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「空太、おはよう。えへへ……」

「はよ」

 家まで迎えに来てくれた空太に挨拶をしながら、顔がにやけてしまう

 何だかくすぐったい。

「何だそのだらしない顔は」

「だって……」

 両思いになって初めての登校だ。

 長い長い片思いからの両思いなのだ。

 こうなってしまうのは仕方が無い。

「えへへへ……」

「たく、しょうがねえな」

 素っ気ない態度をとりながら前を歩く空太の後を追っていると、空太の手がこちらに差し出される。顔は前を向いているが手はこちらを向いている。

 これって……。

「ほら……手……」

 素っ気なく言ってきた、空太の耳は真っ赤だった。私は嬉しくてピョンと跳びはねるように空太の隣に行くと、元気いっぱいに答えた。

「繋ぐ!」

 私と空太の距離は0センチ、もうもどかしい距離では無い。

 どうかこの距離がずっと続きますように……。