「申し訳ない。」
顔を見るなり頭を下げてきた亀井戸くんに慌てふためいた。
「なんで? なんで、分かんないよ。どうして亀井戸くんが謝るの?」
「1ヶ月くらい前から山元さんと颯先輩デキてるなぁって薄々勘づいてたけどてっきり葵衣と別れてるもんだと思ってた。今日体育館に来た時なんでなのかまじで分からなくて結構驚いた。」
どうやら浮気は今に始まったことではないようだ。私は気付けなかった。対処することも出来なかった。
「じゃあ尚更謝ることないじゃん。繋ぎ止めれるだけの魅力がなかったみたい。あっちの方がいいってことだよ。」
きっと華があって愛嬌のいい子が好きなのだろう。私は毎日着飾って隣で笑っても所詮は都合のいい女だったのだから。
「毎回試合応援しに来てくれるだけでも選手としては嬉しいだろ。腹立ってきた。」
「亀井戸くんが怒るほど?」
「ちょっと待って。俺のことなんだと思ってるの。」
顔が驚きと疑問でいっぱいになる。私は何か勘違いをしているのかもしれない。
「品があって周りのことをよく見ている人。部内で1番品のあるバスケをするのは亀井戸くんでしょ?」
「はぁ!?!?」
近くにいる鳥達が声に驚き一斉に飛び立っていく。私も今日1番驚いた。
「えっ? そんなに驚くようなこと言ったかな。」
「言った! 古平さんちょっと人と感覚ズレてるかもしれない。俺に足りないものは品性と学力と冷静さだと思う。」
貴方のバスケならずっと見ていられる。先輩は大好きなのだが、いつも貴方は私の中のMVPだった。
「亀井戸くんは変なこと言うんだね。」
「生まれて初めて品があるって言われた。」
貴方は恥ずかしそうに首の後ろを掻きながら顔を赤くしていった。
「ねぇ、亀井戸くん。」
「どうした。」
「ありがとう。」
自分で放った言葉に自分で照れた。「ありがとう」の重たさと大切さを改めて理解する。
「浮気されちゃったのは悔しいし至らないところばかりで先輩には申し訳なく思うんだけど、亀井戸くんが居てくれたから今ちょっと元気になれてきた。1人だったらこの後暴飲暴食とかしてたかも。」
「古平さんさえ良ければなんだけど、一緒に復讐しない? 今は言えないんだけど俺も颯先輩にお灸を据えてやりたいところなんだ。手を貸したい。」
「颯先輩に復讐?」
「うん。俺は葵衣が居ながら浮気するような人許せない。」
不本意ながら胸がときめきそうになった。名前を呼んでもらえること、自分事のように一緒に怒ってくれること。貴方は本当に素敵な人だ。
「じゃあ手を借りたいな。」
