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「ごめん……」
茜は最近俺に謝ってばかりだ。
口を開けば最後にごめんと謝ってくる。
何だこの違和感は……。
嫌な予感しか無い。
茜……お前は何を考えているんだ?
部活の帰り道。
茜の名と同じ茜色の空を見つめながら帰っていると、防波堤の上に茜の姿を見つけた。
「あか……」
俺は茜に声を掛けようとして、それを止める。
茜色に染まった茜の横顔は悲愴に染まり、涙を流していたからだ。
何でそんな顔を?
茜の泣いている姿を見てから、俺達の間にぎこちない空気が流れていた。俺達の間でこんなことは初めてだった。茜もそれに気づいているのか、居心地が悪そうにソワソワとしている。そして何かを言いかけては口を閉じるを繰り返す。
何だ?
俺に何か言いたい事でもあるのか?
いい加減ハッキリしてもらいたい。
「お前何がしたいの?そういう態度ムカつくんだけど?」
苛立ちから強い口調でそう言うと、茜の体がビクッと跳ねた。
茜を見ると、あの日見たような悲愴に染まった顔でこちらを見ている。クリッとした大きな瞳に涙が溜まり、今にもこぼれ落ちそうな顔でこちらを見ている。
違う……。
こんなことを言いたかったんじゃない。


