数日経った頃、担任の先生との面談が始まった。先日提出した進路希望調査の内容を元にした簡単な確認面談だ。一日五人ずつ、放課後に先生と五分くらい話をする。
私は「あいはら」なので一番。次は「いまい」で今井くんだ。
私の面談はすぐに終わった。私は特に将来なりたいものなどはなかったが大学には行きたかったので、大好きな生物が学べる学部がある大学をいくつかピックアップしていた。
私が帰り支度をしていると、私の次に面談に行った今井くんがもう戻ってきた。
「早かったね」
私は驚いて思わず声をかけた。今井くんは不思議そうに首を傾げた。
「え? 普通じゃね?」
言われてみればそうだ。私と同じくらいだった。でも今井くんの面談は時間がかかるものだと勝手に思い込んでいた。
なぜだろう、と首を傾げそうになってすぐに思い当たった。
「ん、と。進路希望調査の紙出してなかったし、その頃『旅人』が夢に出てきたって言ってたし」
その瞬間、今井くんが目を見開いた。
しまった! 私は焦った。
今井くんは進路に悩んでストレスがたまっているに違いないと、勝手に思い込んでいた、そしてそれを本人に伝えてしまった。
当たっていても外れていても不快だろう。
私は手が震えてきた。
どうしよう、せっかく今井くんと少し仲良くなれたのに。
足も震えてきた。このまま震えがひどくなればもう逃げられなくなる。足が動くうちに。
「ちょ、待てよ!」
今井くんは焦ったように呼び止めたが、私はもう教室を飛び出していた。


