7.「胴胴」
山路や洞に現るる妖怪、「胴胴」と称す。其の姿、蛇の如く長大にして、無数の足を持つ。雨夜に忽然と現れ、旅人を見定むるが如し。胴胴は寡黙にして滅多に声を発せず。然れど、その声を聞く者は耳を破られ、異界へ誘われると古伝にあり。よって、耳を塞ぎ、目を伏せ、静かにその場を離れるべし。胴胴の足音響くとき、畏れ敬う心を忘るること勿れ。彼は災厄を招くも、また守護の役を果たすとも言い伝えらるるものなり。
(『山怪綺譚抄』より抜粋)
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【出典】
書名: 山怪綺譚抄(さんかいきたんしょう)
編纂者: 葉山 玄舟(はやまげんしゅう)
成立年: 天保八年(1837年)
版元: 江戸・長屋堂
概要:
江戸時代後期に編纂された妖怪譚の集成。地方の怪異や民間伝承を筆録し、挿絵とともに解説した貴重な資料。山中や洞窟、川辺にまつわる怪異を中心に収録され、その中には「胴胴」や「鎖蛇(くさりへび)」、「影女(かげおんな)」といった独特の妖怪も登場する。玄舟は全国を旅して聞き取った話をまとめたとされ、庶民の口承を学術的視点から記録した先駆的な書物と評されるが、一部には玄舟自身が創作した物語も含まれるといわれる。また、挿絵は彼の弟子である浮世絵師・加藤飛一(かとうとびいち)によるものと伝わる。

山路や洞に現るる妖怪、「胴胴」と称す。其の姿、蛇の如く長大にして、無数の足を持つ。雨夜に忽然と現れ、旅人を見定むるが如し。胴胴は寡黙にして滅多に声を発せず。然れど、その声を聞く者は耳を破られ、異界へ誘われると古伝にあり。よって、耳を塞ぎ、目を伏せ、静かにその場を離れるべし。胴胴の足音響くとき、畏れ敬う心を忘るること勿れ。彼は災厄を招くも、また守護の役を果たすとも言い伝えらるるものなり。
(『山怪綺譚抄』より抜粋)
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【出典】
書名: 山怪綺譚抄(さんかいきたんしょう)
編纂者: 葉山 玄舟(はやまげんしゅう)
成立年: 天保八年(1837年)
版元: 江戸・長屋堂
概要:
江戸時代後期に編纂された妖怪譚の集成。地方の怪異や民間伝承を筆録し、挿絵とともに解説した貴重な資料。山中や洞窟、川辺にまつわる怪異を中心に収録され、その中には「胴胴」や「鎖蛇(くさりへび)」、「影女(かげおんな)」といった独特の妖怪も登場する。玄舟は全国を旅して聞き取った話をまとめたとされ、庶民の口承を学術的視点から記録した先駆的な書物と評されるが、一部には玄舟自身が創作した物語も含まれるといわれる。また、挿絵は彼の弟子である浮世絵師・加藤飛一(かとうとびいち)によるものと伝わる。

