緑を食む


 帰りのホームルームが終わる頃には、私はぐったりとしていた。最近はこういう日が多い。
 今日はお昼をみんなと一緒に食べた。マラソン大会の実行委員会にも手を上げた。緊張して疲れているが、充実感もある。
 昨日も緊張したからなあ。二日連続頑張るとけっこうきついなあ。
 昨日は別の女子のグループにお昼を一緒に食べていいか聞いたのだ。答えはなかった。
 無視されてしまったので、それ以上他のグループに声をかける勇気が出なくて昨日はいつもどおり一人で食べた。今日は勇気が出て良かった。
 私は気分良く帰り支度をしていた。そこに担任の先生に声をかけられた。
「相原。悪いけど今井んとこにこのプリント届けてくれないか」
 手渡されたプリントを見ると、昨日締め切りだった進路希望調査の用紙だった。
「今日早退しちゃったから声かけられなかったけど、遅くとも明日には持ってきて欲しいんだよな」
「わかりました」
「悪いな、男子の学級委員長が今日インフルエンザで休んでるだろ。今井んち、ちょうど相原の帰り道だし」
 そう言って先生は今井くんの家の地図を書いてくれた。あそこのおうちだったのかと一発でわかったので、私はどんと請け負った。
 帰り道をてくてく歩きながら、今井くんのストレスは進路のことかなあと考えた。だから、なかなか進路希望調査を出せなかったのかもしれない。
 人には端から見たらわからない悩みやストレスがあるんだろうな。
 そんなことを考えながら、夕闇が迫ってきた交差点を渡った。