これで最後だ。
 もう四日も置かれていないのだ。
 一週間も学校に来ていない、などということはあるまい。
 もし仮に来ていないのだとしても、つまりはそれだけ彼女の中でショックが大きかったということの裏付けになる。
 幽霊として続けていた交換日記をやめる、という選択をするに至る、納得のいく理由だ。

 昨日も五日目も、そう変わらない。
 今日行ってなければ、これでもう終わりにしよう。
 金曜日。丁度、キリも良い。

 そうしてやって来た、旧理科室。
 扉は開いているが、どこか、開ける気になれない。

「――はぁ」

 本当、何をやっているのか。
 そんなつもり、元々なかったじゃないか。
 何となくここに来て、何となく見つけたノートに、何となく文字を書いただけ。
 ただそれだけのことだった。

 それなのに、何をこんなに感情移入しているのか。
 何をそんなに、残念がることがあるのか。
 我ながら、おかしな話だ。

 そんな心持ちで扉を開く。
 そこに、

「あっ……」

 ノートが、置いてあった。
 俺は慌ててページを捲る。
 しかし、幾つか交わした言葉の最後に、返信はなかった。

「な、んだ……」

 返信はなし。
 もう、話すこともないということだろうか。

「そりゃ当然…………ん?」

 その、俺たちの交わした言葉、文字の向こう――次のページに、何かが透けて見えた。
 捲ったそこには、彼女の文字で言葉が綴られていた。