*
「今のは…?」
目が覚める。この一年間の、たくさんの思い出が蘇ってきた、すごく心地よい夢だった。
「ってあれ?ここどこ」
不思議な光景が広がっていた。私は公園のベンチで寝てたはずじゃ?そう考えているうちに一年ぶりの彼が姿を現した。
「久しぶりだね、滝野花怜さん」
「貴方は…死者の案内人とか言ったっけ」
そうだ。ここは死後の世界。あれ?私、喋れるようになってる。
「現世から帰ってきたばかりだから、まだ少しの間は喋れるみたいだね」
そういうことなのか。現世から帰ってきたってことは、一年間の奇跡は終わってしまったのか。もう、隼人くんには会えない…?
「本当はもう少し居させてあげたかったんだけど、僕の力じゃこれが限界みたい」
彼は薄笑いを浮かべている。
「それで、現世に戻ってみてどうだった?ちゃんと夢を追えた?」
私にとってその答えは明白だった。
「できたよ。すごく素敵な出会いをしたの。見ず知らずの私と仲良くしてくれて…夢の話も親身になって聞いてくれてね、しかもそのお手伝いまでしてくれた人がいるの」
「良かったよ。上手くいったみたいで」
彼は満更でもない顔でそう言った。
「ねぇ案内人さん。どうして私にこんなチャンスをくれたの?」
それが一つ疑問だった。
「前にも言ったけど、素敵な夢を持った人が報われないのは理不尽じゃん?」
彼は前と全く同じ理由を述べた。
「夢があるのは当たり前なことじゃない。夢が見つからない人、夢を持っても他者に反対される人、色々な人がいる。そういう人たちが関わり合って、また新たな夢が生まれる。夢ってのは交差するんだ。君が出会った、磯崎隼人だって例外じゃないと思う」
「…もしかして、私がどんな出会いをしたか全部知ってるの?」
「ごめんね、現世に送った責任としてずっと見させてもらっていた。彼も最初は流されるまま夢に向かっていたけど、貴女と出会ってから変わったよね。貴女と別れるその日まで、彼は真っ直ぐに生きていた」
私も隼人君から夢の話を聞いた。流されるままアスリートになりたくないと言っていた。案内人さんの言う通り、私は彼の悩みを和らげることができていたのだろうか。
「貴女は彼に助けられてばかりだったと思ってるようだけど、きっと彼も貴女に助けられたんだよ」
案内人さんにそう言われた途端胸が熱くなった。隼人君はいつしか私にとって大切な人になっていた。そんな人の、夢の支えになれたんだ、私…
「…私ね、いつ消えてもいいように、隼人くんに隠しメッセージを用意してあるんだ」
「へえ、それは面白いね」
「きっと隼人君なら気付いてくれるよ。私の、最期の願いに…」
「今のは…?」
目が覚める。この一年間の、たくさんの思い出が蘇ってきた、すごく心地よい夢だった。
「ってあれ?ここどこ」
不思議な光景が広がっていた。私は公園のベンチで寝てたはずじゃ?そう考えているうちに一年ぶりの彼が姿を現した。
「久しぶりだね、滝野花怜さん」
「貴方は…死者の案内人とか言ったっけ」
そうだ。ここは死後の世界。あれ?私、喋れるようになってる。
「現世から帰ってきたばかりだから、まだ少しの間は喋れるみたいだね」
そういうことなのか。現世から帰ってきたってことは、一年間の奇跡は終わってしまったのか。もう、隼人くんには会えない…?
「本当はもう少し居させてあげたかったんだけど、僕の力じゃこれが限界みたい」
彼は薄笑いを浮かべている。
「それで、現世に戻ってみてどうだった?ちゃんと夢を追えた?」
私にとってその答えは明白だった。
「できたよ。すごく素敵な出会いをしたの。見ず知らずの私と仲良くしてくれて…夢の話も親身になって聞いてくれてね、しかもそのお手伝いまでしてくれた人がいるの」
「良かったよ。上手くいったみたいで」
彼は満更でもない顔でそう言った。
「ねぇ案内人さん。どうして私にこんなチャンスをくれたの?」
それが一つ疑問だった。
「前にも言ったけど、素敵な夢を持った人が報われないのは理不尽じゃん?」
彼は前と全く同じ理由を述べた。
「夢があるのは当たり前なことじゃない。夢が見つからない人、夢を持っても他者に反対される人、色々な人がいる。そういう人たちが関わり合って、また新たな夢が生まれる。夢ってのは交差するんだ。君が出会った、磯崎隼人だって例外じゃないと思う」
「…もしかして、私がどんな出会いをしたか全部知ってるの?」
「ごめんね、現世に送った責任としてずっと見させてもらっていた。彼も最初は流されるまま夢に向かっていたけど、貴女と出会ってから変わったよね。貴女と別れるその日まで、彼は真っ直ぐに生きていた」
私も隼人君から夢の話を聞いた。流されるままアスリートになりたくないと言っていた。案内人さんの言う通り、私は彼の悩みを和らげることができていたのだろうか。
「貴女は彼に助けられてばかりだったと思ってるようだけど、きっと彼も貴女に助けられたんだよ」
案内人さんにそう言われた途端胸が熱くなった。隼人君はいつしか私にとって大切な人になっていた。そんな人の、夢の支えになれたんだ、私…
「…私ね、いつ消えてもいいように、隼人くんに隠しメッセージを用意してあるんだ」
「へえ、それは面白いね」
「きっと隼人君なら気付いてくれるよ。私の、最期の願いに…」


