マギアンティア世界統一暦・1555年・8月16日・午前10時13分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・マーリーナ海洋海洋地域・旧ビクトリナ王国・フォーチュン諸島及び周辺海域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 あれから3日が過ぎていた。 



 ビクトリナ王国・太平洋方面軍の拠点たるフォーチュン諸島領は、転移災害時の騒動の時とは、打って変わって平穏な時が流れていた。



 元々自給自足が可能である同諸島は、本国との連絡が絶たれた事以外の不便な点は全く無く。



 領内の住人達は落ち着いて日常生活を過ごして居た。



このフォーチュン諸島の姿形は、地球で言えば、ニュジーランドとタスマニア島。



 それにアフリカ大陸沖に浮かぶ、マダガスカル島等の形に似て居る様な島々から成って居る。



 フォーチュン諸島は、大航海時代に成功を収めた海洋国家大国のビクトリナ王国の飛び地領土であり、環太平洋方面の重要な軍事基地としての価値と観光業と魚業に加え、地下資源も豊富な島々である



 そして、この島は多次元世界上の並行地球世界の一つの世界に在る、我々が知らない異世界地球世界に存在する地域で、ビクトリナ王国が長い間、南方拠点として使われ続けて居た、とても利便性の高い領土であった。





 此処の司令官であるジェシカ・クローディア大佐は、彼女の居た異世界の地球暦でいえば、22世紀時代のヨーロッパに在るビクトリナ王国の軍人で、その年齢は21歳。



 そのビクトリナ王国と言う国があった世界の地球では、主に実力主義を重んじる世界だったらしく、若くても才能さえ有れば、司令官にすら年齢が若くとも成れる所だったらしい。



 ドSな性格でズバリとハッキリと物を言うタイプで、顔立ちはキツイくらいのキリリとした目つき、銀髪と青い瞳、背が高くスタイルも抜群で申し分無い十分な凹凸を持った身体つきをして居る美人女性だった。



「ビクトリナ王国本国から切り離され、周辺を調べれば、オーストラリア大陸や太平洋の島々ですら見当たらないとはね。」



「クローディア司令官殿・・・・・・」



「後はキリヤ公国連合国と名乗る連中が、本当に来てくれるのかよね・・・・・・・・・」



 20万人の軍人と15万人の民家人を抱えたビクトリナ王国・フォーチュン諸島領は、空母40隻と戦艦を含めた150隻の艦隊。



 航空兵器が600機と3千機のモビル・アイゼンと言うロボットなど兵器共に、この異世界へと転移して来てしまった。



 今の彼らは厳戒態勢を強いたまま、手探りで周辺を調べていた。



 彼らは今のビクトリナ王国・フォーチュン諸島領の置かれて居る状況に関する諸事情を知って居ると思わしき、キリヤ公国連合軍・第一連合自治方面軍・ナデシコ自治統合海軍所属・第五戦隊と名乗る艦隊を率いて居る祥子達の言葉を一応は、信じて待つ事にしていた。



 

 ジェシカは情報が少ない状況下では、無闇闇雲に動くの事は、返って危険と考えての判断だったからだ。



「クローディア司令っ!こちら西方を警戒中の第4飛行偵察隊で有りますっ!」



 それはモビル・アイゼンと言うリアルロボットと言うジャンルの量産ロボット兵器部隊から成る偵察部隊からの緊急連絡である。



 モビル・アイゼンのバックバックパーツには、フライヤーパックと呼ばれる追加武装飛行ユニットを付けられる設計に成って居る。



 その他にも水中用ではマリンパック、陸専用にランダーパックが装着され、多様な武装もあらゆる戦況と戦場の用途に応じて付け替えられる使用に成って居るヒト型二束歩行式ロボット兵器である。





「北西方向から18隻の艦隊を確認しました。」



「その艦隊の構成は?」



「そっ、それがですね。」



「20世紀初頭の軍艦で構成された艦隊が、其方へと向って来て居るんです。」



「今から映像を送りますので、ご確認を・・・・・・」





 モビル・アイゼンの機体には、撮影と目視確認の為に、複数のアイ・カメラが搭載されており、ジェシカの居る司令室には、リアルタイムで、時代掛かった艦隊の姿が中央スクリーンに投影されていた。



「おおっ!」



「こっ、これは・・・・・」





「これはまた・・・・・随分と古いな。」



「確かこの手の軍艦は、20世紀初頭の二度に渡る世界大戦で活躍した軍艦の形式型だった筈。」



「今では過去の遺物同然ですが、まさか・・・そんな過去の遺物の本物を目の当たりにすると、迫力感の違いを感じますね。」



「過去のアーカイブスデータと照合終了。」



「目標の識別結果が出ました。正面スクリーンに出します。」





 スクリーンには、艦隊の航行する姿と共に、軍艦の識別データや詳細な経歴が写し出された。





「大和級戦艦・信濃、金剛級戦艦・金剛、比叡。」



「それ以外でも、空母・雲竜、大鳳、瑞鳳。」



「重巡・鳥海、青葉、衣笠。軽巡・天龍、龍田、鬼怒、大淀。」



「駆逐艦・暁、響、雷、電、凪風と、何れの艦種も第二次世界大戦前後の時に建造された大日本帝国時代の戦艦ばかりですね。」



「おいおい、信濃って奴の戦艦は、確か空母に改装された筈では?」



「良く知ってますね。」



「確かに空母に改装されたと記録に残って居ますが、基地内に登録されて居る設計図等のデータでは、間違いなく信濃と出て居ます。」



「しかも、大戦末期に、横須賀から呉へと輸送中の最中に米国海軍の潜水艦によって撃沈されて居ます。」



 ある軍幹部は偶々知っていた知識を元に発言して居た。



 如何やら勇治が暮らして居た世界に似た様な歴史を辿って来た部分を持って居る地球世界から彼らはやって来たらしい。



 彼らの世界では、量産型ロボット兵器を使った戦争が頻繁に行われて居る所でもある。





 そのな物騒な歴史と世界感持った異世界地球から現れた者達は、滅んだ筈の過去の亡霊軍艦の登場に驚きを隠せずに居た。



「・・・・と言う事は、我々の前に現れたのは大日本帝国海軍なのか?」



「いや、違うぞっ!あの旗を良く見てみろ。」



 戦艦信濃のマストに掲げられた旗が撫子の花に太陽が象られ、その下の旗は、赤に丸の白地に鎌と金槌と鳩と桐の花が描かれているキリヤ公国旗の旗が掲げられていた。





「撫子の花ですね。それに太陽のデザイン。」



「その下には赤に丸の白地に釜と鉄鎚と鳩と桐の花が描かれて居る旗の様ですね。」



「クローディア司令。あの旗は一体?」





「恐らく、先の交信を交わした相手の様ね。」



「彼らはキリヤ公国連合軍・第一連合自治方面軍・ナデシコ自治統合海軍所属・第五戦隊と名乗って居たから、撫子の花や桐の花は、連中の軍旗か国旗なのよ。」





「なるほど、言われて見れば、その様に見ますな。」





 ジェシカは冷静な判断をして居た。



 少ない情報から確実で明快な回答を述べて、部下達を安心させて居る所に、映像監視をして居る艦隊から通信が入って来たのである。



「クローディア司令、こちら第4飛行偵察隊。」



「古い無線電波形式の高出力のオープンチャンネル通信電波で、此方へと呼び掛けて来て居ます。」



「何て言ってるの?」





「クローディア司令は無事で居るか?」



「無事なら、今後の事を会食でもしながら話し合いたい。」



「我が君主である桐谷勇治陛下の書状や電文での新書をも持って来て居るので、受け取って貰いたいとの事です。」



「ふふっ、丸で友人の家に、遊びにでも来たみたいな言い方だな。」



「どうしますか?」





「それは決まって居るわ。」



「出迎えを、第4飛行偵察隊は、迎えの艦隊が到着するまでの間、誘導と護衛を命ずる。」



「はっ、了解ですっ!」



 ビクトリナ王国・太平洋方面軍とフォーチュン諸島領を統括統治をして居るビクトリナ王国・フォーチュン諸島領司令部は、キリヤ公国連合軍・第一連合自治方面軍・ナデシコ自治統合海軍所属・第五戦隊を領内へと受け入れる事を決めたのである。







 一方のナデシコ自治統合海軍所属・第五戦隊は、第4飛行偵察隊の返信を聞いていた。





「我がビクトリナ王国・フォーチュン諸島領へようこそっ!!キリヤ公国連合国のみなさんっ!!心より歓迎するっ!!」



「あなた方を当領内に案内するので、今から迎えを寄越すから、合流されたし、だとよ。」



「良かったわ。」



「ああ、まさか本国のあの秘密基地で大将坊主に、見せられた様な機械人形兵器が、空を飛んで現れた時は、流石の俺も度肝を抜かれたがな。」



「祥子、あれはロボットって言うのよ。」



「あはははっ!どうもブリダニア語的な横文字の言い回しは、まだまだ成れねぇな。」



「でも、今回の一件の出来事は、やっぱり陛下の懸念されて居た物で、間違い無いわね。」





「ああ、あれが下手に他国の傘下に入られると、今度は俺達が亡国に成りかねないぜっ!」



「今所、私達には友好的みたいだけど・・・・・・」



「俺達に対して、仁義は通してくたれ見てぇだな。」





「向こう側の司令官は、声色から見て、如何やら女みてぇだったし、どんな奴なんだろうな。」





 祥子は、まだ見ぬビクトリナ王国・太平洋方面軍の司令官に会うのが楽しみで仕方が無かった。



 僅かな会話だったが、警戒網を敷いて居る中で、突然に現れた彼女達を、こうして出迎えに来てくれると言う誠意を見せてくれた事に、祥子は同類の匂いを感じ取ったのである。





 こうして両者は二度目の接触を無事に果たし、平和的な会談へと移って行くのであった。







 マギアンティア世界統一暦・1555年・8月14日・午前12時03分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・マーリーナ海洋海洋地域・旧ビクトリナ王国・フォーチュン諸島・フォーチュン諸島領・ニュジェンーランド本島・州都トリントンシティ内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 フォーチュン諸島領は、ニュジェンーランド島とタスマーラン島、マダデースネ島と他の複数の大小の群島から成り立って居た。





 その大半の島々には、彼の宇宙世紀の世界が描かれて居るアニメに登場して居る連邦軍最大の要塞と良く似た様な形の地下基地が建設されて居た。



 その島々の中心地は、ニュジェンーランドの北島地方の南部に位置して居るトリントンシティである。



 軍港や商業港も整備されて居る人口が5万人が暮らしているフォーチュン諸島領内でも最大の都市でも有るのだ。



 そんな都市に、時代が掛かった大艦隊が現れた。



 中でも撫子級戦艦の4番艦・信濃は、巡洋艦と駆逐艦や潜水艦、空母で構成され、人型機動兵器と音速式の戦闘機部隊で構成されて居る未来式軍隊と並んだとしても、引けは取らない佇まいでして居た。



 そんな大艦隊の中でも大和型戦艦に類似して居る戦艦・信濃を目の当たりにしたビクトリナ軍人達を威圧していた。



だが、この地の軍隊も負けては居なかった。



 多数のタイプで構成された人型機動兵器であるモビル・アイゼンとそれを運用するべく建艦された空母に護衛の戦闘艦艇が居並んで居る。





「旧式、旧式と思って居たが、やはり実物は違うな。」



「ええ、確かにそうですね・・・・・・」



 軍港の警備に託けて見物に来た軍人達は、過去の遺物にして亡霊の様な存在の鉄の城たる巨大な大砲を持った戦艦を見て、圧巻だと口々に言っていた。



「総員っ!!整列うううぅぅぅーーーーーーーーーっ!!」



 ジェシカの直属の部下にして副司令官でもあるネイレス・ガーネット中佐が、港に集まったビクトリナ軍人達に整列を命じた。



 そのタイミングを見計らってかの様にして、ナデシコ艦隊が接岸して来たのである。





 タラップ階段が信濃から降ろされると、ビクトリナ軍人達が一斉に来賓に対して敬礼をし、敬意と来訪を歓迎してくれて居た。



「ふっ、良い軍人達だな。練度も良い見たぜっ!」



「そうね、此処の司令官の指揮と連度が伺えるわ。」



 祥子と信代の二人は、返礼の敬礼をしつつ港へと降り立つ。



「お待ちして居ました。」



「キリヤ公国連合軍・第一連合自治方面軍・ナデシコ自治統合海軍所属・第五戦隊司令官・渡辺祥子大佐殿並びに副司令官・近藤信代大佐殿。」



「ビクトリナ王国領・フォーチュン諸島への来訪を心より歓迎申し上げる。」



「自分はフォーチュン諸島基地の副司令のネイレス・ガーネット中佐です。宜しくお願いします。」



 赤髪ショートカットのクールな女性は、敬礼をした後に握手を求めて来た。



 ナデシコ自治統合海軍の二人も、敬礼を返して握手をした。



「港での熱烈な歓迎を感謝するぜっ!ネイレス・ガーネット中佐っ!」



「俺が渡辺祥子大佐だ。」



「近藤信代大佐よ。」





「当地方を管轄するクローディア司令官が、ビクトリナ王国・太平洋方面軍・フォーチュン諸島・環太平洋方面軍総司令部庁舎の司令室でお待ちです。」



 握手を終えた3人は、用意された水素エンジン形式ジープで、環太平洋方面軍・フォーチュン諸島・環太平洋方面軍総司令部庁舎へと向うのだった。