明日が晴れますように。

天照さんが少し考え込む。

あ、しまった!

この質問は、さっき天照さんが僕に答えにくい質問って言って質問をやめてくれたやつだ。

なんでこんなこと聞いてしまったんだろう?

今すぐ、訂正しないと。

「あ、えっと…ごめ――」

「私、病気なの」

僕の謝罪の言葉にたまたま天照さんの返答が被ってしまった。

「びょ、病気?」

僕は天照さんの言葉をそのまま、オウム返しに聞き返してしまう。

「うん。病気。それも難病。今日はその定期健診だったんだ」

天照さんは僕の質問に対し丁寧に答えてくれた。

難病……?

「治るの…?」

思わず、僕の表情が歪む。

「うーん。どうだろ。治るかもしれないし、治らないかもしれないな~」

あっけらかんと答える。

「白血病って知ってる?」

「うん…」

白血病って、たまに芸能人が病気になったりするやつだろう。

ニュースで何度か見たことがある。

「それの、急性骨髄性白血病ってやつ。十万人に二人くらいなんだって。めずらしーよねぇ」

天照さんはまた、世間話をするかのように自分の病気について話す。

天照さんは席を立ち、本を物色し始める。

「他は? 何か質問ある? 今ならなんでも答えるよ」

僕は絶句して何も言えなかった。

「鬼塚君?」

天照さんは不思議そうにこちらに視線を向け、首をかしげる。

「いや…、だい…じょうぶ…………です」

僕は途切れ途切れに何とか答える。

「そっか。あ、この本知ってる」

僕から視線をはずし、本に向き直る。

難病………。

いつも元気で明るく、クラスで人気者の彼女が?

まるで壮大なドッキリにかけられた気分だ。

だけど、僕に嘘をついても、天照さんには何の得もないだろう。