ここは船内の部屋ではあるが、エリュード達の居る所と違う船室である。
 あれからヴァウロイはここにくるなり、急ぎヴァンディロードとの通信を繋いだ。

 「遅くなり、申し訳ありません」
 「ヴァウロイ、何かあったのか?」
 「いえ、何もありませんが……ただエリュード達と一緒でしたので他の部屋に移動していました」

 そう言いヴァウロイは、軽く頭を下げる。

 「そうか……まあいい。それはそうと、ドラバルト様の行方が分かった」
 「それは本当なのですか?」
 「ああ、使い魔のキャルネにマグドラスの所まで行かせた」

 それを聞きヴァウロイは小首を傾げた。

 「マグドラスと、どういう関係があるのですか?」
 「ヴァウロイ、ドラバルト様の居た洞窟をみた際に……何者かと戦った形跡があったと言ったな?」
 「はい、洞窟内がかなり崩れていましたので」

 そう言うもヴァウロイは、ヴァンディロードの言いたいことが理解できず困惑している。

 「だから、もしかしたらマグドラスが知っているのではと思ったのだ」
 「あーなるほど……そういう事なのですね。それでドラバルト様は、どこに居られるのですか?」
 「マグドラスの話では、竜人の里ドドリギアにミスズと向かったらしい」

 それを聞きヴァウロイは、ホッとした。

 「じゃあ、ドドリギアに向かえばいいのですね」
 「ああ、そうなるな。だが、気になることをマグドラスが言っていたらしい」
 「それは……いったい?」

 そう聞かれヴァンディロードは、そのことについて話し始める。

 「……そうなるとドラバルト様は、ミスズのおかげでドラギドラスから元の姿に戻った。だけどその影響で、ミスズのしもべになっている」
 「そういう事だ。それともう一つ……ミスズを助けた者がいる」
 「それは、いったい誰なのですか?」

 そう言いヴァウロイは首を傾げる。

 「ファルスとか云うヒュウーマンらしい。だが、マグドラスの話では神の臭いがしたと」
 「どういう事でしょうか? その者がもし女神スイクラムと関わりのある者であれば」
 「ああ、なぜミスズを助けたのか気になる。それとミスズに守護精霊がついた」

 それを聞きヴァウロイは驚いた。

 「それは本当ですか?」
 「うむ、偶々レベルが上がり守護精霊が出現したようだ。まぁそのおかげで、ドラバルト様は元の姿に戻られたのだがな」
 「そうですか。じゃあ現在、ミスズのそばにはドラバルト様以外……そのファルスと守護精霊が居る訳ですね」

 そう言いヴァウロイは真剣な表情になる。

 「そうなるな……それでだ。そのファルスが何者かを探れ。コッチでも調べはするが、何か引っかかる。それに最近、スイクラムにみられていないような変な感じがするのでな」
 「そういえば……確かに、異常じゃないかと思うほどに暑い。ネツオン大陸から出てきたはずなのに……それに、水も減っているような気がします」
 「なるほど……それはおかしい、この世界は水が豊富なはずだ」

 そう言いヴァンディロードは考えた。

 「そうだな……そのことについても調べた方がいいか」
 「はい、承知いたしました」

 それを聞きヴァンディロードは、更にヴァウロイに他の指示もだす。
 そしてその後ヴァウロイは、ヴァンディロードとの通信を切りエリュード達の所に戻っていった。