「……え?」
「だから、糸川(いとかわ)のケツを掘れって言ってんだよ」

「いや……それは」
「は? なんか文句あんのか? 散々しゃぶった仲のくせによ」
「で、でも……」

 目の前の男子生徒は取り巻きに囲まれて、はぁーとため息をついた。
「お前さぁ、俺が誰か分かってるわけ?」
友清(ともすみ)君……」

「そう! 友清くんは社長の息子なんだよ! しかも、親族経営の零細企業じゃなくて、あのハッピーハッピー☆フレンズの社長の息子!」
「そうだよ」

 ニヤニヤ笑う友清とその取り巻き。俺は下を向いて唇を噛む。

「だから、俺に逆らったらどうなるか分かるよな?」
 下品な笑い声が教室中に響き渡った。今は放課後。担任は職員室に行ってしまって助けは来ない。

「分かったよ」
 ズボンとパンツを下ろした。糸川(いとかわ)の息を飲む声が小さな悲鳴みたいに聞こえた。

「カメラ回しとかないとなぁー」
 友清は、親父に買ってもらった高いカメラを取り出して構えた。

「この番組はァ~ご覧のスポンサーの提供でお送りしまぁ~す!」