アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月7日・午前3時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・ レジェンダリア諸島東部・カントルナ島・カントルナ砦から約6キロ付近・ゲースター島との境界水域浅瀬付近にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 自衛隊を中心とした日シベ合同軍は、ゲースター島の北側に、停泊して居るダバ派遣艦隊に合流して居た。



 アルガス公国軍の荷馬車隊とレジェンダリア騎兵団を合わせた3千人は、一時の休息を終えて出発しつつあるのだった。



 レジェンダリア騎兵団やアルガス公国の本土から派遣され軍勢には、自衛隊から軽食やスポーツドリンクが提供されていた。



 戦争中の中で、食事をするのは、如何なのかと思うかも知れないが、身体を激しく動かして居ると成れば、空腹と喉の乾きが有る物。



 手の空いた時に何もしなければ、返ってバテしまう事がある。



 余り食べすぎや飲みすぎに注意すれば、戦うのには支障が無いのである。



 所謂これは、ハンガーノック対策でもあるのだ。実は戦う前にも参加する兵士らに、食事に気を使えと再三に渡って命じられて居る。



 特に戦う前の酒類や食べすぎ飲みすぎに着いては、厳禁とされ、厳しく取り締まられて居た。



 その分、陸自と海自の補給科の補給士らによる質の良いお手製料理が振舞われて居た。



 その手伝いをアルガス軍専属の料理人にも調理の仕方を伝えられて居る。



 この交流が切っ掛けで、各国に地球国家から経由した形で、和風洋式料理が広まったと後世の歴史家は見ている。



  和風洋式料理とは、所謂言う所の明治時代から昭和時代かけて、そして現代に至るまでに、日本人の味覚に合う様に調理レシピを基にして作られた洋食堂で出されて居る洋風料理の事である。



 特に知られて居るのは、カレーにビーフシチュー、すき焼き、肉じゃが、スパゲッティナポリタンと言った所だろう。



 何で先きに述べている料理が和風洋式料理なのかと言うと、カレーとビーフシチューなんかは明治時代の頃に、外国へと出張なんかに出かけた事の在る海軍の武官や政府省庁なんかの官僚らが、また食べたいとか栄養面で素晴らしいとか言った事から持ち込まれたのが始まり。



 すき焼きも幕末に外国から入って来た肉食文化を日本風にアレンジをした料理で、今では和食とされて居る面も強いが、元々日本には無かった料理である。



 また、肉じゃがは、またビーフシチューが食べたいと言った人々の中で、お抱え料理人に作られたビーフシチューモドキ料理が発祥と成って居るが、何時の間にか家庭料理の一つに成ってしまって居る。

 

 当時は聞きかじった材料と調理方法だった故に、味が疑わしいなかで出来上がった料理を口にしたら大変に美味かったから海軍なんかを中心として全国へと広まったのは、日本らしい変な話であると言える。



 更にスパゲッティナポリタンは、イタリア料理では無く、完全に日本料理である事は有名な話である。



 その発端には、第二次世界大戦に敗戦をした日本を占領統治するべく、ダグラス・マッカーサーをトップとする進駐軍に接収されてホテルニューグランドの料理長による物が始まりの一つで在るらしく。



 進駐軍の兵士達が、ケチャップで和えただけの具なしスパゲッティを食べているのを見て、ケチャップだけでは味気ないと考え、生トマト、タマネギ、ニンニク、トマトペースト、オリーブオイルでトマトソースを作り、炒めたハム、ピーマン、マッシュルームを加えてソースで和えたスパゲッティを考案したという。



 また、横浜市野毛の洋食レストランでの発祥地とする話も在るが、何れにしても、この様にして様々な形と時代経て行く事により、日本国内のパスタ文化は徐々に広まり、たらこスパゲッティや和風スパゲティと言ったジャパンオリジナルパスタが産まれて行った事は間違いない筈である。





 特にカレーにビーフシチュー、すき焼き、肉じゃが、和風パスタ、それに各種具材を入れたおにぎり等は、後に戦後に成るアースティア世界各国軍の定番料理に成って行ったと言う。



「第一・第四艦隊補給完了。」



「10戦車隊、各車燃料及び銃砲弾の補給完了。」



「おーいっ!16式と89式の点検まだかーっ!?」



「各車っ後3分で点検終了でーすっ!」



「急げええぇぇーっ!偵察オートバイ隊の話じゃ、敵は8分位で来るそうだぞっ!」



 日本を発ってから一週間くらいが経って居る。



 万が一に備えて派遣されて居る陸海空の整備隊員達らは、誰もが代わりに成れる体制で、何でも修理出きる様にと言われて居た。



 そんな無茶なと言うだろうが、その為の人選と補修もさせられて居るし、色々と癖の有る経歴を持った隊員が部隊に派遣されて居た。





 重要な部分以外の整備修理での手伝い程度なら問題ないと見られて居る。



 自動車の整備の免許を持って居て、航空機の整備免許証まで持って居るなんて言う変わり者も居たりしていた。



 他にも様々な整備に関する免許資格を有する者が多く見られて居た。



 何でそんな有り得ない資格の取得して居る人が多いかって?



 それは退職したら何かの役に立つかなと言う単純な考えからだった。



 2030年代世界の日本国内では、再就職がとても難しく、資格を持って居ないと正社員での定職に就く事は、今以上に突き難い世の中でも有ったのだった。



 そんな訳で、誰かが、例え動けなく成ったとしても良い様に、陸海空の整備隊員は、選抜メンバーで構成派遣された整備の要員の猛者達が懸命に働いて居た。



「では井上一佐。この場お引き受けします。」



「無理はするなよ。」



「はい。」





 水陸旅団から派遣されたAAV7水陸両用車10両と240名の普通科中隊の隊員達であった。



 既に境界線の浅瀬には、少数だが爆薬と起爆も出きるタイプの地雷が仕掛けられて居る。



「サザッッ!こちらニンジャ02っ!」



「敵集団、凡そ6000人。」



「グリクス地方騎兵団の追撃部隊の第二波だと思われる。送れっ!」



「了解っ!直ぐに迎撃態勢に移る。送れっ!」



「お二人供っ!敵が来ましたっ!」



「来たか?良し乗船急げええぇぇーっ!」



 ビーチングしている輸送艦やヘリで移動する自衛官らは、それぞれ別行動する部隊と別れ、非戦闘要員や幹部自衛官の一部は艦隊へと乗船を急ぐ。





 兎に角、追撃部隊を振り切るか、手痛い目に遭わせて撤退して貰う以外に、今夜の戦闘は、決して終わらないだろう。



 日シベ合同軍上層幹部達の予測では、向って来るのは、手柄を欲しさに先走って居る部隊だと考えられて居た。



 アルガス公国軍を始め、この作戦に関わるシベリナ連合同盟に所属している軍関係者やリナからの情報提供を受けて、そう幹部自衛官らは予測して居たのだった。



 成らば、そう言った手合いを相手にするのなら、話は簡単。敵の上層部に止めて貰うのが一番に手っ取り早い。



 追撃が割に合わないと考えれば、追撃戦闘を止めるのが軍組織としての定石である。



 ボゥーと汽笛を慣らし、ダバ派遣艦隊は去って行く。



 一部の幹部と隊員らは敬礼をして互いを見送り有っていた。



「さぁて、此処で敵を10分間ほど足止めをする。」



「隊長、たった240人ですか?」



「ふふっ、なぁに、保険を掛けて有るからな。」



「使えるんですか?」



「まぁ、見ていろ。」





 他の陸自部隊やアルガス公国軍も立ち去り、居残る彼らの周囲には誰も居ない。



「くーっくっくっっ!遂にっ!この戦場での出番が、とうとう来たっ!」



「そう、やっとこの我が活躍する時が来たのであーるっ!!」





 魔導槍エクスプロン・ランサーを構えるのは、紅葉の幼馴染にして問題児の頭の可笑しな天使こと、ヨハンナ・リリロッカ・ヨシカーナ。



 そのハンナと一緒に居並ぶのは、12名の聖天騎士であった。



「あのー隊長、私から見ても皆から見ても、どうやって見たとしても、あの子達では不安なんですけど。」



「それに如何するんですかっ?」



「人の背丈と同等の長さが有るあの槍は?」



「AAV7内には、ちょっとだけ長すぎて入らないですよ。」



「それにアセリア族は、羽も生えていますから二人分の席は必要に成ります。」



 ハッキリ言って車内は手狭になる。



 それにアセリナ族は、アレをぶっ放すと動けなくなる事は、この場に居る全員が承知して居た。



「ふっ、この戦闘が終われば、我々は余裕で退却出きるだろう。」



「それもあの使えない魔導砲撃使うのはちょっとなぁ~考え、誰も進んで作戦に採用しない連中を有る意味ボロ雑巾の如く使いこなしてな。」



「隊長殿っ!貴方は悪魔の様な方だっ!」



「戦場に居る以上に生き残る手段を考え続けなければ成らないものだっ!」



「成らば使えそうな物は、何でも使えっ!!」



「うわぁ~・・・・・・」



 思わず彼のロボットアニメに登場する祖国に恨みつらみを持った、仮面の司令官の亡霊でも乗り移ったのかなと、思ってしまいそうな部下達だった。



「さて、冗談は此処までにして・・・・」



(うわぁ~その冗談キツイわーっ!)



「いざと成れば、車両に縛り付けて持ち帰れば良いだろう。」



「各小隊戦闘準備っ!!」



 部隊は集結地点に使って居た近くに在る林へと身を隠した。



 茂みや木々の間に身を潜めて射撃体勢を取る。



 ハンナ達もそれぞれ近くの停車している車両の影に身を隠した。



「射撃よーいっ!」



 

 隊長の命令で伏せ撃ち等の態勢で小銃を構える。



 他にはAAV7水陸両用車10両の12.7ミリ中機関銃も射撃体勢を取る。





「ハイヤッ!!」



「ヤッ!!ヤッ!!ハイヤッ!!」



 島の境界線の浅瀬を渡りにやって来たのは、グリクス地方騎兵団の第14・17騎兵団だった。





 松明の明かりだけがボンヤリと騎兵団の居場所を見せていた。



「バカめっ!!」



「戦争中以外での夜間での明かりは、安全地帯か平時以外では、只の的にしか成らんのを連中は知らんのかっ!?」



 

 AAV7水陸両用車10両と240名の普通科中隊を率いる中隊長は、敵騎兵団のお粗末な行軍を見て不敵に嘲笑って居た。



 騎兵団が浅瀬を半分を超えた所で、起爆スイッチを作動させた。





「今だっ!爆破しろっ!」





 ドッカアアアアアァァァァァーーーーーーーーーンッ!!!



 一斉に爆破されるグリクス地方騎兵団の第14・17騎兵団。



 この爆破で騎兵団は、爆破による衝撃波と炎と散弾による被害で、少なくとも2500人は、殺られていた。





「撃てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」



 敵が爆破で浮き足立って居る所を中隊長は、容赦なく射撃命令を下し、一斉に攻撃を加えた。



ダダダダダダダダダダダダダダタダッ!!!ダダダダダダダダダダダダダダタダッ!!!



ダダダダダダダダダダダダダダタダッ!!!ダダダダダダダダダダダダダダタダッ!!!



ダダダダダダダダダダダダダダタダッ!!!ダダダダダダダダダダダダダダタダッ!!!



ダダダダダダダダダダダダダダタダッ!!!ダダダダダダダダダダダダダダタダッ!!!



ダダダダダダダダダダダダダダタダッ!!!ダダダダダダダダダダダダダダタダッ!!!





 凄まじい銃撃音が鳴り響き、次々と騎兵隊の騎士達は成す術も無いままに、撃ち貫かれて落馬して行く。



「くそっ!!此処にも待ち伏せかっ!?」



「コソコソと隠れて、丸で猟師の様な連中だっ!」





 現代戦を知らないもの達からすれば、日本の戦い方は、彼らも良く知って居る戦術や戦略を練って周到に行われる奇襲と言う戦い方とは、ちょっとだけ違う。



 銃や兵器を用いた散兵戦術等が元に成って居る。





 連携と効率重視の兵法であり、少数で大多数を撃ち破る唯一の戦い方なのだ。





 まぁ、少数の白兵戦で、こんな戦い方を平気な顔でする人物は、日本史の中で鬼島津こと、島津義弘が代表的な人物の一人だと思う。





「騎士団長殿、あれをご覧ください。援軍です。」



「おおっ、19騎兵団と8騎兵団か?」



 更にグリクス地方騎兵団6000人が現れたらしい。



「撃ち方止めえええぇぇぇぇーっ!撃ち方止めえええぇぇぇぇーっ!次弾装填っ!!!」



 此処で一旦、射撃を止めつつ、小銃の弾を使い切り、隊員達はカートリッジを取り替える。



 状況把握の為に騎士団側も距離を取り、先の交戦での生き残りを搔き集めつつ、体制を整える。





 自衛隊とグリクス地方騎兵団の両者は、射撃による土煙が晴れるのを互いの軍は待った。





「ちいっ!!援軍か?」



「数が変わってませんね。如何します?」



「ふん、此処でアレを使わんと退却せんだろうな」



「本当に使うんですね・・・・」



「当たり前だっ!」



「さぁ、アセリナ王国・聖天使騎士の諸君っ!出番だぞっ!」



「くっくっ、勿論だともっ!大船に乗った気で、我らに任せて置くのであーるっ!!!」



 丸で時代劇に措いて、ヤクザの親分さん何かが言う所の「先生方っ!出番てずぜっ!」と言わんばかりな感じで隊長は、ハンナ達に攻撃を命じた。





 ハンナとアセリナ王国聖天使達は、林からふわりと空へと飛び発つ。





「なーっはっはっ!!良くぞ我が仕掛けた罠を耐え抜いた。」



「止めは、我とアセリナが誇る聖天騎士達が刺してくれようぞっ!」



「あのーっ、この作戦、俺が考えたんだけど・・・・・・」と隊長がぼやいたが、この状況に酔い痴れているハンナには、届かないし、聞くことも無いだろうし、完全にその場でのノリで言って居るから、特に何も考えても居ないだろうし。





「げっ?!アセリナの頭の可笑しな聖天騎士共だっ!!!」



「ななっ、なんでっ!?此処に頭の可笑しな聖天騎士共がっ!?」





 突如として、空に舞い上がったアセリア聖天騎士の出現に、グリクス地方騎兵団の騎士達は、各々この世界でのお約束的で、お馴染みの台詞を言い回して行く。





「こりゃ、分が悪すぎるっ!」



「しまった・・・・・深追いし過ぎたっ!」





 隊長殿は、心の中で思わず突っ込みを入れる。



「俺達の銃弾よりも、そっちの方が怖いんかいっ!!!」



 そりゃ、そうだろう。



 自分達の銃弾の嵐よりも、ハンナ達、アセリア聖天騎士の方がインパクトが有ると言われれば、納得がいかないのだ。



 そんな事をスルーするかの様に、アセリア聖天騎士達は槍を、魔導槍エクスプロン・ランサーをチアリーディングで使用するバトンの如く、ブンブンと振り回して構えながら呪文を唱え、エクスプロトンバスターを撃ち放つ為に、魔力を掻き集め始めた。





「我れらが聖なる力の源泉たるマナよ、今こそ我が前に立ち塞がりし怨敵を滅さんが為に、その力を覚醒させ、その力を世界に示さんっ!!」



「これぞっ!!我がアセリアの天使たる者が森羅万象を操り、この世全ての歪みと悪を正し討ち果たすものなりっ!!」





「まっ、拙いっ!」



「総員っ!!退却ううぅぅーっ!退却ううぅぅーっ!退却ううぅぅーっ!退却ううううぅぅぅーーーーっ!!!」





「「「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーっ!!」」」」」」」



「死体も残らずにっ!死ぬのだけは嫌だああああああぁぁぁぁぁーーーーーっっ!!」



 死を目前にして錯乱する騎士達。



 でもね、それって死に方としては、一番楽なんじゃ・・・・・・・・・・・





「ミラ、すまん今日は俺は此処で・・・・」



「母さん産んでくれて有難う・・・・・」





 ちょ、ちょっとっ!!!ちょっとっ!!!爆裂閃光魔法で吹き飛ばして、消し炭にされ様とする前に、そんな話は重過ぎるから・・・・・・・・・・





 グリクス地方騎兵団の騎士達は、大慌てで逃げ出して行くが、当然、其処はハンナ達の有効射程圏内である。



 この状況で生き残れるのは、恐らく一割にも満たないだろう。



 この世界の者達が、こうしてアセリア聖天騎士達の天罰的攻撃を受けると、何故か走馬灯が見られるとか言われて居るのは、幸運にも生き残りが、恐怖体験を語り、それを聞いた者達が勝手な妄想を交えた話を誇張して噂を広めて居るからだった。



 人々は言う。アセリア聖天騎士に睨まれ、天罰を処されたのなら悔い改めよと・・・・・・・・・・・・・





「我の望む白き荒野なり、虚無の白き地平線なり、天の全てを白き白夜なりて、踊れ、踊れ、踊れ、踊れと力の本流なりっ!!」



「これこそが並ぶ事無きっ!!この世っ!!この世界に措いて最大の攻撃魔導砲っ!!!」





「悪鬼の巣窟たる世界の敵たる帝国よっ!!」



「これまでの行いを懺悔しっ!灰燼に滅せよっ!」





「エクスプロトンバスタアアアアアアアアァァ ァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」





 ハンナ達は、魔導槍エクスプロン・ランサーをグリクス地方騎兵団の第14・17騎兵団の行き残りと迫り来ていた19騎兵団と8騎兵団が、一転して東へと転進し、逃げて行く中を一撃必殺のエクスプロトンバスターを撃ち放ったのだ。



「総員対ショック態勢っ!!!姿勢を低くしろっ!!!」



「伏せろっ!伏せろっ!伏せろおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!!」



「「「「「ぐおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーっ!!!!」」」」」



「「「「「うわああああああぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」」」」」





 自衛隊員達240人は、撃ち放たれたエクスプロトンバスターによる凄まじい爆風と暴風の中で姿勢を低くしたり、AAV7水陸両用車10両の影に隠れたりと、各々が対ショック態勢を取ってやり過ごして行く。





 その暴風も、約7分くらいで止み、土煙と小石が降り注ぐ中、アイガードの誇りを拭って身体を起こす。





 陸自隊員等は、辺りを見回すと茶色い煙が徐々に晴れて行く。



「「「「「ケホケホっ!ゴホゴホっ!」」」」」



「やりましたね・・・・・」



「ああ、勝った・・・・・」



「ですが、後で地形を変え過ぎたなんて言われ、怒られませんかね?」



「返って名物にでも成ったりしてな・・・・・・」



「そんなバカな事なんて、有り得ませんよ。」





 そんな彼らの前に、煙がハッキリと晴れると、エクスプロトンバスターによるクレーターと吹き飛ばされ削られた地面が残っていた。





 吹き飛ばされたのは、土だけではなく、埋まっていた岩盤さえ抉れ見え、露出して居た。



 後年にカントルナ島の西側岸辺は、イツクシマ作戦の序盤で出来た撤退戦での壮絶な戦いの痕跡として、アルガス公国とアセリア王国との間で、戦史に置ける史跡認定を受けるのである。



 特に英雄ハンナの活躍の場の一つと成ったこの場所は、アセリア族に取っての大人気の指定史跡の場所として、語り継がれる事に成るのであった。



「あふぅ、快感なのであーる。ふぅーっ・・・・・」



「おーい。予定通りに彼女達を回収して撤収っ!」



「了解ーっ!」



 ゆっくりと地上へ舞い降りるハンナ達は、様々な形でパタリと倒れこむ。



 それはこの大変に素晴らしい世界で活躍する頭の可笑しな爆裂魔法少女の様な幸せな顔付きをして居たと言う。

 それを自衛官らは、丁寧にAAV7水陸両用車の上に槍と共に縛り付けて水上から撤退して行ったのだった。