ここは闘技場。そして美鈴とミィレインが居る特別観覧席だ。
 あれから美鈴とミィレインは、ファルスの試合をみて興奮していた。

 「ファルス、やっぱり凄いね。だけど腕を折られた人……大丈夫かな?」
 「どうかニャ? でも、折れてるだけだから治ると思うけど」
 「そうだね……あっ! なんだろう?」

 そう言い美鈴は、窓の外に魔道具で映し出された文字を読んでみる。

 「……何があったのかな? トーナメント表が変わるって書いてある」
 「本当ね。んー……もしかしたら、ドラバルトの方で何かあったのかもしれニャいわ」
 「それって、ドラバルトの命が狙われたってこと?」

 美鈴は心配になった。

 「そうでしょうね」
 「大丈夫かなぁ」
 「ドラバルトニャら大丈夫だと思うわよ」

 そう言われ美鈴は首を振る。

 「心配なのは、ドラバルトにやられた人たち」
 「あー……そっちねぇ。確かに、ただじゃすまニャいでしょうね」
 「そうだよなぁ。んー……そうなると、トーナメント表が変わるのって……殆どの出場者はドラバルトを狙って」

 それを聞きミィレインは、コクッと頷いた。

 「なんだかなぁ……なんで、こんなことが起きるんだろうね。争って勝ったとしても……虚しさしか残らないと思うんだけど」
 「それ本心? ミスズは、スイクラム様を恨んでるのよね?」
 「うん、そうだね。だけど、ウチは武力でどうこうしたい訳じゃない。……って、言っても同じかぁ。どのみち、どんな形でも争うことになるだろうし」

 そう言い美鈴は、俯き悲しい表情を浮かべる。

 「ええ、恐らく綺麗ごとじゃすまニャいでしょうね」
 「そうだよなぁ……相手が女神だし、ハハハ……」

 美鈴はそう言うと苦笑する。
 その後も美鈴とミィレインは話をしていた。


 ――場所は、控室へ移る――

 あれからドラバルトとファルスは、窓の外から試合会場をみながら話をしていた。

 「トーナメント表の変更か……何人減る?」
 「どうだろうな……オレには分からん。それはそうと、お前は……このままでいいと思っているのか?」
 「何がだ?」

 そう問い返されファルスは、フゥ―っと息を吐くと話し始める。

 「二つの派閥を、このままにしておくのかってことだ」
 「ああ、そのことか。確かに、このままにしておけんだろうな。しかし、今の俺に何ができる……」
 「でも、このままだと……大きな争いが起きるぞ」

 そう言われドラバルトは、キッと下唇を噛んだ。

 「そうだな……お前の言う通りだ。だが、どうすればいい?」
 「オレも分からん。だが、あとで話し合わないか?」
 「……そうする方がいいか」

 そう言いドラバルトは、目を細めファルスを見据えた。

 「それはそうと……まだ時間がかかるのか?」
 「ファルス、確かに遅いな。トーナメント表を変えるだけで、これほどまでに時間がかかるのか?」

 そうドラバルトが言うとファルスも変だと思い考える。
 それと同時に、いきなり扉が開いた。それに驚き二人は、身構え振り返る。そこには、マルバルトの配下の者が息を切らし立っていた。

 「ハァハァハァ……た、大変です! マルバルト様が…………し、至急……主催者専用観覧席の方に来て下さい!!」

 それを聞きドラバルトは、何事が起きたのかと驚き駆けだす。
 片やファルスは、何か違和感を覚える。そのため警戒をしつつ、ドラバルトのあとを追った。