ファウンド・フッテージ 観てはいけない映画のレビュー

ファウンド・フッテージ 観てはいけない映画のレビュー


PART 1

(ブログ「MOJIの映画レビュー」より)
映画「ファウンド・フッテージ」を観ました
2023-12-09 23:09
テーマ:ホラー映画
ファウンド・フッテージ(2023 日本)
監督/編集:大森昇
出演:田沼葉子、北川茂、三浦康二、山口ゆか、直江忠嗣、宇田川蓮

1:廃村のロケーションに感心

 ホラー映画を撮るために山奥の廃村を訪れた映画学校の生徒6人。カメラを回しながら村を探索していくと、村のあちこちで奇妙な呪文の落書きや、不気味な藁人形が飾られているのを見ます。
 やがて一人が姿を消し、探しているうちに夕刻へ。村で夜を越すことになりますが、それからも一人また一人と消えていきます。残されたヨウコとシゲルは村から逃げ出そうとしますが、なぜかどうしても出て行くことができません。
 深夜に大勢が走り回る足音を聞いたシゲルはヨウコがいないことに気づき、山へ向かう松明の明かりを追いかけていきます。闇に響くヨウコの悲鳴。やがて、シゲルは不気味な洞窟に辿り着きます……。

 手持ちカメラの映像による、モキュメンタリー形式のホラー映画です。
 モキュメンタリーとは、ドキュメンタリーを装ったフィクションのこと。
 上記のあらすじからもお分かりの通り、思いっきり「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」を意識しています。
 本当に最初から最後まで手持ちのハンディカム一台で撮った映像のみで構成されていて、その点では非常に潔い、ストレートなモキュメンタリー作品と言えます。
 6人の学生たちは行方不明になったということで、カメラは現場となった廃村に遺留品として残されていたという設定です。その時点で、映画のオチがどうなるかまで分かっちゃう訳ですが。

 低予算感はありありなのですが、感心したのはロケーションです。
 山間の寂れた農村を舞台にしてるのですが、本当に廃村に見えるんですよね。
 いい具合に生活感の残った、でもやっぱり荒れ果てた家屋のすさんだ雰囲気がとてもリアル。もしかして、実際に廃墟の村で撮ったのかな……?
 家の中や納屋や倉庫、畑やビニールハウス、村役場とか公民館など。結構いろんな場所を舞台にしていて、映画に奥行きをもたらしています。
 許可とか大丈夫だったのかな?と心配になったりもしますが。

2:なかなかリアルなモキュメンタリー

 映像は基本、カット割りのないダラ撮りです。そこはまあ、モキュメンタリーなのでいいと思います。
 たまにモキュメンタリーを銘打っておきながら、セリフごとにきれいにカットを割ったり、突発的な出来事をカメラが100%おさえていたりする作品があるんですよね。そういうのは嘘くさくて、萎えます。

 本作ではその点はリアルなのだけど、一方でストレスもあります。ダラダラとただ移動するだけのカットが続いたり、セリフが被ったり、セリフを喋ってる人がフレームに入っていなかったりします。
 その辺を見ると、普通の映画がいかに観やすく工夫されているかが分かりますね。

 出演者はみんな知らない人たちでした(失礼!)。
 もしかしたら本当に学生なのかな?とも思います。演技はあまり褒められたもんじゃない……正直言って。特に前半で消える三人は。
 後半生き残る三人、特にヨウコを演じていた人は上手かったですね。僕が知らないだけで、活躍されている女優さんなのかもしれません。
 上手いと言っても、終盤はひたすら悲鳴をあげてるばっかりなんですが。

3:何も見せないホラー演出

 リアリティを重視してか、基本的に派手なことは起こらないホラーです。怪異を直接的に見せることは最後までなく、ただ不穏な雰囲気と、思わせぶりなカメラワークで「何かがいそうなムード」を演出しています。
 そこは予算と技術の制約だと思いますが。できることが限られていそうな中で、本作のホラー演出はなかなか健闘してると感じました。
 ところによっては、お金のかかったメジャー級の作品よりも真に迫って感じられたくらいで。
 そう感じたからこそ、こんな無名な映画をあえて紹介している訳ですが。

 映像は手持ちのハンディカムなので、常に主観映像なんだけど、「視界の端に何か見えたかもしれない」という演出が上手いんですよね。
 村の中を歩いていく。視界の端の方の家の影に、何かがちらっと見えた気がする。ビクッとしてカメラをそっちに向けるけれど、何もない。
 でも確かに、何かがいたような不穏な空気は残っている……。
 というような、怖い気分になってる時のあの感じ。
 何か決定的なものが見えた訳でもないのに、やけに過敏になってしまって、必要以上にビクビク、キョロキョロしてしまって、そのことでかえってますます怖くなってしまう……。
 怯えてる人が陥りがちなそんな心理状態に、思わずシンクロさせられてしまいます。

 で、この「気配」がだんだん近づいてきて、確かに何かが追ってくる。必死で走って逃げるけれど、やがて追い付かれ、捕まってしまう。
……というところも、肝心なものは何も見せない。追ってくるものも見せないし、捕まってどうなったかも(カメラが落ちてあらぬ方向を向いちゃうので)分からない。
 実際に映るものは何もないんですけどね。それでもちゃんと怖いんですよ。
 本作は基本この繰り返しなので、単調になりそうなものだけど、村のロケーションの中で場所を変えることで、上手くバリエーションをつけて飽きない作りになっています。

4:巧みな「分からない怖さ」

 観ていてあらためて思ったのだけど、「怖い」って何か見た目の怖いモノが実際に出現するから怖い訳じゃなくて。
 実際に怖いモノが出てくる前の、何かが出てくるかもしれない、出てきそう……っていう時がいちばん怖いんですよね。
 実際に出てきてしまったら、どう対処するかという現実的な思考に切り替わる訳なので。本当に怖いのは、何と出会うことになるのかまだ分からない間だけ。

 怖いというのは、分からないこと。
 だから、暗闇が怖い。曲がり角が怖い。閉じたドアが怖い。
 幽霊が怖いのも、正体が分からないからこそであって。
 分からない怖さの究極が、「死」ということになるでしょうか。死んだらどうなるか、誰にも絶対に分からないですからね。

5:ラストシーンは魅力的!

 終盤はヨウコが何者かに連れ去られ、シゲルが(カメラを構えて)追いかけていくことになります。
 深夜の山道を進んでいくシーンは画面は暗いし揺れは激しいし、めちゃくちゃ観にくいのは否めないのですが。
 でも、異様な迫力があるんですよね。見えないけれど、何かいる。人間ではない何かに、周りを取り囲まれている感覚。じっと見られているというぞわぞわするような視線。
 そういうものを、画面越しでも確かに感じる。怖いです、本当に。
 ずっとシゲル自身は映らず、カメラの主観が続くので、観ている自分がその場にいてヨウコを追いかけているような気持ちにされてしまうんですね。早くヨウコを助けなきゃ、という気持ちにまんまとされてしまう。
 感情移入度が高いです。不安や焦燥感といった感情にどっぷりとハマる。

 山上の神社の奥にしめ縄が張られた洞窟があって、シゲルは(カメラは)その中へ入っていきます。
 そこから先は更に画面が暗くなって、正直何が何やらよく分かりません。
 ずっと怪異を直接に映さない作品なのだけど、この闇の中の混乱のシーンで一瞬だけ、異様な白い男の姿がフラッシュのように映ります。
 異様に痩せて頭髪もなく全身が白い、ゾンビか餓鬼のような不気味な男。
 これが彼らを襲っていた魔物ということでしょうか。何となくは分かるけど、やっぱり説明不足ですね。せっかくここまで怪異を直接映さずに来たのに、ここで見せちゃうのもどうかな。
 どうせなら最後まで何も見せないままでも良かったような気もします。

 洞窟の奥には不気味な池があって、その前の祭壇にヨウコが横たえられている。
 助けようとしたシゲルが池に引き込まれて消える。以降はヨウコ一人になります。
 悲鳴をあげて死に物狂いで逃げるヨウコが、それでもシゲルが落としたカメラを拾って行くのはご愛嬌……ですね。

……なのだけど、ラストシーンは割と好きでしたよ。
 ヨウコが洞窟を出ると朝日が昇っているんですよね。朝焼けの真っ赤な光の中で髪を振り乱し汚れた顔のヨウコを捉えたシーンは、ハッとするところがありました。
 たぶん、「悪魔のいけにえ」のラストシーンのオマージュ。悪くない、美しさを感じるシーンでした。

 ※

(「MOJIの映画レビュー」より)
映画「ファウンド・フッテージ」について補足
2023-12-11 23:45
テーマ:ホラー映画

 すみません今日は新作映画のレビューではなく、先日に書いた記事についての補足です。
 12月9日更新の、映画「ファウンド・フッテージ」レビュー記事について。
 これは相当マイナーな映画だったと思うのですが、当ブログでは異例なほど多くのコメントがつきました。
 その中にいくつか、気になるご意見があったので……今回はそれについて、回答という形で書いておきたいと思います。

「ファウンド・フッテージ」という映画は本当に実在しているのか? 存在しない映画ではないのか?

……というご質問をいくつかいただきました。
 これはちょっとびっくりでした! このブログではこれまでも、マイナーな作品もたくさんレビュー​してきましたが、映画の存在自体を疑われたのはこれが初めてです。
 僕が「MOJIの映画レビュー」だけでなく、海藤文字の名前で小説を書く活動もしてるので、その辺疑われたみたいです。

「ファウンド・フッテージ」は実在していますよ! 僕は12月8日に、大阪のヌーヴェル・シネマにて、レイトショー上映で観ました。
「NOBODY KNOWS! 誰も知らないホラー映画たち2023」という特集上映の1本でした。キャッチコピー通り、本当に誰も知らなかったという。
 たまたま時間があった(そしてちょっと面白そうだった)のを観たので全然気づかなかったのですが、実は僕が観たその日限り、1回限りの上映だったようです。
 僕以外のお客さんは……10人くらいだったでしょうか。少なくともその人たちは、実在を証明してくれるはずなんですが。

 今回この指摘を受けてネットで検索してみたんですが、確かに全然情報が引っかかりませんでした。
 大抵どんな作品でも、映画ドットコムとかナタリーとかFilmarksとかで情報が見つかるんですけどね。本当に、全然ない。
 唯一引っかかったのは、上記「NOBODY KNOWS!」の紹介ページだけでした。
一応、そのリンクを掲載しておきます。
(リンクURL省略)

 その紹介記事にしても情報は最小限しかなくて、簡単なあらすじだけ。スタッフ・キャストもレビュー記事に書いた監督と出演者6名の名前だけです。
 そして、このスタッフ・キャストの名前で検索してもまったく何一つヒットしません。
 これもちょっと驚きですよね……映画業界で活動している人なら、何らかの形でヒットするだろうと思うのですが。

 ここから考えられるのは、次の二つの可能性ですね。
 一つは、出演者たちは本当にまったくの素人であるということ。
 本当に映画学校の学生で、本当にホラー映画を撮るつもりで廃村に出かけて、本当にそこで行方不明になって、本当にテープがファウンド・フッテージとして残された。
……とまではさすがに思いませんが! まあ、ちゃんとシナリオと演出があって、ただ映画を初めて撮る人たちが頑張ってそれらしく作り上げたのだろうとは、思いますが。

 もう一つは、わざと素性を隠して、情報が出ないようにしているということ。
 映画として割とよく出来ていたので、やっぱりある程度キャリアのある人が作ってるんじゃないかと思ったのです。たぶん発表されてる監督もキャストもみんな偽名なんじゃないかな。
 そして、映画紹介サイトなどにも情報が出ないようにしている。(……ということが可能なのかどうか、よく分からないですが。詳しい人は教えて欲しい)
 そして、口コミで評判が広がることを狙っているんじゃないかな。

 徹底して「映画」であることを隠すことで、あたかも本当に「ファウンド・フッテージ」であるような……ホンモノの「発見されたテープ」であるように見せようとしている。
 昔、よくありましたよね。心霊写真とかで、「他は偽物でも、これだけはホンモノらしい」なんてまことしやかな噂で回ってくるやつが。
 いわゆるモキュメンタリー・ホラーがこれだけ流行ってる中で、それでも「どうやらこいつはホンモノらしい」という評判が盛り上がっていくことに挑戦してるんじゃないか。
そう考えないと、この情報の少なさは現代においてはむしろ不自然なのではないか……! なんてことを思ったりしたのです。どうなんでしょ。

 もしそうだとしたら、当ブログの書きようは極めて不適切で。
 本来なら、「検索しても情報がない! これはホンモノということでは!」というトーンで記事を書くべきだったのかもしれない。
空気読めてないのかな……もしそうだったらすみません。

 いずれにせよ、俺も「ファウンド・フッテージ」を観たよ!という方、あるいは監督や出演者についての情報をお持ちの方、もしおられたら、またDMやコメント欄などで知らせていただけると嬉しいです。

 ※

(「MOJIの映画レビュー」より)
映画「TALK TO ME トーク・トゥ・ミー」ネタバレあり
2023-12-15 22:56
テーマ:ホラー映画
Talk to Me(2022 オーストラリア)
監督:ダニー・フィリッポウ、マイケル・フィリッポウ
出演:ソフィー・ワイルド

1:ドラッグ/ネットの暗喩としての憑霊

 女子高生のミア(ソフィー・ワイルド)は、友達のジェイド、その弟のライリーと共にパーティーに参加。仲間内で流行っていた「90秒憑依チャレンジ」を体験します。それは呪物の「死者の手」を握って「トーク・トゥ・ミー」と呼びかけることで、死者の霊を呼び寄せ自らの体に憑依させ​る​というもの。ただし90秒以内にやめないと、霊は出ていかなくなってしまうという危険な遊びでした…。

 オーストラリア製のホラー映画。アメリカではA24による配給で、思わぬ大ヒットを記録した作品です。
 カンガルーも出てきます! オーストラリアらしい映画としても楽しめます。

 パリピと降霊術の組み合わせはなかなか新鮮ですが、本作における憑依はドラッグの暗喩ではあるんでしょうね。
 興味本位で手を出して、心も体もボロボロになり、人生台無しにしてしまう……。

 なんでわざわざこんな気持ち悪い死霊に自分から取り憑かれようとするのか……と思うけど、そもそも若者は意味のない危険なことを好きこのんでやりたがるものです。
 悪ぶってみたり、酒やタバコ、ドラッグもそうですね。盗んだバイクで走り出したり。今だと自己顕示欲のあまりSNSで暴言を吐いたり、ネットで炎上しちゃうのも、似たような心理なのかもしれない。
「死ぬなんて怖くない」と粋がって見せるのは、自分からもっとも遠いものである(と思える)死への関心の現れでしょうか。
 でも実際には死は思いのほか近くにあって、直面して初めてビビることになるわけですが。

2:世界が反転するホラーらしいオチ

 本作は「オチのあるホラー」。
「ミステリーゾーン」的というか、「世にも奇妙な物語」的というか。
 全体のプロットに絡めたからくりがあって、どんでん返し的な逆転があって、最後に皮肉の効いたブラックなオチが決まって、スッキリする…(あるいはホラーなのでいや〜な気分になる)のを楽しむ、そんな作品です。

 具体的にどういうオチかは、書きませんが!
 上手いですね。最後にグルンと、世界の見え方が反転する。
 因果が閉じて、闇に落ちる。そこで初めて、それまで見ていたすべてが伏線だったことに気づく。
 非常にホラーらしいダークで気の悪いオチで、これはなかなか良かった。ホラー映画として満足のいく「いや〜な後味」を味あわせてくれました。

3:最後の仕掛けは蛇足?

 基本的にすごく面白かったのだけど、終盤、最近観たマイナーな日本映画「ファウンド・フッテージ」を思わせる場面があってちょっとびっくりしました。
 最後の方で主人公が追い詰められてさまよってるシーンで、画面に一瞬だけ「白い男」が現れます。ちょうど「ファウンド・フッテージ」と同じような、痩せた陰気な白い男の姿が暗闇に浮かぶ。本当に、一瞬だけですが。

 観ていてびっくりしたのだけど、これ映画の展開と何の関係もないんですよね。まあ、ミアが呼び出してしまった悪霊の顔であるということなんだろうけど。
 この後に伏線回収される訳でもないので、本当に観客をびっくりさせるだけの、こけおどしでしかない。
 これはいらんのじゃないかな……と思いましたよ。「ファウンド・フッテージ」に続いてだから、日米を超えて流行ってるんでしょうか。

 ※

(「MOJIの映画レビュー」12月15日記事のコメント欄より)
2023-12-18 16:11
SUZU Wrote
いつも楽しく読ませていただいています。
私も映画ブログをやってる、SUZUと言います。初めてコメントします。
「トーク・トゥ・ミー」私も観ました!
MOJIさんの記事を読んで観たいな〜と思って観に行きました。そんなに怖くはなかったけど、とても面白かったです!
ただ、MOJIさんが書いていた終盤に一瞬だけ映るという「白い男」なんですが。私は見つけられませんでした!
何も知らずに観たなら見落としもあるかと思うのですが、あらかじめMOJIさんの記事を読んで、結構楽しみに待っていたので。見落とすはずがないと思うんですよね。
それで思ったのですが、もしかして件の白い男って、MOJIさんだけに見えてるなんてことはないですか?
って、それは冗談ですけど! 何だか不思議に思ったので、報告させていただきました。
「ファウンド・フッテージ」もすごく観たいのですが、私の地元の名古屋では上映がないみたいで残念です。
それでは、また次の映画レビューを楽しみにしています!

 ※

(「MOJIの映画レビュー」より)
お詫びと訂正:先日の「TALK TO ME トーク・トゥ・ミー」の記事について
2023-12-22 21:44
テーマ:日記

 すみません今回はお詫びです!
 先日書いたホラー映画「TALK TO ME トーク・トゥ・ミー」のレビュー記事において、「終盤に一瞬だけ白い男が現れるシーンがある」と(批判的に)書いたのですが、そういうシーンはありませんでした。
 どうやら、僕の思い違いだったみたいです。申し訳ありませんでした。

 前回記事を発表後、​いく​つかコメントをいただきまして。いずれも「そんなシーンはないんじゃないか」というご指摘でした。(コメントいただいた皆さん、ありがとうございます!)

 どういうわけか、僕はすっかり見たと思い込んでいたので、逆に皆さんが見落としているのだと最初思ったのです。
 たくさんご指摘をいただいたので、何だよ、みんなちゃんと映画を観てないなあ!と思ってしまって。
 何だか無性に気になってしまったので、「TALK TO ME トーク・トゥ・ミー」2回目観てきましたよ!
 予定してなかったのだけど。どうしてもそのシーンを確認して、「ほら見ろ!」と言いたかったので。

 間をおかずの2回目なんでさすがに眠かったですけどね。必死で目を覚まして、目を凝らして画面を睨んでました。
 特に終盤、この辺りだったはず……というところは、本当にまばたきもせずに観ていたんですが。
……なかったです。白い男なんて出てきませんでした!
 どうやら本当に、僕の勘違いだったみたいです。
 勘違いから勝手な濡れ衣を着せて、映画自体も批判しちゃっていました。大変失礼いたしました。

 自分でも不思議なのですが、本当に見たと思い込んでいたんですよね。かなり強く信じていた。これは何なのか……と思うのですが。
 自分が「TALK TO ME トーク・トゥ・ミー」の中で見たと思ったのは、「ファウンド・フッテージ」に出てきた白い男の記憶だったんでしょうね。
 似たようなホラーのシチュエーションで、連想することで「見えて」しまったのかもしれない。
 レイトショーだったのでね。半分寝そうになって、うっすら夢を見てるような状態になってたのかも。

 どうだったのか、真相は分かりませんが!
 いずれにせよ、自分で思っていた以上に、「ファウンド・フッテージ」に強い影響を受けちゃっていたのかもしれません。
 なんか悔しいんですが。あんな低予算の、インディーズ映画なのに!
 あらためて、「ファウンド・フッテージ」すごいな!と思った次第でした。

 ※

(「MOJIの映画レビュー」12月11日記事のコメント欄より)
2023-12-23 22:45
ルルー Wrote
ファウンド・フッテージ、11月に東京で観ましたが、白い男の出てくるシーンなんてなかったと思います。映画は面白かったですが、ありもしないシーンがあるように書くのはどうかと思います。ステマでしょうか?

 ※

(「MOJIの映画レビュー」より)
緊急アンケート:「ファウンド・フッテージ」の白い男について
2023-12-26 00:17
テーマ:日記

 今回も映画レビューじゃないです! たびたびすみません。
 ちょっとややこしいので、これまでの経緯をまず説明しますと……。

 まず、12月9日に映画「ファウンド・フッテージ」のレビュー記事を書きました。
 これは日本のホラー映画なんですがどうも自主制作らしくて、上映回数も非常に少なく、観た人が非常に少ない映画です。もはや「幻の映画」と言っていいくらい。
 この映画の中に「一瞬だけ白い男が映るシーン」があって、そのことについてもレビューで書いていました。

 それから、オーストラリアのホラー映画「TALK TO ME トーク・トゥ・ミー」がありました。
 僕はこの映画の中にも「白い男」を見た気がしてしまって、記事にもそう書いたんですよ。そしたら、多くの人からコメントでお叱りを受けまして。
 もう一度映画を観直してみたら、そんなシーンはなかった……という。
 どうやら「ファウンド・フッテージ」の影響で、ありもしない場面を見たと思い込んでしまったようだ……ということになったのですが。

……という経緯だったのですが、今度は「ファウンド・フッテージ」のコメント欄に読者の方からコメントがありまして。
「TALK TO ME トーク・トゥ・ミー」だけでなく「ファウンド・フッテージ」にも、白い男の出てくるシーンなんてなかった!というのです。

 ステマではないか?とまで言われてしまったのですが。
 断じてステマなどではないです! 僕はこの映画と何の利害関係もないですし。
 白い男のシーンを僕は確かに見て、その記憶を元にして前の記事を書いたのです。それ以外に他意は決してありませんでした。

 なのですが、「TALK TO ME トーク・トゥ・ミー」でも僕はありもしないシーンを見ちゃっているようなので。実は映画と関係なく、僕が個人的に呪われてるのかもしれない。
……って、それちょっと怖すぎるんですけど。

 という訳で、あらためて緊急アンケートをとりたいと思います!
「ファウンド・フッテージ」を観たという方、「白い男」のシーンがあったかなかったか、ぜひ情報をお寄せいただければと思います。
 その際に、いつ、どこの上映で観たかもあわせて教えていただければ、と。
 該当シーンは映画の終盤、カメラがヨウコを追いかけて神社の奥の洞窟に入って、闇の中を進んでいくシーンにあるはずです。
 一瞬ですがサブリミナルというほど極端に短いものではなく、はっきりと見えたので、見落とすことは少ないと思うのですが。

 という訳で、この謎が解けないと怖くて夜も眠れないので!
 どうかご協力を、よろしくお願いいたします。

 ※

(「MOJIの映画レビュー」12月26日記事のコメント欄より)
2023-12-26 22:10
通りすがり Wrote
こんにちは!ぼく自身は「ファウンド・フッテージ」まだ観られていないのですが、観た方のブログを見つけましたよ。
結構な酷評ですが!
この記事の中に、「白い男」の話が出てきます。
参考になるかもなので、のぞいてみてください。それではこれからもがんばってください!
(該当ブログへのリンクURLを省略)

 ※

(ブログ「コロ助のシネマ談義」より)
2023年11月28日更新

「ファウンド・フッテージ」
結局何も起こらない、思わせぶりなだけのクソ映画 10点

 いや〜ひさびさに正真正銘のクソ映画に当たってしまった。
 大抵のクソ映画は、面白いところもあるけどここはヒドイとか、全体的にヒドイけど光るものもあるとか、言えるもんだけど。
 この映画は、いいところひとつもなし! あえて言おう、ゴミであると。

 今はやりのモキュメンタリー形式。映画を撮りにきた若者たちが行方不明になって、彼らが撮ったビデオの映像だけが残されたという設定なのだが、それって「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の丸パクリだ。
 パクリでも、新しい工夫が何かあればいいのだが。これはただパクっただけ。何の新しさも見当たらない。

 ニセドキュメンタリー形式なので、映像はすべて手持ちのビデオカメラで撮った画像だ。これがもう、ものすごく見づらい。
 手持ちだから手ブレしまくりだし、画質も粗く、観ているうちに気持ち悪くなってくる。
 それでお話が面白ければまだ我慢もしていられるが、とにかくつまらない。何も起こらない若者たちのやりとりがダラダラと続くだけ。
 書いていても腹が立ってくるが、これはもう映画の体をなしていない。素人のホームビデオの方がまだ観られるくらいじゃないだろうか。

 話はあってないようなものだ。個性のない、見分けもつかないような連中が、一人ずつ何かに襲われ、行方不明になっていく。
 その「何か」は最後まで画面に映ることはなく、何が起きてるのかもわからない。
 カメラを持った奴が何やら怪しい気配を感じ、逃げ始めて、そこらを走り回り、やがて追い付かれて捕まる……という繰り返しなのだが、設定に縛られて違う見せ方もできない。ひたすら同じことを人数分繰り返すだけだ。
 残されたカメラは別の人物が拾い上げ、今度はそいつが視点人物になって、そして次はそいつが襲われる。それをリレーみたいに繰り返して、カメラをバトンタッチしていく。設定上そうするしかないのだが、いくらなんでも不自然だ。

 最後の方は生き残った女の子が何者かに連れ去られ、もう一人残った男が助けようと追いかけるという展開になって、多少は盛り上がるかと思わせるが、それも虚しい。そんな必死な状況なのに、律儀にカメラを離さず撮影をやめない。自分で作った設定にハマって、矛盾になってしまってる。
 女の子がさらわれるところでは、人間の集団がさらったかのような描写になっているのに、後の方になるとそんなことは忘れられて、異世界の魔物がいるような話になってしまう。話が一貫していない。

 神社の奥の洞窟が異世界と繋がっていて、魔物はそこから出て来たと言いたいようだが、伏線もなく説得力がない。カメラが洞窟の中に入ると真っ暗で、いよいよ何が何やら分からない。
 この闇の中で、一瞬だけこっちに向かってくる何者かが見えた時はちょっとドキッとしたけど。
 いや、何だか全裸の真っ白な男がこっちに向かって走ってくるのが一瞬だけ映るのだけど。伏線もへったくれもない。これだけ引っ張ったあげくに出現するのが全裸の変態男では、いくらなんでもあんまりだ。
 一瞬だったのでよく見えなかったけど、大事なところまで映っちゃっていたのでは?

 この男にしても、映るのは一瞬だけなので、何者だったのか謎のまま。
 何の真相も明かさないままギャーギャー逃げまどったあげく、最後に残った女も洞窟を出たところで倒れ、カメラは放り出され、まさにほったらかしで映画は終わってしまう。
 なめるな!と叫びそうになったよ。数人しかいない客はみんな同じ気持ちだっただろうから、叫んでも怒られなかったと思うけどね。

 最後まで、まったくいいとこなしだった。なぜこれを映画館で上映しようと思ったのか……。
 神社に入っていくところとか、平気で土足で踏み荒らしていたし、洞窟の祭壇でもお札やお供え物を踏みにじっていた。
 どこでロケしてるのか知らないけど、これバチが当たるんじゃないだろうか。
 というか、バチが当たって欲しい。

 唯一良かったのは、最後に残る女を演じていた女優がまあまあかわいかったことくらいだ。
 それでどうにかオマケの10点。映画自体は0点だな。

 ※

(「MOJIの映画レビュー」より)
続報:「ファウンド・フッテージ」の緊急アンケートについて
2024-01-04 01:09
テーマ:ファウンド・フッテージ

 皆さんあけましておめでとうございます。今年もぼちぼち映画を観て、感想を書いていこうと思っております。どうぞよろしくお願いします。
……なのですが、去年からの宿題を抱えたまま、年越ししてしまいました!
 まずはこれを片付けないと、新年の気分にもなれない。
 という訳で、新年一発目からで恐縮ですが、「ファウンド・フッテージ」の記事になります。

 アンケートにご協力ありがとうございました。いくつか、有力な情報が寄せられました。
 まず、「ファウンド・フッテージ観たよ!」という報告は14人。
 これが多いのか少ないのか……まあ、もっとたくさんのフォロワーを持つ人がSNSで聞いたら、はるかに多くの情報が寄せられそうな気はしますが。
 あるいは、そうでもないのかな。何しろ観た人の絶対数が少なそうなので。

 うち8人は2023年11月8日、東京での上映を観た方でした。
 どうやら、東京でも上映はその一回だけだったみたいです。だから本当に、観た人が少ない。
 6人は僕と同じ、12月8日大阪での上映を観た方でした。

 で、問題の「一瞬だけ映る白い男」なんですが。
「そんなものは見なかった」という人が、14人中11人。
 ただし「たぶん見なかったと思う」「見たかどうか覚えていない」「途中から寝ていたので分からん」という方も含みます。
「それらしいものを見た」という人が3人。

miu777さん「東京での上映で、白い男のようなものを見た気がします。一瞬だったので、あまり自信はありませんが、MOJIさんの記事を読んでそう言われれば男だったかも……と思ったのです」

名無しの権兵衛さん「東京で観た。白い男を見たと思う。普通に映画の一部だと思っていたので、見えない人もいると聞いてびっくり」

村上さん「たぶん男を見た気がしますが定かではありません。白い女だったかも。映画を観たのは大阪です」

 更に、前回記事のコメント欄で教えていただいたブログがあります。
「コロ助のシネマ談義」という、10年以上の歴史を持つ老舗の映画ブログです。「ファウンド・フッテージ」の今のところ当ブログ以外で発見できた唯一のレビュー記事なのですが。
 この著者の方も、「白い男」を見たと書いておられるのですよ。
 見た箇所も同じ、内容もほぼ同じであるようなので、僕と同じものを見ている人が少なくとも一人はいる訳です。

 記事の日付から考えて、11月8日東京での上映を観た方と思われます。
 ブログの著者の方にメッセージを送ってみたのですが、今のところ返答はないです。

 どうも、まだまだ謎の多い感じです。「ファウンド・フッテージ」でこんなに引っ張ることになるとは思わなかった。
 そんなに気になるなら、作った人に聞いてみては?というご意見もいただくのですが。この映画に関しては、作った人の情報もほとんどないんですよ。前に書いたように分かっているのは監督とキャストの名前くらいだし、その名前で検索してもまるっきりヒットしない。
 どなたか、この映画の制作者につながる情報をお持ちの方も、お知らせいただけると嬉しいです。こうなったら、ちょっと頑張って調べていきたいと思ってるので!

 考えすぎるせいか、あの後何本か映画を観てるんですけど、そこにも「白い男」が出てきちゃっているんですよ。
 ホラー映画ならまだしもなんですが。カウリスマキの「枯れ葉」やヴェンダースの「PERFECT DAYS」にまで……となると、嫌でしょう、かなり。
 という訳で、映画館からも足が遠のいてしまっています。またアレを見ちゃったら……と思うと。
 早めに疑問を解消して、呪い?から解放されたいと思います。引き続き情報をお待ちしています!

 ※

(「MOJIの映画レビュー」1月4日記事のコメント欄より)
2024-01-04 20:18
SUZU Wrote
MOJIさん、あけましておめでとうございます! SUZUです。
今年もよろしくお願いします!
なんだか大変なことになってきましたね。
役に立つか分からないのですが「ファウンド・フッテージ」の製作会社と思われるものを見つけました。
NOBODY Incという会社です。
(ホームページへのリンクあり)
「ファウンド・フッテージ」を上映した大阪の映画館(MOJIさんが記事に書いてたので)に問い合わせたところ、教えてもらえましたよ。
ホームページに窓口があったので、メールで問い合わせてみてはと思います。
もうご存知だったらすみません! 早く解決して、また楽しい映画レビューを読めるのを楽しみにしています。

 ※

(コメントへの返信)
2024-01-04 23:05
MOJI Wrote
SUZUさん、あけましておめでとうございます。コメントありがとうございます!
制作会社についての情報提供、ありがとうございました。
わざわざ映画館で聞いていただいたんですね。本当に感謝です!
メールを出して尋ねてみようと思います。

 ※

(「MOJIの映画レビュー」1月4日記事のコメント欄より)
2024-01-05 10:55
通りすがり Wrote
これ、MOJIさんじゃないですか?
(リンクURL)

 ※

Dr.井桁の心の悩み相談室(2023.12.22更新)

【#0249】全裸の男に追われています
Q: 40代男性です。趣味は映画鑑賞です。
ここ最近、私を追いかけてくるものがあります。それは全裸の白い男性です。おそらくは洞窟にいた男と同一人物と思われますが、必ずしもはっきりとは姿を現さず、映画のスクリーンの中にいて、ライトの届かない暗闇や柱や看板の影などに隠れているので定かではありません。しかしそれが存在するのは確実で、その証拠に映画のストーリーはめちゃくちゃになってしまいます。ホラーを観る時だけでなく、ドラマ映画でも恋愛映画でも、何でも出てくるのでノイローゼになりそうです。かといって映画を観るのをやめると、全裸の男に私が気づいていると知られてしまうので、映画館に行かないわけにもいきません。そうこうするうちにだんだん近づいてきている気がします。そろそろスクリーンから出てきそうです。私を捕まえようとしているのが分かります。逃れるためには、私は洞窟に行かなければならないでしょうか。

A: あなたは統合失調症だと思います。洞窟に行く必要はありません。精神科を受診して治療を受ければ、あなたの感じている状況は改善します。なるべく早く受診して、担当の先生にありのままの体験を話してみることをおすすめします。そうすれば、心おきなく映画を観ることができるようになるでしょう。

 ※

2024年1月5日に発送されたメール
NOBODY Inc ご担当者様
突然のご連絡、失礼いたします。
私は映画レビューブログ「MOJIの映画レビュー」を執筆しております、MOJI(海藤文字)と申します。
実は、御社が製作・配給された映画「ファウンド・フッテージ」についてどうしてもお伺いしたいことがありまして、メールをさせていただきました。

私は2023年12月8日に、大阪のヌーヴェル・シネマで20時50分より上映された「ファウンド・フッテージ」を観ました。
その際、映画終盤の洞窟内のシーンで、一瞬だけ「白い男」がインサートされる場面があったと記憶しております。
奇妙な話なのですが……実はそれ以来、別の映画を観ても、映画の中で一瞬だけ「白い男」が現れるという現象に悩まされているのです。

信じられないと思いますが、嘘ではないのです!
本気で悩んでおります。映画を観ることを何よりの趣味とする者にとって、観る映画のすべてに一瞬とはいえ「関係ないシーンが現れる」ことを想像していただくと、いかに最悪な事態であるか、分かっていただけるのではないかと思います。
「ファウンド・フッテージ」以降、「TALK TO ME トーク・トゥ・ミー」「みなに幸あれ」「枯れ葉」「PERFECT DAYS」と4本の映画で、この現象に見舞われてしまっております。

なぜこのような現象が起きているのか、正直まったく分かりません。
ブログでアンケートをとってみたところ、私と似たものを見ていると思われる方が数人、見つかりました。
なので、私の個人的な問題であるとは言い切れない、と思っているのですが。
不安を解消するためにも、いくつか質問に答えていただけるとありがたいと思っております。

質問1
「ファウンド・フッテージ」終盤(ヨウコが洞窟に入ってから、祭壇のある空間に出るまでの間)において、「闇の中に浮かぶ白い男」が一瞬だけ映るシーンは、実在しているでしょうか?

質問2
「ファウンド・フッテージ」にサブリミナル効果などの、見るものに暗示をもたらす仕掛けがされているということはあるでしょうか?

質問3
「ファウンド・フッテージ」が製作された経緯を教えていただくことは可能でしょうか?
スタッフまたはキャストの方のどなたかに、話をお聞きすることが可能であれば、ぜひお願いしたいと思っています。

映画の戦略上、明らかにできないこともあるのかもしれないですが。
伏せておくべき事柄でしたら、その旨をお伝えいただければブログには掲載しないようにします。

あらためて書いてみると、信じられない奇妙な話なのですが。本人としては、かなり本気で悩んでおりまして、恥ずかしながらこのようなメールを出させていただいた次第です。
お忙しい中お手数ですが、可能なところだけでもご返答いただければと思います。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

 ※

1月4日記事のコメント欄より
2024-01-06 02:58
名なし Wrote
「ファウンド・フッテージ」にかかわるのはやめた方がいい。
あれは映画ではない。

 ※

(「MOJIの映画レビュー」より)
続報その2:「ファウンド・フッテージ」について
2024-01-08 01:41
テーマ:ファウンド・フッテージ

 このところ、まともに映画レビューが書けていません……楽しみにされている方(もしいたら!ですが)申し訳ありません。
 前回の更新以降、映画自体はいくつか観てるんですが。なんとそのいずれにも、例の「白い男」が現れておりまして。
(「白い男」が何のことか分からない方は一連の「ファウンド・フッテージ」記事をご覧ください)
 正直、映画に集中できない。没頭してても我に返っちゃうし、気になるとそればっかり待ち構えて映画の筋が分からなくなってしまいます。
 観た映画、どれもいい映画だった気がするんですが。うろ覚えで、まともなレビューは書けそうもない感じです。

 何人かの方にコメント欄で言っていただいているのですが(リアルでも、親とか友人とか周囲の者に言われてしまってますが)、精神科を受診すべきなのかな……とは思います。
 ただ、精神症状であるとしたら、「映画を観ているときだけ発症する」というのはちょっと奇妙じゃないかとも思うのですよね。
 何らかの精神疾患だとしたら、映画を観てるときだけに限らず、普段からおかしなものが見えるのではないかと。

 じゃあ何なんだ……ということになるのですが、ふと思ったのは、これは暗示なのではないかと思ったのです。
「ファウンド・フッテージ」という映画には、何か人に強い影響を与えるような、強力な暗示効果が込められていたんじゃないか。
 サブリミナル効果ってありますよね。意識に止まらないような一瞬の映像を混ぜることで潜在意識に働きかけて、ものを買わせたりする。

「白い男」はサブリミナルというよりははっきりと見える映像でしたが。
 でも、目に見えた映像以外にも、実は何かが仕掛けられていたのかもしれない。
 サブリミナル効果は、テレビなどでは禁止されてるそうですが。でも「ファウンド・フッテージ」はインディーズ映画ですからね。話題作りのために、そういうこともやるかもしれない。

 そんなふうに思うのは、僕以外にも「ファウンド・フッテージ」を観たことで同じ症状に悩んでいる人がいるようだからです。
 以前の記事で少し触れた、映画レビューブログ「コロ助のシネマ談義」の人です。この方は「白い全裸の男」という表現をされてますが、僕と同じものを見ているものと思われます。
 この方によるものと思われる投稿を、別のサイトで発見したのです。「Dr.井桁の心の悩み相談室」という、精神科医がメールで悩みに答えるサイトなのですが。
 そこに「白い全裸の男が迫ってくる」という相談があったんですよ。
「現実じゃなくて、映画のスクリーンの中に出現して追いかけてくる」ということを真剣に相談してる。
 実はこれ、読者の方に「これMOJIさんじゃないですか?」って教えてもらった相談です。僕ではなくて、たぶん上記ブログのコロ助さんだと思うんですよね。「全裸の男」という表現が一致するので。
 心配なのは、この方がかなり心のバランスを崩してしまっているように見えることです。精神科医の方には「統合失調症だから病院へ行け」って言われてしまってる。
「コロ助のシネマ談義」もずっと更新が止まったままです。コメントやDMで連絡を取ろうとしているのですが、今のところまだ返答はもらえていません。

 もし本当に映画に何か仕掛けられているのだとしたら、実際に影響を受けて病んでしまってる人がいるので、これはかなり問題です。
 それで現在、「ファウンド・フッテージ」の製作元と思われる映画会社に問い合わせをしています。こちらも、まだ返事はもらえていませんが……。

 この会社にしても、簡単なホームページしかなく、ほぼ情報がないのが現状です。
 いろいろと、だんだん洒落にならない状況になってきたので、頑張って食い下がって調べていこうと思っております。
「ファウンド・フッテージ」について、またその製作者のどなたかについて、情報をお持ちの方はお知らせいただければありがたいです。引き続きよろしくお願いします。

 ※

(「MOJIの映画レビュー」1月8日記事のコメント欄より)
2024-01-11 03:49
名なし Wrote
「ファウンド・フッテージ」にかかわるのはやめた方がいい。
あれは映画ではない。

 ※

2024年1月12日に発送されたメール
MOJI様
いつも大変お世話になっております。
NOBODY Inc 営業部の坂内と申します。
平素は弊社の映画作品をご鑑賞いただき、誠にありがとうございます。
弊社配給作品「ファウンド・フッテージ」に関してのお問い合わせについて、可能な範囲でお答えさせていただきます。

「ファウンド・フッテージ」なのですが、こちらは実は純粋な弊社製作作品ではございません。
完成品の形で外部から持ち込まれた作品です。そしてそれは、実際に現場に遺棄されていた映像を回収したものとされております。
つまり、映画の中で紹介したそのままであるということです。「ファウンド・フッテージ」はドキュメンタリーなのです。

……というのが、この映像を弊社に持ち込んだ人物の主張するところになっております。
その真偽は、申し訳ありませんが、弊社でも把握はしていないというのが現状になります。
こういう、モキュメンタリー作品というのはプロレス的な性質もありまして。創作であるかそうでないか、犯罪的な事象が記録されていたり、盗作であったりしない限りは特に気にしないというのが正直なところです。

本作品が現在のところ限定的な公開にとどまっているのは、そのような事情にもよるものです。
本作品を持ち込んだ人物とは現在定常的な連絡がとれていない状態です。従って、今のところ今後の上映の目処も立っておりません。

ご質問にありました「瞬間的なインサートシーンの有無」「サブリミナル的な仕掛けの有無」につきましては、そのようなものは確認していないというのが弊社の立場になります。
私自身、本作品は鑑賞していますが、ご指摘のようなシーンは記憶にございません。
ただ、上記のように製作者と連絡がつかない状況なので、サブリミナルのような知覚できないレベルの仕掛けに関しては、もしあったとしても分からないというのが回答になります。

MOJI様におきましては、映画鑑賞に支障をきたす事態になっているとのことで、ご心痛をお察しいたします。
ただ、その因果関係は弊社には予測のしようもなく、実際に関係あるかどうかも分からないとしか言えないことをご了承いただきたく存じます。

最後に勝手なお願いなのですが、本メールの内容につきましては、ブログ等での公開はお控えいただきますようお願いいたします。

それでは、今後もますますのお引き立てをよろしくお願い申し上げます。

NOBODY Inc
映画営業部 坂内翔太

 ※

(ブログ「SUZUの映画館に行こう!」より)
突撃! 謎の映画会社 の巻
2024-01-15 17:12
テーマ:日記

 みなさんこんにちは! SUZUです。ドキドキ映画ライフ、楽しんでいますか?
 今回はいつもと変則的なんですが、謎の映画会社に突撃〜!してきたので、そのリポートを書きたいと思います。

 謎の……というのは、NOBODY Incという映画製作会社です。
 なぜ謎か?ということに関しては、「MOJIの映画レビュー」さんの記事を見ていただくと分かると思います。

 MOJIさんは私が愛読している映画レビュアーのブロガーの方です。
「ファウンド・フッテージ」という映画を観て以来、謎の現象に悩まされているのです。どんな映画を観ても、「全身真っ白の男」が一瞬、画面に現れるという現象です。
 MOJIさんの身に何が起きているのか謎で、本当に心配なのです。

「ファウンド・フッテージ」はネット上に全然情報が出ていない映画なのですが、上映された映画館に聞いて、製作会社を突き止めることができました。
 それがNOBODY Incという会社です。NOBODY……誰でもない? 社名からも謎の匂いがぷんぷんしますね。
 MOJIさんにお伝えして、MOJIさんもメールで問い合わせをされたようなのですが、返事はもらえていないようです。

 で、ほとんど何も書いていないホームページをよく見たら、この会社は名古屋にあるじゃないですか!
 偶然にも、私の近所。生活圏内です。
 これはもう、行くしかあるまい!ということで、果敢に一人で突撃取材をぶちかましてきました。
(MOJIさんには内緒で行動してしまいました! 勝手な行動をしてすみません!)

 NOBODY IncさんはJR鶴舞駅から歩いて十分ほどの、住宅街のごく普通のマンションの一室にありました。
 ピンポンして事情をお話しして、かなり怪しまれたんですが、どうにか通していただいて、お話をお聞きすることができました。

 お話をお聞きしたのは、営業部のSさん。
NOBODY Incさんは「震える指」「因習村リビングデッド」「アンダーグラウンド・リチュアル」などのインディーズホラー映画を製作されている会社だそうです。(どれも未見ですが……)
 ただ、その中で問題の「ファウンド・フッテージ」だけは、自社製作ではなく外部からの持ち込み作品であるということです。
ここで、驚きの事実が判明しました!

 なな、なんと……!「ファウンド・フッテージ」は正真正銘、本物のファウンド・フッテージだった!
……ややこしいですね。要は作られた劇映画ではなく、本当に現場に残されていたビデオカメラに残っていた映像であるということですね。
 みんな、偽のドキュメンタリー……いわゆる「モキュメンタリー」だと思って観ていたのだけど、実は本当に本物の、嘘のないドキュメンタリー映像だったというのです。

 ということは、映像に映っていた6人の人たちは本当に失踪したことになる訳ですが。
 そんな事件が本当にあったのか……までは、Sさんも把握されていないようでした。
 私も帰ってからニュースを検索したりしてみたのですが、まだ調べきれていないです。この点については、引き続き調べてみたいと思っています。

「ファウンド・フッテージ」が本物の怪奇現象を捉えた映像なのだとしたら、そこに映っていた「白い男」も本物の悪霊ということになりますよね。
 映画の登場人物たちを襲った悪霊が、録画された映像の中に入ってしまって、それを観たMOJIさんに取り憑いて、映画のスクリーン越しに近づいてきている……?
 そうだとしたら、MOJIさんはかなりヤバイのでは……?

 映像を持ち込んだという人が、どうやって映像を手に入れたのか。
 あの村や洞窟はどこにあるのか。
 詳しいことを聞きたかったのですが、Sさんも知らないみたいでした。
 かえって謎が増えた感もありますが、この件についてはまだまだ追及していきたいと思います。ご期待ください!

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-01-15 21:30
SUZUさんこんにちは! 今回はDM機能で失礼します。
ブログを見て、びっくりしました。NOBODYさんの会社に直接行かれたんですね。すごい行動力!
本来こちらでやるべきことを代わりにやっていただいてるようで、恐縮です。

お伝えしなければいけないのは、実はこちらもNOBODY Incさんから返事をいただいていたということです。
「ファウンド・フッテージ」が持ち込み作品であること、本当に遺棄された映像だった(というテイである)ことも、教えてもらっていました。
公表しないよう言われていたので、ブログも書かなかったし、SUZUさんにもお伝えしていませんでした。すみません!

ただちょっと、細かいニュアンスは違っていたような。
「ファウンド・フッテージ」が本物であるとして持ち込まれたのは事実ですが、NOBODY Incさんはそれについては半信半疑というか。
まあ、作り物であることは分かった上で、相手の言い分に乗ってるって感じでしたよ。担当者さんは「プロレス」って書いてました。

あと、僕は「ブログでの公開は控えてくれ」と言われたんですが、SUZUさんはそう言われませんでしたか?
公開しちゃって大丈夫でしょうか……すいませんちょっと気になったので!

 ※

(ダイレクトメッセージ SUZU→MOJI)
2024-01-15 23:15
MOJIさんありがとうございます〜!
お気遣いありがとうございます。なるべく公表して欲しくない的なことはやんわりと言われた気がしますが、でもそれは別に強制力ないですよね。
というかMOJIさんが今まともに映画が観られずレビューも書けない状態になっちゃっているのは「ファウンド・フッテージ」のせいなので、彼らはどうこう言える立場じゃないですよね。
私はMOJIさんに元のようにレビューを書いて欲しいんです!
それに自分でもかなり好奇心が出てきてしまってるので。別にMOJIさんのためだけで動いてる訳ではないのでお気遣いなく。
また何か分かったらお知らせします!

 ※

ブログ「コロ助のシネマ談義」より
2024年1月22日更新

読者の皆さま

 当ブログ管理人コロ助の妻です。
 当ブログ管理人のコロ助ですが、1月14日に急逝いたしましたことをお知らせいたします。
 皆さま驚かれるかと思いますが、映画鑑賞中の突然死でした。あまりにも突然のことで深い悲しみに暮れていますが、何よりも映画を観ることを愛した主人らしい最期だったとも思います。
 当ブログをご愛読いただき、生前に主人と親交を結んでいただいた皆さま、誠にありがとうございました。
 なお、コメント欄は勝手ながら閉鎖させていただきます。しばらく後に、このブログは削除させていただきます。

 ※

2024年1月24日に発送されたメール
MOJI様
バタバタしていて、ようやくメールに気づきました。失礼しました。
ブログでお知らせしました通り、「コロ助のシネマ談義」ブログ管理人であった主人は1月14日に急逝しました。
映画館の座席に座ったままの突然死で、他の観客の方も誰も異常に気づかず、映画が終わった後に映画館スタッフの方に発見されるという最期でした。
検死によれば、死因は心臓発作であるとのことでした。

MOJI様のお尋ねでした「白い男」は、確かにこの一ヶ月ほど、主人の悩みの種になっていました。
どの映画を観ても、一瞬だけ白い裸の男が映っているのだと主人は言っていました。非常に嫌がっている様子でしたが、それでも映画館通いはやめませんでした。
唯一の趣味なので止めませんでしたが、今となっては悔やまれます。
「白い男」ですが、主人は「ハクソウシン」という呼び方をしていました。ネットや図書館などで熱心に調べて、あれはそういうものであるとの結論に至ったようです。

私はそれを主人の妄想だと考えていましたが、MOJI様が同じ症状を体験しておられると知って驚きました。しかも、同じ映画を観たことがきっかけなのですね。
私には訳が分かりませんが、もし「ハクソウシン」が何なのかお分かりになりましたら、ぜひ教えていただきたいです。
主人の死に何らかの原因があったのであれば、知りたいと思っています。

 ※

(Wikipediaより)
白痩神
 白痩神(はくそうしん)とは、日本に伝わる伝承で、黄泉の国の門番を務める死者の神。現生と黄泉の国との境界を乱した者を追いかけ、黄泉の国に連れ戻すとされる。

^概要
 白痩神に関する最古の表記は平安時代に成立した日本霊異記に見られる。その多くは古事記のイザナギ・イザナミ神話からの派生である。死んだ妻に会うために黄泉国を訪れ、振り返ってはならないという禁を犯して、妻の腐敗した姿を見てしまったために追われるというイザナギ・イザナミ神話によく似た形のいくつもの説話が見られるが、その中で黄泉の門を超えて現世まで追いかけてくる役割を果たすのが白痩神である。
 死体のような真っ白な体を持ち、骨と皮のように痩せこけている。その肌は弾力がなく、指で押すと凹んだまま戻らない。死・疫病・老化・腐敗などあらゆるタナトスの化身。生ける者に強い嫉妬の念を抱いており、激しい憎悪を持って生者を死の世界に引き摺り込もうとする。
 白痩神は多くの説話で「見るなの禁」と共に描写されており、逆に言えば「見てしまう」ことがなければ狙われることはない。この説話構造には、死を直視することを禁忌とし視界から遠ざけることで穢れを避けようとする当時の考え方が反映されていると考えられる。疫病から距離をとらせるための経験則的な知恵であるとの説もある。
 あらゆるものに神を見い出す日本人だが、白痩神は死体の神格化ということができる。

^出典:「白痩神と地方の怨霊信仰」(1994 山下篤郎)



PART 2

NOBODY Incオフィシャルサイト告知ページより(1月30日公開)

映画「ファウンド・フッテージ」再上映のお知らせ

 観たら呪われる? ネットで話題騒然のインディーズホラードキュメント映画、いよいよ待望の再上映が決まりました。

 住民の消えた廃村に、映画撮影にやって来た若者たち。誰もいない村には不気味な何かの気配が漂い、若者たちは一人また一人と消えていきます。
 そして残された二人に迫り来る想像を絶する恐怖……!

 廃村から実際に回収された「発見された映像」ファウンド・フッテージ。
 来歴の怪しさから、限定上映にとどまっていた幻の作品が、「観てしまった」人々の口コミによって噂を呼び、大きな話題に。
「観たい!」「どうすれば観られるのか?」の声が弊社に殺到しました。
 熱烈なリクエストに応え、東京・大阪・名古屋の三会場にて、一夜限りの限定再上映を行います。
 現在のところ、再々上映の予定はありません。この機会に、どうぞお見逃しなくご鑑賞ください。

メッセージ
 映画監督の大森昇です。一応、監督としてクレジットされておりますが、本作に関しては私はほとんど関わっておりません。友人から預かった映像の一部を編集して観やすく微調整し、冒頭と最後に説明の字幕をつけただけです。本作の内容は、私が創作したものではないことを宣言しておきます。
 昨年末の限定上映の後、本作は一部で話題になったのですが、それはポジティブな話題だけではないことはお伝えしておかねばなりません。本作を観ることで「奇妙な映像が見えるようになる」という異常現象が、限定上映をご覧になったお客様から報告されております。
 再上映の際に、どんな現象が起きるかは私たちにも未知数です。皆様には、どうぞ自己責任にてご鑑賞いただきますよう、お願いいたします。
映画監督 大森昇

再上映予定 2024年2月9日(金)
詳細は各劇場にお問い合わせください。

 ※

(ブログ「SUZUの映画館に行こう!」より)
「ファウンド・フッテージ」再上映決定! の巻
2024-02-01 16:22
テーマ:日記

 みなさんこんにちは! SUZUです。ドキドキ映画ライフ、楽しんでいますか?
 以前の記事で触れた、謎のドキュメンタリー?ホラー映画「ファウンド・フッテージ」ですが、再上映されることが決まりました。
 2月9日、東京・名古屋・大阪の3劇場で、1日限定・1回限定で上映されます。
 これを逃すといつ観られるか分からない作品です。皆さんお見逃しなく!
 限定上映な上に話題になってるので、満席になる可能性も高いと思います。観たい人は早めに予約した方がいいと思います。

 再上映は嬉しいのですが、何だかちょっと、宣伝にうまいこと利用されたのかなあ……という気持ちもあります。
 張り切って会社まで突撃して、向こうの言い分をそのまんまブログに書いて、今考えれば向こうの思う壺だったなあ、と。
 前回のブログ(私のブログ的には非常に多くのいいねをもらいました)では会社の言う通り、この映画は本物のファウンド・フッテージであるらしい、と書いたのですが。
 それも怪しいかも。作り手側の仕掛けにまんまと乗せられてるのかもしれません。
 そうだとしたら、なんか悔しい!

 この話題の始まりは「MOJIの映画レビュー」さんなのですが。
 こちらも、近頃は更新が途絶えているんですよね。
 それは、映画を観ると白い男が現れるという現象が起こってるから……とのことですが。
 このことも、再上映の宣伝に使われてました。
 ということは、もしかしてMOJIさんも最初からグル……?

 何だかいろいろと分からなくなってきちゃいましたが。
 どちらにせよこのままじゃ納得できないので、引き続き調べていこうと思っています。
2月9日の上映は私も観るつもりです!

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-02-01 20:45
SUZUさんこんにちは。
ブログを見ました。「ファウンド・フッテージ」の宣伝に関して、僕もグルではと疑われたようなのですが、断じてグルではないですよ!
彼らは僕のブログを見て、上手く宣伝に使ったのだと思われます。SUZUさんと同じですね。

それよりも、大事なことを伝えなくてはなりません。「ファウンド・フッテージ」を観に行ってはダメです!
以前ブログで紹介した「コロ助のシネマ談義」の方なのですが、亡くなったそうです。
それも、映画館で。映画の上映中の死です。
そして、僕と同じ「白い男」を見るという症状は、死の直前までずっと続いていたようです。

そこから、次のことが導けます。
①「ファウンド・フッテージ」を観ると、「白い男」を見ることがある。
②「白い男」は、映画館で観る他の映画について来ることがある。
③「白い男」を見続けると、死に至ることがある。

いずれも、必ずそうなる訳ではない、ならない場合もある、ようなのですが。
しかし少なくともある確率で、「観たら死ぬ」映画であると言える訳です。「ファウンド・フッテージ」は。

だから本当に、SUZUさんは観ない方がいいです!
というかそれ以前に、再上映もやめるべきだと思いますが。
NOBODY Incにもそう伝えるつもりです。

 ※

(ダイレクトメッセージ:SUZU→MOJI)
2024-02-01 21:12
MOJIさんこんにちは。
グルじゃなかったんですね。失礼しました。
ブログでそう決めつけて書いてしまったことはお詫びします。ただ、実際にどうかは分からないというのが正直なところです。

「ファウンド・フッテージ」を観るかどうかは……ちょっと迷います。
迷うけど、やっぱり観るだろうなと思います。ここまで来たら、好奇心を抑えきれないです。
観る機会がないならともかく、観られるのであれば、観たいと思ってしまいます。

あと、たぶんコロ助さんの死を伝えて再上映をやめさせるというのは、逆効果だと私は思いますよ。
彼らはまた宣伝に利用するだけだと思います。
「観たら死ぬ映画」なんて、ホラー映画としては究極のキャッチコピーじゃないですか!

 ※

2024年2月2日に発送されたメール
NOBODY Inc 坂内様
以前にメールでやりとりさせていただいた、「MOJIの映画レビュー」のMOJIです。
2月9日に予定されている「ファウンド・フッテージ」再上映の中止を検討してください。
「ファウンド・フッテージ」以降、映画館で観る映画に白い男が出現するという現象が起きていると、以前にお伝えしました。
その同じ症状の起きている方が、この度映画館で映画鑑賞中に亡くなりました。
「ファウンド・フッテージ」を観ることで、その後の映画鑑賞に支障をきたす、また場合によっては死に至るという危険性があります。
通常の因果関係からは不可解とは思いますが、生死に関わる事態である以上、上映を中止するのが道義的責任ではないでしょうか。
倫理的な判断をしていただきますよう、お願いいたします。

 ※

2024年2月3日にXに投稿されたポスト
映画監督 大森昇@Found Footage
2月9日再上映予定の「ファウンド・フッテージ」ですが、新たな事実が判明しました。限定上映をご覧になった観客の方が、映画館で映画鑑賞中に突然死されたそうです。理屈上、本作とその方の死との間には何の関係もあり得ませんが、超自然的な何らかの現象が起きている可能性はゼロではありません。どうか皆様には、くれぐれも自己責任の上でご来場くださいますよう、お願いいたします。

 ※

2024年2月5日に配信されたネットニュース
「観たら死ぬ? 禁断のホラー映画公開に渦巻く賛否!」
 2月9日に東京・大阪・名古屋の3都市で限定公開予定の大森昇監督「ファウンド・フッテージ」だが、この映画に関して不穏な噂がネットを賑わせている。なんと「観たら死ぬ」というのだから穏やかではない。
 実はこの映画、2023年11月に東京、12月に大阪で一度ずつ公開されている。新作映画としては極めて限定された公開にとどまっていたのは、本作の特殊な事情による。
「ファウンド・フッテージは劇映画ではありません」と大森昇監督。「実際に、失踪現場に残されていたカメラに残っていた映像を入手したものです。私は最低限の編集を加えただけです。その映像がどのようにして撮られたかは知るよしもありません」
 そんな特殊な本作を観た観客の一部から、映画の中に一瞬だけ「白い男」が出現するとの声があがっていた。それは本来は映画にはなかったはずのものだと大森監督は言う。
 不思議はそれだけでは済まなかった。「白い男」を観た観客は、その後も別の映画の中までも、「白い男」につきまとわれるというのだ。
「びっくりしましたよ、本当に。こんなのは予想外だ」と大森監督は戸惑いの表情を見せる。「ファウンド・フッテージが曰く付きの映画だとしても、それを観た観客が観る別の映画にまで影響を及ぼすなんて。とても信じられない。普通はそうでしょう?」
 そんな観客の一人が映画館で急死したことを監督が知ったのは、再上映が決まった後のことだった。再上映決行の決断に至るのは、葛藤があったと大森監督は言う。
「再上映を取りやめるべきか、とても悩みました。でも、知ったのがあまりにもギリギリでしたからね。今さら中止したら多くの方に迷惑がかかる。それに、呪いを理由に上映中止なんてことを言っても、誰も損失補填はしてくれないんですよ(笑)」
 ネット上では賛否両論がひしめき合い、大森監督への批判の声もあがっているようだが、呪いを客観的に証明するすべがない以上、上映中止に正当性を持たせるのは難しいだろう。監督の決断を責めるのは、お門違いに思える。
 2月9日に予定されていた上映は既に完売している。NOBODY Incでは、各会場で1回ずつの追加上映を決定したとのことだ。

 ※

(「MOJIの映画レビュー」より)
「ファウンド・フッテージ」について注意喚起
2024-02-06 23:35
テーマ:ファウンド・フッテージ

 本ブログで何度か言及している映画「ファウンド・フッテージ」の再上映が目前に迫っています。僕も、結果的にこの映画の宣伝をしちゃうような形になっていたかと思います。決してそのつもりではなかったのですが。
 僕の記事を見てこの映画に興味を持ち、再上映を観に行くつもりにしている人もいるかと思います。そういう方には、責任を感じてしまいます。

 今さら僕がこういうことを言って意味があるのか、また宣伝に思われるだけかもしれないのですが、観に行こうと思ってる人がこれを読んでいたら、何とか思いとどまって欲しいと思っています!

 この映画を観たら死ぬ……かどうかは、正直分かりません!
 現実的に考えれば、そんなはずがない、としか言えないのだけど。
 でも実際に、僕自身が奇妙なものを見ていて、そして死んでる人がいる訳なので。
 どうなるかは分からないとしか言えないけれど、「ファウンド・フッテージ」という映画が「もしかしたら死ぬ」というリスクを冒してまで観る価値のある映画かといえば、そんなことはない!ということだけははっきりと言えます。

 レビューでは割と褒めたことを書きましたが、それはあくまでも偶然出会ったB級映画で、ハードルを限界まで下げ切った状態で観た上での「思ったよりは良かった」であって。
 マトモなホラー映画はだいたい見尽くした一部のマニアに向けた、好意的なレビューだった訳です。
 だからね。今の過剰に話題になって、幻の映画、究極のホラー映画みたいな期待が高まって、みんなのハードルが高まりまくった状態では、観れたもんじゃないだろう!と思うのです。

 こういう書き方は、営業妨害になるのかな。向こうも僕の書いたものを勝手に宣伝に使ってるのだからいいよね。
 ともかく、どうしても映画を観て死ぬんであれば、もうちょっとマシな映画を観て死ぬ方がいいんじゃないかな?とだけ言っておきたいと思います。

 ※

(ブログ「SUZUの映画館に行こう!」より)
ついに観た!「ファウンド・フッテージ」の巻
2024-02-10 20:25
テーマ:ホラー映画

 みなさんこんにちは! SUZUです。ドキドキ映画ライフ、楽しんでいますか?
 ついに観ましたよ! 話題の映画、ファウンド・フッテージ。
 私は名古屋キネマで観ましたが、満席でした! あのミニシアターであそこまで人が溢れてるの初めて見た。
 東京も大阪も同様だったみたいですね。
 熱気がすごくて。もはや映画の内容はさておき……って感じで、お祭りみたいでしたね。

 私が観たのは最初に発表された18時からの回で。
 追加上映が急遽発表されてましたが、その後の20時からの回も満席みたいでした。入れ替わりの時、ごった返してたから。
 観終わった人がみんな、ネタバレを口にするのでね。喋るな!とか言って、小競り合いまで起きてましたよ。
 まあこれだけ別の意味で話題になったので、観終わった後で話したくなるんですが。

 映画の内容については既にMOJIさんのブログが詳しいので、観終わった後のロビーで話題になってた話をします。
 それで結局、「白い男」はいたの? いなかったの?って話です。
 結論から言いますと、いました。普通にはっきりと。
 終盤の洞窟の中のシーンで、真っ暗な中で全身真っ白で痩せた裸の男が一瞬、フラッシュみたいに浮かび上がるのが見えました。

 でもこれ、全然サブリミナルな感じじゃないんですよ。はっきり見える。
 映画が終わった後、周りの席にいた全然知らない人たちに、思わず話しかけて確認しちゃいました。「普通に見えましたよね?」「……ねえ?」って。
 ロビーで皆が口々に話して、今から観る人と喧嘩になってたのもその件で。「見たよな!」「俺も見ちゃったよ、どうしよう!」なんて言ってはしゃいでる人もいたけど、多くの人はしらけていた気がします。
 だって、あまりにもクッキリはっきりし過ぎてるんだもの。

 私は思うんですけど、あれ、話題を当てこんで後からわざわざ入れた映像なんじゃないのかな?
 MOJIさんが見たものとは、別である気がします。あれに気づかず見過ごす人がそんなにたくさんいるとは思えない。

 そこから考えられるのは、やはりこの映画は信用ならないな……ということ。
 この映画がノンフィクションだったというのは、やっぱり嘘なんじゃないかと思います。わざと限定上映にしたのも、ネット上での噂を煽ったのも、全部予定通りの宣伝だったんでしょうね。
 実際うまいこと大当たりで、再上映は満員になった訳だから。

 ただそうなると、MOJI​さんやコロ助さんが見た映像はいったい何だったのか?ということになりますね。亡くなったコロ助さんはともかく、MOJIさんがグルではないとして……ですが。
 私が思ったのは、この映画自体どうも怪しいけれどそれでもなお、やっぱりそこには何かがある……という可能性もあるんじゃないかということです。

 はっきり見えた「白い男」はいかにも雑な作りだったけど、実はそれ以外に、人によって見えたり見えなかったりする「何か」も確かにあったんじゃないか。
 というのは、私自身ちょっとはっきりとはしないのですが。何か見ちゃった気もするんですよね〜。はっきり見えた「白い男」以外に。
 画面の端の方で、何かこちょこちょ、見え隠れしていたような。
 それが人かどうかも分からないのだけど……でも確かに、そいつの視線は感じたような。
 何かふと、そいつに「見られた」ような気がしたような。

 ガチであるのかフェイクであるのかを抜きにしても、「ファウンド・フッテージ」がどのように撮影されたのかは全然情報がない。ロケ地も出演者も、不明なままなので。
 何とかもうちょっと、核心に迫っていきたいと思います。このまま適当には終わらせませんよ!

 ※

2024年2月10日に配信されたネットニュース
「観たら死ぬ? 禁断のホラー映画がついに上映!」
 2024年2月9日、大森昇監督「ファウンド・フッテージ」が東京・大阪・名古屋の三会場でそれぞれ2回限りの限定公開という形で上映された。2023年11月の公開以降、一部界隈で「観たら死ぬ」呪われた映画として話題になっていた作品だ。
 東京での会場となった新宿ケースシネマには、午後8時以降のレイトショー上映にも関わらず​多くの映画ファンが詰めかけた。死ぬかもしれない噂も恐れずに、話題の映画を身をもって体験しにきたディープなホラー映画ファンたちだ。
 第2回の上映終了後には、本作の編集を担当した大森昇監督がサプライズで登壇し、観客と一問一答のティーチインが行われた。映画を観たばかりの「熱い」観客たちと、深夜にも関わらず丁々発止の痺れる議論が繰り広げられた。以下はそこからの抜粋。

観客「本作はいわゆるモキュメンタリーと思うが、製作者がここまで創作物ではないと言い張るのも珍しい。いつまでそう言い張り続けるつもりなのか?」

監督「少なくとも、私は映像の製作者ではない。私の手に入る前の映像がどのようにして作られたのか、それは知るよしもない」

観客「遺棄された映像は、どのようにして監督の手に渡ったのか?」

監督「同じく映像製作者である、古い友人から託された。その友人がどうやって入手したかは分からない」

観客「映像が見つかった場所は?」

監督「岐阜県の山中の廃村と聞いている。それ以上の詳しいことは分からない」

観客「6人もの若者が行方不明になったら、大ニュースになるのでは?」

監督「それは私には分からない。ただ、日本では毎年10万人近くの人が行方不明になっている」

観客「話題になっていた"白い男"が、今回の上映では誰にも分かる形で映っていた。これは話題に合わせて、後から追加したのでは?」

監督「この映画に関して私がやっているのは調整だけ。素材を見直し、元からあった映像の明るさやコントラストを調整して見やすくする調整は再上映前にも行っている。それ以上のことはやっていない」

観客「いい加減にモキュメンタリーであることを認めて、まともにプロモーションをしたらどうか?」

監督「認めるも何も、私にはこれ以上何も言うことがない。私が入手した映像そのものがモキュメンタリーである可能性はあるが、それは私にも判断がつかない」

 会場がざわつく場面も何度かある、緊張感のある一問一答となった。虚実あやふやな会見ではあったが、それもまた本作にふさわしいと言えるのではないだろうか。
 今回の盛況を受けて、再々上映の検討も始まっているとのことだ。

 ※

(「MOJIの映画レビュー」2月6日記事のコメント欄より)
2024-02-11 04:04
名なし Wrote
「ファウンド・フッテージ」にかかわるのはやめた方がよかったのに。

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2024年2月11日にXに投稿されたポスト
映画番長@Eiga_Bancho797
今日映画館で「アクアマン」を観たら、一瞬だけ白い男を見てしまった。
どうしよう。アレかも。9日に観てるんだよなあ…。マジで嫌なんですけど。

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2024年2月11日にXに投稿されたポスト
アポロ20号@Lingar_apollon
今日、「ファウンド・フッテージ」後の初映画。まさかと思ったが、白い男らしき映像を観てしまった。俺も呪われたってこと? 何これマジだったの? 聞いてないんですけど。

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2024年2月11日にXに投稿されたポスト
角谷隆史@Sugitani_Takafumi1986
今心臓がバクバクしているのですが、誰か教えて。「哀れなるものたち」に全裸の白い男が出てくるシーンってありますか? あってもおかしくなさそうな映画ではあったのだけど。「ファウンド・フッテージ」観ちゃってるので、怖くて怖くて。

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2024年2月12日にXに投稿されたポスト
ザン大佐@Zahhatyrronn
みんなよく付き合うなあ…まだそんな嘘で客引きするつもり? いい加減つまんないよ。

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2024年2月12日にXに投稿されたポスト
MovieLover99@Love_theMovie
リバイバルの「レザボア・ドッグス」で白い男見てしまった。「レザボア・ドッグス」にそんなシーンないことはよく知ってる、何十回も観てるんだから。ということは…gkbr

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2024年2月13日にXに投稿されたポスト
RRR@blackorwhite
ていうか、映画館に行かなけりゃいいだけのことじゃないの?

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(ブログ「SUZUの映画館に行こう!」より)
「ファウンド・フッテージ」後遺症の巻
2024-02-14 20:25
テーマ:ホラー映画

 みなさんこんにちは! SUZUです。ドキドキ映画ライフ、楽しんでいますか?
……って、私は楽しめてません。ドキドキ映画ライフどころじゃないです。まったくもう。最低。
 ちまたで話題のファウンド・フッテージ後遺症、何を観ても白い男がついてくる現象が、私にもしっかり起こってしまいました!

「ファウンド・フッテージ」の次に観たのは、2月11日の「ゴールデンカムイ」でした。話題の、人気漫画の実写映画化。そこでバッチリ! 白い男の出現を見てしまいました。
 あ〜MOJIさんが言ってたのはコレか〜と、そこでようやく思い知って、感心したのですが。
 一瞬なんで気にしなきゃいいとは言え、雰囲気ぶち壊しではありますね。山崎賢人と悪霊の相性悪すぎ。

 続いて観たのは「夜明けのすべて」、上白石萌音ちゃんと松村北斗くんの静かで優しい映画です。
 これと「白い男」の相性は、ゴールデンカムイ以上にそれこそ最悪!でしたよ。
 どこまで邪魔してくれとる!と。もうそのまま、NOBODY Incの会社まで走っていって怒鳴り込んでやろうかと思ったくらい。

 そこで落ち着いて検索してみると、同じような状況にある人たちの断末魔がSNS中心に渦巻いていました。
 いわゆる映画垢と呼ばれる人たちが、みな激しく動揺してる。今回の再上映はさすがに満席だったので、反応が出るのも速くて多いようです。
 みんな分かってて「ファウンド・フッテージ」観に行ったはずだけど、誰も本気にはしてなかったみたいです。……って、私もそうですけどね。

 冷静に突っ込まれてたのは、「映画館に行かなきゃいいんじゃないの?」ということ。
 まあ、そうですね。今のところ、映画館で映画を観ない限り、白い男は出現しないみたいなので。
 家で配信の映画も観てみましたが、テレビに白い男は現れませんでした。
 ​一般的な人々にとっては、映画館に行けないくらい別に大したことじゃなくない?……って感じなんですね。
 一人の日本人が一年間に映画館で映画を観る本数は、平均すると「1.2本」なんだそうです。それならまあ、映画館に行けなくなってもどうってことはないですね。
 でも私はなけなしのお小遣いをつぎ込んで、週に一度は映画館に行ってるんですよ。私にとって映画館に行けないというのは、ライフラインを断ち切られるに等しいことなんですよ。

 となると、考えないといけないのはあと何回白い男に会うと死ぬのかということ。
 翻って見てみると、MOJIさんは「ファウンド・フッテージ」以降4本の映画を観ていて、4回白い男に会ってる。でもまだ死んでない……たぶん。
 コロ助さんは死んじゃった訳だけど、死ぬまでに何本の映画を観たかは分からない。
 ということは、あと3本は観ても大丈夫なはず。これは観る映画を厳選せねば……

 って、そうじゃないですね!
 呪いを解かなくては。私の人生の数少ない楽しみである映画を奪われるなんて、許せるはずがないのだから。
 どうにかして呪いを解いて、絶対にドキドキ映画ライフを取り戻します! 皆様も情報がありましたらよろしくお願いします。

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2024年2月16日に発送されたメール

MOJI様

この度は私ども日本催眠術師ユニオンに対してお問い合わせをいただき、ありがとうございました。
ご満足のいく回答になるか分かりませんが、可能な範囲でお答えしたいと思います。

ご質問1:映画の途中に一瞬の映像を挟み、観客に暗示を与えることは可能か?

回答1:暗示の内容により、可能とも不可能とも、どちらとも言えます。
知覚できない長さの映像を紛れ込ませることで潜在意識に働き掛けるサブリミナル効果は、一定の効果が認められています。ただしそれは、ポップコーンの映像を繰り返し見せることでポップコーンの売り上げが0.5パーセント上がる、という程度の規模に限られます。
ご質問にありましたような、そもそも仕掛けのされていない別の映像にまで影響を及ぼすような、大掛かりな効果は不可能であると思われます。

ご質問2:催眠術によって対象を死に至らしめることは可能か?

回答2:これも場合によります。
催眠は人の潜在意識に働きかけますが、潜在意識には強固な自己防衛本能があります。一般に、自身の生命に危険が及ぶと催眠は解けてしまうと言われています。従って、一般的な催眠術で人に死を強いるようなことはできません。
ただ、ある一定の刺激をトリガーとして、強い不安や恐怖、動揺を引き起こすような暗示はあり得るかと思います。その場合、例えば心臓疾患を抱えているような人に発作を引き起こすことも可能かもしれません。
ただ、そのような暗示には通常、催眠術者自身による明確な言葉による誘導が必要です。ただ​映画に紛れ込ませた一瞬の映像でそこまでの強い暗示を引き起こすことは、やはり不可能であると言えるでしょう。

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2024年2月18日に発送されたメール

海藤文字様 山下篤郎より

山下です。白痩神についてお知りになりたいとのことですが、大学業務が立て込んでおりまして、直接お話する機会は作れないかと存じます。
以下にネット上で読むことのできる論文を添付しましたので、そちらをご参照いただければ幸いです。
その論文著者のメールアドレスを添付しておきます。京都大学で講師をしている三枝という男です。白痩神などの伝承に関して、一風変わったアプローチをしている若い研究者の一人です。ただ文献上の存在ではなく、現実に影響を与える実在として捉えているのです。
その考え方は私にもやや理解し難いところがあり、学界では異端とされていますが、海藤様のご相談内容にはふさわしいかもしれません。
立命館大学 民俗学部教授 山下篤郎

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白痩神と「見る」の呪力
京都大学 民俗学講師 三枝崇顕 2013

 黄泉の国の門番であり、死者の神化である白痩神という神がいる。この特異な神を祀る神社は日本全土に少なくない。ただ、多くはそれと分かる形ではなく主神の影に隠し、一見しては分からないようないわば「隠し祭神」となっていることが多い。穢れそのものである死を象徴する存在を、神聖な場に祀るという矛盾を避けるための方便と言えるだろう。
 祭礼においても、白痩神の名前は巧妙に隠され、表面的には見えないようにされている。周到なカモフラージュを行った上で、呪術的な封印だけは厳重に施すという「実用的」な祀り方がされているのである。

 白痩神の神事は暗闇の中で行われることがある。これは、白痩神を人々の目から隠すと共に、白痩神から見られることを忌避する思想に基づいている。
「見る」という行為は、古代の信仰においては単なる日常的行為ではなく、生命や霊魂に関わるものとされていた。「邪眼」「邪視」「魔眼」などと呼ばれる伝承は日本国内に限らず、世界中に多く伝わっている。邪悪な存在に見られることによって、生命を奪われる、あるいは不幸をもたらされるという伝承である。
 白痩神から「見られる」ことへの強烈な忌避感は、祭礼や伝承のそこかしこに見られる。死が視線によって伝播・拡散するという思想は、古代日本の死生観に強い影響を与えている。

 一方で、「見る」ことは逆に、神霊への対処法にもなる。全国各地の民間伝承の中で、死者の呪いを避けるために「逆に見る」行為が有効であるという言い伝えが見られる。
 これは古く神話に由来する由緒ある対処法である。黄泉の国において、腐敗した体を夫に見られることを恥じて動きを止めたイザナミの伝承に由来する。
 白痩神は「見られる」ことによって害を受ける存在だが、解釈を転用して、「こちらから見る」ことによって対抗できるとしたのだろう。自発的な「呪術的創意工夫」とも言える、古代の人々のバイタリティが見える。

 ※

(「MOJIの映画レビュー」より)
「デューン 砂の惑星 PART2」で起きたこと
2024-03-02 01:44
テーマ:SF映画

 3月1日、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督のSF超大作「デューン砂の惑星」の続編であるPART2が、いよいよ日本公開になりました。
 すごく嬉しい。めっちゃワクワクする。それなのに同時に、悲しくて辛い……という。

 というのは、僕は現在自由に映画館に行くことができない状況にあるのです。
 ことの経緯は、面倒くさいのでもう書きませんが。ご存知ない方は「ファウンド・フッテージ」関連の記事をご参照ください。
 そりゃあ映画は好きだけど、命をかけてまで観たくはない。
 そう思ったので、ここしばらく映画館から遠ざかっていたのですが。

 そこへ「デューン」ですよ!
 僕は当然、前作のPART1は映画館で観ていて。激しくハマって、PART2は本当に楽しみにしていたんですよ。
 今回のPART2は単なる続編ではなくて、長い原作を2つに分けて、まず前半部分をPART1として公開した後の、残りの後ろ半分。
 ひと繋がりの物語の後編なんですよね。だから、PART2を観ないと話が何も片付かない。宙ぶらりんのままになってしまうのです。

 いや、まあ、「デューン」はフランク・ハーバートの原作小説も読んでるし、デヴィッド・リンチが監督したバージョンの映画も観てるので、話は知ってる訳だけど。
 それだけいろいろ見てきただけに、現代の最先端の超大作である本シリーズには、本当に思い入れが強いのです。
 そういえば「ホドロフスキーのデューン」なんてのもあったな。カルト監督アレハンドロ・ホドロフスキーが原作の映画化を目論むも、製作前に頓挫した幻の作品。
 それほどまでに、多くの人の夢であった映画。

 それがやっと完結する。完全体がようやく観られる!というのに!
 よりにもよって「ファウンド・フッテージ」を観たせいで観られないなんて、そんな切ないことはないと思いませんか。

 と考えていくと、耳元で何かがささやく。もう1回くらい大丈夫じゃないか?という声が聞こえる。天使だか悪魔だか知らないけれど。
 確かに既に4回「白い男」を見てるけど、次で確実にヤバいという根拠も別にない。
 唯一の実例はコロ助さんなのだけど、彼が死ぬまでに何本の映画を観たのか、それは分かりませんでした。
 コロ助さんが「ファウンド・フッテージ」を観たのが11月8日。亡くなったのは1月14日。コロ助さんの気合いの入った映画マニアぶりを思うと、2ヶ月で4本しか観ていないとは思えない。もっとたくさん観てるはず。
 ならば、まだ猶予はあるんじゃないか?

 それに考えてみれば、白い男を見たら死ぬというのも、根拠はコロ助さんしかない訳です。
 コロ助さんの死は、白い男とは何の関係もないものだったのかもしれない。
 実際、再上映以降、白い男を見たという報告はSNSに溢れましたが、その後も誰かが死んだという話は聞こえてきません。
(誰かが死んでないか見張るというのも物騒な話ですが! SNSで白い男を報告した界隈を観察してると、互いに様子を伺い合ってる様子がありますね。)

 こんなふうに都合よく考えてしまうのも、ただ「デューン」を観に行きたいだけだと分かってはいるんですけどね。
 でももはや自分を止められない。公開初日、TOHOシネマズなんばのIMAX上映に行ってしまいました!
 IMAXを選んだのは、ゴージャスな巨大スクリーンに低予算映画の白い男はまさか出て来られないだろう……というような思いもあったと思います。

 正直、自分の中でも最初の頃の恐怖は薄れていたというか。
 どうせ何も起こらないだろう……というような、根拠のない楽観論みたいなものがあったと思います。今にして思えば。
 IMAXの巨大なスクリーンを前にして、映画が始まった時にはもう、僕は「白い男」についての不安なんてものはすっかり忘れて、どっぷり世界にのめり込んでいましたよ。

 今回の記事は映画の感想が趣旨じゃないので、簡単にとどめますが。
 映画それ自体は、本当に素晴らしかった!です。
 圧倒的にスケールの大きな世界構築で、最初から最後まで自分が異世界にいるような。 IMAXの大画面、大音響をフルに活用していて、これこそ映画館で観るべき映画!と堪能しましたよ。
 映画館久々だっただけに、やっぱり映画館って本当にいいなあ、と。
 それだけに……なんだけど。

 それは例によって、終盤にやって来ました。
 主人公と皇帝軍との最終決戦が終わったあたりで、あ、来るな……という予兆のようなものがありました。
 誰かに見られているような感覚。誰かに鋭い視線を向けられた時の、目に見えない圧のようなもの。
 ぞわっとしたのです。本当にその瞬間まで、何もかも忘れていたにも関わらず。理屈じゃない本能的な恐怖が、一瞬で僕を掴んでいました。反射的にスクリーンから目を背け、俯いて自分の足もとを見つめていました。
「デューン」の世界のリアリティは、一瞬で消し飛んでいて。僕は映画館の座席にいて、周囲を人に囲まれていたけれど一人で、孤独で、怯えてブルブル震えている小さな子供のようでした。
 そこで、急に直前に読んでいたある論文を思い出しました。今回の件についてあれこれ調べるうちに辿り着いた「白痩神」という神様についての論文です。その中に、白痩神が近づくのを止めるために有効なのは逆にこちらから「見る」ことだと書いてあったのです。
 慌てて、僕は顔を上げてスクリーンを見ました。
 IMAXの巨大なスクリーンには、暗闇の中に浮かぶ真っ白な男がいました。体毛はなく衣服も着ていない、ガリガリに痩せこけた真っ白な体の生き物が、今まさにスクリーンから飛び出して、こちらに飛び出して来ようとしていました。
 その真っ黒な虚ろな目と、まっすぐに目が合いました。まったくの虚無のような、暗い穴のような目です。僕の視線を感じて、白い男は不意を突かれ、たじろいでいるように見えました。
 長々と書いているけど、それは本当に瞬間のことです。次の瞬間、白い男は消えました。その背後の闇と共に消えて、元の「デューン」の画面が戻りました。
 場内で、誰かの短い悲鳴が聞こえたような気がしました。定かじゃありません。映画の中の声だったかも。でもその時は、観客席のどこかで聞こえたように感じられました。

 そこから映画の終わりまで、僕はスクリーンを必死で見つめていました。映画を観てはいたけれど、もう物語なんて入ってこない。またあいつが現れるのを恐れながら、ただ目を逸らせずに凝視しているだけです。
 あんなに楽しみにしていた「デューン」だったのに、結局最後は何も分かりませんでした。

 映画が終わって、エンドクレジットも終わり、電気がついて明るくなって、僕はようやくほっとして、ガチガチにこわばっていた肩の力を抜きました。
 みんなが席を立って、ぞろぞろと出口に向かっていました。TOHOシネマズのスタッフたちが、散らばったポップコーンを片付けるためのほうきとちりとりを持って入ってきます。おかしなところは何もない……ように見えました。僕も立って出口に向かい、途中で悲鳴のことを思い出しました。
 人の流れからずれてスクリーンの前で立ち止まり、僕は観客席を眺めました。大急ぎで帰る人もいれば、いつまでもぐずぐずして席で喋ってる人たちもいる、シネコンならではのいつもの風景です。
 残ったお菓子を食べ尽くしながら喋っていた女子高生四人組がようやく立ち上がって、まだ座ったまま動かないのは一人だけになりました。前方右寄りの席に座ったニット帽を被った男性客。深くうなだれて動かず、眠っているようです。
 スタッフの女の子が近づいていって、客に声をかけ、肩に手をかけて揺すり、ハッとした女の子が悲鳴をあげる……という一連の過程を、僕はスクリーンの前で眺めていました。なんだか安い再現ドラマみたいだなあ、などと思いながら。

 まだ残っていたわずかなお客さんは足を止めて見ていました。女子高生たちはひそひそと「死んでる?」なんて話していました。スタッフの何人かが、走って人を呼びに行きました。
 僕はそっと近づいて、呆然と突っ立っていたスタッフに「何かあったんですか?」と聞いてみました。彼は驚いたように僕を見て、「急病人だと思います」と答えましたが、座席に座ったままの男の様子はとても病気の人には見えませんでした。肩を揺すられた弾みで彼の顔は斜め下に傾き、その表情が見えていました。目を大きく見開き、口を半開きに開けたまま、麻痺したように固まっている。
 その様子は僕には、死んでいるように見えました。

 やがて社員らしき人たちがやって来て、僕たちは外に出されました。IMAXのスクリーンは閉鎖されました。
 ロビーでしばらく粘っていたのだけれど、救急隊員とか警察官がやって来ることはなく、ただ次のIMAX上映が中止になったことに関わる悶着がいくつかあったくらいで、映画館の様子はじきにいつも通りになっていました。
 ちょっと戸惑ったのだけど考えてみれば、裏側に業務用のエレベーターとかあるのでしょうね。遺体はそちらから運び出されたのでしょう。

 その後、ネットやテレビを注視していたのだけれど、この件に関しての報道は見当たりませんでした。事件性がなく単なる病死なのであれば、そうなのかもしれないですね。
 病死……コロ助さんも、直接の死因は心臓発作とのことでした。
 名前を知りようもないあの人も、「ファウンド・フッテージ」を観ていて、白い男に見られていたのか。
 今回は気づかなかったのか、あるいは気づいたけれど目を背けてしまったのか、その隙に白痩神が近づいて、手を伸ばして彼に触れ、そして……
 殺されたのか。
……って、僕はもうそうとしか考えられなくなってしまっているのですが。

 今回の件であらためて気づいたのは、映画館で亡くなっても病死と判断されたならば、世間に知られることはまずないということです。
 ということは、これ以外にもたくさん起きているのかもしれない。
 そうと気づいていないだけで、既にたくさんの死者が出てしまっているのかもしれない。
 いつの間にか、事態はもう取り返しのつかないことになってしまっているのかもしれません。



PART 3

2024年2月26日にXに投稿されたポスト
玉手箱@jhK24qwRy
最近やたらと救急車走ってない?

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2024年2月27日にXに投稿されたポスト
マーボー@jmahboh119
最近救急車を多く見るというのはデマ。いつもと同じでも、人からそう言われるとよく見るように思うだけ

 ※

2024年3月1日にXに投稿されたポスト
ナースのお仕事@miyu9000_lol
救急病棟で働いてるけど、救急車が多く出動してるのは事実だよ。行く時はサイレン鳴らして、患者さんを乗せて帰る時はサイレン鳴らしてない。これはみんな既に死んでるから。若い人が理由なくぽっくり逝くのが増えてる。

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-03-02 23:55
SUZUさんこんにちは。
その後、大丈夫でしょうか……?
「白い男」がもし伝承にある「白痩神」だとしたら、「見る」ことが対処法になり得るかもしれません。
「白痩神」という神様への対策として、古くから伝わってる由緒ある方法みたいです。
実際、ブログに書いた「デューン 砂の惑星PART2」の上映では、僕は「見る」ことでどうにか生き延びることができたようです。
SUZUさんも、万一の場合には目を逸らさず「見る」という対策をとっていただきたいと思います。
この方法を論文に書いておられた三枝さんという人に、現在連絡を取ろうとしてます。より詳しい話が聞けたら、またお知らせします。

 ※

(ダイレクトメッセージ:SUZU→MOJI)
2024-3-3 10:12
MOJIさんこんにちは。ありがとうございます。
あれから映画館には行ってませんが、もしヤバイ!という局面があれば試してみます。
ただ、残念ながら根本的な解決にはならないですね。映画の邪魔になるのは、変わらない訳だから。

MOJIさんのブログを読んで思ったのですが、あの日「デューン」で亡くなった方は、不安に感じながらも、それでもどうしても「デューンPART2」だけは観たかったのかもしれないですね。MOJIさんと同じように。
そんなふうに映画を愛する思いがあんな不幸につながってしまうなんて、本当に許せない。
心から、この呪いを何とかしなくてはならないと思います。

そこでこちらも独自調査を進めていたんですが、実は! 「ファウンド・フッテージ」に出演していた俳優の方を見つけました。
例のヨウコを演じていた人です。クレジットされていた名前とは全然違って、小川悠生さんという方でした。
NOBODY Incでポスターの貼られていた映画をリストアップして、TSUTAYAで借りてきて片っ端から観て、ついに見つけたのです。大森昇監督の「アンダーグラウンド・リチュアル」という映画に出てました。
普通に企業に勤めている人で、プロの俳優ではないみたいですが、何本かの自主制作映画に出演しておられます。
これで少なくとも、「ファウンド・フッテージ」に出ていた人たちは大森監督が言っているように本当に失踪した訳ではない、ということが証明されましたね。

SNSを通じて連絡がとれたので、今度この方にお会いしてくる予定になっています。
結果はまたお知らせします! 楽しみにお待ちください。

 ※

(ブログ「SUZUの映画館に行こう!」より)
出演者に会ってきました!の巻 その1
2024-03-05 17:44
テーマ:ホラー映画

 みなさんこんにちは! SUZUです。ドキドキ映画ライフは休止中。
 例の「ファウンド・フッテージ」ですが、なんと出演していた俳優の方を発見!
 先日、名古屋市内の某マクドナルドにて、一時間近くに渡ってインタビューさせていただくことができました。

「ファウンド・フッテージ」において最後まで生き残る「ヨウコ」を演じていた、田沼葉子さん(仮名)。
 実際の芸名は違うのですが、ご本人は既に俳優を引退されていて、表に出ることを望まれていないそうなので、本当のお名前や写真など、ご本人につながる情報は伏せさせていただきます。
 ですので、皆様もできれば特定など無粋な行為は控えていただければと思います。

 葉子さんは1996年生まれ。もともとプロの俳優という訳ではなく、現在は名古屋市内の企業に勤めておられます。
 いくつかの自主映画に出演するようになったきっかけは、学生時代にとある演技ワークショップに参加したことだそうです。そのワークショップにはNOBODY Incや、大森昇監督も参加していました。大学在学中の2017年に映画に初出演。卒業、就職後も、時々声がかかるたびに小さな役で自主制作系の映画に出演するようになります。
 以下、葉子さんの発言です。

「ファウンド・フッテージの企画に参加したのは2022年の8月ですね。ワークショップの会場でもあった会議室で、関係者の顔合わせが行われたのが最初。と言っても、映画に出ていた6人でほとんど全部です。監督は、映画に北川茂の名前で出ていた北原満さん。他のメンバーもワークショップで顔みしりだった人たちで、私よりも演技経験の少ない人たちばかりでした」

「スタッフは北原さんだけで、あとはカメラマンが一人だけ。ただし、カメラマンは同行しないと言われて。カメラは俳優が扱うからって、みんなで撮影のレクチャーを受けました。助監督は出演者の杉山さんが兼ねてたし、メイクもゆかちゃんが兼ねてました。だから本当に、スタッフもキャストも6人だけです。他はプロデューサーとか言って、大森監督がうろうろしてたかな。彼は撮影現場では一回も見なかったけど」

「撮影は11月半ば、現地に四日間泊まり込んで、一気に進められました。マイクロバスで岐阜の山の中の農村に連れて行かれて、寝泊まりもバスでして。豪雨災害で住む人がいなくなってしまった村なんだって。竹垣村って言ったと思う、確か」

「竹垣村を見つけてきたのは北原さんでした。新聞に廃村の記事が出たのを偶然見たって。災害で多くの村民が亡くなった上に、神社の宮司さんが自殺するという事件まであったのだとか。何だかとても不吉な記事で、これはホラーにぴったりだって言ってました」

「撮影はほとんどがアドリブです。シナリオはなくて、簡単な状況設定だけ説明されて、カメラも持たされて、みんな自分たちで考えて演技をするの。めっちゃ疲れるよ。誰も仕切らないまま映画を撮れって言われるみたいなもんだもの。そんなことできると思う? できる訳ないよ、そんなの」

「現場の雰囲気は悪かった。寒かったし、アドリブだからずっと気が抜けないし、一回一回とんでもない長回しだし。当てずっぽうでやって全部撮って、北原さんが巻き戻して見る。それで、なんか違うなとか言って最初からやり直す。プランなんかないよ。ただやってみて、いいか悪いか後から言うだけ。みんなどんどんイライラして、ホラーっぽい険悪な雰囲気になってました。今考えれば、それも狙いだったのかもしれないけど」

「6人しかいないから、撮影準備も全部キャストの役目。藁人形を吊るしたり、映画に出てきた呪文の落書きも自分たちでせっせと描きました。夜中の足音なんかも、出番のないみんなで走り回って。真っ暗な中を、松明持って山登りしたり。なんだかんだで忙しくて、深夜まで撮影が続くし、みんなとにかく北原さんにムカついてましたね。思いつきで話を変えるんですよね。最初は怪しいカルト集団がいるという設定だったのに、神社を見てから、召喚の儀式で悪霊が呼び出された設定に変えちゃったの。だから、前半と後半で話がちぐはぐになってたでしょう?」

「神社がすごい状況だったんですよね。本殿の飾りとか鏡とかがみんな壊されていて、お札が散らばっていて。泥がぶちまけられて、汚されていたし。そこは、映画のためにやったところじゃないんです。元からそうなっていたの。別に信心深い訳じゃないけど、何だか冒涜っていうか……すごく罰当たりな雰囲気がしてた。本殿の真裏にあった洞窟も、ボロボロになった太いしめ縄が張られてて、あれたぶん本当なら入っちゃいけない場所だよね」

「やっと撮影が終わって、帰り道のバスの中で、北原さんに名前を出さないように頼まれました。俳優が演じた映画じゃなく、本当に行方不明になった学生が撮った映像に見せたいから、なんだって。撮影について口外しないことも約束させられました。みんな釈然としなかったけど、でも最後には納得するしかない感じですね。私はまあ、いいかなと思って。名前が出て嬉しい映画にはならなさそうだったんで」

「ああ、今喋っちゃってますね。いいんですよもう、北原さんは死んだんだから。え? あ、そうですよ。言ってなかったっけ」

「撮影が終わって、それから長いこと何の連絡もなかった。半年くらい経ってワークショップに顔を出した時に、大森監督から映画の公開について話を聞きました。その時に、実は北原さんが亡くなっていたことを知らされました。心臓発作か何かで、突然死だったって。自宅で亡くなって、誰も気づかないまま数日経って、下の階の人が天井の染みで気づいたんだとか。漏れ出していたらしいですよ。血とか体液とか、何か死んだら出ちゃうものが」

長くなったので続きます。続きは翌日のブログで。

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-03-08 02:15
SUZUさんこんにちは! お元気ですか?
続きが更新されないので気になってます。大丈夫でしょうか。

 ※

2022年5月13日付の新聞記事
見捨てられる日本の地方 竹垣村の消滅

 都市への一極集中、地方の過疎化という問題は既に昭和後期から日本の都市計画における主要な議題だった。近年の加速度的な少子高齢化を受けて、現在日本の地方は過疎化という域を超えて、「消滅」のシナリオを辿っている。
 2020年時点でいわゆる限界集落は二万箇所を超え、過疎地域における集落の30%を占めていた。
 近年の災害の頻発が、その傾向を更に加速している。昨年一年間で、豪雨や地震などによる災害によって孤立化し、日常的な暮らしを継続することが困難になった地域は全国で164箇所にも及んでいる。

 岐阜県北東部、飛騨山脈の山間に、竹垣村という村落がある。この村は今年四月に最後の住民がいなくなり、完全な無住地帯となった。かねてから過疎化が進行し長く限界集落となっていたが、昨年夏の集中豪雨による土砂災害によって大きな被害を受け、孤立化。住民は村外に避難していたが、帰村を希望する村民がいなくなったことで公的に廃村が決定した。
 竹垣村には数百年の歴史を持つ由緒ある竹垣神社があった。村民が避難した後も最後まで村にとどまり神社を守り続けたのが、竹垣神社の八十二代目の宮司とされる服部久仁彦さん(76)だった。本年四月十三日、その服部さんが神社境内の御神木で縊死しているのが発見されたのである。服部さんの残した遺書には、竹垣神社の伝統的な神事が絶えることへの懸念と、村への帰還をバックアップせず、結果的に伝統を絶やすことに加担した行政への憤りの念が残されていた。
 服部さんの死と竹垣村の消滅は、現在の地方行政の在り方に疑問を投げかけていると言えるだろう。

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各地の白痩神信仰と、契約更改としての祭礼
京都大学民俗学部講師 三枝崇顕 2017

 多くの祭礼の目的としては先祖供養や五穀豊穣があげられるが、古来より日本の神社が担ってきた重要な役割として、彼岸との契約がある。つまり、我々人間の生活の場としての此岸、その対極である死者の国である彼岸との接点にあって、互いに無用な干渉を避け、衝突を回避するための約束の確認である。神社で行われる季節ごとの祭礼は、いわば彼岸との契約更改の儀式とも言える。

 彼岸から此岸に越境する穢れたものの象徴が、白痩神という神である。この神は死者であり、望まぬ死によって此岸を追放された恨みを抱えている。従って、その性格は邪悪であり、生者への嫉みと怨念を基本的性質として持っている。白痩神は隙あらば境界を超えて此岸に侵入し、罪のない生者を彼岸へ連れ去ろうとする。それを前もって防ぐため、彼岸との間に結ぶ古来よりの契約が、祭礼なのである。

 今現在、各地の多くの伝統的祭礼が継ぎ手の不足により、存続が危ぶまれる状況になっている。これはもっぱら文化的・学術的な方面から危惧されているのだが、呪術的側面からも大きな問題である。
 何百年もの時を超えて持続されてきた祭礼が途絶えるというのは、ただ単に文化的損失というだけの問題ではない。毎年の祭礼によって守られてきた此岸と彼岸の契約が、一方的に履行されなくなるという事態なのである。
 それまで長きに渡って抑えられていた白痩神の越境が、抑え切れないという事態が起こってくるだろう。

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2024年3月10日に配信されたネットニュース
「ファウンド・フッテージ」の大森昇監督が急死

「観たら死ぬ」という刺激的なコピーで話題を呼んだ自主制作映画「ファウンド・フッテージ」で監督と編集を勤めた大森昇さんが急死していたことがわかった。42歳だった。
 NOBODY Incによると、8日朝、大森さんの知人が自宅を訪ね倒れている大森さんを発見、その後死亡が確認された。警察によると事件性はないとのこと。
 大森さんは2008年、映画「地獄のかくれんぼ」でデビュー。「アンダーグラウンド・リチュアル」(2017)など、いくつかの自主制作映画で知られる。最新作「ファウンド・フッテージ」は​実際の失踪現場で見つかった映像という触れ込みで話題を呼び、昨年末より限定公開されていた。現在は4月に予定されている再々上映に向けて準備中だった。発見時も、同作品に手を入れている最中だったという。
 NOBODY Incによると、「ファウンド・フッテージ」次回上映予定には今のところ変更はないとのこと。

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2024年3月10日に配信されたネットニュース
都市伝説? 映画館で亡くなる人が急増中?

 現在、全国各地の映画館で働くアルバイトスタッフの間で、ある噂が流れている。映画館の座席で、映画上映中に亡くなる人が増えているというのだ。
 通常、映画の上映が終わるとスタッフが入場し、掃除と忘れ物のチェックなどを行う。昔と違って現在の映画館は完全入れ替え制なので、残っているお客さんに退出を促すこともスタッフの仕事となる。居眠りをしたままスタッフに起こされるお客さんも多いそうだ。
 そんなスタッフが居眠りと思って声をかけてみると、死んでいた……というケースが、最近目立って増えているという。
 業界関係者に話を聞くと、映画館で亡くなる人は以前からも「稀であるが、いた」という。

「2019年にタイの映画館で、『アナベル 死霊博物館』を観た高齢の観客が心臓発作で亡くなるということがあったそうです。2016年の『死霊館 エンフィールド事件』でも似たようなケースがあったとか。これらはホラー映画なので宣伝に利用されましたが、普通の映画であれば特に話題になることもないんじゃないでしょうか。病死であれば個人情報ですし、映画館としてもイメージが悪くなるので明るみにはしないでしょう。実際には、知られているより多くの人が映画館で亡くなっているかもしれません」

 今回噂になっているのは特定の映画ではなく、ジャンルもホラーに限らず様々だ。なので、特に映画が刺激的すぎたからという訳ではなく病死と思われるのだが、ネット上では最近話題になった映画「ファウンド・フッテージ」と結びつける声も上がっている。

「『観たら死ぬ』というキャッチコピーで売り出していたインディーズ映画です。この映画を観た人が、映画館で亡くなっているという噂です。ただ、亡くなった方がどんな映画を観ていたかは分かりませんし、単なる噂以上のものではないですが……」

 本当に映画館で亡くなる人が増えているのかも含めて、噂の範疇を出ない話ではあるようだ。
 ともあれ、皆さんも映画館で刺激の強い映画を観る時は、突然死しないよう十分な注意を払っていただきたい。

 ※

2024年3月10日にXに投稿されたポスト
映画番長@Eiga_Bancho797
このアカウントの母です。
このたび、息子は急逝いたしました。
生前のご厚情に心より感謝申し上げます。

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2024年3月11日にXに投稿されたポスト
アポロ20号@Lingar_apollon
アポロ20号の姉です。アポロ20号は急逝いたしました
本人に変わりまして、生前のご厚誼を深く感謝申し上げます

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2024年3月11日にXに投稿されたポスト
角谷隆史@Sugitani_Takafumi1986
この度、本アカウントの主・角谷隆史が亡くなりましたことをお伝えいたします
あまりにも突然のことで、家族も動揺しております
交流いただいた皆様、誠にありがとうございました

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2024年3月11日にXに投稿されたポスト
MovieLover99@Love_theMovie
怖いよ……死にたくない………

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(ブログ「SUZUの映画館に行こう!」より)
出演者に会ってきました!の巻 その2
2024-03-11 01:56
テーマ:ホラー映画

 みなさんこんにちは! SUZUです。
 すみません……体調が悪くなってしまって、寝込んでいました。「続きは明日」と書いたまま沈黙してしまったので、ご心配をおかけしたかと思います。失礼しました。

 前回のブログを公開してから、どうも体調が良くないです。体が重くて、何をするにもやる気が起こりません。
 単に風邪をひいただけ、だったらいいのですが……。
 出演者の葉子さんからお話を聞いて、実質的な監督だった北原満さんが亡くなっていたという話を書いたところで、今度は大森昇監督が急死したというニュースが流れてきて。
かなり動揺しています。
 映画館に行きさえしなければ少なくとも死ぬことはない……と思っていたのに、もしかしたら、そうではないのかもしれない。
 自宅にいても、危ないのかもしれない。

 実は最近、何かが見える気がするんですよ。
 目の端に、視界の隅っこの方に、ふっと何かが見えた気がする。
 はっきりとは見えない。気配と、焦点の合わない影だけがちらっと見える。
 反射的に、目を背けようとしてしまうんだけど。MOJIさんの「見るの力」の話を思い出して、慌てて目を向けるんです。
 すると、スッと消えていく。

 そんな話はともかくとして。
 お約束していた、インタビューの続きをお届けします。

葉子さん「北原さんが亡くなったと聞いて、すごく嫌な気分になりました。あの現場から何か嫌なものを引っ張ってきてしまったような。あの映画にはもう関わりたくないと思ったし、映画ってものに関わるのももううんざりという気分になってました。だから、俳優を辞めることを決めたのもその時。俳優って言っても副業で、ろくに仕事なんてなかったけどね。これからはもう、頼まれても出ないって決めたんです」

「他の四人のうちで撮影後に会ったのは、杉山孝一さん。映画には三浦康二という名前で出ていた人です。助監督も兼ねていました。ギャラを受け取りに行った時に偶然会ったのだけど、すごく雰囲気が変わっていて。撮影の時は明るくて冗談ばっかり言ってる人だったのだけど、その時には暗くて、目の下にくまができていて。眠れないんだと言ってました。何か訳の分からないことをブツブツ言って。あなた方のブログも見てるみたいでしたよ。『関わるのはやめた方がいいって忠告してやってるんだ』って言ってました。『あれは映画ではないからな』って」

「そのほかの人たちがどうしてるかは分からない。その時も確か聞いたと思うけど、大森さんは適当にごまかして教えてくれなかった。ただ何となく、みんなろくなことにはなっていないような雰囲気はありました。自分から映画に関わろうとする人は誰もいないし、俳優を続ける人もいなさそうだったから」

「私自身、ずっと体調不良が続いてます。寝ても起きても、ずーっと一日中体調が悪いの。変な夢も見るし。あの撮影現場に戻ってる夢。あの、誰もいない村ですね。あそこに強制的に戻されてる。なぜかそこに一生住まなければいけないことになっていて、本当に嫌な気分になってる。嫌だ嫌だ帰りたい……と思っていたら、北原さんがやって来て、何か言いたげに私をじーっと見るんです。そんな夢です」

「呪い……かどうかは、分からないけど。でも、呪われても仕方がないかもしれないですね。最後の洞窟の中で、私が祭壇に寝かされてるシーンがあったじゃないですか。あれ、私はセットだと思ってやったのだけど、後から聞いたら元からあそこにあったものらしいんですよ。だから、本当の神様を祀る祭壇ですよね。それをめちゃくちゃにして、その上に乗ってしまってる。北原さんが死んだと聞いた時、あれのせいかなって思いました。ということは、たぶん私もヤバいよね。うん、分かってる」

「北原さんが死んだことを大森さんがネタにしないのは、意外だなって思ってました。それこそ格好の宣伝ネタとして使いそうだもの。でも、本物として売り出してるのを見て、ああとっておきにしてるんだなって。最初は本物のドキュメント映像だって言って売り出して、それが嘘だってバレたら、今度は北原さんの死を持ち出して『呪われた映画』とか言い出すんだろうなって。その前に死んじゃったけど。そういうのが分かるからね、もう関わりたくないんです」

「"白い男"ですか? 私は見てません。現場ではね。そういうものを演じた人はいなかったし、もし映画にあるのだとしたら後から撮影して足したのだと思う。でもどうかな……本当に何か、悪いものなのかもしれないですね。そういうものがついてきても、おかしくないとは感じます。私もずっと、何かに見られてる気がして仕方がないんです」

 インタビューは以上です。
 葉子さんは映画の中と同様の、長い黒髪の美人でしたが、映画で観たより痩せておられて、やつれてるようにも見えました。
 騒がしい店の中で、ずっと落ち着かないご様子で。
 目が泳いでるっていうんですか? すごくキョロキョロ、周りが気になって仕方のない様子でした。
 何かに怯えていらっしゃるのかな?と思ったのだけど、今これを書いている私も、その時の葉子さんとよく似た感じになっているような気がします。
 何かに見られている気がしたら、目を逸らさずに見る方がいいですよ、って伝えたのだけど。葉子さんは笑って、本気にしていないようでした。

 どうも疲れやすくなってしまっていて、これだけの文章を書くのも一苦労でした。ものすごく時間がかかってしまった。
 ちょっと、ブログはしばらくお休みすることになると思います。すみません。
 それではまた、機会がありましたらお会いしましょう。

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→ SUZU)
2024-03-11 19:34
SUZUさん お久しぶりです。
大丈夫でしょうか……体調が悪いそうで心配です。
実を言うと、僕もよく似た状況になっています。体が妙に重くて、何度も視線を感じます。目の端に白い男がチラついて、その度にビクビク、キョロキョロしている始末です。もう映画だけじゃなく、街中に白痩神がうろつき出しているようです。
SNSを見ていると、突然死の報告がやたらと目に付きます。白痩神の被害は相当に広がっているんじゃないかと思えます。はっきりとした騒ぎになっていないのは、やはりあまりにも信じ難い話だからでしょうか。
何とか対処法が見つからないかと、必死で調べているのですが。

 ※

(ダイレクトメッセージ:SUZU→MOJI)
2024-03-12 02:11
MOJIさんこんにちは。ご心配おかけしてごめんなさい。
このままだと、私はいずれ死んでしまうような気がしています。
なんとかしないとと思い、考えた結果、岐阜の竹垣村に行ってみようと思います。小川悠生さん(葉子さん)に教えてもらった、「ファウンド・フッテージ」のロケ地となった廃村です。
行ってどうなるかは、分からないのですが。でも、行かないとどうにもならないという気がして、ものすごく気が焦っています。
小川さんの話によれば、撮影隊は神聖な祭壇を荒らしたようです。そこを元の状態に戻せば、白い男も元の場所に戻るかもしれません。

元の状態がどうなっていたかを知るために、小川さんに一緒に行ってもらいたいとお願いしたのですが、それだけは嫌だと断られました。あの場所に戻るのだけは死んでも嫌だそうです。
元の状態を撮った写真があるはずとのことなので、今探してもらっています。

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→ SUZU)
2024-03-12 18:34
SUZUさんちょっと待って! 早まらないでください。
竹垣村に行くべきではないと思います。それは危険すぎます。今の状態のままでは、何の武器も持たずに敵の中に飛び込んでいくようなものだと思います。
三枝先生からの返事を待っているところです。先走りせずに、もう少しだけ待ってください。

 ※

消えゆく農村と呪術的障壁
京都大学民俗学講師 三枝崇顕 2023

 日本各地で、地方の農村が消えていっているという現状がある。国は既に施策として、地方を見捨てる方向に舵を切っている。地方を無住地化することによって資源を都市へと集中させ、より「効率的」な国家運営を目指そうとする傾向は、今後ますます強くなるだろう。

 地方の農村の無住地化は、ただ伝統的な里山の風景が失われるという情緒的な問題にとどまらず、いくつもの現実的な問題につながっている。
 里山は古来より、人間の領域とそれ以外との緩衝地帯とでも言うべき役割を果たしていた。畑が作られ、林にも人の手が入ることで、土砂崩れなどの危険が防がれていた。また、熊や猪などの野生動物が直接人間の領域に入ってこないようにする防波堤の役割も担っていた。
 防いでいたのは、目に見えるものだけではない。古来より、山は神霊の領域であり、死後の世界に通じる場所だった。
 人が暮らし、神を祀り、季節ごとの祭礼が欠かさず行われ続けることによって、農村は人間界と霊界を隔てる呪術的障壁の役割を果たしてきたのである。

 日本の多くの地方に残る伝統的祭礼は、収穫を祝う村祭りとしての性質と同時に、その本質として怨霊封印・邪霊退散・結界守護などの役目を担ってきた。時代とともに祭礼の形が変わったり縮小されたりといったことがあっても、その核となる呪術的効果は損なわないよう、慎重に言い伝えに従って維持されてきたのである。
 天災に伴う突発的な農村の消失は、このような連綿とした営みを暴力的に断ち切ってしまう。なんら「備え」をすることなしにそれまであった呪術的要石が失われるのだから、その及ぼす影響は深刻だ。
 2022年の一年間に限っても、長野県作間村、栃木県朔高原町、岐阜県竹垣村などが無住地化しており、当地の神社に伝わる重要な祭礼が途絶している。中でも岐阜県竹垣村は悪名高い白痩神を祀る竹垣神社を擁しており、その祭礼が失われたことによる呪術的影響は計り知れないものがある。

 効率化の名のもとに地方を切り捨てる現在の施策の方向性は、そのような呪術的重要性を軽視するものと言わざるを得ない。

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-13 23:11
海藤様
白痩神に関して、お問合せをいただきました。京都大学の三枝と申します。
返事が遅くなってすみません。フィールドワークに出かけており、一切の電子機器から遠ざかっておりました。
私は白痩神を始めとする日本の神霊に関して、”実在するもの”という前提に立った上で歴史・文化への影響や関わりを検証する、「実在主義」とでも言うべき立場に立って学問を行なっております。
ただ、私自身が神霊を見たり、聞いたりする能力を持っている訳ではありませんし、ましてや除霊や祓い清めができる訳でもありません。妖怪ハンターではありませんので。
従って、どこまで海藤様のお力になれるかは分かりません。

竹垣村はまさに白痩神の暴走がもっとも懸念される土地となっておりました。
重要な祭祀が中断しているだけではありません。これは公表されていない事実ですが、自殺した竹垣神社の宮司の遺書には、世間の人々への呪詛の念と、白痩神を解放する意図が書かれていました。宮司はその死の前に、白痩神の封印を解く祭式を施したものと思われます。
何らかの厄災が懸念されていましたが、映画を媒体として白痩神が行動するというのは予想外の事態でした。
ただ、神霊は気づかれ、見られることによって顕在化します。見られることは神霊のエネルギーなのです。ですから、映像メディアは神霊との相性がいいのです。
暗闇の中で強制的に見ることに集中させられる映画は、神霊の媒介となるのに特に適していると言えます。映画が白痩神のベクターとなることは十分に考えられることです。

現在、白痩神はウィルスのように、映画を通して多くの人に感染し、活動領域を広めることを目的としていると思われます。
白痩神は死の化身とも言うべき神ですから、映画を通して白痩神に触れられた人は、命を落とす危険が非常に高くなっています。
これを封じるためには、竹垣神社で行われていた祭礼儀式を再現し、本来の領域である黄泉の国にお戻りいただくしかないと思いますが、それにしてもかなりの準備は必要です。
散逸した祭礼の資料を集め直すところから始めないと。多くの識者の方に知恵をお借りしないと、私一人の知識では間違った儀式を行なってしまいかねません。
(当然、間違った儀式を行えば事態はより悪くなることが考えられます。)

いずれにしても、少し時間をいただかなくてはなりません。
それまでは、映画館に行くことは控えていただいて、何らかの気配を感じたらすぐに「見る」ことを習慣化してください。
逆説的ですが、神霊は見られることによって顕在化すると共に、こちらから見ることによってその動きを止めることができます。
あくまでも一時的な対処ですが、気配を感じたらすぐに「見る」ことで、白痩神の接近をしばらくの間止めることができるはずです。海藤さんが度々白い男を目撃していることは、白痩神の接近を遅らせていたのではないかと思います。
むしろ、白い男を目撃していない人の方が、より早く白痩神に近づかれているかもしれません。若い人の不審な突然死のデータを調べてみなければなりません。

くれぐれも、竹垣村に向かうのは絶対に避けてください! あそこは今、限りなく黄泉の国に近い状態にあると思われます。何が起こるか分かりません。

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→ SUZU)
2024-03-14 01:55
SUZUさん、例の白痩神研究の三枝先生と連絡がつきました。対処に希望が見えるかもしれません。
三枝先生によれば、白痩神に対してはやはり「見る」ことが有効だそうです。見ることで一時的に動きを止めることができるそうです。
遊びの「だるまさんが転んだ」みたいなイメージでしょうか。見ていれば、白痩神をその場に止めておくことができる。見ていないと、白痩神は近づいてくる……。
思ったのですが、例のコロ助さんは何度も白痩神を見ることで、長いことその接近を止めていたのかもしれません。
「ファウンド・フッテージ」を観たけれど白い男に気づかなかった人の方が、知らないうちに白痩神に接近されているのかも。実は、誰にも気づかれないまま死に至っている人が、たくさんいるのかもしれません。
ともかく、怪しいものを見たら、目を背けず見るようにしてください。

 ※

(ダイレクトメッセージ:SUZU→MOJI)
2024-03-14 06:​55
MOJIさんこんにちは。小川悠生さんが死にました。
昨日お会いして祭壇の写真をもらったのです。前と同じマクドナルドで少しお話をしましたが、小川さんはやはり落ち着かない様子で、しきりに後ろを気にしておられました。
「約束があるから」と言うのですぐにお店を出ました。お店の前で向かい合って、あらためてお礼を言ってお別れしました。駅の方へ歩いていく小川さんをしばらく見送りました。そうしたら、ぐん!って何かに引っ張られるように、小川さんの体が道路に飛び出したんです。ちょうどタクシーがスピードを上げて走り抜けようとしたところでした。小川さんの体は跳ね上げられ、くるくる回りながら空中を飛んで、道路に叩きつけられました。私の目の前で、小川さんの体はくしゃくしゃになりました。手足があり得ない方向に曲がり、首もねじれて体はうつぶせなのにほとんど後ろを向いていました。
私のせいです。私が小川さんに思い出させたから、小川さんは白い男に捕まってしまったんです。
ですから、私は今から竹垣村に行ってこようと思います。一晩眠らずに考えたけれど、やはりそれしかないと思いました。
名古屋から岐阜県青樹郡の竹垣村まで、電車とバスを乗り継いで4時間くらいで着くようです。
お昼前には現地に着けるでしょうか。

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→ SUZU)
2024-03-14 07:35
SUZUさん落ち着いてください!
ショックだったのは分かります。でも、早まるのは良くありません。
三枝先生からも、竹垣村には近づかないように言われています。

SUZUさんがどうしても行くのであれば、僕も行きます!
車で向かいます。たぶん5時間くらいかかると思います。
できれば、最寄りの駅かバス停などで待っていていただきたいです。
近づいたら教えてください。本当に、一人で奥へ行かないようにしてください。

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 08:14
三枝崇顕先生
ご連絡をありがとうございます。
お返事をお送りする前に、緊急事態になってしまいました。私と同じ症状に悩んでいるSUZUさんという人が、単独で竹垣村に向かってしまいました。
止めるために、とりあえず僕も現地に向かいます。

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-3-14 8:32
海藤様
そうですか。くれぐれも、竹垣村に入る前にSUZUさんを止めてください。竹垣村は現在人間の領域ではない状態にあると思われます。
間に合わないようであれば引き返してください。海藤さん自身は近づくべきではないと思います。

 ※

(ダイレクトメッセージ:SUZU→MOJI)
2024-03-14 08:​​51
名古屋発の特急に乗っています。一人なのに、ずっと誰かに見られている感覚があります。
リュックにはお米とお酒、塩が入っています。小川さんに送ってもらった写真に写っていた、祭壇に並べるべきお供え物です。慌てて家の中でかき集めてきましたが、家にあった料理酒やら味塩やらではどうにもならなさそうですね。
あと、出てくる時にとっさに思い立って、ビデオカメラを持ってきました。父が旅行の時に愛用しているものです。
竹垣村に行くからには、カメラを持って行って映像を残さねばならないと無意識に思ってしまったみたいです。自分が消えてしまっても、映像は残るように、ですかね。
もし私が村で行方不明になって、このカメラだけが残されたら、今度はこれがファウンド・フッテージってことになる訳ですね。
MOJIさん、もしもの時はカメラの回収お願いしますね。

 ※

(ダイレクトメッセージ:SUZU→MOJI)
2024-03-14 09:​48
奥鷺沼駅で電車を降りました。竹垣方面行きのバスは30分後です。それまでは駅で待ちますが、バスが来たら乗るつもりです。

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-03-14 09:​54
すみませんまだ高速です。できればバスに乗らずに待ってください。

 ※

(ダイレクトメッセージ:SUZU→MOJI)
2024-03-14 10:31
迷いましたが、バスに乗ってしまいました。田舎の古めかしいバスです。まるで昭和にタイムスリップしたみたい。おじいさんやおばあさんしか乗っていません。
土砂崩れで道が塞がって、竹垣村が廃村になったので、バスは竹垣村までは行かないようです。近くまでは行くみたいなので、行けるところまで行ってみようと思います。
すっかり春のようないい天気で暖かく、バスの揺れが眠気を誘います。窓の外には桃の花が咲いているのも見えて、いい感じです。でも、眠るとアレが来ても見ることができないので、眠ることはできません。

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-03-14 11:11
高速を降りました。山道を走っています。土砂崩れ以降、竹垣村にもっとも近いバス停である鳩ヶ谷という場所を目指しています。
そちらが先に着くかもですが、その場合もバス停で待っていてください。どのみち車がないと竹垣村へは行けませんよね。

 ※

(ダイレクトメッセージ:SUZU→MOJI)
2024-03-14 11:37
鳩ヶ谷でバスを降りたのですが、バスの中で出会った地元のおじさんが車で送ってくださることになりました。竹垣村自体までは無理ですが、村へ通じる林道の入り口まで送っていただけるそうです。
地図には載っていない道ですが、地元の人が使っている林道があるそうです。それなら、竹垣村まで歩いていける距離まで近づけるのだとか。
バタバタしていて、携帯の充電を忘れていました。もうちょっとでバッテリーが切れそうです。しばらく電源を切って休ませると思います。

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-03-14 11:38
ちょっと待ってください動かないで! もうすぐ着きそうです。バス停で待ってください。

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 11:41
三枝崇顕先生
SUZUさんが竹垣村へ向かっています。このまま村に入ってしまうかもしれません。元の祭壇にあったお供え物の塩や酒など、それにビデオカメラを持っているそうですが心配です。

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 11:47
カメラを持っているなら、不審なものを見かけたらすかさずカメラを向けるよう伝えてください。ただ見る以上の効果が期待できると思います。とは言え一時的な対処なので、相手から見つからないに越したことはありませんが。
適当なお供え物では役に立たないでしょう。
あと、音声通話は避けてください。声は白痩神を呼び寄せる危険があります。村での会話は基本メールで。なるべくこまめに連絡をください。できる限りのアドバイスをしますので!

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-03-14 11:48
怪しいものを見たら、カメラを向けるようにしてください。それで足止めできるとのことです。声も出さないよう注意してください。

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-03-14 11:52
鳩ヶ谷に着きました。竹垣村への林道というのを探しているのだけど分かりません。近くの人に聞いても、今は竹垣村へ行く道はないと言われてしまいます。

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-03-14 11:59
SUZUさん返事をください!

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-03-14 12:12
SUZUさんを送ったという軽トラのおじさんに偶然出会うことができました。林道を教えてもらって、通行止めの手前までやって来たところです。ここから歩いて追いかけます。

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 12:15
三枝先生
林道を歩いています。さっきまであんなに暖かい春のムードだったのに、ここはやけに寒くて、まだ真冬のようです。木々も葉が落ちて、みんな枯れているように見えます。それに、鳥の声が全然しない。生命の気配というものを感じません。

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 12:17
竹垣村はもともと、我々の世界と死者の世界が接する場所でした。契約が途切れたことで、向こう側の領域が広がってきている。黄泉の国が領域を広げているのだと思います。
死者に出会うかもしれません。注意してください。

 ※

(ダイレクトメッセージ:SUZU→MOJI)
2024-03-14 12:17
MOJIさん
竹垣村に着きました。いくつかの民家と、崩れたビニールハウスの残骸が見えます。お地蔵さんが全部倒されていて気持ち悪いです。

撮影を開始しますね。

棚田の上の道に、小川悠生さんが立っています。手と首がねじれたままなので変な感じです。ねじれた手を振って、おいでおいでをしているようです。小川さんは死んだはずなのに、どうしてあそこにいるんでしょう。

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-03-14 12:18
SUZUさん逃げて!

 ※

(ダイレクトメッセージ:SUZU→MOJI)
2024-03-14 12:19
死んだ人が大勢います。
まっすぐこっちに向かってk

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-03-14 12:20
大丈夫ですか? 応答してください。

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-03-14 12:21
SUZUさん大丈夫ですか?

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-03-14 12:22
応答してください

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 12:28
竹垣村に来ました。さっきからSUZUさんの応答がありません。林道を抜けて今、村の入り口らしい四つ辻にいます。荒れた田んぼが広がっていて、四つ辻にはお地蔵さんが倒れています。田んぼの向こうにはいくつか民家が見えています。SUZUさんは見当たりません。道にビデオカメラが落ちていました。SUZUさんのものだと思われます。

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 12:29
田んぼの上の辺りに何人かの人が立っています。村人かと思いましたが、そうではないようです。
ぼんやりとして、途方に暮れたように立っています。あれはたぶん……映画を観て、白痩神に触れられて、死んでしまった人たちじゃないでしょうか。
SUZUさんは連れ去られたようです。あの洞窟でしょうか。今すぐに追いかけるべきでしょうか。

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 12:30
すぐに撤退してください 何か見たら、カメラを向けるのを忘れないように 振り返らず、元来た道を戻ってください

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 12:30
いや、SUZUさんが。このまま帰る訳にはいかないです

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 12:31
それにしても、そのまま進むのは自殺行為です 準備が必要です 一旦そこを離れて、今からメールで送る神社に向かってください 必要な護符などの用意を頼んでおきます 奥に向かうなら、せめてそれがないとどうにもなりません

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 12:33
長野県木曽郡王滝村 阿蘇儀許曽神社
竹垣村と同じく、裏祭神として白痩神を祀る神社です フィールドワークでお世話になった宮司がいるので、事情を説明しておきます 身を守るための護符と共に、祭壇の詳細も教えてもらえるはずです
車ならそこから40分程度で着くでしょう
私も京都を出て名古屋に向かいます

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 12:40
無事に車に戻ってくることができました。
振り向きませんでしたが、背後から強烈な視線を感じました。それに匂いも。腐った肉のような匂いです。それが、村から吹いてくる風に漂っているのです。
最悪な気分。吐き気がします。
一休みしてから、教えてもらった神社に向かいます。

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 12:43
阿蘇儀許曽神社の祭礼についての論文をお送りしておきます。

隠された重要祭祀 白痩神祭礼について
京都大学民俗学講師 三枝崇顕 2019

 日本の呪術史において、彼岸と此岸の境界を守ることは重要な意味を持っていた。此岸に属する我々が彼岸の神々に対して、決して領域を侵さぬことを約束し、契約を結び直す。年ごとの日本の祭礼は、裏にその意味を持っていたのであり、むしろそれこそが本来の目的であったと言える。
 中でももっとも重要なのが白痩神祭礼である。死者の化身であり人々を死の世界へ誘う白痩神はまるで悪霊のようだが、生と並び立つもう一方の属性である「死」を代表する重要な神であった。

 白痩神を祀る祭礼はかつては全国各地にあったと見られるが、現在も原型のままの姿を残しているものは限られる。その代表的な例が、岐阜県の竹垣神社と長野県の阿蘇儀許曽神社の祭礼である。

 阿蘇儀許曽神社では年に一度、初夏の田植えの時期に行われる祭りの際に白痩神を祀る儀式が同時に行われる。表向きは五穀豊穣を祈る祭礼だが、その中に紛らせるようにして、真に重要な白痩神祭礼を行うのである。その祭式は次のような手順を踏む。

1・献膳
 餅米、塩、酒を祭壇に奉り、白痩神をもてなす準備を整える。米は村で前年に獲れたものであり、塩は新潟、酒は山形の献司が決められている。

2・神下ろしの儀
 祭壇の前で白拍子が舞を献じ、黄泉の国より白痩神をお招きする。舞は一切の明かりを消し、暗黒の中で行われる。これは白痩神を決して見ないためであると同時に、白痩神から見られないため。祭りで担がれた神輿がここに運び込まれ、白痩神を宿らせる依代となる。

3・神綱引き
 白痩神が依代に入ったことを確認した後明かりを灯す。祭壇の前に神綱(前年祭礼の翌日より捻り始められた強い霊力を込めた縄)を引き、彼岸と此岸の境界線を示す。

4・神送りの儀
 神綱の手前側(此岸側)で依代を焼き、白痩神を彼岸に送り返す。

5・扉閉め
 神綱を回収し、これによって再び黄泉の国への扉を閉ざす。

 竹垣神社ではほぼ同じ儀式が秋の祭礼の際に行われるとされている。二つの儀式が対になると思われるが、竹垣神社からは取材の許可が得られておらず、その詳細に関してはいまだ不明の部分が多い。

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 14:35
神社に到着し、宮司さんから必要なものをいただきました。
竹垣村に入っていくための護符
献膳(祭壇に祀るための餅米、塩、酒とその容器)
神綱
の3点です。献膳と神綱は、実際に今年の祭礼に使用する予定だったものを貸していただきました。
宮司さんには危険すぎると止められましたが……こうなった以上は、最後までやり遂げないと仕方がありません。SUZUさんを見捨てて逃げ帰ったところで、白痩神が近づいてくるのは変わらない訳ですし。
宮司さんにお祓いをしていただきました。少し勇気が湧いたような気がします。それでは、これから再び竹垣村に向かいます。

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 14:40
そういえば、名古屋に向かわれると言ってましたよね。岐阜ではなく?

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 14:45
「ファウンド・フッテージ」の会社であるNOBODY Incに向かっています。現在の白痩神の依代は映画なので、依代を焼くことをお願いしようと思っています。たぶんそれがないと、儀式は完成しません。
準備が不十分なので、成功の保証はありません。失敗した場合はより強い呪いが返ってくるでしょう。海藤さんにも、私にも。その覚悟だけは、しておいてください。

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-03-14 15:38
SUZUさん、応答できませんか。
生きているなら、何とか応答して欲しいです。
一旦必要なものを取りに行きましたが、今また竹垣村に戻ってきました。
通行止めの前に車を停めて、必要なものを入れたリュックを担いで車を降りました。この場所でもう既に、嫌な匂いを感じます。
周りの雑木林も嫌な感じです。木が全部死んでいるようです。あらためて気づいたのだけど、鳥も虫も全然見当たらない。音もしない。ここはまるで、死の世界です。

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 15:46
三枝先生
竹垣村に入りました。
倒れたお地蔵さんの四つ辻を過ぎて、田んぼに沿った坂道を登っていくところです。
何人かの死人たちがいて、ぼんやりと突っ立っています。とりあえず敵意はないようですが、通り過ぎるとのろのろと後ろをついて来ます。
村全体に漂う、嫌な匂いがすごいです。これはもしかして、死臭ということになるのでしょうか。

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-03-14 15:58
SUZUさん
民家の間の細い道を歩いています。どっちに行けばいいのか分からないですが、竹垣神社や洞窟は山の上にあるとのことなので、坂を登る方向へと向かっています。
三枝先生に教えてもらった神社でもらった護符を持っています。というか、おでこに貼っています。そうするように言われたので。
まるでキョンシーみたいで馬鹿馬鹿しい見た目なのですが、ここでは誰も突っ込む人はいません。
SUZUさんが突っ込んでくれればいいのですが。
……って、何を書いてるんだ。気を紛らわせてるだけです。気にしないで。

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 16:07
死人の数が増えてきました。民家の庭先や路地の奥など、あちこちにいます。年寄りの死人たちは、村の住人だった人たちでしょうか。掃除とか道具の手入れとか、何かの作業をやってるように見えるけど、やってるふりをしているだけのようです。庭を掃いてる格好をしつつ、ほうきを持っていなかったりします。
生きてる時の習慣で動いてるのでしょうか。だとしたら、映画を観て死んだ人たちは、ここで何もすることがない訳ですね。
振り返ると、まだぞろぞろとついて来ています。だんだん増えてきているようです。

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 16:14
SUZUさんからも、三枝先生からも返事がこない。一人で喋ってるのはバカみたいだ。
というか、これは送れてるのか? 電波がないのか。もういい。独り言を続けることにする。
さっきから、声が聞こえてくる。苦しそうに、うめくような声だ。
ついて来ている死人たちの声か。死が苦痛で、耐えられないのか。
前からも後ろからも聞こえる。もう、すっかり囲まれてしまっているようだ。

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 16:17
はくそうしん

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 16:28
白痩神を見ました。全身真っ白な死体のような生き物が、踊るようにゆらゆらと揺れながら村の通りを歩いています。明るい光の中で見ると、皮膚があちこち腐って変色しているのが見てとれます。あれは死体ですね。映画の中と違って、ここでは普通に生き物のように存在しているようです。
キョロキョロと周りを見回しているのは、僕を探しているのに違いありません。
とっさに空き家の納屋に隠れました。埃を被った精米機の後ろに隠れて、あいつが立ち去るのを待っていますが、家の前の道を行ったり来たりして、なかなかどいてくれません。僕がここにいるのに気づいているのか。

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 16:40
いつまで経っても動けない。光が西日になってきた気がする。グズグズして日が暮れたらヤバいのに動けない。
反対側の出入り口から、農家の家の方に回ってみます。

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 16:49
今、いくつかのメールをまとめて受け取りました。電波状況が悪いようです。
護符がある限り、白痩神からは見られないはずです。注意すべきはむしろ死人たちでしょう。護符は死人には効きませんから。
そこは今、境界線が失われて、死者の領域になっています。黄泉の国です。ですから白痩神に殺された死霊たちは皆そこにいるはずですし、そこでは死霊も実体を伴って行動できるはずです。霊でありながら、物理的な干渉が可能。つまり、あなたに危害を加えることが可能だということです。
護符の効力を信じて、白痩神を回避して先に進んでください。死人どもに気をつけてください。

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 16:49
家の方に行くと、撮影クルーがいました。いかにも映画を撮っているようなふりをしているのだけど、カメラも何も持っていなくて、何だかごっこ遊びをしているようです。というか、生きていない。死人です。外にいる白痩神と同じような、ブヨブヨした白い肌をしています。皮膚の一部が腐って骨が見えていたり、髪が抜け落ちたりしています。
あれはたぶん、小川悠生さんと北原満さん、それに確か杉山という人ですね。「ファウンド・フッテージ」の映画に出ていた人たち。小川さんと北原さんは死んでいるし、杉山さんという人もSUZUさんのインタビューに出てきてました。その時点では生きてる風だったけど、死んだんですね。
後ろの方で所在なくうろうろしている死人もいました。あれはたぶん大森監督でしょうね。

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 16:51
カメラを向けたのだけど、そいつらには効きませんでした。一斉に襲いかかってきたので、必死で抵抗しました。冷たい体を突き飛ばして逃げて、外に飛び出して。白痩神にも見つかったようです。
今は、別の家に逃げ込んでこれを書いています。とりあえずは隠れていますが、白痩神と死人たちが外を探し回っています。奴らにもみくちゃにされて、臭い汁を浴びてしまいました。最悪です。
今気づきましたが、護符がありません。死人たちに揉まれた時に、護符を取られたようです。

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 16:51
護符を取られたなら危険すぎます。すぐに撤退してください!

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 16:52
すっかり西日になってきました。もう日が暮れそうです。
じっとしていても埒があかないので、思い切って、神社と洞窟まで走ろうと思います。
相変わらず電波が弱くて、ずっと一人ごと状態です。これも届いてないかと思いますが。

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 16:54
このメールも届いていない? 届いているなら、撤退して欲しいですが。
こちらはNOBODY Incでの交渉を終えました。海藤さんのメールも見てもらって、今何が起こっているかある程度理解してもらえたようです。
映画「ファウンド・フッテージ」を放棄することにも、同意してもらえました。彼らとしても、関係者の多くが死亡して戸惑っていたようです。大森監督は結局、NOBODYの代表だったようですね。
一般の方から、家族の突然死と映画の関係を問いただす声もかなり多く届いているようで、私の提案は渡りに船だった気配もあります。早く厄介払いしたいムードを感じました。
ただ、私はフィルムを燃やすようなイメージを持っていたのですが、今どきの映画はデジタルなんですね。映画はDCPと呼ばれるハードディスクの中に入っているそうです。
通常の消去だと復元可能だということなので、磁気を使ってデータを完全に消去する業者を呼びました。その到着を待っているところです。

 ※

(ダイレクトメッセージ:SUZU→MOJI)
2024-03-14 17:01
SUZUです

 ※

(ダイレクトメッセージ:SUZU→MOJI)
2024-03-14 17:02
SUZUです。MOJIさんもしかして近くにいますか?
村に入ったところで死人たちに取り囲まれて、気を失っている間に運ばれたようです。目を覚ましたら、真っ暗な場所にいます。
スマホの明かりで、かろうじて周りが少しだけ見えます。映画で見覚えのある祭壇らしきものがあるので、ここは洞窟のいちばん奥だと思います。
足もとには池があって、下半身は茶色い水の中に浸かっています。ここから逃げようと思うのだけど、足が水の中で何かに挟まれていて、動きません。
というか、誰かに足をぎゅっと掴まれているような感じです。
池の底から、うめくような声が聞こえてきます。地獄に繋がってるのかもしれません。

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-03-14 17:07
SUZUさん生きていてよかった!
今近くに来ています。神社へ登っているところなので、もう少しだけ我慢してください。希望を捨てないで!

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 17:14
今、​メールがまとめて来ました。電波が途切れ途切れになっているようです。
SUZUさんからもメールがありました。洞窟の奥に捕まっているようです。
裏通りを走って、今のところは白痩神と死人たちを振り切ることができています。でも、追いかけてきています。
村のいちばん高台のあたりに登ってきました。見下ろすと棚田が広がっています。夕日が射していて、棚田が赤く染まっています。場違いですが、きれいな景色です。
田んぼの畦道に死人が一人立っています。遠いのではっきり見えませんが、あれは昨年亡くなった僕の祖母ではないかという気がしています。僕を見る目に、悪意がないように感じるからです。
死者も、すべてが邪悪な死霊ではない。そんな気がします。
ここから先は山で、古い鳥居をくぐって階段が続いています。あれを登れば竹垣神社に、そしてその奥の洞窟に着くはずです。

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-03-14 17:21
竹垣神社への階段を登っています。滑りやすい斜面に石が穿たれた急な階段です。滑りやすくてなかなか速度が上がらないのだけど、後ろから追って来る気配が強烈です。白痩神と、大勢の死人たち。異様な声と、気配と、それに嫌な匂いが下の方から上がってきます。逃げ場のないところへ追い立てられてるような気にもなります。

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 17:26
竹垣神社にやって来ました。この場所は、村のどこよりも禍々しさが強いです。何か、空気が歪んでいる気がします。
周囲は背の高い竹藪に囲まれています。風が吹いて、竹藪が揺れて擦れて、バキバキと嫌な音を立てています。

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 17:29
神社の建物の中は、どこもひどく荒れ果てています。村の民家よりもずっとひどい。わざと荒らしてめちゃくちゃにしたように見えるのは、実際に自殺した宮司がやったんでしょう。
たくさんのお札が落ちていて、踏みつけにされて足跡がついています。バラバラになった神具らしき木材も散らばっています。
本殿の中央、本当だったら御神体が祀られていたような場所が、泥の山で埋め尽くされています。カラカラに乾いているので定かではないですが、泥じゃなくて堆肥かもしれません。とにかく、神聖な場所を汚してやろうという悪意が満ちているのを感じます。

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 17:32
死人たちの声が、もうすぐそこまで近づいています。
奥へ進んで、本殿の裏庭に当たる場所にやって来ました。柵が壊されていて、ここは本来は入れない場所なのだと思います。砂利敷きの庭の中央に大きな木があって、その前に神主の格好をした男が立っています。あれもどうやら死人です。
洞窟の入り口は、その向こう側の崖にあります。しめ縄が張られていたようですが、ボロボロになって朽ち落ちています。

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 17:34
それは自殺した宮司の服部氏でしょう。人間への呪詛の念を持って、自ら白痩神を解き放った男です。とても強い悪意を持っていると​思われます。気をつけてください!

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 17:35
宮司の顔がうぞうぞと蠢いています。よく見ると、無数の蛆が顔にたかっているようです。蛆が宮司の顔の肉を食い破り穴を開け、肉や蛆がボトボトと足もとに落ちています。
あれは完全に腐っています。腐ったまま動いている。それが苦痛であるようで、さっきから苦しそうな唸り声をあげています。
夕日が落ちて、影が差してきました。竹藪の影が異様に長く、長く伸びています。夜になりそうです。
白痩神と死人たちが境内を近づいてきます。砂利を踏む、ガチャガチャという音が聞こえます。どうやらもう、逃げ場はなさそうです。
宮司をどうにかすり抜けて、これから洞窟に入ります。

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 17:36
データ消去業者が到着しました。
現在、データ消去の準備中です。
海藤さんの儀式とタイミングを合わせて、最終的な消去を行う予定です。
なんとか頑張ってください!

 ※

(ダイレクトメッセージ:SUZU→MOJI)
2024-03-14 17:37
だんだん、足を引っ張る力が強くなってきたかもしれない
池の中に引き込まれそう

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-03-14 17:38
洞窟に入りました!
宮司の死霊が近づいて来ましたが、ギリギリですり抜けて飛び込みました。でも追いかけて来ています。
カメラのライトで照らしながら進んでいます。光が見えるかもですが、声は出さないよう注意してください。白痩神が近づいて来ています。

 ※

(ダイレクトメッセージ:SUZU→MOJI)
2024-03-14 17:39
ライトの光が見えました!

 ※

(ダイレクトメッセージ:MOJI→SUZU)
2024-03-14 17:39
SUZUさんの明かりも見えます。声は出さないで!
池で隔てられていて、これ以上近づけないようです。三枝先生に教えてもらった儀式をやります。上手くいけば白痩神を封じられるはずです。

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 17:41
祭壇の場所まで来ました。
洞窟が少し広くなっていて、濁った水が浅く溜まった池があります。SUZUさんは池の向こう岸にいるようです。池の手前に、白木のテーブルのような祭壇があります。地面には、以前に供えてあったと思われる容器が割れて散らばっています。
池の向こう側で洞窟は終わっていると思うのだけど、暗闇が濃くて、何も見えません。ライトを向けてもまるで何も見えない。まるで深い穴が開いているようにも見えます。どこか異世界にに繋がっているようです。
これから「献膳」をやります。

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 17:42
分かりました 左から米、塩、酒の順序を間違えないようにしてください
今は既に白痩神が此岸に招かれている状況なので、「神下ろしの儀」は不要です
神綱を祭壇の前に置いたら、連絡を入れてください。依代を破壊します

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 17:43
祭壇に米、塩、酒を並べ、祭壇の前に神綱を置きました。
白痩神と死人たちの声と足音が、洞窟の中で反響しています。
洞窟の壁に、白痩神の影が伸びているのが見えました。もうやって来そうです

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 17:43
データの磁気消去を開始します。消去が終わったら神綱を取ってください。それで結界が閉じ、神綱のこちら側は人間の、向こう側は黄泉の領域に戻ります。黄泉は白痩神と共に封印されるはずです

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 17:44
待って! 待ってください
SUZUさんが神綱の向こう側にいます。このまま閉じたらSUZUさんが戻れない
30秒だけ待ってください 池に入ってSUZUさんをこっちに引っ張ります

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 17:44
磁気消去はスタートしています。今止めると再起動に10分かかるそうです。消去にも1分程度かかるそうなので、このまま続けます。1分以内にSUZUさんを助けてください!

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 17:45
磁気消去が終わりました。神綱を取ってください

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 17:46
無事ならば応答願います。

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 17:47
応答願います

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 17:50
失敗でしょうか……

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 17:55
海藤さん、連絡してください

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 18:00
映画は消去しましたが、残念ながら封印は失敗したようです。
海藤さん、お力になれずにすみません。

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 18:01
生きてます

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 18:02
SUZUさんを連れて、洞窟を出ました。山を降りて、村まで戻って来ています。

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 18:02
海藤さん! よかった!

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 18:04
ギリギリで何とか、封印はできたようです。SUZUさんを連れ出し、神綱も回収しました。
必死で逃げて来たのではっきりとは分かりませんが、​白痩神は消えたようです。死人たちも見当たりません。
すっかり夜ですが、村の空気はさっきまでとずいぶん変わっています。嫌な匂いがなくなっています。心地よい、春の風が吹いているのを感じます。

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 18:05
封印は成功したようです。本当に良かった。
念の為、こちらではハードディスクを物理的に破壊して、絶対に復元できないようにしておきます。
大森氏のパソコンに残っていたデータも、すべて磁気消去を行った後廃棄します。

 ※

(メール:MOJI 海藤文字→三枝崇顕)
2024-03-14 18:08
三枝先生のおかげです。ありがとうございました。
今気づいたのですが、洞窟の中でビデオカメラを落としたようです。
ちょっと気になりますが、取りに戻るのはさすがに嫌なので……そのままでもいいですよね。
これから名古屋に向かいます。SUZUさんを家まで送り届けてから、NOBODY Incへ向かおうと思います。
もしよかったら、ビールでも一杯飲みましょう。

 ※

(メール:三枝崇顕→MOJI 海藤文字)
2024-03-14 18:09
よろこんで。お待ちしております。


PART 4

(「MOJIの映画レビュー」より)
竹垣村リポート(その5)
2024-03-30 21:23
テーマ:ファウンド・フッテージ

「ファウンド・フッテージ」騒動の後始末、竹垣村で体験したことをこのブログで書いてきた訳ですが、読者の皆さんの反応はあんまり芳しくはないですね。
 嘘つくなとか……小説書くなら他でやれとか……幻滅した映画レビューももう読まないとか……
 まあ、信じられないのも無理はないと思うのです。なので、いちいち反論するつもりはありません。
 僕はただ、ありのまま今起こったことを話すぜ!ってだけなので。
 幸いなことに、この連載も今回で終わりです。興味ある人だけお読みください。
 次からは、通常の映画レビューに戻ります。

 洞窟の奥で、S先生に言われた通りに祭壇を並べ、祭壇の前に神綱を置きました。
 名古屋でS先生がハードディスクの消去を開始します。儀式にある依代を焼くっていうのを、白痩神が入った映画を消去することで代用する訳ですね。
 それでいいのか?と思いますが、S先生によれば、呪術というのは見かけではなくて本質が大事であるそうです。

 依代が消去されて、神綱を取り除けば封印の儀式は完了する。
 神綱のラインを境界に、人間の世界と死後の世界の境目が、再びしっかりと閉じられるということです。
 ダダ漏れになっていた神霊や死霊は死後の世界に戻り、竹垣村は人間の世界に戻るはず。
 そこで、はっと気づきました。池の中の手に足を掴まれて動けないSUZUさんが、まだ神綱の向こう側にいる!
 このまま境界が閉じたら、SUZUさんは黄泉の世界に置き去りです。

 慌てて、僕は池の中に飛び込みました。そこから先は、かなりの混乱状態で記憶もはっきりしないので、事実と違うところもあるかもしれません。
 池の中に踏み込むと、たくさんの手が下の方から伸びてきて、僕の足を掴んできました。いや、はっきりとそう分かった訳じゃないけど、そんな感触がしたということです。
 池自体は浅くて膝が浸かるくらいの深さしかなかったので、下に人がいるなんてことはあり得ないはずなんだけど。
 でも、足に感じる感覚としては大勢の人たちが下にいて、這い上がろうと必死にあがいて取り縋ってくる感じでした。

 立ち止まると深みへ引き摺り込まれそうなので、そのまま歩いて池を横切りました。SUZUさんは池の向こう岸にいて、下半身が池の中にはまっていました。深さからは、そんなにはまるはずがないのだけれど。
 SUZUさんの腕を掴んで、強引に池から引っ張り上げました。スムーズにいったのは、SUZUさんが思った以上に軽かったおかげですね。思えば、SUZUさんに会うのはその時が初めてだった訳ですが。事前に想像していた以上に、小さかったですSUZUさんは。

 SUZUさんを引っ張って、またジャボジャボと池を戻っていくと、白痩神がもうそこまで迫ってきていました。既に神綱を踏み越えて、池の中にまで踏み込んできている。ビデオカメラの光の中に、白い不快な死体の顔が浮かんで見えます。ブヨブヨした肌、真っ黒な目、そして肉が腐った最悪な臭気。
 あの暗い洞窟の袋小路で、生きて歩く死体と対面している。その事実に、気が狂いそうでした。
 暗がりの中を、骨ばった白い手が伸びて来る。僕に触れようとする白痩神の手、それは死のひと触れなのだと、直感的に僕は感じました。触れられたら最後、白痩神の​領域、死へと引き摺り込まれるのだろうと。
 何も考えないまま、ビデオカメラを前に突き出していました。ほとんど反射のような動きです。カメラのライトに照らされた白痩神が、一瞬動きを止め、わずかに手を引っ込める。でもその後ろから、死人たちがわらわらと出てきました。
 先頭にいたのはあの宮司。顔にいっぱいの蛆虫がうぞうぞと蠢いている宮司です。続いて、首のねじれた小川さんや北原さんなどの死人たち。その後ろからも大勢が続いて来て。一斉に掴まれて、手からカメラをもぎ取られました。カメラのライトが消えて、完全な暗闇が降りました。
 大勢の死人たちの冷たい手が、僕の体に絡みつき締めつけて、そして前へと送り出そうとしています。暗闇の中で待ち受けている白痩神に、貢ぎ物として僕を差し出そうとするように。何も見えない真っ暗闇の中に、白痩神のじっと見つめる視線を感じ、その手が伸びてくる空気の動きを感じました。
「SUZUさん、地面の綱を取って!」僕は叫びました。
 僕らが生き延びることができたのは、そこでSUZUさんが何の疑問も感じず、すぐさま言われた通りに行動してくれたからでしょうね。そうでなかったら、数秒後には触れられていたと思います。
 SUZUさんはすばしこく身を屈めて死人たちの足元を走り抜け、地面にあった神綱を掴んで引き寄せました。
 同時に、何か怒号のような声が、頭の中に響いてきました。実際の声じゃない。頭の中で響く声です。強い怒りをはらんだ、恨みに満ちた咆哮。人間を、生きたものを、心底憎み罵るような。
 それが白痩神のものだったのか、あるいは宮司の声だったのかは分かりません。
 不意に、僕を掴んでいた死人たちの力が緩みました。暗闇の中で僕はどうにかSUZUさんの手を掴み、出口と思われる方向へ向けて走りました。

 闇の中を走って走って、やがて洞窟から飛び出して。
 竹垣神社の裏庭に立つと、もうすっかり日は落ちて、夜になっていました。
 とは言え、洞窟の中の暗闇と比べれば、夜はずっと明るくて。月明かりが差していて、神社の様子ははっきりと見ることができました。
 その時に僕とSUZUさんは、封印が成功したことを知ったのです。
 空気が、さっきまでと全然違っていました。奇妙な空気の歪みはなく、腐ったような不快な匂いもない。竹藪も静か。禍々しさは消えていて、ただ夜の神社の厳かな静けさがありました。
 死人たちも見当たらない。さっきまでその場を覆っていた濃く重い死の気配は消えて、竹垣神社は人間の世界に戻っていました。
 ぽっかり開いた洞窟の出口を見ても、怖さは感じませんでした。あそこから白痩神が出てくることはない、と信じることができました。そこはもう、理屈じゃないですね。

「死ななかった」と、SUZUさんが震える声で言いました。「何だか嘘みたいです。絶対に死ぬと思ってました」
「そうですね。死ぬかと思いました」と僕も言いました。僕の声も震えていました。
 見ると、二人ともひどい有り様です。SUZUさんは泥水にまみれていたし、僕も死人たちの臭い体液を全身に浴びていました。髪の毛に絡みついた蛆虫を、SUZUさんが取ってくれました。
 顔を見合わせて、何だか笑ってしまったのでした。

 SUZUさんととりとめもない話をしながら、山を降りていきます。
 もう怖い話はお互いにこりごりだったのでね。話題はずっと、映画の話でしたよ。

 ※

(ブログ「SUZUの映画館に行こう!」より)
竹垣村とMOJIさんのことの巻
2024-04-01 19:20
テーマ:ブログ

 みなさんこんにちは! SUZUです。ドキドキ映画ライフ、楽しんでいますか?
 一時はどうなることかと思いましたが、私もどうにか、ドキドキ映画ライフを取り戻しました! よかった!
 最近はすっかり映画ばっかり観ています。怖いことを心配せず、安心して映画館で映画が観られるって、本当にいいことですね!

 私はもう本当に死の世界に引っ張り込まれる一歩手前まで行っちゃったので、今もこうして生きていられるのはMOJIさんとS先生のおかげです。
 中でもMOJIさんは、本当に命をかけて助けに来てくれたので。深く深く感謝しないといけないと思ってます。
 あと、私は助かった訳だけど、残念ながら犠牲になってしまった小川悠生さんやコロ助さん、映画館で亡くなった人や、他の人たちも。
 映画を愛する人たちが、たくさん犠牲になってしまいました。
 心から、ご冥福をお祈りしたいと思います。

 最後に……MOJIさんとは竹垣村の洞窟のいちばん奥の、切羽詰まった場所で初めて顔を合わせた訳だけど。
 私を見て、MOJIさんが意外そうな顔をしていたのを印象深く覚えてます。MOJIさんは私のことを、ちょっと違うふうにイメージしていたみたいですね。
 MOJIさんとはブログやメールの文章で話をするだけだったので。私のことを、もっと年上だと思っていたみたいです。
 ブログだとついつい背伸びして、大人ぶった書き方しちゃうので。一人称も大人っぽく「私」にしていたし。

 それと、私はブログの中で一度も、自分が​女性であるような書き方をしたことはないと思うのですが。MOJIさんは私を女性だと思っていたみたい。
 まさか14歳の男子中学生だったとは……白痩神をめぐる何よりも、いちばんびっくりしたって言ってました。
 もしかして、​大人の女性だと思っていたから、命懸けで助けに来てくれた……って、まさかそんなことはないと思いますけどね!

 それはともかく、今回のことがきっかけで、MOJIさんとはすっかりいい映画友達になれました!
 年は離れてますけど、映画の話をするとお互いに止まらなくなります。今度、一緒に「オーメン・ザ・ファースト」を観に行く予定です!

 ※

株式会社キャメルライド オフィシャルサイト告知ページより(2025年1月10日更新)

映画「ファウンド・フッテージ2」公開決定!

 2023年、誰にも知られずひっそりと限定公開。その後「観ると呪われる」「観ると死ぬ」と社会現象を巻き起こし、「観てはいけない映画」として封印された曰くつきの作品「ファウンド・フッテージ」。
 そのロケ地となった山奥の廃村で、人知れず撮影されたビデオ映像が存在した……!
 虚構と現実が交錯する、スーパーリアル・ドキュメンタリー・ホラーがいよいよ登場。

STORY
「その映像には、観てはいけない恐怖が映っている……!」
 今や都市伝説となった映画「ファウンド・フッテージ」の実像に迫るため、関係者を訪ね歩く杉野(平井優馬)をリーダーとする調査チーム。しかし関係者の口は一様に固く、なかなか真実に辿り着けない。業を煮やした杉野は「ファウンド・フッテージ」のロケ地だった山奥の廃村を訪れ、そこに放置されていたビデオカメラを発見する。そこには、想像を絶する恐怖の映像が記録されていた……!

コメント 監督 小堀宏和
 本作は、フィクションとドキュメンタリーの間を縫うような作りになっています。平井優馬くんに演じてもらった杉野の役柄はフィクションですが、登場する「関係者」の多くは本物の当事者の人たちです(本人の希望があった場合はモザイクをかけさせてもらっています)。そして何より、後半に登場する「ビデオ映像」は、実際にロケ地となった無人の廃村で回収したカメラに残されていた映像です。正真正銘、本物の迫力をぜひご覧ください! ……ただ、その結果呪われても当方は責任は負いかねますのであしからず。

コメント 主演・杉野役 平井優馬
 調査チームのリーダーとなる杉野を演じました、平井優馬です。本作の撮影ではほとんど台本というものがなく、戸惑うことも多かったですが、かなり怖い作品に仕上がってるんじゃないかと思います。例の村に行った時から、僕自身もなんだか調子がおかしくて。肩に何か乗ってるような気がします。
 見どころは……僕は出てないところなんですが……やっぱり「ビデオ映像」ですね。これは映画史上初の、本物の心霊現象を捉えた映像だと思います。
 普段のアイドル活動とはまったく違うお仕事でしたが、とてもいい体験でした。映画館でお会いしましょう!

 ティザービジュアル&画面写真は公式HPで公開中。
 本物だけが持っている迫力を体感できる、新次元ホラー映画! 2025年春、全国の映画館で公開です!

 ※

ブログ「アサヤンの映画三昧」より
「ファウンド・フッテージ2」を観ました!
2025-01-21 22:47
テーマ:ホラー映画

 皆さんこんにちは〜アサヤンです。マイナーなインディーズ映画を中心に、レビューを書いていくブログです。よろしくお願いします。

 今回は話題のホラー映画「ファウンド・フッテージ2」です!
「観たら死ぬ」と話題の映画の続編らしいのですが、僕は前作は観ていません。
 なんでも「スーパーリアル・ドキュメンタリー・ホラー」とのことで、フィクションでなく実録である!というのが売りになっています。

……というのは、まあ正直言って嘘くさいですね!
 前作も、僕は観てないですが、「観たら死ぬ」というのは都市伝説だと思います。映画観ただけで死んじゃうなら、もっと大きな社会問題になってるんじゃないですかね。
 去年の初め頃、ネットで少し話題になってたのを何となく覚えてますが。どうせ映画会社の話題作りだろうと思ってるうちに、話題にもならなくなっていました。

 そんな嘘くさい映画の続編なので、本作もかなり怪しげです。
「関係者」とか言って、前作の映画会社の人とか、前作に出演していた端役の人とかが出てくるのですが、まあみんな俳優でしょうね。通販番組でよくある、「効果抜群!」とかってインタビューするCMを連想しました。
 その中に大学教授という人がいて、かなり熱く「呪いは本物だ、ビデオの映像を観てはいけない」って語っていたけど。言葉だけでは、どうにも信用できないですね。

 前半はそんな感じで、インタビューばっかりなので退屈です。
 中盤、「ファウンド・フッテージ」のロケ地だったという山奥の村に出かけていって、何だか怖そうな雰囲気に見せようとするのだけど、風景はすごくのどかなのでね。
 畦道には花が咲いてるし、小鳥が鳴いてるし。あまりホラーなムードは感じられませんでした。
 でも、山の上の神社のシーンは少し不気味な感じがあったかな。特に何が起こるという訳でもないのだけど、荒れ果てた神社の雰囲気が不穏。
 その奥にあった洞窟で、落ちていたビデオカメラを見つけます。後半はそこに残されていたという「本物の」映像。ほんまかいな、としか思いませんが。

 で、肝心のこの映像ですが、何が何だか分からない!
 冬の閑散とした村の中を撮影しながらうろうろする映像なんだけど、手持ちなのでブレまくるんですよね。観づらい!
 田んぼや民家の間を歩いて行って、いかにも何か見えた!って感じでカメラをそっちに向けるのだけど、何もいない。ただその単調な繰り返し。撮影してる人は映らないのだけど、ただハッハッという息の音だけが入っていて。
 確かに、緊張感はあります。一種異様な、不気味な感覚が募っていって、だんだん気持ち悪いような、息苦しいような気分になってくる。
……って、それは単に揺れる画面に酔ってるだけかもしれないですが。

 最後の方は洞窟の中で真っ暗なので、ますます何が何だか分からない。リアリティの前に、ストレスばかりが募ります。
 この暗闇のシーンで一瞬だけ、こっちに向かってくる全身真っ白な男が映ります。これが悪霊の正体ということか……。
 それにしても、一瞬なのでほとんど見過ごしそうなくらいです。どうせフェイクなら、もうちょっとはっきり見せればいいのにね。

 という訳で、肝心の「本物映像」も何だか拍子抜け。あまり見どころのない、盛り上がりに欠けるB級ホラー映画でした。
 いちばん怖かったのは映画が終わった帰り道、ですね。レイトショーで、結構遅い終わりだったのだけど。
 夜道を歩いていたら、何だか急にぞわっとして。ぞくぞくっと背中に寒気が走って。
 後ろから何かに見られてる。何かがついてくる! という感覚で、めちゃくちゃ怖くなってしまいました。
 振り返ったら、あの白い男がひゅっと、物陰に引っ込むように見えました。
 まあ、気のせいだと思うんですが。

 それからどうも、調子が悪くて。B級映画だと思った割には、変に影響を受けてしまったみたいです。
 街を歩いていても、時々視線を感じる。
 慌てて振り返ると、あの白い男がぱっと隠れる……ような気がする。
 まるで街中に白い男がうろつき回っているような、そんな気がしてならないのです。
 皆さんも、鑑賞の際はどうぞ自己責任でお願いします。

(了)

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