夜空に咲く花火の下で

「は、林チーフ……、帰ったのかと思いました」

フロアの入り口からゆっくりと歩いてくる林チーフ。
ホント、不意打ちは心臓に悪い。

「何を言ってるんだ。お前が残ってるのに先に帰る訳ないだろ」

呆れたように言う。
ですよね……、よく見ると林チーフの鞄が机の脇に置いてあるし。

「それはそうと、出来たのか?」

「はい、チェックも終わりました」

「そうか、ご苦労さん」

その言葉を聞き、パソコンの電源を落とし片付け始めた。

やっと帰れる。
バッグを手に立ち上がると、ちょうど林チーフも帰り支度をしていて、バチッと目が合うと口角をゆるりとあげた。

「大島、頑張ったご褒美、やるよ」

「えっ?」

「いいから黙ってついてこい」

そう言うと林チーフはフロアを出ていく。

「あ、ちょっと待ってください」

早足に後を追った。


ガチャリ、と鍵を開け林チーフは屋上に入っていく。

「あの……入ってもいいんですか?」

初めて上がった屋上に、入っていいものか不安になりキョロキョロと周りを見ながら言う。

「いいに決まってるだろ。さっさと来い」

手招きされ、戸惑いつつも呼ばれるままに足を踏み入れた。
夜になったとはいえ、夏の風は生ぬるい。