3.序文
はじめまして、阿刀恵と申します。
私は、普段はフリーライターとして活動している者です。今回この場をお借りして、とても興味深い仕事についてお話ししたいと思います。それは、戸黒正彰さんという方から託された、膨大な資料の整理と再編に関するものです。
戸黒さんは民俗学を趣味として研究されていた方で、地域の伝承や文化に深い関心を寄せていました。
そのため、彼が収集した資料には、さまざまな情報が詰まっています。
手書きのメモや古い写真、地域の歴史を記した文書など、多岐にわたる内容が雑然と積み上げられていました。
その膨大な資料を前にして、どれが重要で、どのような意図が込められているのかを見極めるのは容易なことではありません。
さらに難しい点は、戸黒さんから直接お話を伺う機会がほとんどなかったことです。
彼がどのような視点で資料を収集し、どんなテーマを追求していたのか、具体的な手がかりが十分には得られない状態でした。
そのため、私は資料の整理を手探りで進めていくことになりました。
まず、膨大な資料を一つひとつ丁寧に目を通し、可能な限り分類し直しました。
それらの中から浮かび上がる共通点やテーマを探り、戸黒さんが追求していたであろう意図を自分なりに再構築してみました。
この作業は単なる整理に留まらず、私自身が考察を深める貴重な機会となりました。
資料に目を通す中で、戸黒さんが資料を収集した背景には、何かを探し求めるような意図が感じられました。
それが具体的に何であるのかははっきりしませんでしたが、断片的ながら一定のテーマや法則が見え隠れしており、それが戸黒さんの中での答えを探る手がかりだったのかもしれません。
私はこれらを整理しながら、自身の視点を加えて読者の方にも理解しやすい形で伝えることを心がけたいと思います。
なお、ここで取り上げる資料については、特定の地名や人名を極力伏せるよう配慮しました。
また、今回紹介する内容は膨大な資料全体の中から重要と思われる部分を抜粋したものであり、実際にはその10倍以上の量があります。
それらを精査した上で選び抜き、資料に記されていない情報については、必要に応じて補足を加えました。
この作業を進める中で、戸黒さんが探していたのは、古い時代から現代にかけて続く何か不思議なものではないかと感じられる瞬間がありました。
資料に綴られた言葉や記録は、単なる過去の記録ではなく、時代を超えて流れる謎めいた連続性を示唆しているようにも思えます。
それらは当時の空気感や人々の暮らしを鮮明に描き出し、胸を打つだけでなく、何か大きな問いを提示しているように感じられます。
その一つ一つが、私にとって新たな発見であり、学びでもあります。
この資料群を読んだ方々に、同じ思いを感じてもらえればと願いつつ、戸黒さんから最初にいただいた手紙を、そのままここに掲載させていただき、序文の締めの言葉とかえさせていただこうと思います。
==== ==== ==== ====
拝啓 阿刀恵様
寒さ厳しき折、いかがお過ごしでしょうか。
この度は、私の資料編纂に際し、多大なるご協力を賜り、心より御礼申し上げます。
まず、今回お送りした資料が大量であり、またその内容が煩雑であったこと、深くお詫び申し上げます。
長年にわたり収集してきたこれらの資料は、それぞれが異なる背景と価値を持つため、整理が難航していた次第でございます。どうかご容赦いただけますと幸いです。
これらの資料の中でも特に、「あめつちの詞」が持つ不思議な魅力と謎には目を見張るものがあります。
それ単体でも十分に心を惹きつける力を持ち、古の言葉が生み出す世界観がいかに豊かであるか、またその裏に秘められた謎めいた要素がいかに深いかを感じていただけることでしょう。
この詞が持つ言霊の力は、私たちの想像を超えた広がりを秘めており、それを共有できることに大きな喜びを感じております。
最後になりますが、編纂された資料が、貴女のお名前にございます「恵」のように、私たちにとっても大きな恵となることを心より願っております。
これからも変わらぬご指導とご助力を賜りますようお願い申し上げます。
末筆ながら、貴女様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
敬具
令和四年二月二十六日
戸黒正彰
はじめまして、阿刀恵と申します。
私は、普段はフリーライターとして活動している者です。今回この場をお借りして、とても興味深い仕事についてお話ししたいと思います。それは、戸黒正彰さんという方から託された、膨大な資料の整理と再編に関するものです。
戸黒さんは民俗学を趣味として研究されていた方で、地域の伝承や文化に深い関心を寄せていました。
そのため、彼が収集した資料には、さまざまな情報が詰まっています。
手書きのメモや古い写真、地域の歴史を記した文書など、多岐にわたる内容が雑然と積み上げられていました。
その膨大な資料を前にして、どれが重要で、どのような意図が込められているのかを見極めるのは容易なことではありません。
さらに難しい点は、戸黒さんから直接お話を伺う機会がほとんどなかったことです。
彼がどのような視点で資料を収集し、どんなテーマを追求していたのか、具体的な手がかりが十分には得られない状態でした。
そのため、私は資料の整理を手探りで進めていくことになりました。
まず、膨大な資料を一つひとつ丁寧に目を通し、可能な限り分類し直しました。
それらの中から浮かび上がる共通点やテーマを探り、戸黒さんが追求していたであろう意図を自分なりに再構築してみました。
この作業は単なる整理に留まらず、私自身が考察を深める貴重な機会となりました。
資料に目を通す中で、戸黒さんが資料を収集した背景には、何かを探し求めるような意図が感じられました。
それが具体的に何であるのかははっきりしませんでしたが、断片的ながら一定のテーマや法則が見え隠れしており、それが戸黒さんの中での答えを探る手がかりだったのかもしれません。
私はこれらを整理しながら、自身の視点を加えて読者の方にも理解しやすい形で伝えることを心がけたいと思います。
なお、ここで取り上げる資料については、特定の地名や人名を極力伏せるよう配慮しました。
また、今回紹介する内容は膨大な資料全体の中から重要と思われる部分を抜粋したものであり、実際にはその10倍以上の量があります。
それらを精査した上で選び抜き、資料に記されていない情報については、必要に応じて補足を加えました。
この作業を進める中で、戸黒さんが探していたのは、古い時代から現代にかけて続く何か不思議なものではないかと感じられる瞬間がありました。
資料に綴られた言葉や記録は、単なる過去の記録ではなく、時代を超えて流れる謎めいた連続性を示唆しているようにも思えます。
それらは当時の空気感や人々の暮らしを鮮明に描き出し、胸を打つだけでなく、何か大きな問いを提示しているように感じられます。
その一つ一つが、私にとって新たな発見であり、学びでもあります。
この資料群を読んだ方々に、同じ思いを感じてもらえればと願いつつ、戸黒さんから最初にいただいた手紙を、そのままここに掲載させていただき、序文の締めの言葉とかえさせていただこうと思います。
==== ==== ==== ====
拝啓 阿刀恵様
寒さ厳しき折、いかがお過ごしでしょうか。
この度は、私の資料編纂に際し、多大なるご協力を賜り、心より御礼申し上げます。
まず、今回お送りした資料が大量であり、またその内容が煩雑であったこと、深くお詫び申し上げます。
長年にわたり収集してきたこれらの資料は、それぞれが異なる背景と価値を持つため、整理が難航していた次第でございます。どうかご容赦いただけますと幸いです。
これらの資料の中でも特に、「あめつちの詞」が持つ不思議な魅力と謎には目を見張るものがあります。
それ単体でも十分に心を惹きつける力を持ち、古の言葉が生み出す世界観がいかに豊かであるか、またその裏に秘められた謎めいた要素がいかに深いかを感じていただけることでしょう。
この詞が持つ言霊の力は、私たちの想像を超えた広がりを秘めており、それを共有できることに大きな喜びを感じております。
最後になりますが、編纂された資料が、貴女のお名前にございます「恵」のように、私たちにとっても大きな恵となることを心より願っております。
これからも変わらぬご指導とご助力を賜りますようお願い申し上げます。
末筆ながら、貴女様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
敬具
令和四年二月二十六日
戸黒正彰
