本日、訳あり軍人の彼と結婚します~ド貧乏な軍人伯爵さまと結婚したら、何故か甘く愛されています~

「商売は上手く行っていると自負できる。だが、今後のことを考えると、販路は拡げておいたほうがいい」
「……そうで、ございますね」

 どうやらこの花里という男は何処までも貪欲らしい。それを悟りつつ、律哉は淡々と同意する。

 ……そして、彼がどうして律哉に会いに来たのか。その理由を、うっすらと理解する。彼は、きっと。

「そこで、私はキミに提案を持ってきた。没落寸前の伯爵家である、桐ケ谷の当主に」

 わざとらしく強調された言葉。それは、何処までも自分が上だと知らしめるためのものだろう。

 全く、油断も隙も無い男だ。そう思いつつ、律哉は頷く。

「桐ケ谷の事情は、私としても心苦しく思っていてね。血のつながった兄とはいえ、ほかの人間が作った借金を返すなど、虚しいだろう」
「……えぇ」
「だから、そんなキミに救いの手を差し伸べる。私が出す条件を呑めば、キミの家が持つ借金をすべて肩代わりしよう」

 その言葉は、律哉の予想していた通りのものだ。

 つまり、この男は。

(自身が華族の一族の仲間入りをするために、大金をはたくというわけか)

 包み隠さずにまとめれば。そういうことになるのだ。