アースティア暦 １０００年・西暦２０３０年・６月１９日・午前１０時３０分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城周辺にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
グリクス地方軍団と日シベ合同作戦軍との二日目の戦いが開戦してから、既に２時間を回って居た。
グリクス地方軍団・レジェンダリア諸島遠征軍の第二次攻撃は、熾烈を極めていた。
両者は腹の探り合いをしながらの攻防で、傍目からはグリクス地方軍団が有利に見えていた。
対するアルガス公国軍を主力とした５万１５００人の日シベ合同作戦軍側は、様々な戦術で敵を翻弄して居た。
各城郭に罠と強固な防護機構を用いり、自衛隊が誇る装備と勇敢なシベリナ連合の戦士達による戦い振りで、大軍を有するグリクス地方軍団の攻勢を見事に防いで居る。
特に北門城郭の防備に配された４万人のアルガス公国騎士団は、巧みにその姿を隠しながらグリクス地方軍団と対峙し、敵軍を翻弄しながら押したり退たりと、互いに連携を取りながら巧みな戦いを繰り広げて居る。
その方法とは、魔法や馬を使い砂塵を巻き散らしたり、透明化魔法のイリュージョンで騎士団を覆い隠す等の対抗策が取られていた。
他にも多数煙幕や塹壕に隠れたり等をしながら、交代で戦う姿も見られた。
そんなセコイ手段を用いて、アルガス騎士団はグリクス地方軍に団対して、４万もの軍勢を２万程度から１万五千程度に見せ掛けて居る。
この事は、余程の鋭い感の持ち主でないと気が付かない筈だ。
そんな手立てを用いられるのも、アルガス騎士団・第四騎士団・アルガス魔導師団の団長であるレイダー団長が居るからだった。
そんな戦場に敵は新たな動きを見せ様としていた。
急報を報せるべく前線に常備配備されて居る無線通信機に通信が入った。
「此方ダバ派遣艦隊・旗艦かが。東方と東南方向より多数の飛行物体を確認した。」
「速度や動きのパターンからして竜騎士航空隊と思われる。」
「前線各位の部隊は、注意されたし。」
「こちら待機中のしょうかく、ずいかく。此方でも竜騎士航空隊の動きを確認した。」
「たった今迎撃の為に、空自航空隊を発艦させた。」
「全機がセイジョン・ローグリア城上空へと発艦し、現着まで１０分は掛かる。」
「その間だけ何としてでも、前線を持たせて欲しい。」
「こちらセイジョン・ローグリア城前線指揮所。了解。」
「各隊対空射撃っ！うちーかーたよーいっ！！」
ダバ派遣隊の陸自部隊の対空迎撃に対する備えは、それ程多いとは言えないが、１２．７ミリ重機関銃Ｍ２、Ｍ１３４ミニガン、１５５ミリ榴弾砲、９９式自走１５５ミリ榴弾砲等だ。
１５５ミリ榴弾砲と９９式自走１５５ミリ榴弾砲の用途は、実際に使われるやり方とは全く異なる。
しかし、弾数と砲撃の飛距離が長く、ワイバーンはジェット機とは違い、速度がやや遅いので、十分な迎撃が可能と判断されて居た。
何しろミサイルの残弾を考慮しなければ成らないので、弾数が多く大型の榴弾砲は、上空への牽制と迎撃に少なからず適して居る。
要するに、敵数を多く減らす為にも、弾幕を多く張るのが狙いであり、特に命中率を求めて居ないからだった。
「特科隊指揮所より各隊へ。」
「此方も榴弾にて援護に入る。」
「但し、仕掛けられるのは、敵側が居座る上空付近までだ。」
特科隊は各榴弾砲を高射大砲として使う。だが、味方の多い前線の上空に榴弾を撃ち込むと、飛び散る榴弾によって地上に被害が出る可能性も有るので、前線に居る敵部隊の真上まで援護のみと成る。
「此方８７ＡＷ隊。何時でも迎撃準備良しっ！」
「各迎撃陣地のキャリバー装填準備良しっ！」
「Ｍ１３４ミニガンも同じく準備よしっ！」
「了解。各隊防衛ラインの射程に入り次第命令をする。それまで待機。」
各方面のダバ派遣隊の陸自部隊の対空迎撃に抜かりは無い。
海自艦隊からも迎撃ミサイルが限定的だが２０発ほど発射された。
空高く舞い上がったグリクス地方軍団竜騎士航空隊は、ダバ派遣隊が上空にも、蟻が入いる位の隙間しかない対空火器を構えて、今か今かと待ち受けて居るとは知らずに、敵陣地上空へと入り込んで行く。
「隊長殿。間も無くセイジョン・ローグリア城の前線上空周辺に入ります。」
「良しっ！予定通り１００騎を北門へっ！」
「残り１００騎は、５０騎づづに分かれて南門と東門へと向かえっ！」
「決して無理をするなよっ！」
「今作戦に挑む我がグリクス地方軍団竜騎士航空隊は、敵陣地への弾幕攻撃が目的である。」
「ニホン軍の鉄竜が出て来たとしても、奴らと無理にやり合うな。」
「逃げ回り、無理だと判断したなら撤退しても構わんっ！！」
「ガミトフ閣下を始め、諸将の方々からのお達しだっ！」
「ははっ！全グリクス地方軍団竜騎士航空隊の各部隊へ、散開せよっ！散会せよっ！」
羽を羽ばたかせ、それぞれの攻撃すべき方面へと散開するグリクス地方軍団竜騎士航空隊。
「各部隊の各員は、定められた目標へと向かい任務を完遂せよっ！！」
竜騎士達は、彼らより遥かに強い鋼鉄の怪物と対峙し、戦う事を経験した者と居ない者に分かれて居る。
この戦いに備えての再編制で、先の戦いまでの生き残った者達との編制数は半々に成っている。
恐らく、この戦いで全グリクス地方軍団竜騎士航空隊は、壊滅に近い大打撃を蒙って居る事に成って居るのだろう。
これらの竜騎士航空隊を再編する事は、決して容易ではないと思われる。
アースティア暦 １０００年・西暦２０３０年・６月１９日・午前１０時４０分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城城上空周辺にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ドラグリア白龍大帝国軍として割り当てられた陣営地は、森の木々に隠れる様にして設営されたテントと簡素な造りの砦内にて、その出番を待って居た。
常駐する自衛官とアルガス騎士達は、連絡要因として、日シベ合同作戦軍司令部からの情報や各種命令と行動指示をドラグリア白龍大帝国軍に伝えていた。
待機している白竜人騎士が３０人と旅路の護衛も兼ねて連れて来ている白龍族が１５０匹。
何れもドラグバスターと言う超強力な光線を口から撃ち出す猛者達でもある。
「日シベ合同作戦軍司令部よりドラグリア軍へ、セイジョン・ローグリア城上空周辺に、グリクス地方軍団竜騎士航空隊が接近中。」
「なお、ドラグリア軍は、自衛隊の対空迎撃後の出撃を要請する。」
「その後、東門・南門の守備に当たられたし。」
「了解しました。」
「エリン陛下、出撃です。」
「ふむ。皆の者っ！出番じゃ！」
「「「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーっ！！」」」」」」」
「「「「「ギャオオォォーーーースッ！！！！」」」」」
白竜人騎士３０人と白龍族達１５０匹が鬨の声を上げる。
エリン達は、人間形態から３０メートルを超える巨体を持った竜へと変身すると咆哮の叫び声を上げて白い翼を羽ばたかせて、大空へと飛び立って行くのだった。
そんなエリン達の出撃と同時にミサイルや砲弾が、グリクス地方軍団竜騎士航空隊へと撃ち放たれた。
ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！
ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！
ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！
ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！
ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！
ヒユユュュュュウゥゥゥゥゥーーーー・・・・・パパパーーーンっ！！
ヒユユュュュュウゥゥゥゥゥーーーー・・・・・パパパーーーンっ！！
ヒユユュュュュウゥゥゥゥゥーーーー・・・・・パパパーーーンっ！！
ヒユユュュュュウゥゥゥゥゥーーーー・・・・・パパパーーーンっ！！
ヒユユュュュュウゥゥゥゥゥーーーー・・・・・パパパーーーンっ！！
空の上で破裂する榴弾は丸で花火の様に花開き、敵の竜騎士達を無数の破片で討ち取って行くのである。
「目標をレーダーで捉えた。８７ＡＷ隊各車へ、撃てっ！！！」
８７式自走機関砲の３５ミリ高射機関砲が天空に向って砲弾が放たれる。
ダダダダダッ！ダダダダダッ！ダダダダダッ！ダダダダダッ！
ダダダダダッ！ダダダダダッ！ダダダダダッ！ダダダダダッ！
ダダダダダッ！ダダダダダッ！ダダダダダッ！ダダダダダッ！
ダダダダダッ！ダダダダダッ！ダダダダダッ！ダダダダダッ！
ダダダダダッ！ダダダダダッ！ダダダダダッ！ダダダダダッ！
「ぐうっ、凄まじい砲弾の嵐・・・・・・」
「セイジョン・ローグリア城上空の敵陣突破は、容易ではないぞっ！！！」
北城門へと向う部隊１００騎を率いているグリクス地方軍団竜騎士航空隊の隊長は、自衛隊が誇る対空防衛に驚愕し、舌を巻いた。
「隊長殿、間も無く北門敵陣地上空です。」
「無事な者は、どれくらいだ？」
「はっ！他の部隊に付いては、この状況下では、分かりません。」
「ですが、我が本隊は、概算で７０騎ほどが生き残って居る思われます。」
「全竜騎士隊へ通達っ！直ちにワイバーンによる火炎弾砲撃を開始せよっ！」
「了解っ！全竜騎士隊へ通達っ！直ちにワイバーンによる火炎弾砲撃を開始せよっ！」
「繰り返すっ！全竜騎士隊へ通達っ！直ちにワイバーンによる火炎弾砲撃を開始せよっ！」
ワイバーンを駆る竜騎士達は、各小隊に分かれて、日シベ合同作戦軍が守るセイジョン・ローグリア城周辺の各城門陣地へと、突撃攻撃を開始した。
その姿はプロペラ式戦闘機の急降下攻撃その物であった。
「第一・第二・第三小隊へ急降下突撃せよっ！」
「「「「「「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ！！！」」」」」」
「撃てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーっ！！！」
「「「「「「「ギヤヤャャャャオオオォォォーーーーーーーンッ！！！」」」」」」」
北門陣地への突撃攻撃を敢行するグリクス地方軍団竜騎士航空隊の第一・第二・第三小隊はワイバーンの口から火炎弾を発生させると地面に叩き付ける様に撃ち放つ。
「来るぞっ！撃ちまくれえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ！！！」
ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！
ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！
ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！
ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！
ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！
陸自の対空砲と対空機銃の激しい砲火の中ワイバーンが撃ち放った火の塊は、日シベ合同作戦軍のそれぞれの陣地に着弾する。
ドッカアアアアァァァァァーーーーーーンッ！！
「被害報告っ！」
「はい。１５騎のワイバーン来襲し、火炎弾を撃ち放たれましたが、負傷者は有りません。」
「陣地の各所では、一時的に多数の火災が発生しましたが、消化剤と水魔法、土魔法で鎮火させたとの報告が来て居ます。」
「我が方は、１５騎のワイバーンの内、１０騎を討ち取りました。」
「了解した。」
どうやら一次攻撃は被害が少なくて済んだらしい。
敵も決死の想いで、日シベ合同作戦軍に挑んで来た。
対空火器の激しい音が鳴り響く戦場に新たな轟音が鳴り響く。
キイイイィィーーーン、ゴオオオオオオォォォォーーーーーーーーンッ！！！
「おおっ！？空自航空隊が来たか・・・・・・・・」
航空戦力の主力である空自航空隊のＦ-１５Ｊ改戦闘機の来着である。
現れた鋼鉄の鷲は、旋回して攻撃態勢を整え、攻撃を開始した。
「サシバリーダーより各機へ、攻撃開始する。」
「それと作戦の都合上、敵を殲滅するなよ。追い払う事が俺達の任務だ！」
「それでは振り分け言う。長谷川一尉は南門へ、速水二尉は東門へ。」
「柏崎二射は、俺と一緒に北門だ。では全機散開っ！」
空自航空隊は、３隊に３０機とし、それぞれ三部隊に分かれて、敵のワイバーンの迎撃に移る。
「はっ、早い・・・・・・・・・・」
「なななっ何なんだっ！あれはっ？」
「あっ、あれが我がグリクス地方軍団竜騎士航空隊を散々に、痛め付けたと言う鉄竜か？」
「そうです。あれ等に我々の仲間達は・・・・・・・・・・・」
グリクス地方軍団竜騎士航空隊の隊長近くに偶々居た先の空自航空隊と戦って生き残った者が言う。
灰色の鋼鉄竜だと・・・・・・・・・・・
「サシバリーダーより各機へ、再度命令する。」
「敵への撃墜や攻撃のやり過ぎに注意しつつ、作戦の都合上敵を殲滅するなっ！」
「しょうかくとずいかくの管制官とのやり取りで逐一の状況を把握し、追い払うのが目的だ。」
「要するに、力の差を見せ付ければ良いんですね。先輩？」
「長谷川一尉、言うに容易いが、それを行うの難しいですよ。」
「何を弱気な事を言ってるだよ、速水っ！あんな連中だけなら俺達の敵じゃ無いぜっ！」
「柏崎っ！お前は少しは自重しろっ！」
通信でのやり取りと冗談を言いつつ、神谷一佐が率いる空自航空隊は、いよいよグリクス地方軍団竜騎士航空隊と交戦を開始する。
各Ｆ-１５Ｊ改戦闘機は、機体に添え付けられているレーダーとロックオンシステムに目標を捉えるとロックオンした警報音が鳴り響く。
ピーピーピーピーーーーーーーッ！！！
「今だっ！ＦＯＸ１！」
「「「ＦＯＸ１！」」」
「「「ＦＯＸ１！」」」
ゴオオオオオォォォーーーーーーーー！！と音を立てながら、各機体からミサイルが放たれた。
「今度は向こうから来るぞっ！」
「全騎っ回避いいいいいぃぃぃぃぃーーーーーーーーっ！！」
散開するグリクス地方軍団竜騎士航空隊。
だが、誘導装置が付いて居る兵器の前には、ワイバーンの回避運動等は、全くの無意味であった。
「くそおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーっ！！」
「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ！！」
「ダメだっ！振り切れないっ！！」
容赦無く追尾を続けるミサイルに５分と持たずに、竜騎士達は討ち取られて行くのであった。
「「「「「ギャオオオオォォォォォーーーーーースッ！！！！」」」」」
「今度は何だっ？」
「あっ、あれは・・・・・・・・」
「ドラグリア白龍大帝国軍の竜人騎士と白龍共だっ！」
「くそっ、只でさえニホン軍の鉄竜で梃子摺って居ると言うのにっ！化け物共から成る新手だとおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ！！」
面倒な新手が現れたとグリクス地方軍団竜騎士航空隊の竜騎士は混乱と恐怖に包まれた。
そして、白い巨体の巨竜に変身して居るドラグリア白龍大帝のエリンは、戦場の空に現れ南門上空から先陣を切って現れ、敵の横っ腹に向って敵部隊へと突入する。
「者共っ！この世界に覇を唱える愚か者共である帝国軍を蹴散らすのじゃあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーっ！！」
「各員へ、殲滅は成りません。」
「航空自衛隊と協力して、敵を追い散らす様にしなさい。」
「「「「「はっ！！」」」」」
ドラグリア白龍大帝国軍の将軍でもあるユキカゼは、暴走しがちな主であり親友たるエリンの手綱を握りる軍師的な役目をこなしつつ、少ない味方の軍勢の統制を取りながら敵を蹴散らして行く。
「くそっ！ロリババアの化物があああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ！！」
偶々目を付けられたとある竜騎士は、逃れられないと悟ると、槍を構えてせめて一太刀を浴びせ様と踏ん張り、罵声を発する。
「だれがロリババアの化物かっ！！」
「これでも、まだまだピチピチの６００歳で乙女なのじゃっ！！」
敵竜騎士の断末魔の一言に立腹するエリン。
まぁ、敵からすればそうなるよな。
エリンはロリババアの一言に乙女だと言い張るのは、本当に男性との付き合いが無いからだ。
そう、彼女は自他共に認められて居る正真正銘の乙女なのだ。
「陛下っ！余り激しくお暴れられるのはお控え下さい。」
「わわっ、分かってる居るわっ！！」
その一言にキレた彼女を諌めるユキカゼ。
言われたエリンは「そうだっけ」と言った風に惚けたのである。
グリクス地方軍団竜騎士航空隊は、僅か１５分の戦闘で、空自航空隊とドラグリア白龍大帝国軍に蹴散らされ、２００騎居た竜騎士の内、半分を討ち取られしまう。
生き残った竜騎士航空隊は、戦場から追い散らされ様にして、撤退して行ったのである。
両軍のこの日の戦闘は１１時頃に停止する。
日シベ合同作戦軍は、セイジョン・ローグリア城外郭を突破し、最初の作戦目的を達成する事に成功した。
日シベ合同作戦軍側は、作戦予定通りにナガシノ陣地へと下がる事と成った。
グリクス地方軍団は２０万人の内、５万人前後を犠牲にしての勝ち戦を得てた思っているが、真実は日シベ合同作戦軍の戦略的な勝利と言える戦いだった。
両軍は次なる局面を迎える為に、その日の戦闘を暗黙の了解と成った様な形で、戦闘停止させ、散らかって居る戦場を片付けるべく、戦後処理に入るのであった。
グリクス地方軍団と日シベ合同作戦軍との二日目の戦いが開戦してから、既に２時間を回って居た。
グリクス地方軍団・レジェンダリア諸島遠征軍の第二次攻撃は、熾烈を極めていた。
両者は腹の探り合いをしながらの攻防で、傍目からはグリクス地方軍団が有利に見えていた。
対するアルガス公国軍を主力とした５万１５００人の日シベ合同作戦軍側は、様々な戦術で敵を翻弄して居た。
各城郭に罠と強固な防護機構を用いり、自衛隊が誇る装備と勇敢なシベリナ連合の戦士達による戦い振りで、大軍を有するグリクス地方軍団の攻勢を見事に防いで居る。
特に北門城郭の防備に配された４万人のアルガス公国騎士団は、巧みにその姿を隠しながらグリクス地方軍団と対峙し、敵軍を翻弄しながら押したり退たりと、互いに連携を取りながら巧みな戦いを繰り広げて居る。
その方法とは、魔法や馬を使い砂塵を巻き散らしたり、透明化魔法のイリュージョンで騎士団を覆い隠す等の対抗策が取られていた。
他にも多数煙幕や塹壕に隠れたり等をしながら、交代で戦う姿も見られた。
そんなセコイ手段を用いて、アルガス騎士団はグリクス地方軍に団対して、４万もの軍勢を２万程度から１万五千程度に見せ掛けて居る。
この事は、余程の鋭い感の持ち主でないと気が付かない筈だ。
そんな手立てを用いられるのも、アルガス騎士団・第四騎士団・アルガス魔導師団の団長であるレイダー団長が居るからだった。
そんな戦場に敵は新たな動きを見せ様としていた。
急報を報せるべく前線に常備配備されて居る無線通信機に通信が入った。
「此方ダバ派遣艦隊・旗艦かが。東方と東南方向より多数の飛行物体を確認した。」
「速度や動きのパターンからして竜騎士航空隊と思われる。」
「前線各位の部隊は、注意されたし。」
「こちら待機中のしょうかく、ずいかく。此方でも竜騎士航空隊の動きを確認した。」
「たった今迎撃の為に、空自航空隊を発艦させた。」
「全機がセイジョン・ローグリア城上空へと発艦し、現着まで１０分は掛かる。」
「その間だけ何としてでも、前線を持たせて欲しい。」
「こちらセイジョン・ローグリア城前線指揮所。了解。」
「各隊対空射撃っ！うちーかーたよーいっ！！」
ダバ派遣隊の陸自部隊の対空迎撃に対する備えは、それ程多いとは言えないが、１２．７ミリ重機関銃Ｍ２、Ｍ１３４ミニガン、１５５ミリ榴弾砲、９９式自走１５５ミリ榴弾砲等だ。
１５５ミリ榴弾砲と９９式自走１５５ミリ榴弾砲の用途は、実際に使われるやり方とは全く異なる。
しかし、弾数と砲撃の飛距離が長く、ワイバーンはジェット機とは違い、速度がやや遅いので、十分な迎撃が可能と判断されて居た。
何しろミサイルの残弾を考慮しなければ成らないので、弾数が多く大型の榴弾砲は、上空への牽制と迎撃に少なからず適して居る。
要するに、敵数を多く減らす為にも、弾幕を多く張るのが狙いであり、特に命中率を求めて居ないからだった。
「特科隊指揮所より各隊へ。」
「此方も榴弾にて援護に入る。」
「但し、仕掛けられるのは、敵側が居座る上空付近までだ。」
特科隊は各榴弾砲を高射大砲として使う。だが、味方の多い前線の上空に榴弾を撃ち込むと、飛び散る榴弾によって地上に被害が出る可能性も有るので、前線に居る敵部隊の真上まで援護のみと成る。
「此方８７ＡＷ隊。何時でも迎撃準備良しっ！」
「各迎撃陣地のキャリバー装填準備良しっ！」
「Ｍ１３４ミニガンも同じく準備よしっ！」
「了解。各隊防衛ラインの射程に入り次第命令をする。それまで待機。」
各方面のダバ派遣隊の陸自部隊の対空迎撃に抜かりは無い。
海自艦隊からも迎撃ミサイルが限定的だが２０発ほど発射された。
空高く舞い上がったグリクス地方軍団竜騎士航空隊は、ダバ派遣隊が上空にも、蟻が入いる位の隙間しかない対空火器を構えて、今か今かと待ち受けて居るとは知らずに、敵陣地上空へと入り込んで行く。
「隊長殿。間も無くセイジョン・ローグリア城の前線上空周辺に入ります。」
「良しっ！予定通り１００騎を北門へっ！」
「残り１００騎は、５０騎づづに分かれて南門と東門へと向かえっ！」
「決して無理をするなよっ！」
「今作戦に挑む我がグリクス地方軍団竜騎士航空隊は、敵陣地への弾幕攻撃が目的である。」
「ニホン軍の鉄竜が出て来たとしても、奴らと無理にやり合うな。」
「逃げ回り、無理だと判断したなら撤退しても構わんっ！！」
「ガミトフ閣下を始め、諸将の方々からのお達しだっ！」
「ははっ！全グリクス地方軍団竜騎士航空隊の各部隊へ、散開せよっ！散会せよっ！」
羽を羽ばたかせ、それぞれの攻撃すべき方面へと散開するグリクス地方軍団竜騎士航空隊。
「各部隊の各員は、定められた目標へと向かい任務を完遂せよっ！！」
竜騎士達は、彼らより遥かに強い鋼鉄の怪物と対峙し、戦う事を経験した者と居ない者に分かれて居る。
この戦いに備えての再編制で、先の戦いまでの生き残った者達との編制数は半々に成っている。
恐らく、この戦いで全グリクス地方軍団竜騎士航空隊は、壊滅に近い大打撃を蒙って居る事に成って居るのだろう。
これらの竜騎士航空隊を再編する事は、決して容易ではないと思われる。
アースティア暦 １０００年・西暦２０３０年・６月１９日・午前１０時４０分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城城上空周辺にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ドラグリア白龍大帝国軍として割り当てられた陣営地は、森の木々に隠れる様にして設営されたテントと簡素な造りの砦内にて、その出番を待って居た。
常駐する自衛官とアルガス騎士達は、連絡要因として、日シベ合同作戦軍司令部からの情報や各種命令と行動指示をドラグリア白龍大帝国軍に伝えていた。
待機している白竜人騎士が３０人と旅路の護衛も兼ねて連れて来ている白龍族が１５０匹。
何れもドラグバスターと言う超強力な光線を口から撃ち出す猛者達でもある。
「日シベ合同作戦軍司令部よりドラグリア軍へ、セイジョン・ローグリア城上空周辺に、グリクス地方軍団竜騎士航空隊が接近中。」
「なお、ドラグリア軍は、自衛隊の対空迎撃後の出撃を要請する。」
「その後、東門・南門の守備に当たられたし。」
「了解しました。」
「エリン陛下、出撃です。」
「ふむ。皆の者っ！出番じゃ！」
「「「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーっ！！」」」」」」」
「「「「「ギャオオォォーーーースッ！！！！」」」」」
白竜人騎士３０人と白龍族達１５０匹が鬨の声を上げる。
エリン達は、人間形態から３０メートルを超える巨体を持った竜へと変身すると咆哮の叫び声を上げて白い翼を羽ばたかせて、大空へと飛び立って行くのだった。
そんなエリン達の出撃と同時にミサイルや砲弾が、グリクス地方軍団竜騎士航空隊へと撃ち放たれた。
ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！
ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！
ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！
ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！
ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！ズドドンッ！！
ヒユユュュュュウゥゥゥゥゥーーーー・・・・・パパパーーーンっ！！
ヒユユュュュュウゥゥゥゥゥーーーー・・・・・パパパーーーンっ！！
ヒユユュュュュウゥゥゥゥゥーーーー・・・・・パパパーーーンっ！！
ヒユユュュュュウゥゥゥゥゥーーーー・・・・・パパパーーーンっ！！
ヒユユュュュュウゥゥゥゥゥーーーー・・・・・パパパーーーンっ！！
空の上で破裂する榴弾は丸で花火の様に花開き、敵の竜騎士達を無数の破片で討ち取って行くのである。
「目標をレーダーで捉えた。８７ＡＷ隊各車へ、撃てっ！！！」
８７式自走機関砲の３５ミリ高射機関砲が天空に向って砲弾が放たれる。
ダダダダダッ！ダダダダダッ！ダダダダダッ！ダダダダダッ！
ダダダダダッ！ダダダダダッ！ダダダダダッ！ダダダダダッ！
ダダダダダッ！ダダダダダッ！ダダダダダッ！ダダダダダッ！
ダダダダダッ！ダダダダダッ！ダダダダダッ！ダダダダダッ！
ダダダダダッ！ダダダダダッ！ダダダダダッ！ダダダダダッ！
「ぐうっ、凄まじい砲弾の嵐・・・・・・」
「セイジョン・ローグリア城上空の敵陣突破は、容易ではないぞっ！！！」
北城門へと向う部隊１００騎を率いているグリクス地方軍団竜騎士航空隊の隊長は、自衛隊が誇る対空防衛に驚愕し、舌を巻いた。
「隊長殿、間も無く北門敵陣地上空です。」
「無事な者は、どれくらいだ？」
「はっ！他の部隊に付いては、この状況下では、分かりません。」
「ですが、我が本隊は、概算で７０騎ほどが生き残って居る思われます。」
「全竜騎士隊へ通達っ！直ちにワイバーンによる火炎弾砲撃を開始せよっ！」
「了解っ！全竜騎士隊へ通達っ！直ちにワイバーンによる火炎弾砲撃を開始せよっ！」
「繰り返すっ！全竜騎士隊へ通達っ！直ちにワイバーンによる火炎弾砲撃を開始せよっ！」
ワイバーンを駆る竜騎士達は、各小隊に分かれて、日シベ合同作戦軍が守るセイジョン・ローグリア城周辺の各城門陣地へと、突撃攻撃を開始した。
その姿はプロペラ式戦闘機の急降下攻撃その物であった。
「第一・第二・第三小隊へ急降下突撃せよっ！」
「「「「「「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ！！！」」」」」」
「撃てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーっ！！！」
「「「「「「「ギヤヤャャャャオオオォォォーーーーーーーンッ！！！」」」」」」」
北門陣地への突撃攻撃を敢行するグリクス地方軍団竜騎士航空隊の第一・第二・第三小隊はワイバーンの口から火炎弾を発生させると地面に叩き付ける様に撃ち放つ。
「来るぞっ！撃ちまくれえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ！！！」
ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！
ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！
ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！
ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！
ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！ズダダダダダッ！！
陸自の対空砲と対空機銃の激しい砲火の中ワイバーンが撃ち放った火の塊は、日シベ合同作戦軍のそれぞれの陣地に着弾する。
ドッカアアアアァァァァァーーーーーーンッ！！
「被害報告っ！」
「はい。１５騎のワイバーン来襲し、火炎弾を撃ち放たれましたが、負傷者は有りません。」
「陣地の各所では、一時的に多数の火災が発生しましたが、消化剤と水魔法、土魔法で鎮火させたとの報告が来て居ます。」
「我が方は、１５騎のワイバーンの内、１０騎を討ち取りました。」
「了解した。」
どうやら一次攻撃は被害が少なくて済んだらしい。
敵も決死の想いで、日シベ合同作戦軍に挑んで来た。
対空火器の激しい音が鳴り響く戦場に新たな轟音が鳴り響く。
キイイイィィーーーン、ゴオオオオオオォォォォーーーーーーーーンッ！！！
「おおっ！？空自航空隊が来たか・・・・・・・・」
航空戦力の主力である空自航空隊のＦ-１５Ｊ改戦闘機の来着である。
現れた鋼鉄の鷲は、旋回して攻撃態勢を整え、攻撃を開始した。
「サシバリーダーより各機へ、攻撃開始する。」
「それと作戦の都合上、敵を殲滅するなよ。追い払う事が俺達の任務だ！」
「それでは振り分け言う。長谷川一尉は南門へ、速水二尉は東門へ。」
「柏崎二射は、俺と一緒に北門だ。では全機散開っ！」
空自航空隊は、３隊に３０機とし、それぞれ三部隊に分かれて、敵のワイバーンの迎撃に移る。
「はっ、早い・・・・・・・・・・」
「なななっ何なんだっ！あれはっ？」
「あっ、あれが我がグリクス地方軍団竜騎士航空隊を散々に、痛め付けたと言う鉄竜か？」
「そうです。あれ等に我々の仲間達は・・・・・・・・・・・」
グリクス地方軍団竜騎士航空隊の隊長近くに偶々居た先の空自航空隊と戦って生き残った者が言う。
灰色の鋼鉄竜だと・・・・・・・・・・・
「サシバリーダーより各機へ、再度命令する。」
「敵への撃墜や攻撃のやり過ぎに注意しつつ、作戦の都合上敵を殲滅するなっ！」
「しょうかくとずいかくの管制官とのやり取りで逐一の状況を把握し、追い払うのが目的だ。」
「要するに、力の差を見せ付ければ良いんですね。先輩？」
「長谷川一尉、言うに容易いが、それを行うの難しいですよ。」
「何を弱気な事を言ってるだよ、速水っ！あんな連中だけなら俺達の敵じゃ無いぜっ！」
「柏崎っ！お前は少しは自重しろっ！」
通信でのやり取りと冗談を言いつつ、神谷一佐が率いる空自航空隊は、いよいよグリクス地方軍団竜騎士航空隊と交戦を開始する。
各Ｆ-１５Ｊ改戦闘機は、機体に添え付けられているレーダーとロックオンシステムに目標を捉えるとロックオンした警報音が鳴り響く。
ピーピーピーピーーーーーーーッ！！！
「今だっ！ＦＯＸ１！」
「「「ＦＯＸ１！」」」
「「「ＦＯＸ１！」」」
ゴオオオオオォォォーーーーーーーー！！と音を立てながら、各機体からミサイルが放たれた。
「今度は向こうから来るぞっ！」
「全騎っ回避いいいいいぃぃぃぃぃーーーーーーーーっ！！」
散開するグリクス地方軍団竜騎士航空隊。
だが、誘導装置が付いて居る兵器の前には、ワイバーンの回避運動等は、全くの無意味であった。
「くそおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーっ！！」
「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ！！」
「ダメだっ！振り切れないっ！！」
容赦無く追尾を続けるミサイルに５分と持たずに、竜騎士達は討ち取られて行くのであった。
「「「「「ギャオオオオォォォォォーーーーーースッ！！！！」」」」」
「今度は何だっ？」
「あっ、あれは・・・・・・・・」
「ドラグリア白龍大帝国軍の竜人騎士と白龍共だっ！」
「くそっ、只でさえニホン軍の鉄竜で梃子摺って居ると言うのにっ！化け物共から成る新手だとおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ！！」
面倒な新手が現れたとグリクス地方軍団竜騎士航空隊の竜騎士は混乱と恐怖に包まれた。
そして、白い巨体の巨竜に変身して居るドラグリア白龍大帝のエリンは、戦場の空に現れ南門上空から先陣を切って現れ、敵の横っ腹に向って敵部隊へと突入する。
「者共っ！この世界に覇を唱える愚か者共である帝国軍を蹴散らすのじゃあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーっ！！」
「各員へ、殲滅は成りません。」
「航空自衛隊と協力して、敵を追い散らす様にしなさい。」
「「「「「はっ！！」」」」」
ドラグリア白龍大帝国軍の将軍でもあるユキカゼは、暴走しがちな主であり親友たるエリンの手綱を握りる軍師的な役目をこなしつつ、少ない味方の軍勢の統制を取りながら敵を蹴散らして行く。
「くそっ！ロリババアの化物があああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ！！」
偶々目を付けられたとある竜騎士は、逃れられないと悟ると、槍を構えてせめて一太刀を浴びせ様と踏ん張り、罵声を発する。
「だれがロリババアの化物かっ！！」
「これでも、まだまだピチピチの６００歳で乙女なのじゃっ！！」
敵竜騎士の断末魔の一言に立腹するエリン。
まぁ、敵からすればそうなるよな。
エリンはロリババアの一言に乙女だと言い張るのは、本当に男性との付き合いが無いからだ。
そう、彼女は自他共に認められて居る正真正銘の乙女なのだ。
「陛下っ！余り激しくお暴れられるのはお控え下さい。」
「わわっ、分かってる居るわっ！！」
その一言にキレた彼女を諌めるユキカゼ。
言われたエリンは「そうだっけ」と言った風に惚けたのである。
グリクス地方軍団竜騎士航空隊は、僅か１５分の戦闘で、空自航空隊とドラグリア白龍大帝国軍に蹴散らされ、２００騎居た竜騎士の内、半分を討ち取られしまう。
生き残った竜騎士航空隊は、戦場から追い散らされ様にして、撤退して行ったのである。
両軍のこの日の戦闘は１１時頃に停止する。
日シベ合同作戦軍は、セイジョン・ローグリア城外郭を突破し、最初の作戦目的を達成する事に成功した。
日シベ合同作戦軍側は、作戦予定通りにナガシノ陣地へと下がる事と成った。
グリクス地方軍団は２０万人の内、５万人前後を犠牲にしての勝ち戦を得てた思っているが、真実は日シベ合同作戦軍の戦略的な勝利と言える戦いだった。
両軍は次なる局面を迎える為に、その日の戦闘を暗黙の了解と成った様な形で、戦闘停止させ、散らかって居る戦場を片付けるべく、戦後処理に入るのであった。
