ドクンッ！

心臓が急激に音を立てる。

なんで…。

金縛りにでもあったかのように体がその場から動かない。

に、逃げなきゃ、逃げなきゃ、見つかる前に！


次の瞬間、中原がこちらに目を向けた。

「あっれれぇ。誰かと思えば、尊くんじゃーん」

僕に気づいた途端に、顔を喜ばせる。

周りの不良たちもなんだなんだと顔をこちらに向けてくる。

「え、なになに、雄大の知り合い？」

不良の一人が中原に話しかける。

「おー。俺らオトモダチなんだよ」

オトモダチ、その言葉に無意識に肩が跳ね、視線が泳ぐ。

周りの不良も僕の反応でオトモダチの意味を理解した見たいで、俺にニヤニヤと笑いかける。

「尊くーん。今、俺さー金なくてさぁ。一万くらいかしてくんない？」

「あ……うぇ……あ…あの…」

僕が言葉を発せないでいると、チッと、舌打ちした中村がみぞおちを殴ってきた。

「っ！」

声にならない悲鳴をあげ、僕は地面に倒れる。

「え、なになに、俺に逆らうの？　ずいぶん偉くなったでちゅねー」

そのまま倒れている僕を笑いながら蹴ってくる。

「みんなも手伝てくれよ。こいつに上下かんけーってやつを教えないといけないからさー」

その言葉を聴いた不良たちが笑いながら僕を蹴ったり殴ったりしてくる。

「雄大。こいつ五千しか持ってねーぜ」

「チッ。しけてんなー。ま、いいわ」

不良の一人が僕のカバンから財布を取り出し、中の金額を中原に伝える。

中村は、急に僕に興味をなくしたようでそのまま不良たち笑いながらと公園を出ていく。

もちろん、僕のお金は持ったまま。