ここはスイラジュンムにあるカッカラ島。ここはネツオン大陸よりも南に位置する島だ。
 この島はリゾート地のようになっている。そうここの住人は殆ど商売人や冒険者とか、ただ遊びに来ている者しかいないのだ。
 因みにこの島には、ダンジョンがあるため冒険者ギルドも存在していた。
 そしてこの島の宿屋には、エリュード・グリフェと擬人化している使い魔のヴァウロイとゴルイド・バルデラとライル・ダヴィスがいる。
 エリュード達は、飲み物をのみながら話をしていた。

 「ネツオン大陸に行ったが、ミスズは既に居なかった」

 そう言いエリュードは、遠くをみつめる。

 「そうなのニャ。洞窟の封印が解けてたし……」
 「そうね。でも、誰があの洞窟の封印を解いたのかしら」
 「ライルちゃんの言う通りだ。それにミスズちゃんは、どこに行ったんだろうな」

 そうゴルイドが言うとエリュードは俯いた。

 「本当にどこに行ったんだ? ……そういえばヴァウロイ、この前……ドラギドラスのことをチラッと話そうとしてやめたよな?」
 「エリュード……そんなこと言ったかなぁ……ハハハハハ……」
 「なんで誤魔化すんだ。そんなに隠さなきゃいけないことなのか?」

 そうエリュードに問われヴァウロイは、下手に話せないことなので困ってしまう。

 「えーっと……ごめん、今は無理ニャ。ご主人様の了解が、まだ出てないのニャ」
 「なるほど、魔族と関係があるってことだな。そうなると、ミスズは……そのドラギドラスに囚われている可能性があるって訳か」
 「分からないニャ。それにドラギドラスの姿で、あの洞窟を出るとも思えないのニャ」

 それを聞きエリュードとゴルイドとライルは、不思議に思い首を傾げる。

 「それって、どういう事なの? まるで姿を変えられて、それが嫌で洞窟に引きこもったみたいじゃない」
 「うん、そんなところニャ。それに以前よりも力を半減されたから余計なのニャ」
 「……なんか凄く嫌な感じだ。もしもそのドラギドラスが、元の姿に戻ったらどうなる?」
 「もしそうなら、大変なのニャ。だから今、ご主人様に確認してもらってるんだニャ」

 そう言いヴァウロイは、エリュードをみる。

 「そういう事か。でも、まだその回答が来ていない」
 「うん、心配だけど……それ以外にも気になることがあるのニャ」
 「気になること?」

 そうエリュードは問い返した。

 「これはご主人様にも話したことなのニャ。あの洞窟で争ったあとがあったんだけど、どちらかといえば強い者同士のように思えたんだニャ」
 「それじゃ……そのドラギドラス以外にも、何者かが居たってことか?」
 「そうなるニャ。だから、それも含めて調べてもらっているのニャ」

 それを聞き三人は、頷き納得する。

 「じゃあ、返答を待つしかないな」
 「そうね……なんか、魔族の手を借りるのは嫌だけど」
 「ああ、でもそれしか手がねぇしな」

 そうゴルイドが言うとエリュードとライルとヴァウロイは頷いた。

 「さて、これからどうする?」
 「エリュード、いつまでもここに居る訳にはいかないわ」
 「ライルちゃんの言う通りだ。いい加減、ここを発った方がいい」

 そうゴルイドに言われエリュードは苦笑する。

 「そうだな……どうも、ここは居心地がよくて動けなくなった」
 「その気持ち、凄く分かるわ」
 「そうか? 退屈だと思うんだが」

 そう言いゴルイドは首を傾げた。
 それからエリュード達は、少し話をしたあと各自の部屋に行き旅支度を済ませる。
 そしてその後エリュード達は、自分たちの船に乗り美鈴を探すため旅立ったのだった。