「おかえり、昴」
「ただいま」
家に帰るとお姉ちゃんの声がした。てっきり今日は、お姉ちゃんもお母さんもお父さんも、この時間には家にいないと思っていた。
そうか、お姉ちゃんのバイトは今日お休みだっけ。
リビングでドラマを見ていたお姉ちゃんを横目で見て、わたしは二階に行く。
お姉ちゃんが、自由で羨ましかった。
「疲れたー……」
カギのしまった部屋に入ると、ほっと安心感に包まれる。
それと同時に倦怠感が身にまとう。
今日は何もしたくない。でもテストがあるんだっけ。
勉強しなきゃ。やりたくないけど、テストで低い点を取るよりはマシだ。
一時間でも勉強したら、あとはゆっくり休もう。
そう、思っていたのに。
「昂ー、おつかい頼まれてくれない? 今日お母さんもお父さんもお仕事大変みたい。そこのスーパーでいいからさ。えーっと……」
一時間経って読書を始めて10分後。
お姉ちゃんのそんな声で、本の世界から現実に引き戻された。
ふー……と、心を落ち着ける。
お姉ちゃんのためだ。家族のためだ。
わたしが、こんな本を読んでのんびりしている場合じゃない。
上着を手にとって、わたしを呼んでいるお姉ちゃんの元へと、階段を下りた。
「えっとね、片栗粉をちょうど切らしちゃったって……」
メモをかきながら、ごめんねえ、とわたしに謝るお姉ちゃん。
「はい、いつも昴に任せちゃってごめんね」
買い物リストが書かれたメモと一緒に、5,000円札が渡される。右手でそれを受け取って、小さなお財布に入れた。
お姉ちゃんは自分のバッグからお財布を出して、さらに追加でわたしの左手に1,000円札を握らせる。
わたしは突然のことに戸惑っていると、「これで昴の好きなもの買ってきなよ。ナイショだよ?」と目を細めて笑った。
「ただいま」
家に帰るとお姉ちゃんの声がした。てっきり今日は、お姉ちゃんもお母さんもお父さんも、この時間には家にいないと思っていた。
そうか、お姉ちゃんのバイトは今日お休みだっけ。
リビングでドラマを見ていたお姉ちゃんを横目で見て、わたしは二階に行く。
お姉ちゃんが、自由で羨ましかった。
「疲れたー……」
カギのしまった部屋に入ると、ほっと安心感に包まれる。
それと同時に倦怠感が身にまとう。
今日は何もしたくない。でもテストがあるんだっけ。
勉強しなきゃ。やりたくないけど、テストで低い点を取るよりはマシだ。
一時間でも勉強したら、あとはゆっくり休もう。
そう、思っていたのに。
「昂ー、おつかい頼まれてくれない? 今日お母さんもお父さんもお仕事大変みたい。そこのスーパーでいいからさ。えーっと……」
一時間経って読書を始めて10分後。
お姉ちゃんのそんな声で、本の世界から現実に引き戻された。
ふー……と、心を落ち着ける。
お姉ちゃんのためだ。家族のためだ。
わたしが、こんな本を読んでのんびりしている場合じゃない。
上着を手にとって、わたしを呼んでいるお姉ちゃんの元へと、階段を下りた。
「えっとね、片栗粉をちょうど切らしちゃったって……」
メモをかきながら、ごめんねえ、とわたしに謝るお姉ちゃん。
「はい、いつも昴に任せちゃってごめんね」
買い物リストが書かれたメモと一緒に、5,000円札が渡される。右手でそれを受け取って、小さなお財布に入れた。
お姉ちゃんは自分のバッグからお財布を出して、さらに追加でわたしの左手に1,000円札を握らせる。
わたしは突然のことに戸惑っていると、「これで昴の好きなもの買ってきなよ。ナイショだよ?」と目を細めて笑った。
