なんだ、そんな簡単な話だったのか。
馬鹿な奴らが何も考えず言葉を音と形としてしか使わなかった罰が当たっただけじゃないか。
それなら私は大丈夫だ。
幼い頃から母に厳しく躾られ、たくさん勉強して、たくさん本を読んできた。
あんなにも偉そうに私に言葉の大切さを説いてきた母までもおかしくなってるとはなんとも皮肉な話だ。
嫌いな奴らが揃って同じ言葉を繰り返す機械のようなものになっただけ。
そう考えたら今までの世界と大して変わりがないように思える。
寧ろ私にとっては生きやすい世の中になったんじゃないだろうか。
これからは人間に怯えることもない、アレらはただの煩い動く肉の塊だ。
もう「肥溜」なんてなくてもストレスを抱えることはない。
私は♢さんに

「ありがとう!」

と返事を送った。
そうだ、耳栓でも買いに街まで出掛けよう。
明日からも仕事に行かなくちゃいけないしさすがに鼓膜への負担が心配だもの。