言った連中が、アマテラス神皇国内の争いを早々に切り上げて、各々の勝手に独立国を建国する事に成るとは驚いたがな・・・・・・・・・・」とチラリと、政実を含めたアマテラス神皇国のキリヤ公国連合国の独立加盟国に向けて、目をやる和紗。



 これは悪い意味での悪態では無く、ジョーク交えた皮肉を言って居るだけである。



 これは記者達と視聴者達からも、クスリと言った笑いを誘う一幕を見せた。



 キリヤ公国連合国の成り立ちに関する諸事情を公表して居るので、アマテラス神皇国内に付いての紹介も為されて居る。



 これ等を見聞きして居る者達は、微笑を誘う事と成ったのである。



「ふっ、これに付いては冗談だ。さて、此処から本題だっ!!」



「この場からでは、直ぐには本人達には、伝わらないだろうが、数日中には伝わると思うから此処に宣言するっ!!」



「我が織田家は、そして織田・和紗・信長が名の下に、このマギアンティア世界の全世界中に向けて、アマテラス織田自治神皇国の建国し、キリヤ公国連合国への加盟国として、アマテラス列島地方の最大国家にして、統一国家として出発する事を此処に高らかに宣言する物成りっ!!」



「そして、まだ抵抗と領土争いを続けて居るアマテラス神皇国内の島津、武田、北条の3大名王家を含めた独立領主達に対して、我が織田家に従うか、それとも死力を尽くして戦うかを選べっ!!」



「それが嫌なら、其処に居る桐谷勇治に仲介を頼んで、身の振り方を決めろっ!!」



「特に島津っ!!貴様らがこれ以上の火遊びをすると言うのなら、この俺と勇治にも考えが在るから、その積りで居ろよっ!!」



「だが、これでは織田将軍王家とキリヤ公国連合国に従う理由も謂われも無いと白を切る者ども等も居るだろう。」



「其処でだっ!!」



「我がアマテラス織田自治神皇国・将軍王政府とキリヤ公国連合国中央政府は、盟主王・桐谷勇治と将軍王・織田・和紗・信長の名の下に、アマテラス神皇国地方に措けるあらゆる私戦を禁止する総武禁止辞令法を発布し、現時刻を以ってして発令するもの成りっ!!」



「全てアマテラス神皇国地方内に措ける全ての武家領主達よっ!!停戦に応じなければっ!!盟主王と将軍王の名の下に征伐するから覚悟しろっ!!」



「その手始めに、前線の戦場で悪さする島津の3姉妹を叩き潰すっ!!」



「首を洗って待って居ろっ!!」



「以上だっ!!」



 シーンと静まり返ってしまう記者会見場。



 記者達と視聴者達は、和紗の覇気に呑まれてしまうのであった。



 キリヤ公国連合国の首脳元首達らは、苦笑交じりに、その様子を見て居た。



 この場に居る記者や報道を見て居た視聴者の人々は、アレがアマテラス神皇国の虚け大名王にして、覇王と謳われる織田・和紗・信長なのたと畏怖をした。



 その堂々たる立ち振る舞いに関して、優れた一廉の人物なのでは?と関心してしまう事と成った一幕を見せる事と成った。





 その5日後・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 マギアンティア世界統一暦・1555年・11月7日・午後13時10分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・九州島地方・南九州島地方・アマテラス神皇国・島津大名王家・島津大名王家国領地・薩摩国・島津大名王家国首都・鹿児嶋市・島津大名王家居城・鶴山城・謁見の間にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 島津家の当主である島津・久実・義久は、新トウキョウ地方自治州区で、キリヤ公国連合国と和紗が行った記者会見。



 その一幕の内容を書状として、書き記した物を数日間を掛けて届けられた内容を聞いて驚愕してしまう。





「なっ、何ですってっ!?キリヤ公国連合国と織田家が、このアマテラス列島・九州島地方への介入を決定したですってっ!?」



「如何やらそうらしいんだ、久姉さん。」



「これはキリヤ公国の本土であるキリヤ公国へと入り込んで居る島津の密偵をして居る者達から、密書を通じて聞いた話だ。」



「テレビとか言う通信装置を使っての宣言では、島津・武田・北条を含めた独立領主らに対して、降伏か継戦。或いはキリヤ公国公王・桐谷勇治に助命を請えと言って来て居るらしい。」



「ままっ、不味いわっ!!このままでは、我が島津家の計画が・・・・・・・・・」



「でも・・・一体、如何してそんな事に?桐谷勇治は、滅多な事では、他人の勢力圏には、軍事行動を起こさないと噂では聞い居た筈なのに・・・・・・・」



「これも人伝に聞いた話だが、如何やら討ち取った筈の龍造寺・信美・信隆が生きて居たらしい。」



「えっ?!龍造寺・信隆が生きてたの?」



「それも如何やって?」



「報告では数多の大砲の砲撃で、信隆が立て籠もって居た、唐津城の北門唐門櫓ごと消し飛んだって言うじゃないっ!!」



「それがだな、どうも海面に面して居る唐津城の北門唐門櫓から吹っ飛ばされただけって、言うらしいんだんよ。」 



「ええっ?!何て頑丈で運が良い奴なのよっ!!」



「それで龍造寺・信隆は、シャッコロ族の反乱を鎮圧して、新トウキョウ地方自治州区で残って居る現地政府との交渉を進める為に出戻る途中で、海上で漂流中の所を桐谷勇治のお召客船に拾われたって訳らしい。」







「その後の事は察しが付くわ。信隆は運良く病院で助かり、事情を話して助け貰うって所なのね。」





「それで、これから如何するの久姉さん。」



「如何するって・・・・・・」と、島津・久実は、真っ青な顔付きに成って居た。



(不味いわ、不味いわ。本当に、これから如何するのよ。これは完全に、予定外だわ。)



(龍造寺・信隆を討ち取って、統制が取れにくい状態と成った龍造寺領を武力制圧。)



(次にシャッコロ族の反乱で、暫く動けない筈の織田家を尻目に、大友家を叩き潰す予定計画で居たのに・・・・・・・・・・・)



(何でそんな時に、龍造寺・信隆が生きて居て、序でに一番に敵に回しちゃいけないキリヤ公国連合国と織田家の両方が、一遍に九州へと攻め込んで来るのよっ!!)



(これは島津家が滅び兼ねない御家存亡の危機よっ!!ああっ!!如何しましょうっ!)





 島津・久実が絶望に打ちひしがれて居た、そんな時であった。



「失礼致しますっ!」



「如何した?」と島津・利美は伝令官の方へと目をやる。



「はっ!!織田家の姫武将、羽柴・陽菜・秀良を先鋒司令官とするキリヤ公国連合国と織田家のアマテラス九州平定征伐連合国軍が、毛利独立自治安芸藩王国領の筑前国州へと上陸を開始しましたっ!!」



「何ですって!?」



「早いな。討伐宣言から僅か5日が経っただけだと言うのに、もう来たのか?」



「はっ!!続いて第二連合国軍は、明智・十華・光秀。」



「第三連合国軍に吉川・春美・隆春。」



「第四連合国軍に長宗我部・智華・元親。」



「第五連合国軍に徳川・千代・家康。」



 先鋒軍に織田家を据えて居るのは、これがアマテラス織田自治神皇国のアマテラス神皇国統一平定戦だからである。



 その連合政権の賛同者の大名王家として派遣軍を出すのは、三河国・遠江国を治めている統治者の徳川・千代・家康。



 四国は土佐国を本拠地として、破竹の勢いで四国統一平定を成し遂げ、織田家と同盟国と成り、四国地方の管理監督職である管領職を任されて居る長宗我部・智華・元親が、四国の大名勢を率いて参加する。



 それらの織田家と他家との連合軍勢を纏めるべく、和紗は羽柴・陽菜・秀良を先鋒軍司令官として派遣し、、その討伐軍の先鋒軍が毛利領の博多市へと入った来たのだ。



 当初の予定では、豊後の大友家の別府港と大分港から入り、陸路と海路を使って多方面へと進軍。



 また四国勢を率いた長宗我部・智華・元親軍が、宇和島港から日向港へと上陸作戦を行い、此方も陸海の二方向から島津家の本領である大隅国へと進軍するのが、織田家が当初から進めて居た最初の計画であった。



 これはキリヤ公国と織田家が連合国として共に歩むと決められる前の計画で、シャッコロ族の反乱の事後処理が済んで、暫く経ってからの計画でもあった。



 織田家はキリヤ公国連合国の力を借りずに、地元の大名王家と織田家に賛同や臣従する大名王家を従えて九州に攻め入る計画を練って居たが、此処に来て龍造寺・信美・信隆が自領を助けて欲しいと、キリヤ公国と織田家に嘆願して来た事で、その情勢は急激に一変する。



 信美から直接援軍を請われた一人である和紗は、これ幸いとして、自国軍を九州地方へと進める事を決意し、援軍を請われたもう一人である勇治は、家族を助けて欲しいと言われれば、嫌とは言えない性格。



 キリヤ連合国の首脳元首達は、宗主国王に対して、形式状は一応の反対をする物の、何らかの形でアマテラス神皇国内の内戦状態を如何にかするのは、当初からの外交戦略で在った事から、島津を降参させられるだけのキリヤ公国連合国軍勢の派兵決定を承認するのに至った。



 そんな感じで、派兵の主力軍に成るのは、アマテラス神皇国内の大名王家に所属する武将達が中心と成って居た。



「第六連合国軍に佐竹・秋江・重義と直江・愛華・兼継及び大国・七恵・実頼。更にその下には、与力軍として、下野国州軍。」



 奥州独立自治王国軍の国王である伊達・藤枝・政実と軍司令部の命令で、前線指揮官に伊達・成美を派遣。



 続いて奥州独立自治王国軍の先鋒軍として、先の奥州統一平定戦で、伊達家に寝返って来た佐竹・秋江・重義を先鋒軍司令官とし、その与力軍に下野国州軍を先鋒軍に参加させる。



 別働中軍部隊として、南部直信・最上義康・安東季愛及び陸奥・羽前・羽後国州連合国軍を派遣させる事に決定する。



 佐竹・秋江は姪からの命令を聞くと「ほう、可愛い姪御殿は、この私に再び最前線に出ろと言うのか?」とニヤリと笑って居た。



 如何やら久々に鬼佐竹の血が騒いだらしい。



 政実に取って自家に組み入れた外様組の者達に、戦で手柄を立てさせて、譜代家臣達との格差をなるべく早めに払拭する狙いが在るらしい。



 それに武田と北条の二家対する牽制でもある。



 今回の出兵で伊達家は、敵対するかも知れない両家に対して、自分達は外征軍を出しても、お前達を十分に抑え込めると言う事をアピールメッセージを出すのが狙いでもあった。



 これにより武田と北条の両者が、島津家の成り行きをどう見て居るのかが分かる筈だと言えるのだ。





「第八連合国軍にライチェル・フェリス及びフェリス侯爵独立自治領国軍とアルペジオ・ハインライン及びメイルシュルフラッド独立自治公国軍。」



 更に付け加えるとシャッコロ族の反乱鎮圧軍に参加して居た軍勢は、大体の後片付けを終わらせて、そのまま自国へと帰国予定だったのだが、キリヤ公国連合国中央政府とキリヤ公国連合国・国防総省及びキリヤ公国連合国軍・総司令部庁から命令で、急遽九州平定戦へと駆り出されてしまう。



 ライチェルとアルペの二人も、自国軍を率いてアマテラスの連合加盟国経由で九州地方へと参着する事と成った。



「第九連合国軍に伊達・成美・実重。」



「第十連合国軍に上杉・剣信・輝清と前田・慶南・益利。」



「第十一連合国軍に真田・幸恵・幸昌と村上・清美・隆清。」



「第十二連合国軍に雑賀孫一と小田・春奈・冶氏。」



「第十三連合国軍に正木・時奈・茂時と津軽・乃為・信胤。」



「第十四連合国軍に尼子・勝美・久勝と山中・鹿乃・盛幸。」



「第十五連合国軍に藤堂・吉与・高虎と可児・才華・長吉。」 



「第十六連合国軍に南部直信・最上義康・安東季愛及び陸奥・羽前・羽後国州連合国軍。」



「第十七連合国軍にネイレス・ガーネット中将とビクトリナ独立自治共和国陸海空軍・1万人。詳細は・・・・・・・・・・」



 ビクトリナ独立自治共和国統合軍・第三艦隊・旗艦・アーク級3番艦・機動兵器空母ベルジダン・ノーグ

      

           

          ラーク級機動兵器空母9隻

          イルダス級ミサイル巡洋艦7隻

          ミチルダ級ミサイル駆逐艦14隻

          ランカウイ級揚陸艦12隻     

          ダルト級補強艦が8隻

          ウンジン級機雷施設掃海艦7隻

          2000年式級潜水艦15隻

          2000式級輸送艦10隻







「第十八連合国軍に新トウキョウ地方自治州区国防自衛軍・第三方面隊管区方面隊。詳細は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



第三方面隊管区 チバ県地区・イバラキ県地区



 新トウキョウ地方自治州区国防自衛陸軍・東部海岸方面隊・第三師団



 新トウキョウ地方自治州区国防自衛海軍・第二艦隊

 

 新トウキョウ地方自治州区国防自衛空軍・第三航空戦隊

 

「第一九連合国軍に栗林武美大佐とナデシコ自治統合陸軍8千人。」



「そして、海軍戦力として、ナデシコ自治統合海軍・第一戦隊司令官・山本五十鈴提督(大将)。第一戦隊副司令官・烏柿肇大佐。」



「キリヤ公国海軍所属・里見・七香・由堯と里見艦隊。」



「小早川・隆美・影長と毛利海軍・小早川艦隊。」



「最後に織田家水軍が海軍へと名称と組織変更され、アマテラス織田自治神皇国海軍と九鬼隆嘉大将。」



「そして、海軍開設記念だとか言って、彼の少年王からナデシコ自治統合海軍で使われて居る撫子級型戦艦を五隻も送られ、戦艦安土・岐阜・清州・那古野・道三名付けられたとの良し。」



「更にその他には、六〇隻もの撫子式軍用艦隊を送られたとの事ですっ!!」





 勇治は火遊びすると言う島津家に対して、そして、この世界に対して、その相手が例え小さな蟻であったとしても、全力で揉み潰すと言って居る言える程の軍勢の派遣を決定して居る。



 何せ、軍事予算は勇治のポケットマネーから出て居るのだ。



その気になれば世界征服する事すら出きるかも知れないが、本人にその気は無いので、世間が騒ぐのは勇治が善悪の区別がハッキリして居る戦に対して容赦なく関わってしまう時だけである。



 織田家が身内に成ると決まった今、この戦争で和紗に撫子式の海軍艦隊を送るという破格の待遇を取って見せた。



 これは何れは織田家がアマテラス地方の盟主的な存在に成り得ると見て居るからに他ならないのと、和紗が勇治と婚約したいと言ってきて居るので、親族として受け入れる意味も込められて居ると言えた待遇だった。



 伊達・毛利・上杉の三家は、実質的に桐谷勇治の直属の臣下王と言える者達だが、アマテラス神皇国の纏め役を織田家に任せた方が良いと勇治とキリヤ公国連合国中央政府は見て居た。



 織田家がアマテラス地方の経済と国防を担う事で、この地方の安定化に繋がるからである。



「ななななななっ、何ですってっ!!噂のナデシコの巨大戦艦が織田家に五隻も送られたですってっ!?」



「それはっ!本当に不味いっ!只でさえナデシコ自治統合海軍・第一戦隊司令官にして、キリヤ公国連合国軍の総司令官でもある山本五十鈴提督が率いるキリヤ公国連合国の主力艦隊、ナデシコ艦隊の第一艦隊が派遣されて来るのだっ!!」



「その旗艦の戦艦撫子だけでも相手にならんと言うに、五隻もの撫子級巨大戦艦が織田家の手に入ったと言うのならば、あの織田の虚け覇王は、絶対にこれ見よがしに、全艦隊を投入して来るに違いないっ!!」と島津・弘美はその概要を聞き、それらが敵対する事に対して、更に畏怖を覚えた。



「そうなったら本当に手が付けられないわっ!!ナデシコ・ビクトリナ・新トウキョウは、キリヤ公国の主力軍。」



「キリヤ公国本国軍が来なくても、十分に私達を叩き潰す事が出来るのよ。」



「ああ、一体、何で如何して、こんな事に・・・・・・・・」と頭を更に抱えてしまう島津・久実。



 続々と名前が上げらて行くキリヤ公国連合国と織田家の名将達の名簿を聞かされ続ける島津家の姉妹の二人は、顔付きが真っ青に染まり上げ、早急に手を打たないと、島津家の本領である薩摩国と大隅国へと攻め入られると、大慌てで、対策を練って行くのであった。





 島津・久実が一体どうして・・・・・と嘆いてしまった事に成って居るのは、別の要因が在った。



 島津家の暗躍により、龍造寺家が傾き、龍造寺・信美・信隆が生死を彷徨った挙句に偶然にも勇治と和紗に出会い、助力を請う事で歴史の歯車の風向きが変わってしまった。



 キリヤ公国連合国と関わり方一つで、関わった者達のパワーバランスが激変する。



 勇治とキリヤ公国連合国は、この世界、いや、全ての平行世界に取って異質な存在に成りつつある在るのかも知れないと言えた。



 さて、勇治とキリヤ公国連合国の加盟諸国が、アマテラス九州地方に全勢力の軍勢を投入すると決めた背景には、訳があった。



それは・・・・・・・・・・・・・・・・



 アマテラス列島南西部に広がる島諸島で構成される尚王家一族が治めて居る小国、竜珠王国りゅうきゅうおうこく。



 その竜珠王国からキリヤ公国連合国・ナデシコ地方自治州区・州都・横須賀市に商船に偽装した帆船に乗ってやって来た外交官の使者が訪れた。



 だが、肝心の勇治を始めとする者達は、新トウキョウ地方自治州区編入問題とシャッコロ族の反乱の制圧作戦の為に、キリヤ公国本土を留守にしていた。





 其処で仕方なく、竜珠王国の外交官であるジュリ・ネイウォンと言う女性主席外交官は、ボーウィング社製型と同系機体の旅客機で、新トウキョウ地方自治州区へとやって来た。





 その見姿は、お前たちのして居る事は、全てお見通しだあああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!と言いそうなトリック推理ドラマに登場する女優さんに良く似ている人物だったりする。



 その装束姿は、煌びやか大華天帝国・クーロン式の衣装、詰まりは中華風の宮廷衣装とも言うべき赤と金と青を併せた衣装を身に纏って、堂々とした立ち振る舞いで勇治達の前に現れて居た。



 勇治はトウキョウ都・青坂迎賓館内にて、キリヤ公国連合国の首脳元首達が居並ぶ中で、竜珠王国の外交官であるジュリ・ネイウォンと面会する。



「勇治陛下、並びに加盟国諸侯王の皆様、お初にお目にかかります。わたくしは・・・・・・・・・・・・・」



「挨拶は良いです。何でも、僕と我が国に火急の要件が在ると聞いて居ます。」



 勇治も何となく察しが付いて居るが、まだ楓達、忍び衆達の報告が来て居ない。



 だが、ジュリがこの時期にキリヤ公国連合国の元にやって来ると成ると、その事に対する答えは、勇治にも分かる様な気がしていた。



「はっ!!ではそのお言葉に甘えて、失礼を致しまする。これを・・・・・・・・・・・・」 



「これが我が国王陛下からの密書に御座います。」とジュリは、勇治に書状を手渡す。



「・・・・・・はぁ~やっぱりですか?」と密書を開き、その内容を読んだ勇治は、予想通りと言ってしまう。



「・・・・・・流石は聡明な少年王と言われて居られる勇治陛下。お察しの通りで御座います。」



「要するに、僕と我が国に、貴国を助けて欲しいと言うんですね。」



「はっ!!願わくば我が国も、キリヤ公国連合国の加盟国の末席にお加え下さりまするば、幸いと存じ奉りまする。」



「結局は・・・・ゲルニアン帝国、ヒットラン皇帝に行き着く訳か・・・・・・・・・・・」



「楓達の報告を聞く前に、今回の一件の全貌が分かって来た。」



「勇治、あの髭オヤジの奴めが、この俺と手切れとなり、更にはシャッコロ族の反乱すら制圧と成った今、アマテラス地方に介入するには、島津家と竜珠王国の二つを自らの自勢力圏に置きたいのは、分からんでもない話だっ!!」



「和紗姉え、これでキリヤ公国連合国は全勢力圏軍を動かす大義名分を得ちゃったなぁ・・・・・・」と呆れ顔の勇治。



「良いではないかっ!!お陰で躊躇と手加減をせずに堂々と九州地方へと介入が出来る。」



「まぁね。ヒットラン皇帝とは、何かとちょっかいを掛けて来るから、正直言って鬱陶しいんだけどね。」



「さて、キリヤ公国連合国の公王、及び宗主国王として、本国政府首脳と加盟国元首に命じます。」



「全勢力軍で、ゲルニアン帝国をアマテラス列島から叩き出せっ!!」





「「「「「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉーーーーーっ!!」」」」」」」」」」



 この時、勇治は鬱陶しく、しつこいヒットラン皇帝に対して怒り心頭だったと言う。



 画してキリヤ公国連合国軍は、一切の手加減無しでのアマテラス九州地方へと出兵が決められたのであった。

マギアンティア世界統一暦・1555年・11月3日・午後14時06分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸・ユーラシアン大陸 ゲルニアン帝国・帝都ベルリナ・ベルリナ帝城宮殿・皇帝執務室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 ゲルニアン帝国・帝都ベルリナ・ベルリナ帝城宮殿では、何時もの如くヒットラン・アドルフラー皇帝とロンデル・エルバン大元帥の二人が、益々勢力圏の拡大と国力の肥大化が進むキリヤ公国連合国。

  

 その対キリヤ公国連合国への対策に追われて居た。



 勇治がガリアナ王国のジンバル・ユリテリア・ガリアナ国王の命を救い、その国王の娘であるセレジアにひとめぼれされ、婚約者と成った。   



 その結果、セレジアとの婚約するに当たって庶民であった勇治の身分を格上げするべく、誰からも文句を言われない身分。



 ガリアナ王国から分離独立した国家の公爵王位に付いた王様に成り、勇治はキリヤ公国を建国をした。



 更にキリヤ公国には受難が続く事と成った。



 それは異世界から神災害で次元転移してしまった地方地域であるナデシコ地方自治州区を準独立自治国権限を持たせた形で、キリヤ公国へと合併編入する事で、キリヤ公国は、キリヤ公国連合国へと国名を連合体制国家を敷いた国として勢力を拡大させた。



 これによりゲルニアン帝国は、転移災害が原因では在るが、一部の国土をキリヤ公国とナデシコ地方自治州区とが、自領を浸食した事に難癖を付ける事で、ユーラシアン大陸南部統一戦争を仕掛ける。



 だが、このゲルニアン帝国の陰謀戦争を勇治は、ゴットタブレットの力とナデシコ地方自治州区の力を用いたお陰で、ゲルニアン帝国を退けさせる事に成功する。



 この公帝戦争に措いて、キリヤ公国連合国とその同盟諸国らは、北へと領土広げる事になる。





 更にはゲルニアン帝国から小さな国土を守り切る為に、メイルシュルフラッド公国の女公王であるリィーゼ・メイルシュルフラッドは、キリヤ公国連合国へと飛躍した彼の国から支援を得る為に、勇治と婚約してキリヤ公国連合国への連合加盟を表明する。







 それに続いて更にキリヤ公国連合国へと加盟を表明する者達が現れる。



 それはアマテラス神皇国内から分離独立をする決断をした伊達家の奥州独立自治王国。



 若き伊達家の当主である伊達・藤枝・政実は、14歳で当主と成ると、米沢と近隣地域だった領地は一気に陸前国・岩代国・磐城国へと広がり、南奥州を平定を果たした事で、3カ国半を治める大大名へと一代で国土を一気に成長させる。



 キリヤ公国海軍艦隊が仙台湾へと現れ、彼の国の目的や要望の要請を聞かされると、協力する所かキリヤ公国に自ら進んで取り入る事を決めた。



 そして、キリヤ公国の連合傘下へと入り、伊達領国の全てを独立自治国として認めさせ、保護下へと入り、何所の国からもチョッカイが出せないようにする狡猾さを見せ付けた。



  後に政実が勇治への公式な臣従を表明をする為に、キリヤ公国連合国の首都たる公王都キリヤ市へと上洛する日、最上義光が起こした奥州動乱戦争が勃発すると、これらを鎮めると決意した政実。



 そんな彼女事を応援する伝える為に、勇治は奥州王号を送る事を伝える。



 政実は奥州王の地位を勇治から授けられ、連合加盟する際に登録した国名たる仙台陸前独立自治藩王国から奥州独立自治王国と国名を改名し、侯爵王家扱いでは在るが、盟主である勇治に準ずる地位をと定められた地位を賜られる名誉を得た。



 時を同じくして、毛利家もキリヤ公国連合国との小さな諍いを起こした結果、その無礼を詫びる意味も在ってか、毛利基就は長女の毛利・輝実・隆宗へと譲り、キリヤ公国連合国へと加盟。



 毛利独立自治安芸藩王国を建国をしてアマテラス神皇国内から分離独立をしてしまう。



 続いてアマテラスの各所から、キリヤ公国連合国が仕官公募と移民公募政策により、移民と仕官者達が殺到。



 キリヤ公国連合国の労働力と兵力の確保の為にアマテラス列島で溢れている難民や無職の武士達にキリヤ公国連合国で働かないかと呼び掛けると相当な数の応募者が集まる事と成った。



 今現在でも移民希望者が多く、今は本土より殆んど無人であるキリヤ列島の開拓民へと入る者達が多い。



 その中にはアマテラスの猛将・知将・某将・賢将と言った物たちも集まり、その中でも上杉家の軍神と謳われて居る姫武将、上杉・剣信・輝清とベテラン側近者たちも在った。



 これが原因で、上杉家は先代当主であった上杉・剣信の後を追う形で、新当主であり、上杉・剣信の甥御である上杉影勝は、勇治に臣従を誓いつつ、上杉独立自治北陸藩王国を建国して、アマテラス神皇国内から分離独立をする事に成る。



 

 これらの勢力の加盟により、キリヤ公国連合国は、より一層の勢力圏の拡大に繋がっ居り、ゲルニアン帝国との大戦争である公帝戦争に勝利にも繋がった。





 また、移民者達の中には、唐太島国・万年島列島地方国・北海島国の3州の島々から外の世界を嫌って居たり、戒律的な慣習から毛嫌いをしていたアイヌル民族達の中にも、渡海する者達も現われて居る。



 その姿は勇治の故郷である地球世界のアメリカ合衆国に近い姿をして居ると言えた。



その後もキリヤ公国連合国は拡大を続ける。



 お次はビクトリナ独立自治共和国の転移災害によって引き起こされたビクトリナ南洋大戦。



 これにより第一列強国のゲルニアン帝国。第二列強国のマギウス・ギアース王国。第四列強国のドラリュウス帝国から成る3大列強国との一大戦争へと発展してしまう。



 これ等を撃退した事で、キリヤ公国連合国は世界から新たな列強国として見られる様に成って行く事に成る。



 その事を忌々しく思って居るのは、キリヤ公国連合国を列強国へと押し上げる切っ掛けを作ってしまった張本人であるゲルニアン帝国のヒットラン・アドルフラー皇帝とロンデル・エルバン大元帥の二人。



この二人がある報告を聞いて大慌てと成って居た。



「何じゃとっ!!キリヤの小僧がシャッコロ族の反乱鎮圧をしたのに続いて、島津家の征伐を決めたじゃと!?」



「はっ!!如何やらその様な発表が、新たにキリヤ公国連合国へと編入された新トウキョウ地方自治州区と言う地にて、世界中に向けて大々的に発表したらしいのです。」



「それで・・・・・・・その派遣軍は、どれくらいの規模に成るのだ?」



「漏れ聞こえる話を分析しましたが、恐らくは・・・・・総兵力50万人程度かと・・・・・・・・・・」



「50万人、帝公戦争の(ゲルニアン帝国側の公帝戦争の呼び方で、源平合戦の様な名前の付け方)時と同等の規模か・・・・・・・・・・・」



「あの狭きアマテラス列島・九州地方の島に、それだけの規模の兵力が集中する成ると、島津の小娘共は詰んだのも当然であろうな。」



「我が帝国の1方面軍程度の派兵規模に御座りますれば、それらの軍勢に島津家が制圧されば、これ以上のアマテラス列島地方への介入は不可能に成ってしまいました。」



「ちっ!島津やアイヌル民族解放血盟団に対して、ちと肩入れが過ぎたか・・・・・・・・・」



「今後は第三文明圏への交易航路は、我が国の西回りに行い、第五文明圏への交易航路と併用しての代用航路貿易をして行くしか在りませぬ。」



「東へは第二文明圏の列強国であるマギウス・ギアース王国の連絡船を中心とした自由商業交易に任せるしか、手は無くなりました。」



 自由商業交易とは、敵対国に制海権を奪われた場合の非常手段で、敵対国と接して居る海の港を寂れさせない為の苦肉の策である。



 少なくとも商人に対して、敵対国との貿易を禁止にするより、貿易を奨励して、次の戦いで制海権を取り戻すと決意を新たに・・・・と言うか放置するしか無いと諦めた放任政策である。



 特に戦って勝てない相手の場合のみに適用される事の多い手立てなので、この世界の国々に取っては、形振り構わずの場合の時のみに制度が施行されて居る。



 ハッキリと言えば、国家が自国の商人達に対して、敵対国の制海権での貿易に関して、国家はワザと法の抜け穴を作って、見て見ぬふりをしての貿易を奨励して居る事に成る。



「ぐっ、我が帝国にもキリヤ公国連合国の様な力が在れば・・・・・・・・・・・・・・」



 ヒットラン・アドルフラー皇帝とロンデル・エルバン大元帥の二人は、歯がゆい思いで、ユーラシアン大陸の東側に在る大海、ローレライ大海洋の制海権を奪った キリヤ公国連合国が、我が物顔で次から次へと版図を拡大させて行く事を黙って見て居るしか無かった。



 しかしながら、これは彼らのしでかしてしまった事が原因の自業自得なのだが、それでもキリヤ公国連合国を怨まずには居られないが、反対に勇治とキリヤ公国連合国は、勝手に版図が広がるだけであるので、怨まれるのは迷惑なことこの上ないのであった。



 だが、そんな彼らに間も無く、思わぬ拾い物をする事に成る。

  

 マギアンティア世界統一暦・1555年・11月7日・午後13時06分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・第三連合地方・キリヤ公国連合国加盟国家・毛利独立自治安芸藩王国・九州島地方・北九州地方・筑前国州・小倉市・小倉城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 島津家への去就を明らかにしろとの最終通告を宣言してから5日後。



 新生織田家として出発した、アマテラス織田自治神皇国とキリヤ公国連合国との連合を組んだ形での九州地方への九州統一平定征伐連合国軍。



 そのアマテラス九州平定征伐連合国軍の先鋒軍たる第一連合国軍司令官に任じられた羽柴・陽菜・秀良は、先鋒軍として小倉城へと到着して居た。



 また、博多港へは羽柴軍の別働隊が機内より進発した安宅船艦隊により到着して、続々と上陸を果たして居た。



 此方は羽柴・陽菜の子飼い軍が中心軍勢で、小倉城へのルートは、下関から新たに橋を架けて渡る事に成った



 毛利領の港が使える様に成った事は、アマテラス織田自治神皇国軍に取っては、本州島経由での補給路の確保に成功した事で、より一層的に戦がし易く成った事を意味して居た。



 そして・・・・・・・今回は勇治のゴットタブレットで、下関市と小倉市との間を繋ぐ天照関門海峡大橋こと、天門大橋と略された巨大な鉄筋制の吊り橋が架けられる事と成った。



 その橋を第一連合国軍司令官に任じられた羽柴・陽菜・秀良を先頭にして、連合国軍勢は、続々と橋を渡って行く姿が見受けられて居た。



此処で登場する羽柴・陽菜・秀良付いて改めて説明して置く。



猿の様にキャッキャ、キャッキャ飛び回るが如く騒がしい性格で、背格好が小柄で可愛らしい容姿をして居る羽柴・陽菜・秀良は、元は尾張国州の農村である中村の生まれで、木下・陽菜と言う農民の家の長女。



 実家には、母と7人くらいの兄妹達が居る家族の多い貧困層生まれの女の子だった。



 ある日、美濃国との戦に足軽兵として消臭され参加した父である弥右衛門が、敵から受けた手傷が元で、破傷風に掛かって病死。



 一家の大黒柱を失った木下家は、只でさえ貧乏農家であるのに、収入源の柱が無く成った事でド貧乏の底へと転落。



 そん中で、母親である仲を狙って居た中村の村長の次男坊である竹太と言う男は、戦で留守の木下家へと強引に入る込み、仲と寝屋を強引に強要させて居た。



 弥右衛門が亡くなると、今度は再婚相手だと言って、家に居座る様に成る。



 そんな生活に嫌気がさして居た陽菜だったが、ある時義父である竹太から、デカい娘は小利口過ぎて邪魔だと、近くのブッタ教寺院に小僧として追い出されてしまう。



 頭に来た陽菜は、中村寺院を飛び出し、義父である竹太をボコボコに殴り捲ってから、村を飛び出す。



 其処から当てもない旅へと出たが、日雇いの仕事をしながら東へ東へと流れて、遠江国の国衆で在り今川家臣でもある松下・佳代・之綱に、物乞いをしていた所を拾われる。



 半年間の間に武芸・学問・兵法・経済等の学問を教え、大変に可愛がられたが、献身的に働いてる事が、古くから仕える家臣達に農民の癖にと酷く馬鹿にされて居た。



 これ以上は迷惑を掛けられないと悟った陽菜は、ある日の深夜に黙って松下屋敷を去ろうとした所を呼び止められ、餞別だと言って金子・小刀・槍・鎧と鎧櫃等の姫武士道具一式を受け取って、お礼を一言を言うと、その場を立ち去る。



 そして、数年ぶり尾張国へと帰ると、松下・佳代から貰った金子を元手に、尾張国各所から搔き集めたりした産物を扱った行商を開業する。



 その時に従業員として雇った幼馴染みの蜂須賀・頃代・正勝と前野・恵那・長康共に清州市へと出稼ぎに出るが、其処で若き日の織田・和紗・信長と出会い、その出で立ちにただならぬ気配を感じて家来に成って一旗を揚げたいと決意する。



 その後陽菜は足軽身分で、和紗の付き人として、草履取り仕事からスタートし、清州城の修繕をたった二週間で仕上げたり、岡ヶ狭間の戦いで今川義本の動きを探ったり、墨俣城を一夜で作り上げ、美濃で有名な軍師を調略して見せた。



 また、越前金ヶ崎の戦いでは、朝倉軍と浅井軍の連合から味方を守るべく殿を引き受けたり、反旗を翻した元同盟国である浅井家の居城である小谷城攻略の総大将を務めたりと目覚ましい活躍を見せた。



 農民だったにも関わらず数々の活躍を見せたりして居た彼女は、何時しかアマテラス地方でも一躍有名な最底辺から出世を成し遂げた武将の一人と成って居た。 



 現在は北近江5万石と播磨国州50万石と摂津国州20万石あわせた75万を有して居る。



 家臣団には故郷の幼馴染みや親戚、身分の低い者や浪人者等が多く採用され、異色の家臣団と成って居る。



 後に豊臣独立自治大公国を勇治の持ってる直轄領地を分け与えられ、大公豊臣・陽菜・秀良と呼ばれ人物と成るのだが、それはチョッと先のお話。





 さて、少々逸れた話を元に戻そう。



 派遣されたアマテラス九州平定征伐連合国軍は、毛利安芸藩王独立自治国領・北九州地方・筑前国州・小倉市・小倉城を前線基地とし、博多市と博多港を海上補給路の要所地として居た。



「予定していた時期よりも、思ったよりも早く九州平定の戦が始められるとは、思わぬ誤算でしたね、陽菜殿。」



「全くだよね。島津の先走ったやり口が我が織田家、そして勇治陛下とキリヤ公国連合国の介入を早める事に成るとは、流石の島津四姉妹達も先が読めて居なかったと言う事なのが彼女達に取っては、思わぬ誤算なんだろうね。」



 羽柴家の軍師にして、播磨国州の秀才と謳われし黒田・雫・隆孝は、小倉城に到着すると、雑談交じりに先々戦略を練り始めた。



 黒頭巾を被った小柄なおかっぱ頭の風貌で、機内地方の平定戦での戦いに措いて、彼女は荒木城の城主である荒木村重へと降伏の使者へと赴く事が在った。



 その時に村重の罠に掛かり、彼の手によって1年間の投獄生活を強要されて居た事も在るせいか、少々右足を悪くしてしまって居る。



 羽柴軍の2枚参謀看板の一人で、美濃国州の天才と謳われし竹中・半那・治重と共に、雫半軍師しずはんぐんしと略され並び呼ばれる名参謀としてアマテラス神皇国内では知られて居た。



 この二人が居れば、アマテラス神皇国の天下が取れると言われて居るが、党の本人達は、その気は無いらしい。



 竹中が軍略・謀略に長け、黒田が戦略・戦術に長けて居る為か、この二人が立てる策略は、実に見事な手並みにて相手を翻弄し、簡単に決着が着くとされて居る。



「敵は掻き集めた将兵が30万人強と言った所。」



「対する我らはキリヤ公国連合国の軍勢を併せて、50万人を号する大軍勢。」



「やり方さえ間違わなければ、これほどの楽な戦は無いですね。」



「申し上げますっ!!」と伝令官が入って来た。



「如何したの?」と陽菜が驚いた表情で聞く。



「只今入りました情報に由りますると、島津家4女・島津・家久が、大友・奏麟様の本拠地である大分城を包囲した模様っ!!」



「報告ーーっ!!」と再び、新たな伝令官が、次なる報告を伝える為にやって来た。



「申し上げますっ!!先程立花家から参りました伝令官に由りますれば、大友家の高橋・運紹様が守りし岩屋城。」



「立花・道雪様が守りし宝満城を島津家の次女、島津・義広の軍勢が取り囲みましたっ!!」 



「なお、立花山城の城主である立花・宗茂様から、窮地に陥った姉達を救う為にも、一刻も早い援軍を求めて来て居られまする。」



「ほう・・・・・・島津4姉妹は、講和でも休戦でも無く。」



「有利な情勢を得るべく、抗う為に先手を取って戦を仕掛ける事を決断しましたか?」



「大方、島津家の者達の目論見は、抗えるだけ抗い。戦後講和交渉で出来るだけ優位に立ちたい腹積もりなのでしょうが・・・・・・・・・・・・」



「雫っ!!」



「分かって居りますとも、アマテラス九州平定征伐連合国軍・先鋒軍司令官付参謀総長として命じます。」



「直ちに第三連合国軍の吉川・春美・隆春殿、第十連合国軍の上杉・剣信・輝清殿と前田・慶南・益利殿。」



「第六連合国軍の佐竹・秋江・重義と上杉軍の直江・愛華・兼継殿及び大国・七恵・実頼殿と下野国州軍。」



「第五連合国軍に徳川・千代・家康殿の旗下である本多・八重・忠勝殿らの軍勢を合わせた5万人を立花山城を方面隊として編成派遣し、島津・義広軍勢を立花家の領地から叩き出しなさいっ!!!」



「ははっ!!」と言って命令を受けた伝令官は、直ぐに立花家への救援部隊と決まった軍勢の下へ命令を伝える為に、通信室へと向かう。



 立花家への救援派遣軍の武将達は、何れもアマテラス地方内でも指折りの武辺者として、知られて居る猛将揃いの強者達で編成されて居た。



 勇将にして猛将の鬼島津の異名持った島津家の武勇名が高き次女としても知られた島津・弘美でも、苦戦どころか尻尾巻いて逃げるしか無いかも知れない。

 

「ねぇねぇ雫、今の編成って・・・・・・・」



「少々、大人げないやり口である事は、重々承知して居ります。」



「ですが陽菜殿、相手は鬼島津の異名を持って知られる島津・義広。」



「例えそれが子猫だったとしても、全力で狩らねば、此方も要らぬ被害を被ります。」



「此方もアマテラスの猛将達をかの鬼島津へとぶつける事で、義広本人を押さえ付けつつ、その旗下の軍勢の戦意を削ぐ意味も在りますので、これくらいが丁度良いかと。」



「まぁ、良いんだけどね。所で大友様の所へは、誰が向かったの?」



「それに付いては既に手を打って在ります。」



「どんな手?」



「それは大分城にての戦が、始まってからのお楽しみです。」とニヤリと笑う雫であった。



 ギリギリまで手の内を明かさない。



 それは軍師道を極めし者に相応しい姿と言えた。



 マギアンティア世界統一暦・1555年・11月8日・午後10時36分頃マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・第三連合地方・キリヤ公国連合国加盟国家・アマテラス織田自治神皇国・大友家領・北九州地方・豊後国州・大分城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 さてさて、策士、策に溺れる島津家4姉妹によるアマテラス九州地方制覇の野望は、織田家とキリヤ公国連合国の介入により風前の灯火。



 窮地へと追い詰められた島津家4姉妹は、限られた戦力と無い知恵を振り絞って、敵の援軍が到着する前に、敵側の要所、要所を攻め取ると言う大胆不敵な攻勢に打って出てたのであった。



 溺れる者は藁をも掴むと言った感じに、少しでも優位な戦況と膠着状態を作り上げる形で、大国との間に停戦協定へと持ち込み、戦後交渉で有利な内容の講和を捥ぎ取ろうと、力で抗う事を決断する。



 島津軍は、九州地方豊後国方面に措いて、北九州地方東部方面侵攻部隊を率いて居た島津・衣恵与・家久は7万5千人程度の軍勢で、大分城と大分市に攻め入る。





 この戦いが始まる切っ掛けと成った戦いが在った。



 それは九州統一の前哨戦として島津軍と戦った肥後国の人吉城の相良・晴陽・義陽と日向国の伊東義祐を討ち破り、島津軍は勢いに乗って破竹の勢いで北侵を続けて居る。



 だがしかし、キリヤ公国連合国と織田家の早期参戦が決まり、その軍勢の電光石火の攻めと駆け引きで戦局逆転が決定的と成る。



 九州地方の戦いの潮目が変わり、自国に優位と見た大友家。



 其処でキリヤ公国連合国軍の援軍が来る前に、島津軍に一撃を加え様とした大友・須江・奏麟と大友軍は、大分市の東南に在る戸次川にて激突するも、島津・衣恵与の露骨な策略と武勇に翻弄されて撤退。



 本拠地である大分城へと出戻って来て居た。



「ぐっ、勝ち戦と見て勇み足であった事が悔やまれる。」



「我が方の援軍が到着するまで、この大分城で絶対に待つ様にとお伝えした筈です。」



「申し訳なかった竹中殿。」



 なんとっ!!この大分城には、既に美濃国州の天才と謳われし竹中・半那・治重が入って居たらしい。





 しかし、如何やって?と言うと、キリヤ公国連合国のヘリコプター部隊で3000人の部隊と供に、本隊に先んじて大分城へと乗り込んで居たのであった。



 新トウキョウ地方自治州区国防自衛軍・ビクトリナ共和独立自治国統合軍・キリヤ公国軍の三つからヘリコプター大隊が編成され、大友・須江が出払って居る最中に必要な物質を届けさせて居た。



 竹中・半那の旗下には、ナデシコ自治統合陸軍・新トウキョウ地方自治州区国防自衛陸軍・ビクトリナ共和独立自治国統合陸軍・キリヤ公国陸軍から成る先遣籠城軍が到着していた。



「まぁ、一先ずその一件に付いては戦後に、キリヤ公国連合国としての軍律違反としての色々な面で、処分の対象としますが、今は目の前に居座る敵軍を如何にかする事が先決です。」



 島津・衣恵与軍は、大分市を取り囲みつつ、じわりじわりと大分城を攻め立てて居る。



「幸いな事に敵である島津・衣恵与軍は、大友殿を打ち破って軍勢が逃散し、その数が減って居ると思い込んで居る筈でしょう。」



「それならば勿怪の幸い。この私が島津軍が最も得意な戦法である釣り野伏の計で、見事に粉砕してみせようではありませんかっ!!」



 白頭巾を被った小柄なショートロングヘアーの風貌をして居る女の子が、大友家当主とその家臣達前にして、采配を振るった小芝居をしつつ、敵の最も得意とする戦術で追い払うと言うのである。



 これには大友家の家臣達も口々に、流石はあの天才軍師竹中・半那たど、褒め称えて居たのであった。

 



 一方の城下町の島津・衣恵与は、島津家内の将兵に最も人気を誇って居り、みんなの妹とも言われて居る四女で、元気っ子タイプの女の子である。



 そんな彼女は武勇と統率力に長けた能力を有して居るが、島津家内では訳ありの親族として知られて居た。



 実は彼女だけが側室の子で、家内では昔から特別扱いをされて居た為に、疎外感を感じて過ごしてたが、その姉妹仲はとても良い。



 ツインテールの髪型とツルペタで小柄な体型が、一部の人達には大人気らしい。



 身内での通称は、衣恵ちゃん又は衣恵と呼ばれて居た。



 その衣恵与は、桃色を基調とした鎧武者姿で、多数の抱き杏葉の紋所の旗が、はためく大分城を睨んで居た。



「そろそろ頃合いだねっ!!」



「先の私達との戦いで負けて、三日も籠城して居る大友・奏麟達は疲労困憊の筈。今なら簡単に城を攻め落とせるっ!!」



「みんなーーーっ!!今から大分城に総攻撃だよおおおおぉぉぉぉーーーっ!!」



「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」



 島津・衣恵与軍は、頃合いを見計らって大分城へと総攻撃を仕掛けた。



 衣恵与の旗下の軍勢達は、各々が受け持つ筈の攻め入る各所の城門へと殺到する。



 所が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「今だっ!!全連合国軍部隊っ!!一斉射撃を開始せよっ!!」



 竹中・半那の号令で、大友軍の火縄銃部隊とキリヤ公国連合国と織田軍の小銃歩兵隊による一斉射撃が開始される。



 一斉に城壁の鉄砲狭間から銃筒が、ぬうっと顔を露わにすると、敵将兵に向けて容赦の無い銃砲火を浴びせて行く。

 





 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!





「ええええぇぇぇぇーっ!!何でっ何でっ!!何でなのよっ!!」



「大友の奴らは、何で今頃に成って敵が待ち伏せなのっ!?」と突然の伏兵の登場にビックリする衣恵与。



「家久さまっ!!天守閣をっ!!」



「何っ?」



  島津・衣恵与は護衛の足軽が指さす方向へと目をやる。



 その天守閣には、足軽兵の手によって大友家の御旗とは別の旗が掲げられて居た。

 

「赤に丸の白地に鎌と鉄鎚と鳩と桐の花って・・・・・・・・・」



「キリヤ公国連合国の本国、キリヤ公国旗じゃないっ!!もう此処に来ていたのっ!!」



「うわわわわわっ!!これじゃ勝ってこ無いわよっ!!」



「家久さま、もしや大友軍は、我らを釣り上げる為に、わざと戸次川で負けたのでは・・・・・・・・・・」と重臣の一人が言うが、これは深読みし過ぎた勘違いであった。



「誰よ誰よっ!!こんな嫌らしい手口を使うのは、これじゃ利姉ぇと良い勝負だよっ!!」



 一つ上の姉と同じくらいに手口の嫌らしさに、舌を巻く衣恵与。



 其処へと更なる軍勢で追い打ち掛ける竹中・半那。



「今だよっ!!みんなっ!!それえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーっ!!」



 其処に攻め込んで来たのは、第九連合国軍たる伊達軍を率いる伊達・成美・実重が、突如として大分市の東側の林から指揮下の軍勢と共に現れて島津軍へと駆け迫る。



「竹に伊達雀の紋所?!伊達の紋所の旗印でもある奥州独立自治王国旗っ?!家久さまっ!!伊達軍ですっ!!伊達軍が現れましたっ!!」



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!

 

 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



 パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!パパパパパパパーンッ!



「今度は何処?」



「西にはキリヤ公国旗です。八咫烏と洲浜の紋所。少年王の直臣軍の将である雑賀孫一と小田・冶氏から成る連合軍ですっ!!」



 キリヤ公国陸軍に所属する雑賀孫一と小田・冶氏の二人は、銃歩兵大隊と96式装輪装甲車及び16式機動戦闘車と共に居並び、機関銃と小銃を撃ち掛け来ていた。



「更に敵勢に増援っ!!指揮官旗印と思われる旗指物には・・・・・南部・最上・安東の物と思われ、国軍旗には・・・・・・・竹に雀の紋所の旗印っ!奥州独立自治王国旗ですっ!!」



「追加で現れたのは、南部直信・最上義康・安東季愛等から成る奥州独立自治王国軍ですっ!!」



「これ等は伊達軍の本隊と見られまするっ!!」



 南部・最上・安東らの指揮官旗印を靡かせた奥州独立自治王国軍は、北部・愛・親信・戸沢安盛・小野寺道義・六郷乗政・寒河江基隆・仁賀保氏・矢島氏・本堂氏等と言った各地方を治めている者らを指揮官とした、各州国軍も参戦して、西回りに軍を展開して迫って来て居た。



「更に増援っ!!フェリス侯爵独立自治領国軍とメイルシュルフラッド独立自治公国軍から成る騎兵軍が現れましたっ!!両軍併せて五千の軍勢ですっ!!」



「現れた総軍勢は、凡そ5万人と見られまするっ!!」



「更に海から巨大戦艦隊が出現っ!!織田木瓜の旗を掲げて居り、噂に聞くキリヤ公国連合国から織田へと譲渡された巨大戦艦だとの思われますっ!!」



「くううっっ!!こうなったら仕方がないっ!!此処はとっと逃げるよっ!!」



「ははっ!!撤退ーーーーっ!!撤退ーーーーっ!!」



「退けっ!!退けえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」



 島津・衣恵与とその旗下の島津軍の北九州地方東部方面侵攻部隊たる7万人は、撤兵を即断する。





「逃がすなっ!!」



「徹底的に叩けっ!!」



 ライチェル・フェリスが率いるフェリス侯爵独立自治領国軍とアルペジオ・ハインラインが率いるメイルシュルフラッド独立自治公国軍の連合騎兵軍は、西洋甲冑式騎兵軍を用いて、島津軍を容赦無い追撃を仕掛けた。



 大分城での戦いに措ける島津軍は、この様な形で、軍勢が瓦解をしてしまったのである。





「島津の小娘めは退いたか?」



「はっ!!」と九鬼隆嘉が側で島津・衣恵与とその旗下の島津軍の7万人が逃げて行く姿を和紗と共に双眼鏡を使って見て居た。



「我が艦隊も追撃を致しますか?」



「いや、これで島津姉妹は、もうお仕舞いなんて冗談が言えるが、殺すまでも無い。」



「奴らは、これで力の差を思い知っただろうよ。」



「この戦艦安土を使うのは、奴らめの本拠地たる薩摩国と鹿児嶋よ。」



「これより大分港へと入港する。キリヤ公国連合国軍の第二陣の上陸を急げっ!!」



「ははっ!!」



 アマテラス織田自治神皇国海軍とキリヤ公国連合国軍の東方海軍艦隊は、大分港へと入港する。



 その北側の陸路からは、増援の連合国軍が小倉城と豊前国州の港町経由で、続々と現れやって来て居たのだった。