某月刊誌 ホラー特集 インタビュー録音テープ書き起こし
あの、なんつーか。おれ、不登校なんですよ。
でも、高認取ろうと思ってて、勉強はしてます。参考書買って、家だと集中できないんで平日は図書館に行ってます。休日だと中学校時代の同級生がいることがあるんで。
その日も、たしか月曜日だったんで図書館に向かってたんですけど、途中で同じくらいの年の人が私服で歩いてて、嫌な予感がして調べたら開校記念日で中学が休みだったんです。
やべっと思って、その時点で図書館の入り口近くにいたんですけどそのまま通り過ぎました。
今考えるとバカすぎるんですけど、家に帰るのもなんかなー、と思って、そのまま歩いて公園に行きました。テンパってたんでしょうね。そもそも風邪気味で鼻詰まりがひどい状態だったのに、わざわざ寒いとこ行って、より悪化するようなことしてどうすんだって感じです。
おれんちの近くにめちゃくちゃでっかい公園があるんです。なかに野球場とかレーストラックとかがあって。
当然図書館よりも同級生に遭いやすいし、まずったなーと思いながら急いで人気のないところに行きました。
あるんですよ、あんま人が来ないとこ。小学生のころ探検してて見つけたんです。といっても草は刈られてるし、わかりづらいけど細い丸太みたいので階段も作られてて、一応人が来ることは想定されてるみたいでしたね。誰かと鉢合わせたことは一度もないですけど。
そんで、まあ春だし過ごしやすい気温だったからここでいいやと思って、ベンチもないから木に寄っかかって、単語帳を見てたんですけど。
けっこう時間経ったんじゃないかと思って時計見たら全然で、まだ昼飯時にもなってなくて。まじかよーって思いながら伸びをしたら、手が柔らかいものに触れました。ぐにって。
もう一瞬で鳥肌経ちましたね。猫とか、小動物にしては冷たいし、吸い付くような感触で。
すぐに手を引っ込めて、木から離れて。すぐに木の方を見る勇気が出なくて、とりあえず手を見ると、なんかプリンターのインクみたいな、ピンクっぽい赤色が手の甲に付いてました。
気味悪いっていうか、わけわかんなくて。正体不明な気持ち悪さよりも原因がわかった気持ち悪さのほうがマシだと思って、思い切って、木のさっき触った所を見ました。
どろっとした、ピンクのフジツボがびっしり生えたみたいなバスケットボールくらいの塊が、いくつも枝にぶら下がっていました。
蟻やら蠅やら、いろんな虫が表面に群がってきていて。おれの手が触れたところだけはブツブツが潰れていて、中から鮮やかなどぎつい色が見えていました。
目が離せなくて、下手に動くのも怖くって、しばらく見つめてたんですけど。よく見たらあの塊、肉みたいなんですよ。肉屋で塊で売ってるあれが枝に縄でつるされていて、その表面にブツブツが生えてるんです。
おれの手に蠅が止まった感触で我に返って、荷物を持って、水道のあるとこまで走りました。洗ったらすぐに色が落ちましたけど、家に帰ってからもう一回石鹸で念入りに洗いました。
一週間後くらいにまた行ってみたら、なんにもなくなってました。なんだったのか、今でもわかりません。
あの、なんつーか。おれ、不登校なんですよ。
でも、高認取ろうと思ってて、勉強はしてます。参考書買って、家だと集中できないんで平日は図書館に行ってます。休日だと中学校時代の同級生がいることがあるんで。
その日も、たしか月曜日だったんで図書館に向かってたんですけど、途中で同じくらいの年の人が私服で歩いてて、嫌な予感がして調べたら開校記念日で中学が休みだったんです。
やべっと思って、その時点で図書館の入り口近くにいたんですけどそのまま通り過ぎました。
今考えるとバカすぎるんですけど、家に帰るのもなんかなー、と思って、そのまま歩いて公園に行きました。テンパってたんでしょうね。そもそも風邪気味で鼻詰まりがひどい状態だったのに、わざわざ寒いとこ行って、より悪化するようなことしてどうすんだって感じです。
おれんちの近くにめちゃくちゃでっかい公園があるんです。なかに野球場とかレーストラックとかがあって。
当然図書館よりも同級生に遭いやすいし、まずったなーと思いながら急いで人気のないところに行きました。
あるんですよ、あんま人が来ないとこ。小学生のころ探検してて見つけたんです。といっても草は刈られてるし、わかりづらいけど細い丸太みたいので階段も作られてて、一応人が来ることは想定されてるみたいでしたね。誰かと鉢合わせたことは一度もないですけど。
そんで、まあ春だし過ごしやすい気温だったからここでいいやと思って、ベンチもないから木に寄っかかって、単語帳を見てたんですけど。
けっこう時間経ったんじゃないかと思って時計見たら全然で、まだ昼飯時にもなってなくて。まじかよーって思いながら伸びをしたら、手が柔らかいものに触れました。ぐにって。
もう一瞬で鳥肌経ちましたね。猫とか、小動物にしては冷たいし、吸い付くような感触で。
すぐに手を引っ込めて、木から離れて。すぐに木の方を見る勇気が出なくて、とりあえず手を見ると、なんかプリンターのインクみたいな、ピンクっぽい赤色が手の甲に付いてました。
気味悪いっていうか、わけわかんなくて。正体不明な気持ち悪さよりも原因がわかった気持ち悪さのほうがマシだと思って、思い切って、木のさっき触った所を見ました。
どろっとした、ピンクのフジツボがびっしり生えたみたいなバスケットボールくらいの塊が、いくつも枝にぶら下がっていました。
蟻やら蠅やら、いろんな虫が表面に群がってきていて。おれの手が触れたところだけはブツブツが潰れていて、中から鮮やかなどぎつい色が見えていました。
目が離せなくて、下手に動くのも怖くって、しばらく見つめてたんですけど。よく見たらあの塊、肉みたいなんですよ。肉屋で塊で売ってるあれが枝に縄でつるされていて、その表面にブツブツが生えてるんです。
おれの手に蠅が止まった感触で我に返って、荷物を持って、水道のあるとこまで走りました。洗ったらすぐに色が落ちましたけど、家に帰ってからもう一回石鹸で念入りに洗いました。
一週間後くらいにまた行ってみたら、なんにもなくなってました。なんだったのか、今でもわかりません。
