「はやっ、毎回リツの方が早いよね」
 夜の旧校舎に入り浸るようなって数日がたった。セイについてわかったことは、二つある。一つは、最初にあったときの笑顔は見なくなった代わりに、胡散臭い笑顔が増えた。
「あー、今日も疲れた」
 そう言って、肩に頭を乗っける。これだ。セイは、距離感がおかしい。
「重い・・・」
 セイの頭をグイグイ押すけど、一向にどける気配がない。はー、とため息を吐いてしまう。