「ウルトラマーーン!」
バカでかい声で善が叫びながら廊下を走って玄関までやってきた。
「善はいい子にしてた?」
兄の自分よりも先に和邇に抱きついて善はこちらを見おろした。
「ウルトラいい子だったよねーお母さん」
「いい子にしてたね」
かわいいアニメキャラクターのチェック柄の割烹着を着たホームの『お母さん』が出迎えにやってきた。
週一の水曜日は学校の帰りに弟の顔を見にグループホームに寄ってから帰る。
和邇は毎回付いてきた。
一時保護の施設は保護されて2週間ほどですぐにでたが、夏休み以降も親の所在が不明のために施設にいる事になり、実家はリフォームを入れて人に貸した。
あんな住みにくい場所の家を、と思ったが借りる人はいて転勤族の夫婦が2年契約ではいってくれた。
夏休みの予定には夏期講習と部活、それに善も加わった。
父の失踪は“レンくん”が覚醒剤で保釈されてすぐに再犯して捕まって、どこかの山にある工場のような場所に埋めたと言ったらしい。
曖昧な話で父はまだ見つからず、宙ぶらりんな立場のままだ。
どうも、何もかもが長期戦になろうとしている。
「似てるよね」
「俺と善?」
「うん」
「和邇とアキラさんも似てる」
「どっちがかっこいい?」
これは難問だった。
「和邇」信憑性を足すためにニコッと笑う。
「ホント?」
「かっこいい。大好き」
さらに信憑性を足す。
施設から駅までの道で和邇がもたれかかってきて、暑い中うっとおしいがガマンする。
「三厨たちと大学に行ってんだろ」
「たまにね」
「和邇がすげぇって話を玉田がしてた」
「バスケ好きだよ」
「俺は体操に戻った。受験するならあと半年だろ。バスケする最後のチャンスかもしれない。やりたいなら戻れ」
和邇は少し遠くを見て、考えているようだった。
何か理由があってやめたのだろう。
でも好きなら戻ったっていい。部屋にはまだバッシュとボールがあって、その日を待っていた。
「六郷、うちに寄る?」
朝から部活と塾を終わらせてから、和邇と合流して弟へ会いに行き、今午後6時すぎ。
「門限9時なんだ」
「わかってる」
和邇の家に行き、お母さんに挨拶してから和邇の部屋へ行く。
汗が引かないままお互い全裸で抱き合って、ぬるっと滑った。
「ローション買った」
「準備してない」
「指だけいれてもいい?」
指にゴムをしてローションを付けて挿れる。手がデカいからかなりの刺激だ。
「そこ気持ちいい」
「すげー興奮してきた。六郷、こっち見て」
「ん」
目を開けて見ると、和邇が目をギラつかせてこちらを見ていた。
「手でしてもいい?」
「もうしてる…」
「指を増やしてもっと激しくしたい」
うなずくと指が抜かれ、二本になってまた這入り、もっとずっと露骨に、動いた。まるで本番のデモンストレーションだ。
「痛くない?」
「すげーいい、むちゃくちゃいい」
下に親がいるという考えが頭から飛んでしまい、声が出る。
下を出し入れしながら胸も触られて思わず両手で胸を覆った。
「かわいい、見せて」
「見せたら舐めるだろ」
やさしく空いている手で押しのけられて、下を挿抜されながら胸の片方は舐められ、もう片方は指でされた。
次第に手の動きが速くなり、ローションでぐちゃぐちゃという音と一緒に奥まで刺激され、余裕はどんどん無くなっていった。
「和邇!もう無理!」
「痛かった?ごめん」和邇は指を抜いた。
「違う。挿れて欲しい、これをここに」
何をしてほしいか手で教えた。
「ローション付けて女の子と同じようにしていい」
見つめ合ったあと、和邇は慣れた手つきでゴムをしてからローションを塗りキスした。
「緊張する。六郷は無理ならすぐストップって言って」
ゆっくりとはいってくる。心配そうに見下ろす和邇と目が合った。
「大丈夫?」
「もっと奥まできていい」
ぐっと奥まではいる。
「泣きそうな顔してる。抜く?」
「動け」
「そろそろ門限…」
「まだ大丈夫」和邇がスマホを見て言った。
「六郷のこと思い出しただけで勃ちそう。からだも最高で、わけわかんねーくらいすげー好き」
「ありがと」
「六郷の一番目は俺」
「そうだな。始めて付き合ったのが和邇」
「最後も俺」
「そうだといい」
抱き合ってキスする。これが幸せって事なのかもしれなかった。
幸せが僕の背中を押して、和邇に聞きたかった事が口をついて出た。
「和邇はどこで見たの」
「何を?」
「善の母親。プールで見たのは善の母親だと思うって言っただろ」
「階段の上」
「階段の上?」
「プールで六郷にしがみついてた女が階段を駆け上がって来るのが見えて、俺が落とした」
ざわざわと辺りから声がする気がした。
「和邇が殺したのか」
「そう」ためらわず認めた。
「なんでそんなところにいたんだ」
「商店街じゃないところにゴムを買いに行った」
「防犯カメラには」
映っていたらとっくに捕まっているはずだ。善の母親の死は事故で話はついていたはずだった。
「物理的に押したわけじゃない。彼女の後ろにはもう大穴があったんだ。だから『みんな』に獲物の居場所を知らせた。初めてそんな事を思った」
「どうなった」
「災が穴から出てきて、ほんの一瞬で終わったよ」
「俺のためにやったのか」
「うん」
「ごめんな。そんな事をさせたくなかった」
「きっともうやらない。でも後悔はしてない」
「ごめん、ごめん。おれのせいだ」
「六郷、ずっと一緒にいよう。六郷といると、いい人間でいたいと思える。俺はきっと『みんな』寄りなんだ。アキラとは違う」
「わかった。和邇とずっと一緒だ」
和邇は笑って、裸で抱きついて来た。
バカでかい声で善が叫びながら廊下を走って玄関までやってきた。
「善はいい子にしてた?」
兄の自分よりも先に和邇に抱きついて善はこちらを見おろした。
「ウルトラいい子だったよねーお母さん」
「いい子にしてたね」
かわいいアニメキャラクターのチェック柄の割烹着を着たホームの『お母さん』が出迎えにやってきた。
週一の水曜日は学校の帰りに弟の顔を見にグループホームに寄ってから帰る。
和邇は毎回付いてきた。
一時保護の施設は保護されて2週間ほどですぐにでたが、夏休み以降も親の所在が不明のために施設にいる事になり、実家はリフォームを入れて人に貸した。
あんな住みにくい場所の家を、と思ったが借りる人はいて転勤族の夫婦が2年契約ではいってくれた。
夏休みの予定には夏期講習と部活、それに善も加わった。
父の失踪は“レンくん”が覚醒剤で保釈されてすぐに再犯して捕まって、どこかの山にある工場のような場所に埋めたと言ったらしい。
曖昧な話で父はまだ見つからず、宙ぶらりんな立場のままだ。
どうも、何もかもが長期戦になろうとしている。
「似てるよね」
「俺と善?」
「うん」
「和邇とアキラさんも似てる」
「どっちがかっこいい?」
これは難問だった。
「和邇」信憑性を足すためにニコッと笑う。
「ホント?」
「かっこいい。大好き」
さらに信憑性を足す。
施設から駅までの道で和邇がもたれかかってきて、暑い中うっとおしいがガマンする。
「三厨たちと大学に行ってんだろ」
「たまにね」
「和邇がすげぇって話を玉田がしてた」
「バスケ好きだよ」
「俺は体操に戻った。受験するならあと半年だろ。バスケする最後のチャンスかもしれない。やりたいなら戻れ」
和邇は少し遠くを見て、考えているようだった。
何か理由があってやめたのだろう。
でも好きなら戻ったっていい。部屋にはまだバッシュとボールがあって、その日を待っていた。
「六郷、うちに寄る?」
朝から部活と塾を終わらせてから、和邇と合流して弟へ会いに行き、今午後6時すぎ。
「門限9時なんだ」
「わかってる」
和邇の家に行き、お母さんに挨拶してから和邇の部屋へ行く。
汗が引かないままお互い全裸で抱き合って、ぬるっと滑った。
「ローション買った」
「準備してない」
「指だけいれてもいい?」
指にゴムをしてローションを付けて挿れる。手がデカいからかなりの刺激だ。
「そこ気持ちいい」
「すげー興奮してきた。六郷、こっち見て」
「ん」
目を開けて見ると、和邇が目をギラつかせてこちらを見ていた。
「手でしてもいい?」
「もうしてる…」
「指を増やしてもっと激しくしたい」
うなずくと指が抜かれ、二本になってまた這入り、もっとずっと露骨に、動いた。まるで本番のデモンストレーションだ。
「痛くない?」
「すげーいい、むちゃくちゃいい」
下に親がいるという考えが頭から飛んでしまい、声が出る。
下を出し入れしながら胸も触られて思わず両手で胸を覆った。
「かわいい、見せて」
「見せたら舐めるだろ」
やさしく空いている手で押しのけられて、下を挿抜されながら胸の片方は舐められ、もう片方は指でされた。
次第に手の動きが速くなり、ローションでぐちゃぐちゃという音と一緒に奥まで刺激され、余裕はどんどん無くなっていった。
「和邇!もう無理!」
「痛かった?ごめん」和邇は指を抜いた。
「違う。挿れて欲しい、これをここに」
何をしてほしいか手で教えた。
「ローション付けて女の子と同じようにしていい」
見つめ合ったあと、和邇は慣れた手つきでゴムをしてからローションを塗りキスした。
「緊張する。六郷は無理ならすぐストップって言って」
ゆっくりとはいってくる。心配そうに見下ろす和邇と目が合った。
「大丈夫?」
「もっと奥まできていい」
ぐっと奥まではいる。
「泣きそうな顔してる。抜く?」
「動け」
「そろそろ門限…」
「まだ大丈夫」和邇がスマホを見て言った。
「六郷のこと思い出しただけで勃ちそう。からだも最高で、わけわかんねーくらいすげー好き」
「ありがと」
「六郷の一番目は俺」
「そうだな。始めて付き合ったのが和邇」
「最後も俺」
「そうだといい」
抱き合ってキスする。これが幸せって事なのかもしれなかった。
幸せが僕の背中を押して、和邇に聞きたかった事が口をついて出た。
「和邇はどこで見たの」
「何を?」
「善の母親。プールで見たのは善の母親だと思うって言っただろ」
「階段の上」
「階段の上?」
「プールで六郷にしがみついてた女が階段を駆け上がって来るのが見えて、俺が落とした」
ざわざわと辺りから声がする気がした。
「和邇が殺したのか」
「そう」ためらわず認めた。
「なんでそんなところにいたんだ」
「商店街じゃないところにゴムを買いに行った」
「防犯カメラには」
映っていたらとっくに捕まっているはずだ。善の母親の死は事故で話はついていたはずだった。
「物理的に押したわけじゃない。彼女の後ろにはもう大穴があったんだ。だから『みんな』に獲物の居場所を知らせた。初めてそんな事を思った」
「どうなった」
「災が穴から出てきて、ほんの一瞬で終わったよ」
「俺のためにやったのか」
「うん」
「ごめんな。そんな事をさせたくなかった」
「きっともうやらない。でも後悔はしてない」
「ごめん、ごめん。おれのせいだ」
「六郷、ずっと一緒にいよう。六郷といると、いい人間でいたいと思える。俺はきっと『みんな』寄りなんだ。アキラとは違う」
「わかった。和邇とずっと一緒だ」
和邇は笑って、裸で抱きついて来た。



