いつどこで、壊れてもおかしくなかった。生徒会の子が不登校になった時も、不登校になったわけじゃないと自分に言い聞かせて、なんとか立っていた。
なんのために勉強しているんだろうと、思う時がある。親にしろと言われたから?期限があるから?進学のため?就職のため?どれをとってもピンとこなくて、たまに叫び出したくなる。このモヤモヤを吐き出したくてしょうがなくて、誰もいない山の中に行って、目一杯、声を張り上げたい。
ふっ、と気を抜くと、学校に行かなくなってしまいそうで怖かった。何もしなくなりそうで、自分が自分じゃなくなってしまいそうで怖かった。
友達と遊んでいる時は、楽しいけど、どこかで気を遣っているみたいで、帰った後は猛烈に疲れた。仲のいい友達なのに、気を遣わずにいたいのに、勝手に心が壁を作る。
本音で話すと涙が出てくるし、怒っても涙が出てくる。自分で自分がわからない時があるのが1番怖い。
それなのに、1人になるのがどうしようもなく、嫌だった。世界に存在しなくてもいい人になりたくなくて、必死だった。
***
黄色味がかった、昼と夜の狭間の空が好き。こういう時間を逢魔が時と言うんだったか。日によって、桃色や橙色、黄色に茜色、群青色とかの割合が変わって、まるで人の心のようだと、私は思う。この空と時間を独り占めしている感じが好き。放課後になったら、いつも空が広く見える、この屋上にくる。うちの学校は別に屋上を禁止にしているわけじゃない。けれど、野ざらしになっている屋上にわざわざ来る人はいない。だから、息苦しい人混みの中から解放されて、気持ちが少しだけ軽くなる。
「あれは、だいぶこたえたな」
自分で言ってしまうのも違うけれど、普段先生にも信頼されてて、怒られることのない私が部長に怒られてしまった。
部活が嫌すぎて、自分でも辞めればいいのにと思いながら続けている吹奏楽。音楽は好きだけれど、日々の練習とか、人間関係とか、何より、勉強と両立させるのでいっぱいいっぱいで、とてつもなく疲れ果てている。なんだかんだで3年目になってしまった。部室に行くと、練習をしなきゃ行けないから、ちょくちょく、同じ部活でクラスメイトの子たちと、教室で駄弁ってる。今日はたまたま反省会の日で、3時からだったのに、遅刻して、怒られた。とても長いため息をつく。人前で泣かないようにしていたから、気が抜けて涙が出てくる。怒られて凹んでる気持ちと、悔しい気持ちと、イラつきで、胸が苦しい。今年の目標が夏コンの金賞ということになったから、モチベーションのある子はとっても練習に励んでいる。だけど、ゆるくやっている人との温度差で、最近、部員たちがギスギスしている気がする。たしかに、金賞が取れたら嬉しいし、心置きなく高校受験に挑めるけど、そのせいで、逆に重荷になっている気もする。
家に帰っても勉強しろ、塾だ、塾の宿題だ、定期テストだ、宿題だってなって心休まらないけど、人間関係はもっと疲れる。私の周りは良い人ばかりだ、と思っていたけど、歳を重ねるにつれてたしかに、人間関係の複雑さがわかってくる。歳を重ねると言っても、まだ、15年しか経っていないけど。今年の4月、よし、最高学年だ、最後の定期演奏会までがんばろうと意気込んでいた矢先、あの、「地域クラブ化」という話が上がってきたのはショックだった。昨今の先生たちの負担軽減計画の一つとして、部活動のクラブ化が進められている。その先駆けとして、私達の学校とあと2校でクラブ化が行われることになった。幸いなことに、私達3年生は受験が終わったあと1ヶ月のみのクラブとしての活動だけれど、今の2年生がかわいそうでならない。
とても人ごとで申し訳ないが、来年の代の子たちから、受験の方式も今までと異なっている。最初から地域クラブ化の話を聞いて入ってきた子たちはまだ良いとして、今の2年生が1番大変そうだなと感じる。
夕暮れどき、5時のチャイムが鳴り響く。
「帰らなきゃ」
重い腰を上げて帰り支度をする。
やらなきゃいけないことが山積みの中3には、青春なんて物はない。また、同じ日常に戻らなくてはいけないなんて。
ー生きている意味ってなに。
なんのために勉強しているんだろうと、思う時がある。親にしろと言われたから?期限があるから?進学のため?就職のため?どれをとってもピンとこなくて、たまに叫び出したくなる。このモヤモヤを吐き出したくてしょうがなくて、誰もいない山の中に行って、目一杯、声を張り上げたい。
ふっ、と気を抜くと、学校に行かなくなってしまいそうで怖かった。何もしなくなりそうで、自分が自分じゃなくなってしまいそうで怖かった。
友達と遊んでいる時は、楽しいけど、どこかで気を遣っているみたいで、帰った後は猛烈に疲れた。仲のいい友達なのに、気を遣わずにいたいのに、勝手に心が壁を作る。
本音で話すと涙が出てくるし、怒っても涙が出てくる。自分で自分がわからない時があるのが1番怖い。
それなのに、1人になるのがどうしようもなく、嫌だった。世界に存在しなくてもいい人になりたくなくて、必死だった。
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黄色味がかった、昼と夜の狭間の空が好き。こういう時間を逢魔が時と言うんだったか。日によって、桃色や橙色、黄色に茜色、群青色とかの割合が変わって、まるで人の心のようだと、私は思う。この空と時間を独り占めしている感じが好き。放課後になったら、いつも空が広く見える、この屋上にくる。うちの学校は別に屋上を禁止にしているわけじゃない。けれど、野ざらしになっている屋上にわざわざ来る人はいない。だから、息苦しい人混みの中から解放されて、気持ちが少しだけ軽くなる。
「あれは、だいぶこたえたな」
自分で言ってしまうのも違うけれど、普段先生にも信頼されてて、怒られることのない私が部長に怒られてしまった。
部活が嫌すぎて、自分でも辞めればいいのにと思いながら続けている吹奏楽。音楽は好きだけれど、日々の練習とか、人間関係とか、何より、勉強と両立させるのでいっぱいいっぱいで、とてつもなく疲れ果てている。なんだかんだで3年目になってしまった。部室に行くと、練習をしなきゃ行けないから、ちょくちょく、同じ部活でクラスメイトの子たちと、教室で駄弁ってる。今日はたまたま反省会の日で、3時からだったのに、遅刻して、怒られた。とても長いため息をつく。人前で泣かないようにしていたから、気が抜けて涙が出てくる。怒られて凹んでる気持ちと、悔しい気持ちと、イラつきで、胸が苦しい。今年の目標が夏コンの金賞ということになったから、モチベーションのある子はとっても練習に励んでいる。だけど、ゆるくやっている人との温度差で、最近、部員たちがギスギスしている気がする。たしかに、金賞が取れたら嬉しいし、心置きなく高校受験に挑めるけど、そのせいで、逆に重荷になっている気もする。
家に帰っても勉強しろ、塾だ、塾の宿題だ、定期テストだ、宿題だってなって心休まらないけど、人間関係はもっと疲れる。私の周りは良い人ばかりだ、と思っていたけど、歳を重ねるにつれてたしかに、人間関係の複雑さがわかってくる。歳を重ねると言っても、まだ、15年しか経っていないけど。今年の4月、よし、最高学年だ、最後の定期演奏会までがんばろうと意気込んでいた矢先、あの、「地域クラブ化」という話が上がってきたのはショックだった。昨今の先生たちの負担軽減計画の一つとして、部活動のクラブ化が進められている。その先駆けとして、私達の学校とあと2校でクラブ化が行われることになった。幸いなことに、私達3年生は受験が終わったあと1ヶ月のみのクラブとしての活動だけれど、今の2年生がかわいそうでならない。
とても人ごとで申し訳ないが、来年の代の子たちから、受験の方式も今までと異なっている。最初から地域クラブ化の話を聞いて入ってきた子たちはまだ良いとして、今の2年生が1番大変そうだなと感じる。
夕暮れどき、5時のチャイムが鳴り響く。
「帰らなきゃ」
重い腰を上げて帰り支度をする。
やらなきゃいけないことが山積みの中3には、青春なんて物はない。また、同じ日常に戻らなくてはいけないなんて。
ー生きている意味ってなに。


