アナウンサー 「次のニュースです。██市内で爆発的に増えている野良猫。ニュースウォッチのスタッフがその現状を取材しました。」

スタッフ 「えー、あちらの路地の先に猫がいるのが確認できます。あっ、茂みの中に隠れました」

ナレーション「増える野良猫──」

スタッフ「30分しか探してないのに5匹目だよもう……」

カメラマン「ちょっと多いですね。これ」

スタッフ「一旦帰ろう、一旦帰ろうこれ。」

ナレーション「一体██市では何が起きているのか──」

ナレーション「██市で増えている野良猫。その数は近年急激に増えています。」

ナレーション「市内の愛護センターに寄せられる通報の数はここ3年で急激に増加。減少傾向が続いていた2017年と比べその数は約4倍です。」

スタッフ「やはり保護する猫の数は増えている?」

愛護センター職員「とてもね。(ちょっとこのままでは)立ち行かないですよこれは」

スタッフ「施設では保護しきれない?」

愛護センター職員「うん。やっぱり他にも(犬など)いますから。猫だけという訳には。もしかしたら来年には(キャパシティを)超えちゃうかもしれない)」

ナレーション「猫が増えたその背景には何があるのか──」

康永大教授 田中 秀弘「元々あのあたりは非常に野良猫が多い地域だったんですね。1998年の開発時に、多くの家族が転居を行なって、その際に猫を手放してしまう家族が結構あった。当時はあまりそういうことも気にされてませんでしたから、手放された野良猫同士が交配して一気に野良猫が増える結果に」

康永大教授 田中 秀弘「2010年頃から██市では地域猫運動が始まりまして、NPOが中心となって猫の去勢を行って、地域猫として野良猫を管理しようという動きが始まったんですね。これにより、ここ最近までは猫の数はかなり抑えられて、むしろ減少傾向にあったと」

スタッフ(──ではなぜ野良猫が増えたのか?)

康永大教授 田中 秀弘「これはですね。まだ調査中なので、これがそうと言い切れる話ではないのですが……おそらく飼い猫を手放す人が増えたのではないかと」

スタッフ(──増えている野良猫は元々飼い猫?)

康永大教授 田中 秀弘「そうです。飼い猫(とそこから生まれた子猫)が増えている」

康永大教授 田中 秀弘「2015年頃までは猫の数を去勢によって減らすことができました。それによって市の猫問題は解決したのですが、近年になって(地域猫運動によって)街に猫がいるのが当たり前になってしまったものですから、猫を手放す人の中で『飼えなくなったから街に放してしまえばいいじゃないか』という人が増えた」

康永大教授 田中 秀弘「住民も目の前にいるのは地域猫だと思い込んでいるので、活動当初ほど未去勢の猫を捕まえることがなくなって、結果増えてしまったのではないかなと」

スタッフ(──去勢済みの猫とそうではない猫を見分ける方法は?)

康永大教授 田中 秀弘「さくら猫といって、耳に切れ込みが入っている猫は去勢済みですから、そうではない猫(が未去勢)です」

ナレーション「現在██市の動物愛護団体では去勢が行われていない猫を見かけたら通報を行うよう呼びかけています」