寮生の昼は学食だ。
寮生用のチケットがあり、日替わりランチと丼と麺から選べる。
「丼をお願いします」
食堂のスタッフからどんぶりを受け取る。
「匡希なに食ってんの」
「海南チキン丼」
「なんだそれ」
「わかんねーけど美味い」
学食で買った500ccの牛乳を飲む。
いつもバスケ部1年のチームメイトと昼を食べることにしている。
部活後に寮まで急いで帰らねばならず、貴重な交流時間だ。
「スタミナついたか」
同じくスタミナが課題の1年の馬場に聞く。
「なかなか難しいよな。体力つく前に痩せてきた」
「わかる。俺も減ってきたから牛乳飲んでる」
「匡希はけっこう筋肉ついてきたじゃん」
「寝る前に筋トレしてるんだ」
「時間が足りねえ。俺も寮に住もうかな」
「馬場は通学時間どれくらい」
「往復…トータル2時間」
「2時間何してんの」
「寝てる」
「だよな。昼に学校のジムに行くか」
そうと決まればさっさと食堂から出て、5分後にはジャージ片手にジムにいた。
「女の子がいる」馬場が言った。
昼休みのジムは3年生のお姉さんっぽい女子だらけで、かわいい話し声といい匂いがして、馬場が恥ずかしがって無理だった。
仕方なく明日は体育館の片隅で筋トレをやろう、となる。
その日の部活の最後、試合形式の練習の前に体育館の入口に十王寺がいるのに気がついた。
水泳部の部活後なのだろう、首にタオルをかけスポーツブランドのショートパンツに細身のTシャツを着て腕組みをしている。
練習が終わり、マネージャーのありすが玲於奈に話しかけに行くのが見えた。
「ありすが気になる?はい、モップ」サクラがモップを3本1年生部員に渡した。
「ありすの恋人?」馬場が聞いた。
馬場は1年7組で、2組の情報には疎い。
サクラはわざと意味深な笑いを残して去った。
片付けが終わって体育館から出る時には、玲於奈は見当たらなかった。
寮に戻り、食堂へ行く。
「イチ!来いよ!」
バスケ部の先輩に呼ばれ、そちらの席に行く。
「テスト頑張ったな」
「アドバイスもらったおかげです」先輩たちのアドバイスで、教科担任に相談して課題を出してもらったのが大きかった。
「好きな子、どうなった?」
「まだ聞いてないけど32位だったからたぶん無理ス」
「32位かよ。すごいな」
「あー、惜しかったな。ダメ元で聞いてみろ」
「ウス」
食べ終わって、食堂から出る。
「おかえり」玖太とすれ違った。
「ただいま」
「風呂行こうぜ」
自室に戻ると、体育館で見かけたのと同じ服装でベッドに玲於奈が座ってた。
「テスト結果、無双してたな」
「テスト得意なんだ。匡希は何位だった?」
「32位」
「そっか」
話しながらロッカーからタオルと着替えを出す。
玲於奈は立ち上がってドアまで行き、鍵をかけた。
「俺、風呂行かなきゃ」
「うん」
立ち上がって抱きついて来た玲於奈に上を向かせる。
「風呂から出たら話そう」
「今話したい、僕と…」
「玲於奈、待ってほしい」
玲於奈は隣の部屋に戻り、匡希は風呂へ向かった。
のんびりと湯に浸かる。
隣には玖太がいて、こちらをみていた。
「匡希の事を1組の奴らが話してた。3組なのにって言ってたけど、俺には驚きはない」
「なんで」
「毎晩一緒に勉強していたからわかる。順位は妥当」
「玖太はなんで数学以外はランクに入ってない?」
「数学以外は80点になるように受けてる。テストで遊ぶなって呼び出されて怒られた」
風呂上がりに玖太は部屋についてきて、今日は抱きついては来なかった。
機嫌が良く今日あったことを話してきて、落ち着いている。
つい何日か前まで入院していたのだ。
あまりにも理不尽な目に遭い、それでもこうして、今目の前で玖太は笑っていた。
衝動的に目の前にいる玖太を抱き上げて抱きかかえる。
「元気になってよかった」
「もう抱っこは卒業する」
玖太はぎゅと抱きついてから降りて、相変わらず少し照れた顔をした。
玖太を部屋の前まで送り、玲於奈の部屋をノックした。
返事が無く、そっと開けるとベッドに寝ていて、部屋に入り鍵をかける。
「玲於奈」
「起きてる」
「話をしよう」
「うん…」
「どうかしたか」
「僕とまだ付き合いたい?」
「そうだな。30位以内に入れなくてごめん」
「順位なんか、僕が勝手に言って、自分が得意だからってすごく自分が嫌な奴だって思ったんだ。匡希は無理して勉強してたんじゃないかと思った」
「思ったより、ずっと有意義だった。玲於奈に言われたからっていう訳じゃなく、時間の使い方を考えさせられた。今日部活を観に来てただろ」
「得意な事をしてる匡希が見たかった」
「どうだった?」
「好きだなって思った」
玲於奈の目は少し茶色い、と今更気がついた。髪も、まつ毛もそうだ。唇も赤く、胸も…もっと下も色素が薄い気がした。
「玲於奈はフランス語を習うために2組に行った?フランス語を習う理由…」2組は第二外国語の授業が取れる。
「おじいちゃんと話すため」
「おじいちゃんフランス人なのか」
「違う。おじいちゃんのお母さんがフランス人。匡希はまだ言ってないことは」
「童貞じゃない。相手は中学3の時の教育実習生」
「好きだった?」
「好奇心だけ」
「僕に好奇心はある?」
ドアの鍵はさっき閉めた。
「ある」
玲於奈がペロと匡希の唇をなめた。
「普通のキスじゃないキスがしたい」
「32位だけどいいか」
玲於奈はシャツを脱いだ。
「女の子じゃないけどいい?」
真っ平らな胸を触り、くすぐる。両方一度にくすぐってから同時に軽くひっぱった。玲於奈の目つきが代わり、少しとろんとしている。
「玲於奈、どこまでしていい?」
「キス?よくわからない」
素直な答えだった。匡希もシャツを脱いで、キスした。
お互い余裕は無く、玲於奈が抱きついて猫のように匡希の唇を舐めた。
「口の中に舌入れて」口を開くと素直に舌を差し込んできて、舌と舌でなめあう。
「これ、やり方合ってる?」
「気持ちよければ合ってる」
「気持ちいいけど、ちょっと変」
お互いに少し笑って、キスを再開した。
「何時?」
「今…21:41。部屋に戻る。宿題やってない」
「行かないで」玲於奈がぎゅっと抱きついてきた。
「すげーかわいい」密着して、露骨にお互いの腰にその気になったものが当たる。
「匡希、僕と付き合って」
「玲於奈がフリースローを3本連続決めたら付き合う」
「……」
「驚いてもかわいい」
「いいよ。来週僕を“テスト”して。3本決めたら服を全部脱いでエッチな事たくさんしよう」
「……」
「匡希も驚いてもかわいい。宿題頑張って」
「10本中3本決めたらにする」
「だめ。3本連続」
交渉の余地はなかった。
寮生用のチケットがあり、日替わりランチと丼と麺から選べる。
「丼をお願いします」
食堂のスタッフからどんぶりを受け取る。
「匡希なに食ってんの」
「海南チキン丼」
「なんだそれ」
「わかんねーけど美味い」
学食で買った500ccの牛乳を飲む。
いつもバスケ部1年のチームメイトと昼を食べることにしている。
部活後に寮まで急いで帰らねばならず、貴重な交流時間だ。
「スタミナついたか」
同じくスタミナが課題の1年の馬場に聞く。
「なかなか難しいよな。体力つく前に痩せてきた」
「わかる。俺も減ってきたから牛乳飲んでる」
「匡希はけっこう筋肉ついてきたじゃん」
「寝る前に筋トレしてるんだ」
「時間が足りねえ。俺も寮に住もうかな」
「馬場は通学時間どれくらい」
「往復…トータル2時間」
「2時間何してんの」
「寝てる」
「だよな。昼に学校のジムに行くか」
そうと決まればさっさと食堂から出て、5分後にはジャージ片手にジムにいた。
「女の子がいる」馬場が言った。
昼休みのジムは3年生のお姉さんっぽい女子だらけで、かわいい話し声といい匂いがして、馬場が恥ずかしがって無理だった。
仕方なく明日は体育館の片隅で筋トレをやろう、となる。
その日の部活の最後、試合形式の練習の前に体育館の入口に十王寺がいるのに気がついた。
水泳部の部活後なのだろう、首にタオルをかけスポーツブランドのショートパンツに細身のTシャツを着て腕組みをしている。
練習が終わり、マネージャーのありすが玲於奈に話しかけに行くのが見えた。
「ありすが気になる?はい、モップ」サクラがモップを3本1年生部員に渡した。
「ありすの恋人?」馬場が聞いた。
馬場は1年7組で、2組の情報には疎い。
サクラはわざと意味深な笑いを残して去った。
片付けが終わって体育館から出る時には、玲於奈は見当たらなかった。
寮に戻り、食堂へ行く。
「イチ!来いよ!」
バスケ部の先輩に呼ばれ、そちらの席に行く。
「テスト頑張ったな」
「アドバイスもらったおかげです」先輩たちのアドバイスで、教科担任に相談して課題を出してもらったのが大きかった。
「好きな子、どうなった?」
「まだ聞いてないけど32位だったからたぶん無理ス」
「32位かよ。すごいな」
「あー、惜しかったな。ダメ元で聞いてみろ」
「ウス」
食べ終わって、食堂から出る。
「おかえり」玖太とすれ違った。
「ただいま」
「風呂行こうぜ」
自室に戻ると、体育館で見かけたのと同じ服装でベッドに玲於奈が座ってた。
「テスト結果、無双してたな」
「テスト得意なんだ。匡希は何位だった?」
「32位」
「そっか」
話しながらロッカーからタオルと着替えを出す。
玲於奈は立ち上がってドアまで行き、鍵をかけた。
「俺、風呂行かなきゃ」
「うん」
立ち上がって抱きついて来た玲於奈に上を向かせる。
「風呂から出たら話そう」
「今話したい、僕と…」
「玲於奈、待ってほしい」
玲於奈は隣の部屋に戻り、匡希は風呂へ向かった。
のんびりと湯に浸かる。
隣には玖太がいて、こちらをみていた。
「匡希の事を1組の奴らが話してた。3組なのにって言ってたけど、俺には驚きはない」
「なんで」
「毎晩一緒に勉強していたからわかる。順位は妥当」
「玖太はなんで数学以外はランクに入ってない?」
「数学以外は80点になるように受けてる。テストで遊ぶなって呼び出されて怒られた」
風呂上がりに玖太は部屋についてきて、今日は抱きついては来なかった。
機嫌が良く今日あったことを話してきて、落ち着いている。
つい何日か前まで入院していたのだ。
あまりにも理不尽な目に遭い、それでもこうして、今目の前で玖太は笑っていた。
衝動的に目の前にいる玖太を抱き上げて抱きかかえる。
「元気になってよかった」
「もう抱っこは卒業する」
玖太はぎゅと抱きついてから降りて、相変わらず少し照れた顔をした。
玖太を部屋の前まで送り、玲於奈の部屋をノックした。
返事が無く、そっと開けるとベッドに寝ていて、部屋に入り鍵をかける。
「玲於奈」
「起きてる」
「話をしよう」
「うん…」
「どうかしたか」
「僕とまだ付き合いたい?」
「そうだな。30位以内に入れなくてごめん」
「順位なんか、僕が勝手に言って、自分が得意だからってすごく自分が嫌な奴だって思ったんだ。匡希は無理して勉強してたんじゃないかと思った」
「思ったより、ずっと有意義だった。玲於奈に言われたからっていう訳じゃなく、時間の使い方を考えさせられた。今日部活を観に来てただろ」
「得意な事をしてる匡希が見たかった」
「どうだった?」
「好きだなって思った」
玲於奈の目は少し茶色い、と今更気がついた。髪も、まつ毛もそうだ。唇も赤く、胸も…もっと下も色素が薄い気がした。
「玲於奈はフランス語を習うために2組に行った?フランス語を習う理由…」2組は第二外国語の授業が取れる。
「おじいちゃんと話すため」
「おじいちゃんフランス人なのか」
「違う。おじいちゃんのお母さんがフランス人。匡希はまだ言ってないことは」
「童貞じゃない。相手は中学3の時の教育実習生」
「好きだった?」
「好奇心だけ」
「僕に好奇心はある?」
ドアの鍵はさっき閉めた。
「ある」
玲於奈がペロと匡希の唇をなめた。
「普通のキスじゃないキスがしたい」
「32位だけどいいか」
玲於奈はシャツを脱いだ。
「女の子じゃないけどいい?」
真っ平らな胸を触り、くすぐる。両方一度にくすぐってから同時に軽くひっぱった。玲於奈の目つきが代わり、少しとろんとしている。
「玲於奈、どこまでしていい?」
「キス?よくわからない」
素直な答えだった。匡希もシャツを脱いで、キスした。
お互い余裕は無く、玲於奈が抱きついて猫のように匡希の唇を舐めた。
「口の中に舌入れて」口を開くと素直に舌を差し込んできて、舌と舌でなめあう。
「これ、やり方合ってる?」
「気持ちよければ合ってる」
「気持ちいいけど、ちょっと変」
お互いに少し笑って、キスを再開した。
「何時?」
「今…21:41。部屋に戻る。宿題やってない」
「行かないで」玲於奈がぎゅっと抱きついてきた。
「すげーかわいい」密着して、露骨にお互いの腰にその気になったものが当たる。
「匡希、僕と付き合って」
「玲於奈がフリースローを3本連続決めたら付き合う」
「……」
「驚いてもかわいい」
「いいよ。来週僕を“テスト”して。3本決めたら服を全部脱いでエッチな事たくさんしよう」
「……」
「匡希も驚いてもかわいい。宿題頑張って」
「10本中3本決めたらにする」
「だめ。3本連続」
交渉の余地はなかった。


