その日は何事もなく時間が過ぎ、気づけば六時間目までの授業が終了し、皆帰り支度を始めていた。

生徒が帰り始める中、天照さんは後ろの席でたくさんの人に囲まれながら放課後の遊ぶ約束をしている。

そんな集団を横目で見ながら、僕はサッサと教室を出る。

ただ、このまま帰るのには気が乗らず、学校の屋上に続く会談を上る。

この学校は少し山の上の方にあるため、屋上からこの町を一望できる。

屋上から見る人は、まるで小人のようで、止まることなくせわしなく動いている。

こうしてみると誰が強くても、弱くても、差はない。

全員ただの人だ。

けれど、地上に立ってみるとそこでは自分も小人の一人で、そこでは僕は「弱い人」の部類になってしまう。

そんなことを考えながらフェンスに足をかける。

フェンスを乗り越え幅40センチあまりの場所に腰掛ける。

まだ少しばかり冷たい風が僕の頬を撫でる。

――ここから落ちたら死ねるかな。

僕は毎日、この世から消えることを願っている。

死ぬ時は怖いのだろうか。

いや、僕の場合は怖さよりも解放感や喜びの方が大きいだろうな。

僕は、生きている限りはこの世に縫い留められ、学校や会社に監禁され続けるだろう。

幸福なんて起きやしなくて、待っているのは長い長い、生き地獄。

ならば、いっそ――。