本日、訳あり軍人の彼と結婚します~ド貧乏な軍人伯爵さまと結婚したら、何故か甘く愛されています~

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「お、お父さま、今、なんとおっしゃいました……?」

 豪華絢爛という言葉が似合いそうなほどに、贅を凝らした当主の執務室。

 普通執務室はここまで煌びやかにしなくてもいいのだが、懇意にしている顧客と話す際。父がここを使用していることを真白(ましろ)は知っていた。だから、これもある意味当然なのだろうと納得している。

 そもそも、父は人の話を聞くような人間じゃない。真白から見て祖父の代で業績を伸ばし始めた花里家。その跡を継いだ真白の父は、敏腕経営者と呼ばれている。が、その分と言うべきか。他者の言葉に耳を傾けることがないのだ。

 ……頑固というべきなのだろう。

 そして、真白はその頑固さをしっかりと受け継いでしまっている。合わせ、亡くなった母譲りのマイペースさも。

「何度も言わせるな、真白。お前の結婚が決まった」

 父は淡々とそう告げる。その視線は執務机の上にある書類に向けられており、真白にはこれっぽっちも向けられない。

 その態度に、ある意味腹が立つ。でも、その気持ちをぐっとねじ伏せる。

「お言葉ですが、お父さま。私はそんなお話一度も耳にしておりません」

 バンっと執務机をたたいてそう言えば、父は露骨にため息をついた。その後、視線を上げる。

「まぁ、言っていないからな」
「なっ」
「どうせお前のことだ。なにかと文句をつけるに決まっている」

 ペンを置いた父は、真白をまっすぐに見据えてきた。