本日、訳あり軍人の彼と結婚します~ド貧乏な軍人伯爵さまと結婚したら、何故か甘く愛されています~

「……その条件とは、結婚でしょうか?」

 確認とばかりにそう問いかける。彼は頷いた。

「あぁ、直球に言えばそうだね。……どうだろうか?」

 一応彼は律哉の意見も聞いてくれるらしい。

 だが、ここで律哉に断るという選択肢はなかった。

(どうせ俺は結婚願望も薄いし、好きな人もいない。……構わないな)

 目を伏せて、そう考える。桐ケ谷家を存続させるために結婚するか。もしくは、結婚を拒否してこの家を没落させるか。

 そんなもの、簡単に答えが出ているじゃないか。

「……私には四人娘がいる。上二人は嫁いでいて、三女には婚約者がいる」
「つまり、四女の娘さんですね」

 律哉のその言葉に、花里は頷く。

(末娘か。……多少はわがままかもしれないが、問題ないだろう)

 そう思い、律哉は花里をまっすぐに見つめた。

「その提案を、ぜひ受け入れたく思います」

 頭を下げてそう告げれば、「そうか」と彼の声が何処か跳ねたのがわかった。

「では、早速婚姻の準備に取り掛かろう」
「……え」
「我が家の財力をふんだんに使った、煌びやかな式にせねば」

 ……それにしても、話が早くないだろうか?

 それに、まず。律哉は、彼の四女と対面もしていない。

(もしも、その娘さんが嫌だと言ったらどうなるんだ……)

 もしかしたら彼はすでに娘には許可を取っているのかもしれない。いや、取っていると信じておこう。

「というわけで、失礼するよ、桐ケ谷の当主」
「あ、あの……」
「あぁ、式の日時などは、資料を郵送する。……場所なども、同じだ」

 どうやら、彼はこの式を取り仕切るらしい。いや、それは構わない。律哉には大した願望もないのだから。