『奇妙な家の秘密』
町外れの古びた家。それは一見、普通の家のように見えるが、訪れる者に不安を与える不思議な建物だった。その家には、常識では考えられないような奇妙な間取りが広がっていた。

家の名前は「八角の館」と呼ばれ、誰もがその入り口に足を踏み入れることを躊躇う。長年空き家だったその館は、周囲の住民たちにも不気味な噂を巻き起こしていた。ある日、若い女性の探偵、佐藤美月がその館に招待されることになった。依頼主は館の新しいオーナー、謎めいた実業家の加賀山俊也だった。

加賀山は、美月にこう告げた。「この家には、何かがある。間取りが普通じゃない。だから、あなたにその真実を探し出してほしい」

美月はその謎に挑むことを決意し、館に足を踏み入れる。しかし、その家の間取りはまさに異常そのものだった。

階段が無限に続く
最初に気づいたのは、廊下の先に階段が現れる場所だった。その階段は、上がっても下がっても、どこか別の場所へと繋がっているように感じる。さらに不安なのは、その階段を登った先に、また別の階段が続いている点だ。

窓が見えない部屋
次に、美月は、どこにあるのか分からない窓を探して歩き続けた。外からの光を感じることはなく、部屋の中は昼夜を問わず薄暗かった。窓がどこにも見当たらないのだ。

消えるドア
館の各部屋を調べる中で、美月は不思議なことに気づく。ドアを開けて進んだ先の部屋に、どこかで見たことがあるようなものが置かれている。けれど、振り返ると、そのドアはすでに消えてしまっている。

見えない住人
美月が一人で館を歩き回っていると、どこかから声が聞こえることがある。しかし、振り向いても誰もいない。それでも、足音や声が少しずつ近づいてくるような気配だけが続く。

美月はその不気味な現象に対し、冷静さを保ちながらも、館の真実に迫ろうとする。しかし、その家には、加賀山が言うように、何か隠された過去があるようだった。美月はさらに調査を進める中で、館がかつての所有者、失踪したと言われるアーティストのものだったことを突き止める。

アーティストの名前は「柏原智也」。彼は、生前、奇妙な間取りの家を建てることに夢中だったというが、その理由は誰も知らなかった。加賀山も、彼がなぜこの家を完成させたのか、そして失踪した理由を知りたかったのだ。

館の隠された部屋、消えたドア、無限に続く階段――すべてが、柏原智也の作品だった。彼がこの館に隠したのは、ただの絵画や彫刻ではない。実は、この家自体が「アート」そのものだったのだ。

美月が最終的にたどり着いた真実は、驚くべきものだった。それは、この家に残された数々の仕掛けや謎が、柏原の生き様を象徴しているということだった。そして、館が語る秘密を解き明かすためには、彼自身の過去を知る必要があった。