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「知らなかった…こんなすごい所があったのか」
「隼人くんが学校行ってる間は私暇だからさ。私も隼人くんを驚かせたくて、付近をずっと散策してたんだよ」
ある冬の日、私は彼を驚かせることに成功した。
「ありがとな花怜。マジ感動したわ」
彼の嬉しそうな表情を見て私も顔を綻ばせる。すると急に、息が苦しくなった。
「おい花怜、しっかりしろ!」
こっちの世界に来てからもう半年以上経ってるから、きっとそのせいだ。
「待って…はや…とくん。私はこの世の者じゃないから、病院には行けない」
「は!?」
私自身がこの世界の常識から逸脱した存在だから、病院に行ったところで何にもならないことは本能で察していた。
「もうすぐ私がこの世に来て一年経つから。そろそろタイムリミットなんだよきっと。この世ならざる者への警告みたいなものだったんじゃないかな」
自分で言ってて、危うく泣きそうになったけど、隼人くんの前ではこれ以上泣きたくないな。
「…隼人くん?」
気づけば隼人くんは私を抱きしめていた。
「この世ならざる者なんて言わないでくれよ。君は…俺にとって何よりも温かい存在なんだ…!」
胸の奥に、温かい何かが込み上げてきた。
「…俺、花怜のことが大好きなんだ。俺、これからも側にいていい?」
一年間の奇跡は、私にこんな温かなものを残してくれた。だから私も、胸を張って彼に答える。
「私も」
「隼人くんのこと、好き」
そうだ。私は隼人くんのことが好きなんだ。
会いたい、会いたい、会いたいよ。隼人くん。


