滝川「店先に猫の死体が投げ込まれるのが続くんですよ。臭いもするし、毎日毎日片づけるんですがやってられない」
本田「監視カメラなどはお付けにならなかったんですか?」
滝川「付けましたよ。でも無駄なんですな。いつの間にか屋根に猫の死体があって」
本田「屋根ですか」
滝川「そうです。ここら辺軒先がつながってるでしょ?だから多分何件か先の家から屋根伝いに来てウチに追いてったんじゃないかな。流石にここの通り一帯に監視カメラを付けるわけにはいかんでしょう」
本田「屋根伝いに何軒も移動できるものですかね?」
滝川「知らんよそんなことは。ただそうとしか考えられないでしょう」
本田「しかし屋根の上だと発見までに時間がかかったんじゃないですか?」
滝川「うん……まぁ屋根というか、あそこにあって」
本田「あそこ?」
滝川「そう、瓦の尖った部分あるでしょ。そこに猫が吊るされてたの」
本田「それは……とても残酷な……」
滝川「しかも首に縄かけて吊るしてあるんですよ。アレじゃ首吊りですよ。しかも私に見せつけるような位置に」
本田「ちょっと……猫の遺体だけでも厳しいのに、流石に想像したくないですね……」
滝川「お宅は想像だからいいけどね、こっちは何日もそれやられたんだから。」
本田「それで撤退を決意されたと」
滝川「そうだね。そんなもの子どもらが見たら洒落にならないし。まぁ一番は私が精神的に参っちゃったことだけどさ。猫を見るだけで思い出すんだよ。本当に勘弁してほしいね──」