不平等な世界でも生きていくために

「妃奈乃(ひなの)今日の放課後暇?」
いつものメンバーでお弁当を囲っていると目の前でお弁当を食べている結未(ゆみ)に声をかけられた。
今日バスケ部は部活がないらしい。

「今日はバイトないから暇だよ」
「ほんとに!私今日部活ないから一緒に買い物行こー!!」
いつもの元気な声でそう返された。

「えーいいなー私も行きたい! なんで部活なんかあるんだよー」
そう声を漏らした花菜(はな)は可愛い顔の口をとがらせて悲しそうな顔をしている。

「まぁまたみんなで行けばいいじゃん」と凪沙(なぎさ)が花菜を慰めている。いつもの光景だ。

それぞれ所属している部活が違うから休みが違くみんなの部活が休みで4人で遊べる日は少ない。
それでも私たちはみんな仲が良くお昼も一緒に食べてみんなの部活の休みがあれば遊びに行く日々だ。


お弁当を食べ終えみんなで話していると「やーやーそこのお嬢さんたち」と暁人(あきと)くんが声をかけてきた。
みんな「変なおじさんじゃん」と笑っている。

「今日バスケ部休みだから俺ら4人と暇な人遊びに行こ」と暁人くんが声をかけてきた。

俺らというのは暁人くんと同じバスケ部の星崎頼輝(ほしざき らいき)くん、吉岡晴希(よしおか はるき)くんと水瀬結翔(みなせ ゆいと)くんの事だ。
頼輝くんは言いたいことをすぐ口出すタイプで、晴希くんは大人しいけれど周りをよく見ている、結翔くんは大人しいけれどバスケはとても上手らしい私は見た事がないけれど。

「私と妃奈乃でちょうど放課後遊びに行こうと思ってたの!
妃奈乃、暁人たちも一緒に行こ!」
「私もみんなで行きたい!いこいこ」
こうして友達の言うことを肯定しておけば友達が離れることは無いそう知っているから私はみんなで遊びに行くことを許可した。

放課後私と結未、暁人くん達で駅に向かって歩いていた。
「何しよっか」「ゲーセン」「カラオケでしょ」「ゲーセン!」などそれぞれがやりたいことをあげていた。
「妃奈乃は何したい?」
ニコニコの笑顔で結未がそう聞いてきた。
「私は」
頭をフル回転させてどこに行こうかを決めた。

「ゲーセン!」
「よし、じゃあ、ゲーセンの人が多いいからゲーセンに行こう!」
どうやら今日はみんなでゲームセンターに行くみたいだ。

お母さんに連絡しなくちゃ。
みんなと話しながらお母さんにメッセージを送る。

『今日は結未たちとゲームセンターで遊んで帰ります』
私がそう連絡をするとすぐに既読が着いた。
『そう、気をつけて。門限までには帰ってくるのよ』
『はい』

私の門限は6時だ。
今は7月だから良いけれど、冬になれば私の門限は5時になる。それに私のスマホとお母さんのスマホは連携していてGPSでどこにいるのかが分かってしまうのだ。
周りの子達と違うことは分かっているけれど親が決めたことなので私は口出しができない。
門限をもう少し遅くしてと頼んでも『妃奈乃ちゃんが心配なの』と返せれてしまうだろう。
いつまでこの生活を続ければいいのだろうか。

「全然取れないじゃん」「下手なんじゃないの」「えーひど」みんなそれぞれクレンゲームを楽しんでいる。

「妃奈乃はなにかやらないの?」
結未が聞いてきた。
私は周りを見て「これやりたい」と声を上げた。
私が欲しいと思ったのは小さめのキーチェーンが着いたうさぎのぬいぐるみだ。
ひとりがやる時はみんなが景品に視線を向けるためみんながこちらを見てきた。

「よし!妃奈乃頑張れ」とみんなが応援してくれる。
ドキドキしながらアームを動かしてボタンを押す
「やったー!」
「妃奈乃さすが」
なんと1発でとれてしまった。
私も喜んでいると制服のポケットに入ったいるスマホが振動した。

通知はメッセージアプリからだ。
『そろそろ時間だけど大丈夫?』
お母さんからのメッセージだった。
『うんそろそろ帰るよ』
『そろそろじゃなくて今出た方がいいんじゃない?電車何時のに乗れるか分からないんだから早めに出てきなさい』

わたしは咄嗟にうそを考えみんなに
「ごめん!おつかい頼まれちゃって今日の夕飯で使いたいらしいから私今日は帰るね」
「えー妃奈乃もう帰っちゃうのー」
結未が悲しそな声をして答えた
「ごめんねまたゆっくり遊ぼ」
そして名残惜しく私はその場を後にした。

頼輝くんがこちらをじっと見つめているのに気付かないふりをして。