その日から、義兄と僕の関係は少しずつ変わり始めた。心の中で「好き」という気持ちを確信してから、義兄と過ごす時間はどんどん特別なものになっていった。でも、心の中ではまだ少し不安があった。この気持ちが、本当に義兄にも届いているのだろうか?それとも、ただの一時的な感情だったのかもしれない。

そんなことを考えていたある日、放課後。学校の帰り道、いつものように義兄と並んで歩いていた。今日は、なんとなくいつもより沈黙が続いていた。義兄も何か考えている様子で、僕も口を閉ざして歩いていた。

ふと、義兄が足を止めて、僕を見つめた。その顔にはいつも見せないような真剣な表情が浮かんでいた。

「お前、最近少し元気がないみたいだな。」義兄が静かに言った。

僕は驚いて義兄の顔を見上げた。確かに、最近は少し考え込んでしまうことが多かったけれど、それを義兄が気にしてくれているなんて思わなかった。

「大丈夫だよ。」僕は軽く答えたけれど、義兄はその返事を受け流さず、しばらく黙って僕を見つめていた。

「無理するなよ。何かあったら、言え。」その言葉が、僕の心に深く響いた。義兄の優しさが、僕にとっては本当に心強かった。でも、同時に心の中で抑えきれない気持ちが膨らんでいくのを感じていた。

その瞬間、義兄が突然、深呼吸をして、目を閉じた。

「お前に伝えたいことがある。」義兄の声は、普段よりも少し低く、力強かった。

僕は思わず息を呑んだ。義兄が何を言うのか、すごく気になったけれど、同時に少し恐れもあった。もしかしたら、これから大きな変化が起こるのかもしれない、そんな予感がしたから。

義兄は少し考えるように目を閉じ、そして、やっと僕を見つめながら言った。
義兄は少し照れくさそうに、でも真剣な表情で僕を見つめた。

「・・・付き合ってくれ。」

その一言が、僕の心をさらに強く揺さぶった。もうお互いの気持ちはわかっている。でも、義兄が僕に言葉でそう伝えてくれることが、なんだかとても嬉しくて、胸がいっぱいになった。

僕はしばらく黙って義兄の顔を見つめ、そしてようやく、力強く答えた。

「うん。僕も…ずっとそう思ってた。」

義兄の表情が少し柔らかくなり、少しだけ嬉しそうに微笑んだ。その笑顔に、僕は心の奥から温かさを感じた。

「ありがとう。」義兄はそう言って、僕の手をそっと握った。その手の温もりが、何よりも安心感を与えてくれた。

「これからも、一緒にいような。」義兄が、少し恥ずかしそうに、でも優しく言った。

その言葉に、僕は自然と頷きながら、義兄の目を見つめた。

「うん、ずっと一緒に。」

その瞬間、義兄は僕を引き寄せて、少しだけ顔を近づけてきた。僕の心臓がドキドキと激しく鼓動するのを感じながら、義兄の温かい息が僕の顔に触れる。

そして、彼は静かに、でも確かに、僕の唇に優しくキスをした。

その瞬間、世界が静止したような気がした。義兄の唇の温もりが、僕の心に深く刻まれた。そして、初めてのキスを交わしたことで、僕たちの関係が本当に恋人同士になったのだと、はっきりと感じることができた。