本日、訳あり軍人の彼と結婚します~ド貧乏な軍人伯爵さまと結婚したら、何故か甘く愛されています~

「そうか」

 男はそれだけを言うと、また律哉をじろじろと見つめてくる。……一体、なんだと言うのだろうか。

 自然と眉間が動く。が、それをぐっとこらえて表情を保ち続ける。

「私は現在花里(はなざと)の当主を務めている」
「花里……」

 その名前は、律哉もよく聞いている。

 ここ数年で急成長している商家の名だ。確か、服飾事業で成功したとか、なんとか……。

「花里は財こそ成している。が、どうしても成金だと蔑まれることが多くてな」
「……はい」

 矜持を持つ華族は少なくない……どころか、ほとんどである。つまり、律哉のような人間のほうが圧倒的に少ない。

 その中には成金とは関わりたくないという人間も一定数居る。彼らは自分の血筋に誇りを持っており、それ以外の者を見下すためだ。