40.あめつちの請まつりについて
みなさんは、この地の山奥に伝わる大百洞天命(おおももほらあまのみこと)という神様のことを聞いたことがありますか?
黒穂という地域には、むかしから「あめつちの請まつり」という、不思議なおまつりがありました。このおまつりでは、村の人たちみんなで神さまにお祈りをします。罪を犯してしまったり、病気で苦しんでいる人たちもいっしょにお祈りをすることで、もう一度まっすぐな心を取り戻したり、元気になったりするよう願っていたのです。
このおまつりは、はじめは黒穂の山奥だけで行われていました。ところが、大百洞天命という神さまが「もっと多くの人を助けたい」とお考えになり、さまざまな奇跡をとおして人びとにこのおまつりのすばらしさを伝えたと言われています。「あめつちの請まつり」で深い祈りをささげた罪人や病人には、心やからだを清める機会が与えられるようになりました。その結果、大勢の人たちが安心して生活できるようになったそうです。
さらに、このおまつりでは珍しいできごとがおこります。それは、前のおまつりで神さまの力をいただいた人が、次のおまつりで「神官(しんかん)」という大切な役目を務めるようになる、というならわしです。大百洞天命が人々を選び、新しい神官を生み出すことで、村の暮らしを支えつづけているのだ、と言い伝えられています。
このように「あめつちの請まつり」は、ただ山奥のひそかな行事ではなく、多くの人を救うきっかけとなりました。やがて国中のさまざまな場所で、神官によるお祈りや厄よけの行いが広まり、凶作や病気を遠ざける大切なおまつりとして知られるようになったのです。おまつりの評判を聞いたほかの地域の人々も、わざわざ黒穂まで足を運んで、大百洞天命のご加護を受けようとしたと言われています。
今では、このおまつりがどのように行われていたのか、くわしい様子ははっきりわかりません。しかし、大百洞天命という神さまと「あめつちの請まつり」の物語は、地元の人々によって大切に語りつがれています。もし、みなさんがこの黒穂地域で歴史や伝説にふれる機会があれば、ぜひこの不思議な神さまとおまつりの話に思いをはせてみてください。
そこには、人々を思いやる気持ちと、みんなで力をあわせる大切さが、今でもしっかりと息づいているのです。
(「くろほ伝承館」展示パネルより抜粋、現在閉鎖中)
みなさんは、この地の山奥に伝わる大百洞天命(おおももほらあまのみこと)という神様のことを聞いたことがありますか?
黒穂という地域には、むかしから「あめつちの請まつり」という、不思議なおまつりがありました。このおまつりでは、村の人たちみんなで神さまにお祈りをします。罪を犯してしまったり、病気で苦しんでいる人たちもいっしょにお祈りをすることで、もう一度まっすぐな心を取り戻したり、元気になったりするよう願っていたのです。
このおまつりは、はじめは黒穂の山奥だけで行われていました。ところが、大百洞天命という神さまが「もっと多くの人を助けたい」とお考えになり、さまざまな奇跡をとおして人びとにこのおまつりのすばらしさを伝えたと言われています。「あめつちの請まつり」で深い祈りをささげた罪人や病人には、心やからだを清める機会が与えられるようになりました。その結果、大勢の人たちが安心して生活できるようになったそうです。
さらに、このおまつりでは珍しいできごとがおこります。それは、前のおまつりで神さまの力をいただいた人が、次のおまつりで「神官(しんかん)」という大切な役目を務めるようになる、というならわしです。大百洞天命が人々を選び、新しい神官を生み出すことで、村の暮らしを支えつづけているのだ、と言い伝えられています。
このように「あめつちの請まつり」は、ただ山奥のひそかな行事ではなく、多くの人を救うきっかけとなりました。やがて国中のさまざまな場所で、神官によるお祈りや厄よけの行いが広まり、凶作や病気を遠ざける大切なおまつりとして知られるようになったのです。おまつりの評判を聞いたほかの地域の人々も、わざわざ黒穂まで足を運んで、大百洞天命のご加護を受けようとしたと言われています。
今では、このおまつりがどのように行われていたのか、くわしい様子ははっきりわかりません。しかし、大百洞天命という神さまと「あめつちの請まつり」の物語は、地元の人々によって大切に語りつがれています。もし、みなさんがこの黒穂地域で歴史や伝説にふれる機会があれば、ぜひこの不思議な神さまとおまつりの話に思いをはせてみてください。
そこには、人々を思いやる気持ちと、みんなで力をあわせる大切さが、今でもしっかりと息づいているのです。
(「くろほ伝承館」展示パネルより抜粋、現在閉鎖中)
