次の日、生徒会の仕事で早めに学校に登校した。
一旦荷物を置きに行こうと教室に寄ると、柳川くんがもう登校していた。
彼は相変わらず、ヘッドホンをつけて本を読んでいる。
昨日買った本かな。そう思いながら自分の机に荷物を置いて、そっと教室を出て生徒会室に戻った。
自分の生徒会の仕事は、朝に自分にしかできない雑務をこなして、放課後にみんなに助けてもらえる仕事をやるのが一日のルーティーンになっている。
これもルーティーンだが手を動かしていても、頭の中でいつも考えていることは授業の内容や歌のことだった。今日は英語の小テストだったな。あとで復習しなきゃ。そういえば、何曲か好きな歌い手の歌みた出てたから、帰ったら聞こう。いつも通りの考え事の中にふと思い浮かんだのは柳川くんだ。さっき、彼が読んでいた本が気になるから?昨日、本屋で見ていた本のどれかなのか。多分、それだけじゃない。普段、誰とも関わらない彼の世界をつくっている、あのヘッドホンにはいつもどんな音楽が流れているのか。なにが彼の世界を造っているのか。その疑問が気づいたら頭から離れなくなってしまった。
彼と話すことが、この疑問を問いかけることできたら、答えてくれるのだろうか。もしかしたらなんて、考えてもしょうがないのに。自問自答で結論をだして、残っている作業を進めた。
思ったより、作業が詰まってしまい、始業の予鈴ギリギリに教室に滑り込んだ。
「真菜、おはよー」
「由衣ちゃんおはよ」
挨拶してきたのは、日野由衣ちゃん。中学の頃からの親友だ。
「今日遅かったね。真菜もついに寝坊した?」
「ううん。いつも通り生徒会の仕事してた」
「冗談冗談。下駄箱に靴あったから知ってる。真菜の日課だし、一年の頃から生徒会やってるもんね」
「まあね。今日は考え事してたら、作業進まなくって」
「真菜が考え事って珍しいね。何考えてたの?」
私はちらっと柳川くんを見る。いつも通り、音楽を聴きながら本を読んでいる。本人には聞こえないとは思うけど、さすがにここじゃ話せない。
「またお昼に話すよ。聞いてくれる?」
「いいけど、生徒会の仕事大丈夫なの?」
「朝頑張ったから、大丈夫。それに由衣ちゃんにしか話せないかも」
「おっけい。大事な話なんだね。親友の私が聞いてあげよう」
「ありがと」
そして昼休み、由衣ちゃんとお弁当を持って屋上へ。ここは人があまり来ないから、穴場スポットなのだ。
「さて、真菜の考え事は何なの?」
「えっとね、柳川くんが気になってるの」
「あの普段、誰も寄せ付けない柳川?!」
「うん」
案の定、由衣ちゃんは驚いていたけれど、それ以上に予想外だったの質問が飛んできた。
「真菜は柳川のどこが好きなの?」
「えっ?!」
「だから、真菜は柳川のどこが好きなの?」
「違うって。気になるっていうのは、柳川くんって普段音楽聞いてたり、本読んでたりしてるじゃん。どんなのすきなのかなぁ、って思っただけだよ」
すると、由衣ちゃんがため息をつく。やっぱり困らせちゃったかな。
「ごめんね。こんな相談」
「ううん。思ってたのと違う答え返ってきたから、拍子抜けただけ。でも、あの頃から抜け出すいいきっかけになるんじゃない?それで真菜はどうしたいの?」
「ちゃんと話してみたい」
「でも、中学の時みたいになったらどうしようかって考えてた?」
「あはは。もう、四年も前の話で、周りのみんなも同じ人じゃないのはわかってるのに怖いんだ」
「その強がりで生徒会に入って周りの人には優等生演じてるからでしょ。私とはちゃんと話せてるのに」
由衣ちゃんのいう通りだった。四年前のあの事はきっかけに過ぎなくて、あの頃から家も学校も自分の将来も全部の時間を自分で止めてしまっている。
自分は誰にも理解されないと思い込んで壁を作って自分を守っているだけの日々だ。
「真菜が話してみたいなら、話してみなよ。一年のとき、生徒会で一緒だったんなら安心じゃない?」
そうかもだけど、生徒会だったからといって、みんな仲が良いわけじゃない。相談乗ってくれてる人にそんなことは言えない。
「多分、他の人みたいに軽く流される気がするけど」
「真菜」
由衣ちゃんの声が真剣なものに変わる。
「だから、それがだめなんだって。素直に誰かと関わること、前向きになれたら、世界の見え方も絶対変わるよ」
自分のためを思ってくれている親友の言葉を私はただ受け取ることしかできなかった。
「うん、ありがとう」
ほんの少し流れた静寂の間を休み時間の終わりを告げる予鈴が通り過ぎてく。
「戻ろうか。また何かあったら、いつでも話聞くから。とにかく、真菜は悩み事とか考え事、ため込んじゃだめだからね」
由衣ちゃんだけじゃない。この歪で自己満足な思いはお兄ちゃんにも見透かされてるんだろうな。
一旦荷物を置きに行こうと教室に寄ると、柳川くんがもう登校していた。
彼は相変わらず、ヘッドホンをつけて本を読んでいる。
昨日買った本かな。そう思いながら自分の机に荷物を置いて、そっと教室を出て生徒会室に戻った。
自分の生徒会の仕事は、朝に自分にしかできない雑務をこなして、放課後にみんなに助けてもらえる仕事をやるのが一日のルーティーンになっている。
これもルーティーンだが手を動かしていても、頭の中でいつも考えていることは授業の内容や歌のことだった。今日は英語の小テストだったな。あとで復習しなきゃ。そういえば、何曲か好きな歌い手の歌みた出てたから、帰ったら聞こう。いつも通りの考え事の中にふと思い浮かんだのは柳川くんだ。さっき、彼が読んでいた本が気になるから?昨日、本屋で見ていた本のどれかなのか。多分、それだけじゃない。普段、誰とも関わらない彼の世界をつくっている、あのヘッドホンにはいつもどんな音楽が流れているのか。なにが彼の世界を造っているのか。その疑問が気づいたら頭から離れなくなってしまった。
彼と話すことが、この疑問を問いかけることできたら、答えてくれるのだろうか。もしかしたらなんて、考えてもしょうがないのに。自問自答で結論をだして、残っている作業を進めた。
思ったより、作業が詰まってしまい、始業の予鈴ギリギリに教室に滑り込んだ。
「真菜、おはよー」
「由衣ちゃんおはよ」
挨拶してきたのは、日野由衣ちゃん。中学の頃からの親友だ。
「今日遅かったね。真菜もついに寝坊した?」
「ううん。いつも通り生徒会の仕事してた」
「冗談冗談。下駄箱に靴あったから知ってる。真菜の日課だし、一年の頃から生徒会やってるもんね」
「まあね。今日は考え事してたら、作業進まなくって」
「真菜が考え事って珍しいね。何考えてたの?」
私はちらっと柳川くんを見る。いつも通り、音楽を聴きながら本を読んでいる。本人には聞こえないとは思うけど、さすがにここじゃ話せない。
「またお昼に話すよ。聞いてくれる?」
「いいけど、生徒会の仕事大丈夫なの?」
「朝頑張ったから、大丈夫。それに由衣ちゃんにしか話せないかも」
「おっけい。大事な話なんだね。親友の私が聞いてあげよう」
「ありがと」
そして昼休み、由衣ちゃんとお弁当を持って屋上へ。ここは人があまり来ないから、穴場スポットなのだ。
「さて、真菜の考え事は何なの?」
「えっとね、柳川くんが気になってるの」
「あの普段、誰も寄せ付けない柳川?!」
「うん」
案の定、由衣ちゃんは驚いていたけれど、それ以上に予想外だったの質問が飛んできた。
「真菜は柳川のどこが好きなの?」
「えっ?!」
「だから、真菜は柳川のどこが好きなの?」
「違うって。気になるっていうのは、柳川くんって普段音楽聞いてたり、本読んでたりしてるじゃん。どんなのすきなのかなぁ、って思っただけだよ」
すると、由衣ちゃんがため息をつく。やっぱり困らせちゃったかな。
「ごめんね。こんな相談」
「ううん。思ってたのと違う答え返ってきたから、拍子抜けただけ。でも、あの頃から抜け出すいいきっかけになるんじゃない?それで真菜はどうしたいの?」
「ちゃんと話してみたい」
「でも、中学の時みたいになったらどうしようかって考えてた?」
「あはは。もう、四年も前の話で、周りのみんなも同じ人じゃないのはわかってるのに怖いんだ」
「その強がりで生徒会に入って周りの人には優等生演じてるからでしょ。私とはちゃんと話せてるのに」
由衣ちゃんのいう通りだった。四年前のあの事はきっかけに過ぎなくて、あの頃から家も学校も自分の将来も全部の時間を自分で止めてしまっている。
自分は誰にも理解されないと思い込んで壁を作って自分を守っているだけの日々だ。
「真菜が話してみたいなら、話してみなよ。一年のとき、生徒会で一緒だったんなら安心じゃない?」
そうかもだけど、生徒会だったからといって、みんな仲が良いわけじゃない。相談乗ってくれてる人にそんなことは言えない。
「多分、他の人みたいに軽く流される気がするけど」
「真菜」
由衣ちゃんの声が真剣なものに変わる。
「だから、それがだめなんだって。素直に誰かと関わること、前向きになれたら、世界の見え方も絶対変わるよ」
自分のためを思ってくれている親友の言葉を私はただ受け取ることしかできなかった。
「うん、ありがとう」
ほんの少し流れた静寂の間を休み時間の終わりを告げる予鈴が通り過ぎてく。
「戻ろうか。また何かあったら、いつでも話聞くから。とにかく、真菜は悩み事とか考え事、ため込んじゃだめだからね」
由衣ちゃんだけじゃない。この歪で自己満足な思いはお兄ちゃんにも見透かされてるんだろうな。



