「つ、月読様が私をからかってくるので……」

「からかっておらぬ。本当のことではないか」

「も、もうっ。そんなこと今言わなくてもいいんですよぅ」

「ははっ」

「ほら、からかっているじゃありませんか」

目を細めて楽しそうに笑う月読様。からかわれて悔しいのに、月読様がこんな風に笑ってくれることが嬉しいと感じてしまう、矛盾した気持ち。

「……なんだか、イチャイチャ戯れているように見えるのは気のせいかしら?」

「俺もそう思っていたよ。見えないけど」

「まあ、なんというか、若いのぅ」

「ほっほっ。いいもの見せてもらったわい」

「喜与ちゃん、顔真っ赤ー!」

「真っ赤だー!」

「やっ、やだっ! もう、皆さんで私をからかうんだから!」

両手で頬を押さえる。外は寒いというのに、私だけが火照っている。恥ずかしくてたまらない。

だけど――

月読様が笑ってくれ、斉賀家の皆さんも笑ってくれる。明るくて賑やかで、自然と笑みがこぼれてしまう。私の世界にこんな明るい場所があっただなんて、胸がいっぱいになって張り裂けそうだ。

ふえふえと満月が泣いた。

「みっちゃんも一緒に食べたいんじゃない?」

「みっちゃんも食べれる?」

「満月ちゃんも大きくなったら一緒に食べようね」

満月を抱っこしてあやすと、ふえふえ泣いていたのが嘘のようににんまりと笑顔を見せた。首もすわり、生まれたときよりもふっくらとしてより人間らしくなってきている。

「あらー、満月ちゃん笑うようになったのねぇ」

「子どもの笑顔は癒されるのう」

「じゃあ僕たちも笑わないとね!」

「あひゃひゃ、お兄ちゃんこしょぐるのやめて〜」

「ほっほっ、今年も良い年になるじゃろうて」

笑い声が部屋いっぱいに響く。
大勢で一緒にご飯を食べて、一緒に笑い合う。これが普通の家庭なのだと斉賀家は言うけれど、私にとってはとても特別で尊いもの。そんな時間を過ごさせてもらえて、本当に幸せだ。