頭がくらくらする。
 さっきからずっとその状態が続いていて、おさまる気配はない。

 こんなのは久しぶりで、それだからか余計にきつかった。

 家に帰ると、まだ誰も帰ってきていなかった。
 
 部屋に入って荷物をおろし、ベッドに横になる。
 それだけでずいぶんラクになった気がした。

 今日は勉強もする気になれなくて、わたしは布団を頭からかぶって目をつぶった。



 

「昴、大丈夫?」

 何時間経ったのだろうか。お姉ちゃんの声で現実に引き戻された。
 ドアがほんの少しだけ開かれて、お姉ちゃんがひょこっと顔を出していた。

「風邪ひいた? まあ、もう少し寝てな?」

 冷たいお茶を持ってきてくれて、わたしの勉強机に置いて戻ったお姉ちゃん。
 わたしはありがとうと口を開こうとしたけれど、頭痛でそれどころじゃなかった。

 気が付いたときにはあっという間に夜になって、お母さんの怒ったような顔がわたしの視界に映っていた。

「寝不足よ、きっと。最近スマホばっかり見ていたんじゃないでしょうね。今日はしっかり早く寝なさいよ。ご飯になるからそろそろ降りてきなさい」

 違うよ、スマホなんて最近開いてないよ。
 夜更かししようと思って夜更かししてるんじゃないよ。早く寝たいのに勉強が追い付かないの。

「食欲ないから、いい」

 聞こえていたのかはわからないけれど、わたしはそれからまた深い眠りについた。