次の日の朝、ササキさんからメッセージが入っていた。
昨日、封印の儀式を成功させた達成感で遅くまで飲んでしまった。
昨日の挨拶だろうか、と思いメッセージを開いた。
私はしばらく、トーク画面を見つめたまま動けなくなった。
「村の写真」がササキさんから送られてきていた。
何かの悪ふざけかと思い、ササキさんに電話をかけるが繋がらない。
今、これを書いているのは夕方なのだが、まだ連絡はつかない。
私の頭の中には「失敗」の2文字が浮かんでいる。
儀式は失敗し、こっくりが私たちを狙っているのだと考えた。
しかし、確かに私たちはあの場で儀式を成功させたはずだった。
でなければ、あの場で私たちは連れ去られたのではないだろうか。
私はもう一度、たにむぅが撮影した動画を見返した。
何かヒントがあるかもしれない。
動画の中で、木箱が映し出されたシーンで一時停止をする。
木箱には”キノコ”がびっしりと生えていた。
キノコは木箱の中の虫たちを栄養にして成長しているように見えた。
そんなことがありうるのだろうか。
私は虫を栄養にして成長するキノコについて調べた。
「冬虫夏草」
冬虫夏草とは、キノコの一種であると記述がある。
胞子が虫に付着すると、虫に時間をかけて侵食する。
果ては宿主である虫を乗っ取って、キノコが成長しやすい場所へ移動させ、虫自体をキノコに変える。
そして、そのキノコがまた胞子を出して他の虫へ感染させる。
私の中に1つの仮説が生まれた。
こっくりが冬虫夏草の機能を持ったのではないか。
木箱の中で、冬虫夏草とこっくりが共存し、何らかの作用で融合する。
たにむぅは木箱を開け、冬虫夏草と融合したこっくりが乗り移る。
たにむぅを乗っ取ったこっくりは、動画の中に「胞子」となる動画を生成する。
その動画を複製(スクショ)して、他の人に送る。
他の人が写真(胞子)に感染する。
感染した人は、一定時間経過すると、冬虫夏草化し、他者に写真(胞子)を振り撒くようになる。
だとすれば、写真の中に見える鬼は、感染を知らせる合図なのではないかと考えられる。
この仮説が成立するなら、大元であるこっくりが封印されたとしても、「写真=胞子」として生き残ったこっくりはまだ生きている。
辻褄は合うはずだ。
だとすれば、私の命は間もないだろう。
おそらく、他のみんなと同じように、どこかに消えてしまうのだと思う。
せめて、消えてしまう前に、この記事内の写真だけは削除しておこう。
少しでも、呪いの感染を食い留めたい。
そして、誰もあの村に行くことがないように、場所は伏せ字に変更した。
少し調べれば探し出せるかもしれないが、不用意に近づくことはおすすめしない。
だが、この記事自体は残しておきたいと思う。
いつか誰かが、この記事を見て、感染を食い止める方法を考えつくかもしれないからだ。
最後に、もし私が「村の写真」を拡散させようとしても、何度も見ようとしないでほしい。
もし一度見たとしても、「鬼」の姿が見えなければ感染は免れるはずだ。
これが私の遺書にならないことを祈る。
昨日、封印の儀式を成功させた達成感で遅くまで飲んでしまった。
昨日の挨拶だろうか、と思いメッセージを開いた。
私はしばらく、トーク画面を見つめたまま動けなくなった。
「村の写真」がササキさんから送られてきていた。
何かの悪ふざけかと思い、ササキさんに電話をかけるが繋がらない。
今、これを書いているのは夕方なのだが、まだ連絡はつかない。
私の頭の中には「失敗」の2文字が浮かんでいる。
儀式は失敗し、こっくりが私たちを狙っているのだと考えた。
しかし、確かに私たちはあの場で儀式を成功させたはずだった。
でなければ、あの場で私たちは連れ去られたのではないだろうか。
私はもう一度、たにむぅが撮影した動画を見返した。
何かヒントがあるかもしれない。
動画の中で、木箱が映し出されたシーンで一時停止をする。
木箱には”キノコ”がびっしりと生えていた。
キノコは木箱の中の虫たちを栄養にして成長しているように見えた。
そんなことがありうるのだろうか。
私は虫を栄養にして成長するキノコについて調べた。
「冬虫夏草」
冬虫夏草とは、キノコの一種であると記述がある。
胞子が虫に付着すると、虫に時間をかけて侵食する。
果ては宿主である虫を乗っ取って、キノコが成長しやすい場所へ移動させ、虫自体をキノコに変える。
そして、そのキノコがまた胞子を出して他の虫へ感染させる。
私の中に1つの仮説が生まれた。
こっくりが冬虫夏草の機能を持ったのではないか。
木箱の中で、冬虫夏草とこっくりが共存し、何らかの作用で融合する。
たにむぅは木箱を開け、冬虫夏草と融合したこっくりが乗り移る。
たにむぅを乗っ取ったこっくりは、動画の中に「胞子」となる動画を生成する。
その動画を複製(スクショ)して、他の人に送る。
他の人が写真(胞子)に感染する。
感染した人は、一定時間経過すると、冬虫夏草化し、他者に写真(胞子)を振り撒くようになる。
だとすれば、写真の中に見える鬼は、感染を知らせる合図なのではないかと考えられる。
この仮説が成立するなら、大元であるこっくりが封印されたとしても、「写真=胞子」として生き残ったこっくりはまだ生きている。
辻褄は合うはずだ。
だとすれば、私の命は間もないだろう。
おそらく、他のみんなと同じように、どこかに消えてしまうのだと思う。
せめて、消えてしまう前に、この記事内の写真だけは削除しておこう。
少しでも、呪いの感染を食い留めたい。
そして、誰もあの村に行くことがないように、場所は伏せ字に変更した。
少し調べれば探し出せるかもしれないが、不用意に近づくことはおすすめしない。
だが、この記事自体は残しておきたいと思う。
いつか誰かが、この記事を見て、感染を食い止める方法を考えつくかもしれないからだ。
最後に、もし私が「村の写真」を拡散させようとしても、何度も見ようとしないでほしい。
もし一度見たとしても、「鬼」の姿が見えなければ感染は免れるはずだ。
これが私の遺書にならないことを祈る。
