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「花怜、本当に写真上手くなったよな」
「えーどうしたの急に、嬉しいな!」
夏のある日、私は彼から褒められた。何気に彼が真正面から褒めてくれるのは初めてかもしれない。
「来年の桜もこのくらい上手く撮ってくれるかもって考えると楽しみだ」
そこで我に返った。そうだ。この楽しい時間は一年限りのものなのだ。
「いや…私、来年にはもういないんだと思う」
「な!?来年いないってどういうことだよ…?」
思わず口に出してしまった。信用されるか分からないから、彼にこのことを話すつもりはなかったのに。
「あ、えっと…来年にはまた引っ越すことになるかもしれない…からさ?」
またも私は嘘をついた。
「引っ越しちゃったとしても頑張れば会えるかもしれないし、そんな悲しい顔しないでよ、俺まで悲しくなっちゃうからさ」
いっそのこと私に興味をなくせば良いのになんて思うけれど、彼は私と来年以降も一緒に過ごす、あるはずのない未来のことを考えてくれている。そのことが、どうしてこんなにも胸を熱くさせるんだ。
「花怜、本当に写真上手くなったよな」
「えーどうしたの急に、嬉しいな!」
夏のある日、私は彼から褒められた。何気に彼が真正面から褒めてくれるのは初めてかもしれない。
「来年の桜もこのくらい上手く撮ってくれるかもって考えると楽しみだ」
そこで我に返った。そうだ。この楽しい時間は一年限りのものなのだ。
「いや…私、来年にはもういないんだと思う」
「な!?来年いないってどういうことだよ…?」
思わず口に出してしまった。信用されるか分からないから、彼にこのことを話すつもりはなかったのに。
「あ、えっと…来年にはまた引っ越すことになるかもしれない…からさ?」
またも私は嘘をついた。
「引っ越しちゃったとしても頑張れば会えるかもしれないし、そんな悲しい顔しないでよ、俺まで悲しくなっちゃうからさ」
いっそのこと私に興味をなくせば良いのになんて思うけれど、彼は私と来年以降も一緒に過ごす、あるはずのない未来のことを考えてくれている。そのことが、どうしてこんなにも胸を熱くさせるんだ。


