吉川線ってわかります？そうそう、絞殺遺体に出来るって言うやつです。警視庁鑑識課長吉川澄一が見つけたって言われてる奴ですな。一般的に首吊りってね、血管が締まって急激に血圧が下がるからすぐ気失っちゃうんです。ドラマとかでバタバタ～って暴れてるやつあるでしょ？アレって嘘なんですな。実際は7~8秒……かどうかは実際にやってるとこを見たわけじゃないですから分からないけども、それぐらいで気を失っちゃうらしいんですよ。そしてそのまま死に至る。絞首刑だと落下の衝撃で頸椎がやられるからもっと早いですよ。吊り方次第では自殺でもそうなりますな。

　そこに目を付けたのが吉川って人でね。絞殺遺体は被害者が縄を振りほどこうと暴れるから、7秒なんかじゃすまない。それなりに長く暴れるし、その結果首の周りに縄に指を掛けようとした爪の食い込んだ痕なんかが凄く残るわけですよ。それが他殺の証拠になるって提唱したのが吉川線なわけです。

　勿論ですよ、ヘタクソな首吊りなら場合によっては時間がかかったり、暴れるかもしれませんし、腕の立つ暗殺者みたいなのが……もしいたらですよ？いるとするなら、そんな証拠残さないように頸椎をコキッとやっちゃうでしょうから、いつでもそうどこでもそうとは言いませんけどね。

　ほら、じゃあこの写真見てください。

　例の遺体の猫の写真ですわ。

　縄のあたり、首にしっかり掻き傷が残ってるでしょう？