そしてその後、阿久津が語る「記録」はさらに断片化していった。 彼の証言は矛盾に満ち、時には理解不能な単語や、現実には存在しない地名や人物の名前が登場した。 やがて、彼が語る「赤い扉」や「選択者の記録」は、都市伝説として一人歩きを始める。 そしてそれを耳にした誰かが再び、地図にない場所へと足を踏み入れるのだった――。