とある火曜日のジャーナル ~城咲~

 ちょっとまずかったのかもしれない。
 別に何をしたか分からないんだけど、多分まずかったのかもしれない。
 私、何かしちゃったんだと思う。
 私っていうか、私達?あの時佐久間もいたから。
 でも佐久間は別に何もしてなかったし、考えられるとしたら、やっぱり私のせいって可能性の方が高いよなーって。
 あれかな? 私が面倒臭い家庭事情なんかを話したせい?
 今日たまたま一緒になったんだけど、きたみー帰り際に機嫌が悪かった。
 基本的にいつも怒りっぽいんだけど、今日みたいなきたみ―は初めて見たからちょっと今も何だかなあ、って感じ。
 よく分からないけど、とりあえず明日また声かけてみようと思う。
 何も分からないまま悶々とするなんて性に合わないし、スッキリしない。
 きたみ―は同じ生徒会の仲間だし、同じ会計担当だし。
 変にこじれたくないし、上手くやって行きたい。
 でもなあ、私もう既にきたみ―の地雷、初対面の時踏んでるからなー。
 私、初めてきたみ―の事生徒会メンバーとして紹介された時。
『北御門君ねー、知ってるよ、いつも一年で成績トップの人! あのさーあれさ、下の名前! ずっと気になってたんだけど。あれ、何て読むの?』
『”ぺるせうす”です』
『……は? え? いやあの、名前なんだけど』
『だからぺるせうす、です』
 ――暫く時が止まったよねー、あの時。
『え? あれ、”ぺるせうす”って読むの?』
 地雷踏みぬいてるのに気づかないで、私、思いっきり確認した。
『だからそうです』
『……ガチで? ぺるせうす? 本名? きたみかど、ぺるせうす?』
『だからそうだって言ってるじゃないですか』
 むっと眉を寄せたきたみ―が可愛くて、面白くて。
『ぺ、ぺるっ……ぺるせうす!! ぺるせうす!! 何それマジでウケるんだけど!! ぺるせうすって!!』
 私、大笑いしてしまったんだよね。
 という訳で、私の心象は最悪だったと思う。
 でもきたみーは許してくれて、こうやって今も一緒に会計の仕事してくれてる。
 うん、やっぱりきたみーは優しいやつだと思う。
 やっぱり明日また話してみよう。うん。