美月は「八角の家」の深層へと足を踏み入れ続ける。彼女が辿り着いたのは、家の最も奥深く、誰も近づかないと言われていた部屋だった。その部屋には奇妙な装置が散らばっており、無数の書物と一緒に古びたスケッチが置かれていた。スケッチには、家の建設過程が詳細に描かれていたが、それらの図面はどこか不安定で、奇妙な形をしていた。

そのスケッチには、家の設計図に似たものが描かれていたが、普通の家の間取り図とはまるで違っていた。角度が不自然に鋭角で、階段が壁を突き抜けているように描かれており、部屋が何層にも重なっているような構造をしていた。美月はそれを見て、家が「ただの家」ではなく、何か他の目的を持って作られたのだと直感する。

その時、彼女の目の前に加賀山が現れた。彼の表情はいつになく険しく、何かを言おうとするが、言葉が出ないようだ。美月は加賀山に尋ねる。

「この家の本当の目的は何ですか?柏原智也は何をしたかったのでしょう?」

加賀山は長い沈黙の後、ようやく口を開く。「智也は、この家を『時空の迷宮』として作った。彼は人々が迷い込むことで、自分を見つける場所にしたかったんだ。」

美月は驚いた。「つまり、この家自体が…アートの一部だと?」

「その通りだ。智也は、この家に何かを隠していた。しかし、それが何かは、まだ分からない。私はその謎を解こうとしたが、途中で私自身も巻き込まれてしまった。」加賀山は冷や汗をかきながら言った。

その言葉を聞いた美月は、家の「隠された真実」にたどり着く鍵が、まだ家のどこかにあると感じた。彼女は加賀山と共に、再び家を調べ始める。しかし、そこには誰かが彼女たちを見守っているような、気配があった。